全199件 (199件中 101-150件目)
先週木曜日は米国調査会社の日本法人で、ジェットエンジン・ガスタービン技術説明をすることになりました。「ガスタービンの部品におけるNi基超合金の採用状況及び採用可能性」に関して市場調査・分析を行っております。ガスタービンの開発、設計に精通されていらっしゃる貴殿とディスカッションさせて頂く機会を頂戴したくご連絡致しました。どうも、日本のミルメーカーが、従来使われ続けている耐熱合金の雄であるニッケル(Ni)基合金の市場動向調査を、世界的に知られる米国調査会社の日本法人を依頼したものらしいのです。訪問しますと、パワーポイント(PPT)でそれなりに資料調製してありましたので、それをベースに私が添削して行くことにしました。ジェットエンジンと陸舶用ガスタービンの違い、圧縮機・燃焼器・タービン主要部位の構造説明、耐熱合金の進歩、等が主体となりました。私には、現在使われているジェットエンジンと陸舶用ガスタービンでの詳細な使用材料データを保持していませんので、私の会社時代の後輩が技術事務所を経営しています2人、および20年前に技術セミナーで私と共に論文発表した超高温材料センターの主任研究員を紹介して、データ補充して頂ければ良いと助言をして、4時間に亘るガスタービン講義と資料添削作業を終えることにしました。後日、担当しているコンサルタント責任者から、お礼のメールが来状しました。お忙しい中弊社にお越し頂き、長時間にわたってディスカッションを有難うございました。おかげさまで、今まで不鮮明であったジェットエンジン及びガスタービンの詳細について雲が晴れるようにクリアになりました。この知見は、僭越ながら今後日本のメーカーの発展に少しでも貢献できるように使用させて頂ければと思います。近々、今回の技術指導料が技術士口座に少々振込まれる様で、少しでも役に立てたことは嬉しいのですが、技術士としては仕事が中途半端で、何か物足りないと言う感じがしてなりません。
2012.09.12
コメント(0)
「神の粒子」と呼ばれ、最後の未確認素粒子とされ、星や生命などの誕生の源である「ヒッグス粒子」の発見に王手が掛ったと言うことです。昨年9月には、素粒子「ニュートリノ」が光より速く動いたと言う実験結果を発表し後日訂正した人騒がせな欧州合同原子核研究所(CERN)からの発表で、今度はガセネタで無いことを祈っています!欧州合同原子核研究機関(CERN)は、「ヒッグス粒子とみられる新たな素粒子を見つけた」と発表した。ヒッグス粒子はすべての物質に「質量」を与えた粒子で、神の粒子と呼ばれている。存在が確認されれば、宇宙の成り立ちの解明につながると注目されている。スイスにある巨大な装置で実験を行った結果、ヒッグス粒子とみられる粒子を99.99998%の確率で観測したとしていて、「発見に向けて王手」ということで、現代物理学は新たなステージに突入する。壮大な宇宙論と素粒子物理論が結びつくのではとロマンを誘う話題ですが、工学技術者である私には、質量とは考える前の前提条件でしかなく、将に「猫に小判」、解説を読んでもなかなか理解しにくいものがあります。宇宙が誕生した137億年前のビッグバンの瞬間、ヒッグス粒子を含むあらゆる素粒子は光速で飛び回っていた。しかし約100億分の1秒後、宇宙が急膨張したことで冷やされ、水蒸気が水になるような「相転移(そうてんい)」という急激な変化が起きた。その時、飛び回っていた素粒子の周りにヒッグス粒子が結露のようにまとわりつき、素粒子は水の中を泳ぐように動きづらくなった。この「動きづらさ」が質量と考えられている。宇宙誕生の大爆発(ビッグバン)以来、137億年間未だに膨張が止まらないとされる宇宙であり、質量保持するべく今でも地球を含めて宇宙にはヒッグス粒子が充満してとのことですが、その謎にも挑むことが出来るのでしょうか?
2012.07.05
コメント(0)
原発を否定して持続可能な自然エネルギーを代替とする発電体制で行けないかとの希望が世論の大勢を占めている様に思われますが、そう問題は簡単ではありません。太陽光、風力、地熱、バイオマスでカバー出来るとの立場を力説する学者や評論家も多いのですが、その様な持続可能自然エネルギー、特に太陽光発電(Photovoltaic power generation)は、太陽光エネルギーを直接電力に変換する発電方式ですが、通常環境から差異が少なくエネルギーポテンシャルは低いのが欠点です。従来、大規模で落差の大きい貯水池による水力発電、高温・高圧でのガスタービン・蒸気タービン火力発電等、通常環境から差異を大きくしてエネルギーポテンシャルを高めて安価に発電する歴史であり、現在の火力発電所ではエネルギー効率が60%にも達しているのです。現在の太陽電池ではエネルギーポテンシャルが低く、発電効率が精々20%しかありませんし、42円/kwh単価でないと発電出来ないのです。電力会社がその単価で買い上げることになっていますが、関連投資額も発電コストも大き過ぎて実現出来ないと危惧しています。太陽光発電をより効果的にするには、光エネルギーを集光して高温の熱源とし、ガスタービン複合サイクル発電方式を採用すればエネルギーポテンシャルは格段に高くなり60%発電を実現出来、発電コストも格段に安くなるのです。しかし、この有望方式採用にも時間を要しますので、原子力を否定しても自然エネルギーは直ぐには代替とはならず、原発はオプションの一つとして必要だと思っています。原発に対する日本の責任は、福島原発事故を踏まえて「システム安全、機器安全、環境安全」を徹底的に検討し、新原発施工提案をすることにあるのだと思っています。従って、大飯原発は期間限定の再稼働として安全対策を推進するのが最善と思っています。サンクトペテルブルクで24日始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)エネルギー相会合が採択する共同声明案の全容が明らかとなった。エネルギー需要の増大に対応し、温室効果ガスを削減する手段として「福島第1原発の悲劇的な事故に拘わらず、原発の安全で平和的な利用は重要」と明記。日本には福島第1原発事故の教訓を生かして原発の安全面で貢献するよう求める一方、ロシアや米国をはじめとする原発推進国の意見を色濃く反映した内容となった。原発の安全性を確保するため、各国が技術面などで情報を共有する必要性を強調。緊急時の対応で協力することも盛り込んだ。
2012.06.24
コメント(1)
ステンレスの「ステン(Stain)」とは「汚れ、錆(銹)」という意味で、「レス(less)」は「少ない」という意味です。通常使われている「不銹鋼(ふしゅうこう)」、即ち錆びないと言う意味は正確ではありません。錆びないと言う場合は英語でもStainfree Steelと呼称されたのでしょうが、ステンレス(Stainless)は錆(銹)びにくいと言うことでしかありません。ステンレスは鉄にクロム(Cr)・ニッケル(Ni)などの元素を加えた合金鋼で、錆びにくいのは鉄にクロムを添加することで表面に非常に薄い酸化皮膜(不動態皮膜)をつくり、周辺環境と反応しにくくなり耐食性が強くなる為で、クロムを11%以上加えると耐食性が向上し錆びにくくなる。又チタン(Ti)やモリブデン(Mo)を加えていくと耐食性が更に向上し、不動態皮膜は傷ついても酸素や水があればすぐに新しく再生され、さびの発生を防ぐ効果が強く、いつまでもステンレスを美しく保つことが出来る特性を持つことになる。代表的なSUS304(18%Cr-8%Ni)は耐食性、溶接性が良好であるため、高級ステンレス鋼として広く用いられています。しかし、0.08%程度含まれる炭素が塩素イオン雰囲気に於いて粒界腐食を起こし、表面の錆だけでは無く、部材内部に貫通するピッティング(孔食)を発生させ構造部材として致命的欠陥を起こすことが知られている。塩素雰囲気は海岸地域にはよくあって何らかの対策が必要となるし、上水道にも殺菌用に塩素が使用されているのでこれにも注意を要する。しかし、炭素含有率を0.03%以下に抑えたSUS304L(LはLow Carbonの意)は極低炭素なので粒界腐食を防止出来るので、化学設備、建築材料、食品製造設備、製紙工業、車両工業、厨房器具にも安心して使うことが出来る。SUS316・SUS316Lは モリブデン(Mo)添加により耐食性(孔食)、耐酸性が向上し、高温に耐える特性があり、又SUS316Lは極めて炭素量が少ないため、溶接のままで耐粒界腐食性を必要とするところに用います。SUS304より高級耐食用で、用途は石油化学工業、染色工業、繊維工業、食品工業などとされている。
