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2007.12.09
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カテゴリ: lovesick
打ち合わせはいつも、私の自宅で行います。

作品が世に出るにつれ、煩雑になってきた私の雑務全般を引き受けて、
マネージメントをしてくれるようになりました。
私の才能に惚れ込んで、というよりもむしろ、
作品の管理について、あまりに無頓着な私を見るに見かねて口を出したが最後、
いつの間にかマネージャーに、という感じでした。
というわけで、マネージャーとはいっても、
作品の内容についても、その展示方法についても、値つけについても、

気分のままに、好きなように好きなものを焼いて、
後のことは、どなたか、どうでもお好きなように、なんて思っている私には、
非常に怖い人です。
私のことも、私の作品のことも、とてもかわいがってくれるのですが、その怖さゆえ、
友人、というよりは、兄に近い存在なのです。

今日も、朝から、私の作品の写真ファイルを持ってきて、
「今回のテーマは?」、「これとこれは似ているがどういう意味が?」、「作品の価格全体を前回より何%ベースアップで考えているか?」
と、質問攻めです。有能なマネージャーの鋭い目つきに急かされ、
私は、いつも同じ展開になるのをわかりながら、つい適当に、
『ん~と、、、自由・・かな?。』、『同じのを時間を置いて作ろうとしてそうなっただけ』、『いや~、現状維持でいいんじゃない?』
なんて答えて、即、

と反論されてしまいます。
『自由に作ったから、自由というテーマしか浮かばないの』、『ごめん、たしかに。たまたま似ただけかな』、『お金のことは実際よく分からないし、、』
と伝えると、フジシマくんは、短いため息をついて、
「全く成長というものがないな、お前には。」
こういう不毛なやりとり(にしているのは私なのですが)を、延々繰り返し、最終的には、フジシマくんの考えてきたテーマに則って、会場のレイアウトから、展示のみの作品、展示即売する作品、その値段、などが決まっていくことになります。


悠斗からメールがきたのは、フジシマくんの作ってきた会場のレイアウトについて、(形式上)相談している時でした。
「じゃあ、ちょっと休憩」
と、フジシマくんが、コーヒーのおかわりを入れに立ったので、私は遠慮なく2度の返事を打ち終えられました。フジシマくんは湯気のたつカップを持って戻ってきながら、
「宗太郎?」
と聞きました。宗太郎と彩とは何度もうちで一緒に食事をしたことがあります。首を振ると、
「彩?」
もう一度、首を横に振るのを見て、片方の眉を下げ、不審そうに、
「誰?」
とたずねました。一度、「休憩」と言うと、本当に「休憩」で、顔つきはマネージャーの怖いものではなく、私のことをかわいがってくれる兄のようなものに変わります。
『広川悠斗っていう人。夕べ、宗太郎たちの家で知り合ったの。』
フジシマくんは、首を回すようにして私が書くのをテーブルの向かいから見ながら、
「広川、、悠斗。どっかで見た名前だなあ。」
私は、
『俳優さんなんだって。「探偵・滝田」っていうドラマで、、』
書き終えるのを待たず、
「ああ、そうか。あの刑事さんね。へ~、男前と知り合いになったんだな~」
にっこりしてうなずくと、フジシマくんは、もういちどふっと真顔になって、
「で、なんで、メール?」
『明日、ミルスの丘にドライブに行こうって』
フジシマくんは、目をむき、あごをひいて驚きを示した。
「なにそれ?それで、楓、オッケーしたわけ?」
『そんなに驚くこと?』
フジシマくんは、大げさにうなずいて、
「そりゃ驚くよ。楓が、誰かとデートする気持ちになったなんて」
今度はこっちが驚く番でした。
『デート?デートなんかじゃないよ。』
「男と女が2人でドライブ行くのがデートでなきゃなんなんだよ」
私は、言葉に詰まる。「デート」なんて言葉、思いつきもしなかった。
「そんな深刻な顔しなくても。別に責めてるんじゃないよ。俺は、正直、うれしいよ。楓が、宗太郎や、彩以外の誰かと、外にでかけようとするなんて。デートじゃなくていいよ。ドライブだろ?」
私は急に不安になって、
『でも、悠斗の方は、そういうつもりなのかな。』
「そういうつもり、が、どういうつもりを指すのか分からないけど。。宗太郎たちの友達なら、そんな間違った相手だとも思わないよ。リラックスして楽しんでおいで」
私が、不安そうに、フジシマくんの目を見ると、
「大丈夫だって」
と笑いました。私も笑えました。
まさか、悠斗みたいな素敵な人が、自分を好きになるなんてこと、ありえないな、
と、一瞬でもそんなこと考えた自分をずうずうしいとまで思えたからです。





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最終更新日  2007.12.10 01:03:05
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