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HirokochanさんKeyword Search
鍋がまだ続いている。
3日目になるだろうか。
スジ肉が完全にとろとろになってゼリー状である。
白菜も初日に入れた分はいい具合に柔らかになっている。
野菜や肉のエキスが混ざり合って、鍋としては最高のだしが出ている。
乾いた部屋で、ボーズのスピーカからはキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」のピアノが奏でられている。
静かだ。静けさの中で鍋からの湯気が踊っているようにも見える。
ぐつぐつと茹だっている鍋の具たちはみな踊っているのだ。
キース・ジャレットのピアノでキムチ鍋のダンス、なかなかシャレている。
新しい白ワインが二日で空いてしまった。
そんなに飲むつもりではなかったのに、気がつけば二本目ももう半分。
ステレオのボリュームを上げる。
ここは高級レストランでもホテルのバーでもない。
私は自分の部屋でキムチ鍋をつつきながら、キース・ジャレットのピアノに耳を傾ける。
とろとろになったスジ肉を一口食べる。しばらく噛むこともせず、舌の上でもてあそぶようにしてスジ肉をころころと転がしている。
スジ肉を堪能したらその食感を歯で確かめて飲み込んでしまう。
キースのピアノが乾いた空気を振動させている。
白ワインを胃袋に流し込んだ。
キムチ鍋の唐辛子とあいまって胃が熱くなっている。
本格的な寒さはまだこれからだ。
ハロゲンヒータの赤外線ランプを見つめ、私は遠き昔に思いをはせる。
部屋にいる限り、凍えて死ぬことも飢えて死ぬこともない。
そしてキースのピアノに心を癒されている。
冬の夜は暗く冷たく、そして長い。
鍋の具はまだなくならない。
明日は、ビル・エヴァンスに麦焼酎で行こう。
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