2012.06.19
コメント(0)
政府が脱原発政策の目玉に掲げた、原発の運転期間を原則40年とする大方針が、早くも揺らいでいる。三党合意では、40年廃炉の文面だけは残ったが、9月に発足する見通しの「原子力規制委員会」が期間を速やかに見直す規定が盛り込まれ、その判断次第では廃炉の文面は有名無実となる。規制委は国家行政組織法三条に基づく独立性の高い組織で、有識者5人で構成。5人は国会の同意が必要で、今回の修正と同様に、自民党などの意向に左右される。「40年を超える原発は、例外に当たらなければそこで止めることになっている」と枝野経済産業相は強調したが、先行きは危うい。電気事業法技術基準によれば、原子力容器や蒸気タービン等高温に晒される機器は、10万時間クリープラプチャー強度に対して安全率2倍にて設計製造されなければならないことになっていましたし、今でもそれが原則だと考えています。従って、年間6000時間稼働させるとしますと、16年間は安全に使用出来ることになっています。ですから、当初は原子力発電所も16年使用で寿命廃炉とする計画になっていたと思いますが、何時の頃からか耐用年数が30年、40年と延長され、今では60年との説もあります。技術革新の世の中で、発達した予防整備である程度寿命を延長出来ることは理解するのですが・・意見具申したのは誰か分かりませんが、政府の言う40年廃炉方針は、通常火力発電30年余の寿命設定から見て一寸長いが、使用材料データ更新も考慮すると妥当ではないかと判断しています。部品交換し60年超の運転可能とするのは、我田引水の詭弁ではないかと思っています。40年廃炉を見直す動きの背景には、原子力ムラからの強い巻き返しがある。電力各社でつくる電気事業連合会は1月に「40年で運転制限する技術的根拠の明確化」を国に要望。日本原子力学会も今月、原発は部品交換すれば60年超の運転が可能として、制限は「合理性・科学性に疑問」と反対を表明した。細野原発事故担当相は40年廃炉を確実にする厳しい基準をつくると宣言していたが、準備はまったく進んでいない。それどころか、規制機関であるはずの経産省原子力安全・保安院は、東京電力福島第一原発事故について、老朽化の影響は「考えがたい」とする見解を発表。7月に運転開始40年を迎える関西電力美浜2号機の運転延長に道を開く不可解な審査を強行した。脱原発依存・40年廃炉について政府は明確に約束した。安易な妥協を繰り返し、約束を反古にすることは決して許されない。同じ様に高温に晒される機器を持つ、自動車、船舶、航空機等はせいぜい20年で寿命とされ、通常は技術革新が20年では格段に進み、旧態依然たる機器は新機種に換装し更新する方が得策とされているのです。原子力関連では、現状の熱効率の悪い蒸気リアクターから高効率のヘリウムガスリアクターへの技術革新も考えられ、現状の蒸気リアクターに関する電気事業法技術基準だけが例外的扱いで寿命更新することは妥当ではないと思っています。
2012.06.17
コメント(1)
今年は節電志向が強く、エアコンの替りに高額の扇風機に人気が集まっていると聞き、家電量販店に行ってみました。2万~3万円の種々の工夫をした新製品が並び、結構売れているようでした。兎に角、中心部と外周部でファン形状を変えたり、ファン枚数を増やして静粛な風切り音となる等、柔らかく一様で自然に吹く風に近い工夫をする技術が発揮されている様で白物家電の好調さはメーカーの努力による処が大きいと感心させられました。その中で異質を放っていましたのがダイソンのエアマルチプライアー、至って高額で5万円を越えますし、見た目では大きな輪があるだけで羽根が無いのが特徴です。工学的に言いますと、蒸気エジェクター(Ejector)・空気エダクター(Eductor)を応用したもので、特に突出した技術ではありません。防衛省イージス艦のガスタービン主機の高温排気ガスで敵から赤外線追尾されない様に、排気ガスに数倍程度の空気を混入して温度を下げる為のエダクター装置としても使われている古くから知られている技術なのです。支柱ポールに内蔵されている遠心式の斜流インペラー(Mixed Flow Impeller)で圧縮された空気を円輪状のスリットから放出して、周りの空気を誘引して15倍の風を作りだす空気エダクター装置なのです。この斜流インペラーはダイソンのサイクロンセパレータ式掃除機にも利用されているもので、回転数が毎分10万回を越える強力なものですので、高周波騒音が大きいことでも知られています。通常の改良型軸流式ファンでは、従来の30W動力を半減させ、静音設計で20dBを実現させているのです。しかしながら、ダイソンのエアマルチプライアーでは40~65Wと所要動力と大きくて節電志向ではありませんし、騒音も改良型軸流式ファンとは較べものにならない程大きいと推測出来ますので、静かな室内で使うには適当では無いと考えるに至りました。
2012.06.11
コメント(2)
シャープのプラズマクラスターイオン発生機を持って来てくれたのは実兄で、3年も前のこととなりました。その頃、家内が間質性肺炎と言う難病で退院しての自宅療養中、酸素吸入器を使っていたのですが、その空気源を綺麗で清浄な状態にするのが良いとの心遣いでした。それ以来、我が家では24時間ずっと使い続け、残念ながら4ヶ月後家内が亡くなった後もその習慣は変わりませんでした。処が、つい先日、イオン発生交換ユニットの警告ランプが点灯しましたので、分解して掃除をして見たのですが、警告ランプは消えません。取扱説明書はありませんが、シャープのWebサイトでチェックしてみますと、高圧電流を発生させることで寿命は2年となっていたのです。シャープのWebサイトでは販売していないので、AmazonのWebサイトで型番検索してみますと、シャープの定価6300円の製品を5580円で販売していますので、インターネットショッピングをすることにしました。2日後、宅急便で到着した交換ユニットIZ-CB100、本来製品であるIZ-CA100の後継品とのことでした。早速、昨晩交換して、今朝から又24時間稼働となっています。シャープは、プラズマクラスターイオンに以下の効果があるとしている。-布に染み込ませたタバコの臭いを脱臭-浮遊しているダニの糞や死骸等のタンパク質を切断して除去、アレルゲンの作用を低減-空気中のウイルスを除去し、浮遊ウイルスの作用を抑える-細菌の細胞膜のタンパク質を断片化して不活化-浮遊しているカビの細胞膜のタンパク質を切断して分解除去-イオン濃度25000個/cm2の場合、肌の水分量の増加運転音26dB、 24時間1年間運転しても電気代は約680円だとされています。
2012.06.05
コメント(1)
