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2008.09.21
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カテゴリ: フランス映画
CRIN BLANC le cheval sauvage
LE BALLON ROUGE
Albert Lamorisse
白黒40min(1 : 1.37、フランス語)
カラー34min(1 : 1.37、フランス語)
(桜坂劇場 ホールCにて)

ballon0.jpg

2008年、待ち望まれた映画がスクリーンで息を吹き返す

2007年カンヌ国際映画祭。長年の権利問題が解決し、デジタル・リマスターによって鮮やかに甦った『赤い風船』は、1953年カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた同監督のもう一つの傑作『白い馬』と共に再び出品されました。同じ作品の二度の正式出品自体、映画祭史上初の事件でしたが、なにより話題をさらったのはその少しも色あせない映画の力だったのです。
シンプルなストーリーとわずかなセリフにも関わらず、そこに描かれる愛、友情、喜び、切なさが心に強く迫ってきます。そして導かれる奇跡のラストシーンには感動し、心揺さぶられることでしょう。

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『赤い風船』
Le Ballon Rouge
監督・脚本:アルベール・ラモリス
出演:パスカル・ラモリス
1956/フランス/36分

きっと、また会える。
語り継がれてきた伝説の映画が、ついにスクリーンで鮮やかに甦る。永遠に心に刻まれる、奇跡のラストシーン。

ある朝、少年パスカルは、一個の赤い風船が街灯に引っ掛かっているのを見つける。街灯によじ登って風船を取ると、どうやらその風船には意志があるようだ。手を離しても、風船はパスカルの行く先々に付いて来るのである。ある日、パスカルと風船の仲の良さを妬んだいたずらっ子たちが、風船を自分たちのものにしようと追い掛けて来て…。

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『白い馬』
Crin Blanc
監督・脚本:アルベール・ラモリス
出演:アラン・エムリー
1953/フランス/40分

孤高の魂が響きあう。
南仏の湿原を駆ける野生の馬とそれを追う少年。命の躍動に心が震える。

南仏カマルグの荒地に野生馬の一群が棲息していた。群れのリーダーは、“白いたてがみ”と呼ばれる美しい荒馬だ。地元の牧童たちはこの馬を何とかして捕らえようとしていたが、逃げられてばかりいた。しかし、少年フォルコだけは、“白いたてがみ”と心を通わせ次第に強い絆で結ばれるようになる。そして、馬を狙う牧童たちから必死に守ろうとする。(以上AMUSE cinequanonのサイトより)


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上の引用部分からもわかるように、今回の上映はデジタル・リマスター版によるリバイバル上映。正直、これらの作品を昔、何時・何処で見たのか、あまり憶えがありません。それでも『白い馬』の方はかなり映像の記憶が残っている。もしかしたらフランスで小学校で(2本とも?)観せられたのかも知れない。『赤い風船』の方は、本当にかつて何十年か前に見たのかどうかもわからないぐらい記憶はおぼろ。そんな作品なんですが、劇場で予告編を見せられたとき、物凄い懐かしさのようなものを感じた。映画関連の書籍などで紹介や批評されているのを読んだ記憶もないのだけれど、それでも何か特殊な感慨のようなものがボクの中にある作品だった。これら2本の作品、フランスでの公開が1953・1956年頃で、引用資料にもあるように権利問題があっていつまでどういう形で観ることが出来たのかは分からないけれど、おそれく四十代以上の人々、特にフランス人にはなにがしかの同じような感慨を持った人も多いのではないだろうか。フランス版DVDの特典映像には、実際に見たわけではなくキャプチャー画像を見ただけだけれど、ジュリエット・ビノシュがDVDを観ている等の映像が入っている。

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この2本の作品、あるいはラモリスの作品は、映像詩などと言われることが多い。なるほどセリフがほとんどないし、大きく展開する物語があるわけでもなく、映像は美しいのだけれど、特に『白い馬』の方など、散文的で動きのある画像も多い。牧童、引用文に合わせてこう書くけれど、そして牧童と呼ぶとほのぼのとした感じだが、実際にはもっと動物や自然を征服しようという人間たち。あるいは野生の馬のボス争いの壮烈な闘争場面などがある。そして少年が野うさぎと戯れている映像、それは実はマジに追っているのであって、次の場面ではさばいたその兎を焚き火で焼いて食べている。そういう意味ではかなり現実的な映像だ。そして風船は無生物だからポエムの世界になるけれど、少年と馬の友情にしても、少年のやろうとしたことは、馬を捕らえて、家に作った柵の中に入れ、縄で縛ろうというもので、実は野生の馬を捕らえて屈服させようとする牧童と本質同じか、あるいは同じところから出発している。現実的といえばその通りなのだけれど、この辺の発想の平凡さ、あるいは素朴さが、今回なんとなく気になってしまった。

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ややネタバレにはなるけれど 、2つの作品は、ほぼ相似な物語構成だ。『白い馬』では少年・白馬 vs 牧童、『赤い風船』では少年・風船 vs 無理解な大人・普通の悪ガキという2項対立であり、理想論的人間を象徴する少年プラス白馬または風船は、この世界ではない何処かアナザー・ワールドに旅立っていくしかない。そういう意味では描かれている内容は非常に辛辣なものだ。白い馬は何ものにも屈服しない孤高な精神の自由を象徴しているのだろう。あるいは赤い風船は少年の友だちでもあるけれど、他と相容れない少年の分身的存在とも考えられる。『赤い風船』で描かれる大人たちや悪ガキの集団は、世界の主流、徒党を組む人々、つまりは個人の自由を屈服させようとする社会や政治でもあるわけで、風船は彼らに殺されることになる。色とりどりの風船が集まって少年をつり下げて空の彼方に連れ去るけれど、美しいけれどもハッピーであるよりは辛辣でペシミスティックなラストだ。同じように少年と白い馬も海の彼方に去っていくしかない。青空の彼方や海の彼方が象徴するのは、決して存在はしない理想郷でしかない。しかし、『白い馬』では能動的に、『赤い風船』では受動的にではあるが、そうした世界を選ぼうという少年の意志にこそ価値があるのだ。これはラモリスの理想なのだろうけれど、もし普通に言われるようにこれらの映画が子供向けに作られたものであるならば、理想主義者ラモリスの、子供たちに対する感動的とも感じられる深いメッセージだ。

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Last updated  2008.09.22 03:34:54
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