瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内シーカヤック日記

August 15, 2005
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盆休みの一日、本屋で偶然見つけて読んだ一冊の本を紹介したい。 その本は、『日本海繁盛記(岩波新書)』。

シーカヤック尺取り虫方式日本海北上の途中でたどり着いた土田海岸で、偶然出会った地元の老人から北前船に関わる話を伺って以来、北前船に関心を持っていた。
http://plaza.rakuten.co.jp/kayaker1/diary/200506250000/ 

昨日、出掛けた街で、偶然この本を見つけて購入し、さっそく読んでみた。
北前船について、その歴史や変遷、航海の様子、関わった人たちの生活などについてわかりやすくまとめられており、その一端を知るのにとても良い本である。

北前船とは:
北前船とは、船の形式や地名から来るものではなく、その商業形態を指すもの。 他人の商品を運んで運賃を稼ぐのではなく、航海の途中、自己資金で買い入れた商品を寄港地で売り捌き、その差額で利益を上げるという、船自体が商社と船会社を兼ね備えたシステムになっていた。
活躍した時期は、江戸中期から明治初期。 船は俗に千石船と呼ばれ、主に弁才船と言われる形式の一枚帆の帆走専用船が使われていた。

航路:

台風期の前に瀬戸内海に入り、〆粕を売りながら晩秋か初冬に大坂に戻る。
冬は日本海が荒れるため、船は大坂の河口の真水域に保管しておき、船乗り達は、陸路で地元に戻るのだそうだ。

航海:
帆走専用であり、また荒れると手の付けられない日本海を航行するため、風や天候など、日和の見方には最新の注意が払われた。 そのため港近くには、日和山あるいはそれに相当する山があったようだ。 それでも、天気は読み切れない。 数々の遭難や海難がある、大変な航海であった。

船乗り達の気風:
(以下引用)一年の三分の二ほどそういう日々を送っていた船乗りたちは、陸上で田畑を守る農耕民とはまるでちがう独特の人生観で生きていた事だろう。ひとくちには言えないだろうが、豪放、自由、冒険、諦観、信心、漂泊、享楽、不安定、等々がいくらかずつ混じり合ったものかもしれない。
(中略)海の男たちには、藩境もなければ国境も無い。土地所有を土台にしている世の中のありかたからはみだしているところがある。海の男たちは、こちこちの国家主義者にはならないだろう。なれないだろう。

角島まいり:
下関をまわり、日本海に入ると、これから航海する波荒い日本海での無事を祈り、『角島まいり』をする。 これは、山口県の角島(つのしま)近くに来ると、カシキが裸になって褌をしめ、腰にシメナワを巻いて、船のへりを三度まわることになっていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

江戸時代中期から明治の半ばまで、自然の風だけを利用した帆船で、北海道から瀬戸内経由で大坂まで、一年の三分の二を利用した、スケールの大きな航海が、多くの船で頻繁に行われていた事に驚きを感じている。 自然任せのため、時にはひと月近い風待ちもあったという。 今の航海では考えれない時間の流れ。


さらに、明治になって電信が使われるようになった初期には、日本各地の物価や消費ニーズをいち早く入手し、船頭にどこで買い付け、どこで売れば儲かるかという指示をしていたという!
まさに、IT(情報技術)を最大限活用した先駆的な商売をしていたのだから スゴイ。

土田海岸で地元の老人から聞いた、見島沖で海難に遭遇した北前船の話が、活き活きと蘇って来る。
当時は、日本海側こそが日本の表舞台だった。 決して裏日本でないことは、今回の日本海北上の旅で実感している。 港湊に住む人たちの中には、当時から連綿と引き継がれるDNAが残っている。

この本を読んで、瀬戸内横断の次章として、下関から角島を越えて日本海を北上して行く 『この一連の旅のテーマ』 が明確になった。 そういう事だったんだ!





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Last updated  August 15, 2005 02:05:56 PM
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