電源エネルギー政策には、文系思考と理系思考があるらしく、原発については文系が概ね反対、理系が賛成と言うことになるらしい。何れにせよ、どちらかの意向に偏らない中庸さが肝要なことだと思われます。原発に対する日本の責任は、世界の原発推進志向に対して、福島原発事故を踏まえて「システム安全、機器安全、環境安全」を徹底的に検討し、原発改善提案・新原発施工提案をすることにあるのだと思っています。世界の潮流に棹差し、自国だけ良ければそれで良いとする施策は、グローバル化が進んでいる世の中で通用することは無いのです。今回の見直し報告で注目すべき点は、火力発電の範疇とされるコジェネ(熱併給発電:米国ではCogeneration、欧州ではCHP“Combined Heat & Powerの略”と呼ばれます)が独立項目として計上されていることにあります。電源の多様性としての分散電源は欠かせず、その余剰熱源にて熱水・蒸気を発生させ、それを上手く地域で利用する工夫は環境的観点から効率的なことなのですが、その構成比率を現状の5倍となる15%とする提案は妥当だと言えるのです。コジェネ電力は1980年代アメリカで促進条例が発布され、電力会社への強制買付・発電所の加速償却を設けて、大いに民間会社には利益をもたらす結果となりましたが、日本では電力事業法の壁で隆盛とはならずに終わってしまいそうだった情勢が、30年を経て変化が起きそうに思われます。自然エネルギーの太陽光・風力発電は従来型発電方式より自然災害に脆弱で、不安定的且つ周波数特性にも問題があり、コジェネ方式の方が安定して質の良い電力が得られる等利点が大きいのです。国のエネルギー政策の見直しを議論している経済産業省の調査会は、電力を今後どのような電源の組み合わせで賄うかについて、原案として5つの選択肢を示しましたが、中間報告では選択肢を原子力発電の比率が0%~25%までの4つに絞ることになりました。去年10月から議論してきた経済産業省の総合資源エネルギー調査会は、28日中間報告の原案として日本の電力を今後、どのような電源の組み合わせで賄うかについて5つの選択肢を示しました。選択肢は2030年時点での各電源の比率を示し、このうち焦点となる原発の比率は、▽0%、▽15%、▽20~25%、▽35%、▽比率を明示しない選択肢が盛り込まれました。原発比率を0%とする選択肢では「できるだけ早く原発ゼロとする」としている他、15%とする選択肢では、原発の新設や増設をせず、運転開始から40年で廃炉にすることで自動的に原発の比率を下げるとしています。20~25%の選択肢では、原発の比率は震災前よりも低くするものの、一定程度維持して、原油など火力発電用の燃料が調達できないような事態に備えるなどとしています。また、35%の選択肢は、地球温暖化対策の解決につなげるため、原発の比率を震災前より大きくするとしています。さらに原発の比率などを明示しない選択肢では、利用者が市場のメカニズムを通じて最適な電源の組み合わせを判断すべきだとしています。最終的に、原発の比率を35%とする選択肢は参考扱いとして選択肢を4つとすることを決め、関係閣僚でつくる「エネルギー・環境会議」に提出され、地球温暖化対策の見直しの議論なども踏まえた上で、来月を目途に選択肢が示されることになっています。
2012.05.29
コメント(0)
昨晩、NHKBSドキュメントWaveで「シェールオイルを掘り起こせ:新石油開発の衝撃」と言う番組で、ノースダコタ州バッケン(Bakken)油田でのオイルブームの様子が放映されていました。米国は、新技術の開発によりシェールガス層から天然ガスを生産するのに加え、シェールオイル層から原油採掘を開始して、世界一の埋蔵量を保持する国に変貌しつつあり、アメリカンドリームの再来と期待されているのです。シェールガスとシェールオイル採掘法:シェールオイル開発は1980年代前半に採掘コストが高く、一旦断念となったのですが、近年の原油高騰で、再び脚光を浴び出したのです!石油産業コンサルタントEPRINC(Energy Policy Research Foundation, Inc.)からノースダコタ州におけるシェールオイルの開発状況に関する特別レポートの寄稿を受けたので、同社の許可を得て掲載する。Bakkenシェールオイル層とThree Forksシェールオイル層は、Williston Basinの一部を形成しており、カナダ・サスカチュワン州、マニトバ州、米国ノースダコタ州、モンタナ州、サウスダコタ州を取り囲むように賦存している。Bakkenシェールオイル層の主要生産ゾーンは、主にノースダコタ州西部、サスカチュワン州南部とモンタナ州東部地域にある世界最大の連続した石油集積層であると考えられているBakken地域では、地表から約1万ft(3048m)地下のシェールロック層に軽質・低硫黄原油が賦存している。Bakkenシェールは3層から構成されており、上部はシェールロック層、中間は砂岩/ドロマイトの層、下部は再びシェールロック層となっている。今日では、通常、中間の砂岩層を対象に水平坑井が掘削され、フラッキング(水圧破砕法)処理が施される。Bakken地域の原油生産は採掘コストが高いが、先進的な技術の適用や運用会社のサポート強化によって、50ドル/bbl以上の井戸元価格を確保できる限りは、生産は維持できると考えられている。フラッキング(水圧破砕法)処理は、掘削孔に高圧水やプロパント(砂、セラミック)、化学薬品を坑井から圧入してこのフラックを広げ、シェールオイル層に含まれる原油を坑井側に流し出す技術で、これに高度のノウハウが必要とされている。しかし、この技術は完成されておらず、地下水脈への環境汚染が懸念されており、一部の州では規制の動きが強まっており、全てのシェールオイル層が、3000mを越える地下に賦存しているとは言えないことから、更なる技術開発が望まれる情勢にあるらしい。
2012.05.20
コメント(0)
昨日、東京ガスLifeValから派遣されたサービス員による給湯暖房用熱源機の定期メンテナンスを受けましたが、「此の家の給湯器は、設置から15年経ちますので、メンテナンス契約は今年が最後となります」とのことでした。暖房用と給湯用のお湯をそれぞれ専用の熱交換機でつくり、暖房・給湯は勿論、お風呂の自動湯張り自動でお湯張り、追いだき、足し湯ができる全自動ふろの機能を備えた熱源機で、暖房中におふろを沸かし、キッチンのお湯を同時使用することも出来る。バーナー部分は未だ使えるのでしょうが、制御基板がメンテナンスを受けても劣化しての誤作動が心配されるので、仕方がないのかと判断しました。お湯による室内暖房は効率が悪いので、東京ガスEnestaでガスストーブを購入して、お湯暖房機器は放置したまま、永らく使わない様になりましたので、暖房機能の無い自動給湯器を尋ねて見ましたら、やはり30万円は必要とのことでした。15年前も30万円で購入、毎年の定期メンテナンス費1万円を考慮しますと、毎年の所要費用は30/15+1=3万円と言うことになりました。来年には、機器の換装を考えねばなりませんが、お風呂の自動機能は捨てがたく単なる給湯器に戻るのも億劫、其処で今後の東京ガスのキャンペーン等を気にしつつ、来年には適正価格製品を探したいものだと思っています。
2012.04.25
コメント(0)
3月31日にハイオクを給油して以来、590km走ったが未だガスメータは半分を示していて、未だ余裕があるのですが、今朝23日振りに給油しました。給油量はハイオクで26.8リッターでしたから、590/26.8=22km/リットルと今までのトヨタ・オーパ2000CCに較べて、倍のガスマイレージを得たことになります。冨士霊園往復等で高速道を走ったこともあってガスマイレージが伸びたのでしょうが、街中での信号待ち発進では、今までよりもアクセルを成るべく踏まない様に留意したことも影響したのでしょう。18km/リットルと予想していたので、20%も改善出来て望外の成果を得たことになります。新規登録から5年半前経過した中古車ですから、搭載電池は旧式の水素電池で、この寿命の長短がプリウスの経済性の良し悪しを決定することになります。近頃エンジン自体は15年程度は問題無く使えますが、水素電池の寿命は標準8年程度と考えていますので、残り2年半しかありません。電池換装にどの程度費用を要するのか、その内ディーラーに聞いて確かめておく必要がありそうです。想定寿命標準8年は標準偏差結果(1σ)によるものですので、質の良い電池が搭載されていることを期待するしかありません!
