The Sky

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2007/08/13
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 漫画(「総員玉砕せよ」)を、飛び飛びでしか読んでいなかったこともあり、
 一応、拝見した。

 水木しげる役の香川某の軽妙かつ慎重な演技もあって、ドラマとして面白かった。

 太平洋戦争末期の南方での幾つかの玉砕に関しては、様々な記録、そして、
 私自身、学生時代のバイト先で南方から生還してきた方と、数年を共する機会を
 得、親戚連中から得た情報をかなり補完することが出来た。

 もちろん、自分の得た情報だけで太平洋戦争を云々しようなんて気は毛頭ないが、
 やはり、1970年代から作られてきた多くのドラマに感じる違和感を、このドラマでも


 違和感の定番は、威張り散らし自分は腰抜けの士官と部下を苛める将校である。 

 多くのこの手のドラマは、「非人道的な上官は、戦争ゆえに生まれた」という図式
 を単純に使っている場合が多い。

 よく考えてみれば、部下に最前線で苦労をさせ、自己保身を図り、手柄だけは
 とり、決して責任を取らない上司は、今の世間にいくらでもいる。

 ちょっとした地位の差を利用して、部下を苛める奴なんて、もっといる。

 ということで、これは「戦争中だから」ではなく、人間が本来持っている性質であり、
 先の図式は成立しないと思う。

 戦争行為そのものが、可能な限り避けなければならない外交手段であることは
 論ずるまでもないが、戦争自体を否定するために、本来人間が持っている醜い
 性質も全て戦争のせいにするのはいかがなものか?


 自身は自決する上官も描かれていた点、客観的になっているとは思うが。

 私が経験者から聞いた限りでは、士官クラスでもそうそう威張ってばかりは
 いられなかったようである。むしろ、現在の中間管理職のように、板ばさみで
 可愛そうな上官もいたということを聞いた。

 「『○○山に砲を移動せよ』と命令されて、『こんなハラペコじゃ動かせません』と

 若くて人生経験もない上官を、俺たちは随分、いびっていたことを、今では申し訳
 ないと思っている。」と、戦後40年を経て淡々と語る当時70代の方は、

 「前線でオランダ兵(?記憶不鮮明)と馴れ合いになって、物々交換は良くしたし、
 終戦のときなんて、オランダ兵から聞いたよ。」と笑っていた。

 結局、彼は収容所に入ってからも、馴れ合いの関係を続け、無事、引き揚げる
 ことが出来たということだった。

 もちろん、稀有な例かもしれないが、冷静に考えると、戦線があれだけ拡大して
 しまっていては、最戦前の兵士同士は、別に殺しあいたい訳でもなく、「命令」で
 そこに居るだけのケースも多かったのではないかと思う。

 この話を聞いたとき、私は「人間は理由もなく他人を殺したいとは思わない」という
 ことが確認できたような気がしてホッとしたことを憶えている。





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Last updated  2007/08/13 11:28:26 AM コメント(2) | コメントを書く
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aki@ Re:ブラス万年筆 F字 / トラベラーズカンパニー(03/12) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
kirk1701 @ Re[1]:パイロット万年筆 カスタム72 HM(01/23) akiさん、返信遅くなり申し訳ありません。…
aki@ Re:パイロット万年筆 カスタム72 HM(01/23) この様な書込大変失礼致します。日本も当…

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