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2006.10.05
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カテゴリ: 超短篇小説




それが夢だと気づくまでにそんなに時間がかからなかったが、
それさえも夢であることに気づくまでには相当時間がかかってしまった。

なぜなら、この時、僕はトータルで9つの夢を同時に見ていたからだ。


ひとつずつ夢から覚めていくのは困難な作業でもあった。

夢のまた夢のまた夢の…。

下手をすると、夢をひとつ飛ばして目覚めてしまうことにもなりかねない。

7番目の夢を飛ばして6番目の夢から目覚めても、
結局のところ、永遠に夢から目覚められなくなってしまう。

どんなに時間がかかっても、ひとつずつ、確実に目覚めていく必要があるということなのだ。


話を最初に戻そう。


僕は夢NO.1を見ていた(分かりやすいように番号をつけよう)。

夢NO.1の中で僕は夢NO.2を見ていた。

その夢NO.2の中にいた僕は、夢NO.3を見ている真っ最中だった。

夢NO.3は、当然のように夢NO.4に含まれる。

かようにして、夢NO.9の中に夢NO.8からNO.1までがうまく納まっていたのだ。

ロシアの人形のおもちゃ「マトリューシカ」のように、
人形の中から次から次に同じような人形が出てくる。

それは奇妙なことではあるが、自分にとっては別に珍しいことでも何でもない。

箱を開ければ箱が出てきて、さらにその箱の中には箱…。

3番目の箱を開けるためには、必ず4番目の箱を開けなくてはならない。

一番最後の箱にたどり着く頃には、かなりの体力を消耗することになる。


9つの夢から覚めるのも同じだ。

自分自身で数えていなければ、それが何番目の夢かなんて誰にも分からないのだから。

てっきり現実だと思っていたものが、
実は夢であったということにずいぶん時間が経ってから気づくことだってよくある話。


今こうやって夢について語っているけれど、これだって現実なのかどうか怪しいものだ。


現実の自分をしばしば見失うことがある。

夢の中にいる時間が長ければ長いほど、現実の自分は現実味を失って夢の中を彷徨い続ける。

時に夢が現実以上にリアルなものとなる。
夢の奥深くに入っていけばいくほど、夢は現実と区別できないくらいリアルさを増していく。

実際に夢の中の方が居心地がいい場合も多々ある。



うっかり自分がいくつ夢を見ていたか数え忘れることがある。

そうなれば状況はいっそう深刻だ。

永遠に現実に戻れないまま、夢の中で一生を終えてしまうことになる。

誰かに起こしてもらっても、本当の自分自身は夢の中。

飼い主不在の犬のように、一人では何もできず、どこにも行けない。
意志を持たぬ人間のまま、夢遊病患者同然になってしまう。


ああ、こうしている間にも睡魔が襲ってくる。


すべての夢から目覚めたはずだったが、よくよく考えると、
今2番目と3番目の夢の間にいて、また3番目の夢に逆戻りしつつある。

いや、3番目と4番目だったか?4番目と5番目…?


夢の中で眠ってしまうのが一番怖い。
夢の中での死も同じ。脳は夢と現実との区別ができなくなってしまうのだ。


ああ…眠い…。

これは夢なのか現実なのか?

夢だとしたら一体何番目だったのか…?



…そこで、僕の意識は途切れた…。





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Last updated  2006.10.05 05:29:51
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