2012.04.23
コメント(0)
平成18年12月登録されたプリウス中古車が納車になるとのことで、トヨタU-Car店に行って、昨年購入したトヨタ・オーパに乗って行き、交換して来ました。車長は444cmで変わらず、車幅が177cmとなったのでプレートが3ナンバーとなりますが、別に自動車税が上がる訳では無いので気にすることはありません。車体の色は薄いオレンジのメタリックカラーですので、水垢が目立たない様に思われ、私にみたいな無精者には適した色だと納得しました。H18年式にも拘わらず、イグニッションキーは非接触式でもう鍵はありませんし、これが標準になっている様ですから、私が時代に遅れていることを実感することとなりました。シフトレバーはフロアシフトでもコラムシフトでも無く、前面パネルに小さく設置されて、パネル表示されるだけで心もとない感もありますが、私が遅れているだけで、これもじきに慣れることになるのでしょう!運転した印象では、前のオーパ2000CCに較べて、今度のプリウスは1500CCなのですが、ハイブリッドでバッテリー搭載をしている所為か、車体が重く加速が利かない感がありますが、最初がモータモードで発進することになっている為かもしれません。問題は今回の買い換えの動機となったガスマイレージで、これは未だわかりませんが、ガソリンを満タンにして距離メータの内Trip Bをリセットしてゼロにしましたので、運転しつつ次回の給油時に確認してみる積りです。18~20km/リットルと改善出来ることを願っているのですが・・・
2012.04.01
コメント(0)
昨日午後に追加購入したアダプターが宅急便で届けられましたので、21mmワイドレンズをGR Digital 3に装着して試し撮りをすることにしました。午後3時を過ぎていましたので、早春の日没は早いものだと、桜丘公園の夕日ヶ丘に向かいました。しかし3月に入りますと、午後3時半でも夕日には程遠い様でした。東北には東京競馬場も見える北側を見やる風景ですが、もやっていて秩父連山は全く見えません。足下には結構車の通行が多い川崎街道となっています。少し、西北側に向けて、多摩川と関戸橋近辺、遠くに見える筈の多摩の山々はやはり靄の中で見えないのは残念でした。園内にある外灯のポールが、垂直に見えずに斜めに開いて見えますので、魚眼レンズに近いワイドに撮れることが分かりました。今日は久し振りに、高尾山に行き21mmワイドレンズを試してみたいと思ったのですが、曇天でもあり撮影には不向きだと山行を中止することにしました。
2012.03.07
コメント(1)
20世紀の物理学の発達は、アインシュタインの天才振りに負う処が大きいのです。光は波動でもあり粒子でもあると言う光量子説で、ニュートン力学を超越することとなり、光電効果は次の様に表されE=hν-W (hはプランク定数)光センサとしての用途が広く、各種の研究開発や工業生産・測定などの現場で利用されていて、太陽光発電も此処から派生したと考えられます。相対性理論では、物質のエネルギーは次の様な簡便な等式で表わされることを推奨しE=mc2 (cは光の速度)核物理学が発展し、核分裂の連鎖反応による原子爆弾兵器の製造を導くこととなった。尤も彼は核爆弾禁止活動に奔走し、原子力平和利用に邁進努力したとされています。1927年にハイゼンベルクの不確定性原理が発表されたのですが、アインシュタインは自然は極めて単純な等式で表わされると言う経験と自負から、認め難たったとされています。ハイゼンベルクが提唱した不確定性原理は、等式で無く不等式で表わされるからです。εqηp ≧ h/4π (hはプランク定数、πは円周率)アインシュタインの想いに反して、あらゆるものが曖昧で確率的にしか決まらないと言う不確定性原理は認知されることとなり、量子コンピュータや量子暗号等、情報技術の研究の有力な武器になって来ていますが、この有名な不確定原理が訂正されるらしいのです。数学者の小澤名古屋大教授は、2003年にハイゼンベルクの式を修正する「小澤の不等式」を提唱しました。εqηp + σqηp + σpεq ≧ h/4π新たに出てきたσq,σpというのは物体の位置と運動量が,測定前にもともと持っていた量子ゆらぎ。ハイゼンベルクの原式と違って、εqやηpがゼロになっても、σqやσpが無限大であれば成立します。つまり誤差ゼロの測定が実現できるのです。「小澤の不等式」は「ハイゼンベルクの不等式」を厳密に整理し直したものですから、量子力学の基本方程式は変わりません。尚、光速を超えたとしたニュートリノの実験結果は間違いだったと最近報道されていますので、アインシュタインの相対性理論は存続する様子です。
2012.02.25
コメント(0)
太陽電池は光電効果で太陽光から直接発電する方式ですが、変換効率の低さが災いして大規模化するには設置面積が大きくなり過ぎる欠点があります。太陽電池実用化開始時点では10%に満たなかった変換効率も20%を超えて来ていますが、初期投資が過大で、補助金無しの事業展開は無理だと見ていました。その変換効率が目標値の40%に近づいて来ていると言う注目すべきニュースがありました。形式は良く知られているSi結晶系ではなく、化合物太陽電池とのことで、コストが高いことが難点の様に思われます。In(インジウム)、Ga(ガリウム)やAs(ヒ素)などを用いることから主に人工衛星などの用途に限られる様ですが、資源再利用を含めたコストダウンで地球上での一般住宅や車等への技術的波及効果を期待して注目して行きます。シャープは「化合物3接合型太陽電池」にて変換効率36.9%を達成したことを発表した。化合物太陽電池は、Si結晶系に比べて高い変換効率を実現出来るが、コストもSi結晶系に比べて高くなってしまい、Ga(ガリウム)やAs(ヒ素)などを用いることから一般住宅ではなく主に人工衛星などの用途に用いられている。同社は2000年から違う波長の光吸収層をGaAs基板からトップ/ミドル/ボトム層の順に積み重ねて、最終的にGaAs基板から切り取ってさまざまな別の基板に転写することで高効率化を実現する「化合物3接合型太陽電池」の開発を進め、2009年にはボトム層を従来のGeからInGaAsに変えることで3層を効率よく積み上げ、かつ取り出せる電力をより向上できる技術を開発し、変換効率35.8%を実現していた。今回の研究では、その3層に積層された太陽電池の各層を直接につなぐための必要な接合部の抵抗を低減させることで変換効率の向上を実現した。将来的には量子ドットなどを4層目として挿入し、4層構造とすることで、さらなる効率の向上を目指しており、通常の地上での変換効率40%、集光型太陽電池での変換効率50%の達成を目標として開発を進めていくとしている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が掲げる太陽電池の変換効率の2014年目標値は達成済みで、2025年目標の宇宙37%、地上40%、集光50%を実現させる段階に入りつつある 放熱板との一体化による集光型での高効率化やフィルム転写によるフレキシブル化、GaAs基板の再利用技術の模索などを進めることで、量産効果/リサイクルによる低コスト化の実現を目指すとしている。フィルム型太陽電池が実用できれば、重量とスペースの問題が常に付きまとう宇宙機にとってもブレークスルーとなる可能性も考えられる 化合物太陽電池に関しては、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が評価を進めており、2013年には部品認定を受ける予定で、宇宙での実証実験を経た後、2014~15年頃には実用化としたいとしている。
