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内発の力で〝平和のとりで〟を
——囚人よ、いったい、誰が、おまえを縛ったのか。
「わたしのご主人です」
——囚人よ、いったい誰がこの頑丈な鎖をこしらえたのか。
「この鎖を念入りに鍛えあげたのは、わたしでした」「気がついてみると、鎖につながれていたのは、わたし自身でした」
〝ご主人〟とは、人間のエゴ、欲望。富と権力さえあれば世界中の誰にも勝ることができると思った囚人は、王に帰すべき金銭を自分の宝庫に入れて貯えた。いつしか、自分の宝庫にとらわれ人になっていた( R ・タゴール『キタンジャリ』森本達雄訳注、第三文明社)。
詩聖タゴールが寓意に富む掌編詩で示したように、ともすれば人は、気付かぬ間に自制を忘れ、エゴや欲望の囚人となる。衝突や争いも、そこから起こる。
多様性の調和と融合のための活動を続ける国連教育科学文化機関(ユネスコ)が発足したのは1946年 11 月 4 日。きょう4日は「ユネスコ憲章記念日」である。
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」とうたうユネスコ憲章が採択されたのは、第2次世界大戦直後の 45 年 11 月。戦争は互いの文化に対する無知による疑念や不信が原因であり、異文化交流の促進や文化多様性の保護などが不可欠である——。人類の歴史を教訓として、ユネスコは設立された。
戦禍は今もやまない。だが、いかなる状況にあろうと、生命の尊厳は普遍的価値でなくてはならない。ユネスコ創設の精神に立ち返ることが、今こそ必要ではないか。
他者を外圧的な力で制御することの最たるものが戦争や暴力であるならば、「心の中の平和のとりでを築く」営みとは、生命の内なる変革によって自己を統御することといえよう。永続的な平和は自他共の〝内発的な力〟を開く行動によって築かれるとの理念から、創価学会は「世界の少年少女絵画展」をはじめとする平和・文化・教育の運動をユネスコなど国際機関と連携して開催。「平和の文化」の構築を進めてきた。
一人一人が『平和のとりで』の建設者の自覚で、人と会い、人と語る。友情と信頼の絆を結び、広げていく。戦乱と暴力の流転から人間を解き放つ根本的な方途は、この地道な行動の中にあると信じて、われらは前進する。
【社説—きょう「ユネスコ研修記念日」】聖教新聞社 2023.11.4
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