2011.11.07
コメント(0)
5月初旬にガラパゴス携帯からスマートフォンに機種変更しましたので、5ヶ月を経過しましたが、電池が1日しか持たないのが何とも面倒に思えます。先の日曜日には、その前夜に充電せずに出掛け、冨士霊園に着いて参列者に連絡を取ろうとした処、電池残量が危険域に落ちてレッド表示となり機能しません。仕方なく電源OFFとしたことで、携帯を持っている意味が無くなってしまったのです。其処で、昨日インターネット検索しましたら、次の様な助言がありました。-WiFi、Bluetoothをオフにする スマートフォンでは、WiFi(ワイファイ:無線インターネット接続)や、Bluetooth(ブルートゥース:無線機器との接続)を設定でオフにする。-GPSをオフにする 携帯電話・スマートフォンともに、GPS・位置情報サービスをオフにする。GPSや位置情報サービスは、電波を受信して位置を割り出すため電池を消費する。特定のアプリケーションやサービスを起動しなければGPSは使わないだろうが、念のために「GPS」「位置情報サービス」を無効にする。-車から充電できるシガープラグ機器を準備 車のシガープラグ充電器、運転中にシガープラグから携帯電話を充電しておくことが有効で、停電の時に役立つ。いざという時のために準備しておきたい。GPSは車運転する場合のカーナビに装備されていますので通常は不要ですし、WiFi、Bluetoothも必要に応じてONにすれば良いので、助言通りとしました。シガープラグ充電器はガラパゴス携帯でも使用していましたので、それにスマホ接続アタッチメントを持って行けば良いので、運転の際には持参することとしようと思います。7月の五島行の場合は、パソコンを使わずスマホだけで暮らして便利さを満喫したのですが、それにしましても在宅時の現在では、光ケーブル・IP電話に8000円、スマホに8000円、合計月額通信料1万6000円は高過ぎます。在宅時では、スマホでのインターネット検索も極小となりますので、勿体ない限りなのです。そんな無駄を省く為、何とか早く固定・携帯電話の融合サービスFMC(Fixed-Mobile Convergence)に移行して貰いたいものだと思っています。
2011.10.20
コメント(1)
1957年10月4日、ソ連(現ロシア)はバイコヌール宇宙基地から人類最初の人工衛星「スプートニク1号」を載せたロケットの打ち上げに成功しました。当時、科学技術の分野においてはアメリカが当然世界一で、宇宙開発も最先端を行っているという意識が非常に強くありました。そんな中でソ連が先に人工衛星の打ち上げに成功したのです。思いがけず先を越されたアメリカ側は大きなショックを受けました。その後アメリカは国を挙げて様々な分野で改革に取り組みました。それを記念した宇宙週間が、今日から10月10日までとされているらしいのですが、日本ではあまり知られていません!1999年12月の国連総会で制定された国際週間、1957年に世界初の人工衛星・スプートニク1号が打ち上げられた10月4日から、1967年に宇宙条約が発効した10月10日までの1週間。その当時私は高校1年生で、理科好きであったことから、大いに触発されて将来はこの様な仕事をしたいものだと、糸川英夫博士のいる東大へ入学したいとの希望を持ちました。いざ入学してみますと、航空学科はありましたが未だ宇宙工学コースは無く、又糸川博士は航空学科にはおらず、付属の生産研究所教授であることが分かりました。その後、ロケットで無くても、ジェットエンジンも技術の粋であることが分かり、卒業してジェットエンジン製造を行っている会社に就職してみましたが、ジェットエンジンでは無く陸舶用ガスタービンをスイス国と共同開発するので心掛けてみないかと助言もあって、そちらの方向に進むことになりました。その後は、ガスタービンの売り込みをアメリカで推進してくれとの要請もあり、技術者では無く、セールスエンジニアとして家族帯同でアメリカ駐在4年間を過ごすことにもなりました。家族も思いもかけず、心構えも無いまま否応なく私の仕事の犠牲になった面もあったと反省していますが・・日本に帰国してからも、ガスタービン輸出の責任者となって、一層海外渡航が多くなり、客先折衝を任されることになりました。私の特質は、技術展開にあると思っていましたので、随分思惑とは違うこととなりました。振り返ってみますと、人生はいろいろな紆余曲折があるものだと思わざるを得ません。
2011.10.04
コメント(0)
自然エネルギー事業は、現在の補助金制度支援無しには、成立しないと思っています。現在の補助金は普及を目的に、電力会社に高額な買取価格を義務付けているのですが、或る程度普及すれば、廃止すべき時限立法と位置付けています。ソフトバンクは太陽光発電事業に乗り出すと言われているのですが、時限立法が廃止された将来事業をどの様に展開して行くのか判断出来ませんので、何とも不可思議と思えます。もしかしましたらビジネス的に美味しい処だけ吸い取り、将来的(10年後?)に補助金制度廃止の際には、用地を提供する各県に対して当該発電所買い取りを義務付ける契約をしてリスクヘッジするのでは懸念しています。ソフトバンクは、自然エネルギー事業を新たな事業領域に追加するため、6月に開催予定の定時株主総会で定款の変更を議案として付議すると発表した。新たに追加する事業は「自然エネルギー等による発電事業およびその管理・運営ならびに電気の供給、販売等に関する業務」。ソフトバンクの孫社長は、太陽光や風力など自然エネルギーの普及・促進を目的とする協議会を、19道県とともに設立すると発表。協議会に参加する各県が用地を提供し、同社が太陽光発電所を全国に設置することで、自然エネルギーの普及促進を事業として行う考えを示していた。火力発電単価10~14円/kWh、原子力発電単価9~12円/kWhと思われますので、42~48円/kWh と4倍も高額な買取価格を電力会社に強いるのは酷と言うものです!必ず高額な買取価格は、消費者に跳ね返って来ますので、太陽光発電を主力にする政策は当を得ていないのではないかと思っています。経済産業省は、2011年度の太陽光発電における余剰電力買取価格を決定、出力10kW未満の住宅用の1kWh当たりの売電価格は、48円から42円に下がった。 太陽光発電の余剰電力買取制度は2009年度より実施しているが、これまでの電力会社の買取価格は、1kWh当たりで住宅用は48円、非住宅用は24円だった。今回の制度変更により、2011年4月以降に新たに契約申し込みを行なった場合、住宅用は1kWh当たり42円に減り、逆に非住宅用は40円に増えることになる。 2010年度までに契約申し込みが行なわれた場合、住宅用・非住宅用とも売電価格に変更はない。申し込み時点の売電価格が10年間適用される。 売電価格が1kWh当たり42円のコスト回収の試算は、新築の場合、補助金なども含めると、12年程度で元が取れるという。
2011.05.28
コメント(2)
携帯電話(ガラケー:ガラパゴス携帯)は15年以上使っていると思っていますが、スマートフォンへの移行を考えています。昨日は近くのドコモショップに行き、東芝レグザフォンにしようと思いましたが、OSがAndroid 2.1で更新される計画が無いと知らされ、Android 2.2搭載のNECのメディアスN-04Cにしようと予約して来ました。今までは携帯使用料金は月額3000円程度でしたが、一挙に7000円に増額するのが問題でした。私にとって、実はTVワンセグ機能は必要ないのですが、標準装備ですから外してしまうことが出来ません。今までは、電話通信は光回線の固定電話をメインとし、パソコン接続料込みで、月額8000円支払っているのです。引退の年金生活者ですから、通信代だけ家計で突出するのは宜しく無いとも思うのですが、便利な生活にはコストが嵩むのは仕方のないことかと悩んでしまいます。それでも、NTTのフレッツ光契約が、今年度のある時期に戸別タイプからマンションタイプに変更され2000円安くなる筈ですので、実際負担増は2000円に収まるのではないかとの期待もあります。ガラケーではインターネット検索も特定された縮小版でしたが、スマートフォンではFull Versionとなりますので、外出先での便利さが格段に向上しますので、多分近々スマートフォンに移行することにしようと思います。不満なことは、メールがiモードからspモードに変更されるので、ガラケーからのデータ転載が電話帳しか出来ないことです。世の中の進歩とは、ある部分では不便になり、生活費が嵩むことでもあります!
2011.05.01
コメント(4)
電気事業法技術基準によれば、原子力容器や蒸気タービン等高温に晒される機器は、10万時間クリープラプチャー強度に対して安全率2倍にて設計製造されなければならないことになっていましたし、今でもそれが原則だと考えています。従って、年間6000時間稼働させるとしますと、16年間は安全に使用出来ることになっています。ですから、当初は原子力発電所も16年使用で寿命廃炉とする計画になっていたと思いますが、何時の頃からか耐用年数が30年、40年と延長され、今では60年との説もあります。技術革新の世の中で、発達した予防整備である程度寿命を延長出来ることは理解するのですが・・平成19 年7 月10 日に発出された「発電用火力設備における高クロム鋼に対する寿命評価式について」では、「今般の最新知見を踏まえ高クロム鋼に対する評価式を改め,平成19 年8 月1 日から施行される」とされています。高クロム鋼は蒸気タービンに使われる主要材料ですので、この様な技術基準改訂で30年、40年超と耐用年数を延長する方策が取られている様な気がします。結局、原子力発電所では、通常の石炭火力、石油火力、LNG火力に比べて、廃炉費用が高過ぎて、日常の燃料費が安価でも、結局は総合発電単価が高くなってしまい、他火力発電所との競争力が低下することを避ける救済策だったのではないかと勘繰られても仕方がありません。同じ様に高温に晒される機器を持つ、自動車、船舶、航空機等はせいぜい20年で寿命とされているのですから・・電事法技術基準だけが例外的扱いであってはならないと思っていますし、改訂の技術的根拠は妥当だったのでしょうか?
2011.04.16
コメント(0)
福島第一原発は沸騰水型原子炉(BWR)で、炉で発生した蒸気はタービンに供給されて駆動し、復水器を経由して原子炉に戻されます。従って、循環する水流体は少なくとも軟水である必要があり、海水では代替となりません。昨日からの原子力保安院の記者会見でも、責任を回避する様な説明だけで納得がいきません。今回、燃料棒が水位不足で空焚きとなって炉心溶融が起きた状態を克服すべく、海水を注入することは原子炉内のステンレス腐食・鋼製容器錆を厭わないと言うことですから、この原子炉は2度と使用しないと言う決断なのだろうと推測しています。黒鉛の制御棒で核分裂をミニマムにしていますが、それも水中であれば効果のあること、兎に角は水位回復で、これ以上の原子炉溶融を防ぐことが肝要だと考えられます。昨日の圧力放出弁の開放と建屋内の水素爆発で、放射性物質が発電所外の周囲地域に飛散していますので、1号機周辺は汚染されていると考えられ、作業員は防護服などで被ばくを防いで、海水注入作業を迅速に行って欲しいと思っています。沸騰水型原子炉(BWR)の圧力容器の耐圧設計は90気圧、圧力容器内部で蒸気が発生するため、上部には蒸気関連設備が設けられ、制御棒は圧力容器の下側から炉心に挿入されている。圧力容器内には、上部に気水分離器・蒸気乾燥器が設けられ、中央部には炉心とその周囲を取り囲む円筒の構造物(炉心シュラウド)およびジェットポンプと呼ばれるパイプ状の構造物が設けられている。炉心シュラウドは気水分離器・蒸気乾燥器の支持機構を兼ねる。圧力容器の下部には制御棒ガイド・制御棒ハウジング・炉内中性子計装ハウジングなどが設けられている。圧力容器側面の給水管から供給された冷却材と、再循環ポンプから供給された原子炉循環水は、ジェットポンプによって周囲の冷却水と共に混合され、炉心シュラウドの外側を通って圧力容器下側に達し、方向を上向きに変えて炉心シュラウド内側の炉心に流れ込み、蒸気を発生させる。発生した蒸気は気水分離器、蒸気乾燥器を経由して圧力容器上部の蒸気出口から蒸気タービンに供給される。タービンを回した蒸気は復水器で冷却されて液体に戻り、給水ポンプによって再び原子炉へ供給される。蒸気にならなかった冷却材は再循環ポンプを経由して再び圧力容器内に吹きこまれる。
2011.03.13
コメント(4)
昨日は、正義感溢れる技術士から2回も電話を頂いた。技術士事務所は閉めない様、技術士会はそのままにしておく様、とか色々でした。別に技術的な話をした訳ではないのですが、彼は水道部門、私は機械原動機部門、出自の違いもあって自分の来た道はプラント基本設計で技術追求にあったと改めて思い浮かべるに至りました。彼のことは、何回かブログで取り上げ、最新版はもう2.5年前こととなりましたが、下記をご覧頂ければ幸いです!切々たる技術士の再評価請求-JICAの構造改革なるか?導管内ガスから内壁側熱伝達を経て地中熱伝導にて地表面に達し、地表面自然対流熱伝達によって放熱される仕組みを計算するのは、数学的に見てもノイマン(Neuman)問題としてなかなか難しい問題である。ここでは、地中の熱伝導が、ガス熱伝達および地表面熱伝達に比べ十分小さいことを想定して問題をより単純化することでディリクレ(Dirichlet)問題として検討する。この問題は1920年代、埋設電線からの放熱問題として解決されたもので、上記図形をSchwarz-Christoffel式による写像にて矩形に変換しての簡単な一次元熱伝導問題に置き換えることが出来る。考えている命題を複素平面(z=x+iy)で定義し、下記の関数にて他の複素平面(t=u+iv)に写像する。t = i * ln((z+c)/(z-c)) 即ち u+iv = i * ln((x+c+iy)/(x-c+iy))ここで、c2 = d2 - a2で設定する。数学的な意味はz平面の(-c, 0)及び(+c, 0)から対象点への各々の距離をr、r’、角度をθ、θ’とすると次の様に定義される。v = ln(r/r’)、u =θ'-θcを上記の如く設定したことで、z平面の円はt平面にv一定の水平線分で写像される。結果としては、地中埋設の円筒部分はv=cosh-1(d/a) , u=0~2πの線分に、又地表面部分はv=0 , u=0~2πの線分に写像される。即ち、矩形で、表面積が2π、温度傾斜が(Ta - Tg)/ cosh-1(d/a)とした極めて簡単な一次元熱伝導問題に転換された。その結果、放熱量Qは次の様に求められる。Q = 2*π*λ*(Ta - Tg) /cosh-1d/a = 2*π*λ*(Ta - Tg) /ln((d + √(d2 - a2))/a)ここで、π: 円周率(3.14159…)この解法を知ったのは30才の頃で、神田神保町の古書店で購入した「Heat Conduction in Solids」で見つけた時は50年前に優れたエンジニアがいたものだと感心したものです。神田神保町を歩く近頃は、スーパーコンピュータが発達して、FEM等を利用して複雑方程式を解いてしまう傾向が強いのですが、上記の様なスマート解法で難問を解いて行くことは、労力と時間が節約できるので忘れてはなりません。工学を目指すものは、応用数学の適用が必須ですから、上記の函数論・特殊函数、フーリエ・ラプラス変換、微積分方程式等は是非習得されることをお勧め致します。
2011.03.09
コメント(0)
昨日は、入間の介護施設におられる小学校恩師に、おやつでも持って行ってあげようと国道16号線を通って行きました。途中、米軍横田基地内を見透かしてみますと、C-5 輸送機Galaxyが駐機しているのが見えました。此処の滑走路は4000mありますので、どんな大型機でも余裕を持っての離着陸が可能ですから不思議はありません。アメリカ本土から世界中何処へでもアメリカ軍全ての装甲戦闘車両と航空機が運べ、その中には74トンの架橋戦車などの戦闘設備も含まれている。ペイロードはアメリカ軍の輸送機としては最も大きく、主力戦車2輌分に相当する約122トンもの貨物が搭載可能である。軍用輸送機として一般的に採用されている形状で、主翼は高翼配置、後退角を採用し内部には12個の翼内タンクが内蔵されており、機首上部、操縦室後方には空中給油装置も装備されている。エンジンは、ターボファンエンジンを主翼パイロンに4基搭載している。全幅:68 m全長:75 m空虚重量:170 t最大離陸重量:381 t最大搭載量:123 tエンジン:GE TF39ターボファンエンジン(20 t)4基最大速度:920 km/h マッハ0.79 巡航速度:マッハ0.77TF39は軍用バイパス比9のファンエンジンで、これから民間用のCF6が開発されたのだが、旅客機の巡航速度が少し速いのでバイパス比6に低減され、燃料消費が少なく、低騒音設計、燃焼改善による排気清浄化の技術も相俟ってベストセラーとなりました。TF39/CF6から、陸舶用に転用されたエンジンがLM2500ガスタービンで、海上自衛隊の主力エージス自衛艦の推進用に1艦につき4基搭載されています。CF6-50から転用されたGE-LM5000ガス発生機にIHIで出力タービンを設計製造し、IM5000ガスタービンとして発電用に拡販するのが、30~40才代での私の仕事で、遂にはアメリカ大陸で売り込んでくれと言う会社方針で、Sales Engineerとして家族帯同のアメリカ駐在になったのです。出張の多い生活で、4年間家族に迷惑を掛けつつも拡販の結果、アメリカで5台、米国社のドイツ支社に2台の受注に成功したので、十分責任は果たしたと駐在員交代を申請受理されての帰国となりました。しかし、その数年後GE社が後継のLM6000ガスタービンをCF6-80から転用してマーケットインしたことで、IM5000の歴史的使命は終えた様に思います。C-5輸送機が無ければ、私の設計者としての人生も他のガスタービンエンジン本体に特化したものであった筈で、人生は何が起こるのか分からないものだと思いつつ、金網越しではありますが、感慨深くC-5 輸送機Galaxyを久しぶりに眺めました。しかし、最新鋭のハイテク製品の基本設計、詳細設計、製造、品質管理、工程管理、組立運転、出荷輸送、現地据付、領収試験、営業とのタイアップによる拡販、フィードバック改善、と多数の人間で完成させるガスタービンエンジンのビジネス従事人生に悔いはありません。
2011.02.08
コメント(4)
昨日、冷蔵庫のエコポイント申請書類を作成して貰う為、家電量販店に行きましたら、入口付近のワゴンにLED電球が多数売り出されていました。その中で、東芝LED電球-LDA6N、定価4,200円が1,880円セールとなっていましたので、一つ買ってみることにしました。階段部の照明は、昔は白熱電球60Wのものでしたが、東芝の蛍光灯型電球40Wが800円台になった時に交換し使用していたのですが、スウィッチを入れた時の照度が低く不満でした。LED電球に取り替えてみますと、スウィッチを入れた途端に、今まで無い様な明るさを実感しました。但し、指向性が強い様で、ランプから上の方が蛍光灯型電球に比べて暗く感じられます。現状のLED電球はダウンライトには向きますが、一般的用途に広めるには、全周発光等改善の余地があるのではと思った次第です。インターネット検索しますと、あるメーカーでは次の様に宣伝していますので、白熱電球の換装には全周発光LED電球が1,000円以下になった時に主体的になるのだろうと考えられます。新構造設計で全周発光を実現、球面全体が点灯するので、まるで白熱電球のような明るさです。また球殻がガラス素材で、樹脂のような黄化現象が起こらず、クリアな明るさが持続します。信頼と安全の日本製LEDを採用しています。1日5時間、白熱電球60W点灯させますと、年間電力量は100kWh、15円/kWhとして年間使用料金が1,500円になります。LED電球で電力量が1/8になるとしますと1,310円削減出来ることになります。1年程度でイニシャル・コスト償却を考えますと、1,000円以下が妥当な価格帯と思われるのです。1日1時間程度では、年間270円しか節約出来ませんので、LED電球でなく蛍光灯型電球で十分でしょう!
2010.12.17
コメント(0)
金星探査機「あかつき」が金星周回軌道への投入が失敗してから、ほぼ10日が過ぎましたが残念なことでした。この事故の詳細は今後明らかにされると思われるのですが、この失敗はセラミックスエンジン「セラミックスラスター」の破損に起因するのではないかと思っています。セラミックは元来磁器ですから衝撃に弱く、その弱点是正は何十年と無く図られていたのですが、耐久試験での極限環境シミュレーションに於いて、今回の事故を想定した試験範囲設定に足りない処があったのだろうと推断しています。やはり、「セラミックスラスター」は大きな開発要素でしたから、小惑星探査機「はやぶさ」の「イオンスラスター4基」の様に、冗長性を考慮したシステム二重化が図られなかったのか残念でなりません。あかつきは12月7日、金星に約550kmまで最接近し、エンジンの逆噴射で減速して軌道投入する計画だったが、直後に通信が途絶。その後、逆噴射が短時間で中断し、金星近くを通過して軌道投入に失敗したことが判明した。金星周回軌道への投入に失敗した日本初の金星探査機「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川理事長は「(小惑星探査機)はやぶさで良いムードに盛り上がった中、残念ながら失敗した。二度と起きない様に対策に努めたい」とし、国産初のセラミックスエンジン「セラミックスラスター」が破損した可能性には「今の段階では言えない」と述べた。あかつきは中型のM5ロケットでの打ち上げを前提にコンパクトに設計されたため、システムの二重化などの対策である「冗長性」が最低限しかなかった。今後の科学探査機では「まず衛星(探査機)を冗長性も持たせて設計してから、最適なロケットで打ち上げたい」と、ポリシーを変更して失敗リスクを軽減する考えを示した。「まずは原因究明。詳細なデータが得られたので、比較的早期に原因究明ができるのではないか」とし、2014年打ち上げ予定の日欧共同の水星探査機や、はやぶさ後継機などの今後の計画への影響には「原因に基づく対策は行うが、予算には直接影響がないことを期待したい」と述べた。統合技術監理技術士格のエンジニアが統括していないので、Fault Tolerant Tree分析での失敗克服手法が展開出来ず、学者主導の開発挑戦の心意気が強すぎたのかも知れません。H2ロケットのメインエンジンLE7も、再生サイクルを使用した学者の想いが詰まった複雑さが災いして、当初数々のトラブルに見舞われました。
2010.12.15
コメント(0)
今シェールガス開発が注目されているらしい。通常の天然ガス田の場合、地下の空間にガスが溜まっているが、シェールガスは深い岩盤のすき間に薄く広く存在するもので、掘り出すのが難しかったのです。しかし米国で水平に穴を掘り、水と薬品で岩をくだいて押し出す技術が確立し、生産が伸びているとのことです。シェール(Shale)とは、薄い岩石層が固まった頁岩のことですが、層の隙間には化石燃料も封じ込められる事例が多い様です。私が、コロラド州のオイル・シェール・プロジェクト開発を進めていた会社Toscoを訪問したのは1980年代初頭のことでしたが、採掘コストが当時の原油価格に対抗出来ず、中止となったことはよく覚えています。ガス(シェールガス)は液体(オイル・シェール)に比べて、気液分離は安易な技術なので採掘コストが安価に実施出来ると言うことなのでしょうが、地下地盤を破壊し、注入した水と薬品の混合物は環境汚染を引き起こすものでありますので、再利用・処理技術の改善が望まれる処です。岩盤層に閉じこめられている天然ガス「シェールガス」の開発が世界から注目されている。米国で生産が飛躍的に伸びた為で、世界のエネルギー勢力図を揺るがす可能性もある。 2000年に米国の天然ガスの1%だった産出量は昨年、2割に達した。液化天然ガス(LNG)を輸入する必要はなくなり、ガス価格も押し下げた。天然ガス価格は2008年には12ドル/MMBTUほどだったのが、いまは4ドル未満。原油価格は金融危機後に再上昇したのに、ガスは低いままだ。 全世界のシェールガスの埋蔵量は「3200兆立方フィートで在来型の天然ガスの半分ほど」と言われ、かなり大きい。一方で、採掘に使う薬品による環境汚染などの問題もある。日本企業では、大手商社が相次いでシェールガス開発への大規模投資に動いている。住友商事は、昨年末米国でシェールガス開発への投資に踏み切り、今年9月にもさらに米国で権益を得た。2件の総投資額は約1500億円に上る。 三井物産は2月に米国で権益を取得し約1260億円を投資する。双日も6月、米国の既存鉱区からシェールガスを拡大生産すると発表した。 三菱商事が8月に約360億円投資を発表したカナダのシェールガス事業は、出資比率が5割にのぼり、日本企業の資源エネルギー投資としては異例の高さだ。
2010.10.28
コメント(0)
私が「もんじゅ」を見学したのは、1995年秋の定期点検中でした。1991年試運転を開始し、高速増殖炉は、本来は核燃料にならないウラン238をプルトニウム239に変化させ、理論上は使った以上の燃料を生み出せることから、「夢の原子炉」とも呼ばれ、国も原子力政策の柱として開発を推進していた頃でした。定期点検を終えて、運転再開しましたが、直後の1995年12月にナトリウム漏出火災事故が起きたために運転を休止したのでしたから驚きでした。「もんじゅ」原子炉の冷却媒体に金属ナトリウムを使っているのは気にしていたのですが、旧来の水銀では熱伝達率が不足している事情から仕方の無い技術的理由があると納得していたのです。金属ナトリウムは常温では固体で、常に加熱して液体状態を保たなければなりませんし、また空気中では不安定で、水分を含む湿気で発火する弱点があるのでした。適正な加熱状態を検知する熱電対管の後流にカルマン渦が発生し、その自励振動で熱電対管根元に亀裂が入り、其処から金属ナトリウムが漏れ出して火災を起こしたのが事故の原因だったのでした。カルマン渦は自然現象でも日常的に見られ、風の強いに電線が振動して風切音が聞こえるもので、電線が切れる事故は無いのですから、設計余裕があれば事故を防げるのです。日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」について、内閣府の原子力安全委員会は、「運転再開は妥当」とした経済産業省原子力安全・保安院の評価結果を了承した。運転再開に関する国の手続きは終了し、原子力機構は地元の福井県と敦賀市に安全協定に基づく事前協議を申し入れ、運転再開は経済産業省原子力安全・保安院の立ち入り検査を経て、5月の大型連休明けになる見通し。14年5ヶ月ぶりとなる「もんじゅ」の再開で、運転しながら核燃料を増やせる“夢の原子炉”の高速増殖炉開発が再び動き出すことになった。もんじゅは、実験炉の次の段階の「原型炉」にあたる。建設費は当初予算約5,900億円でしたが、事故後処置も含めて、掛かった総予算としては約1兆6000億円とされていて、仕様は下記の通りです。原子炉型式:ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉(高速増殖炉 ループ型)電気出力:28万kW(280MW)燃料の種類:MOX燃料熱効率:39%冷却材:金属ナトリウム原子炉入口冷却材温度:397℃原子炉出口冷却材温度:529℃燃料集合体:198本制御棒本数:19本原子炉格納容器:鋼製格納容器高速増殖炉はフランス、ロシア、中国、インド等が開発を進めている「夢の原子炉」ですから、技術的ブレークスルー(Break Through)で難局を突破して頂きたいものです。人間の造るもの、況して批判議論の多い原子力発電ですから、2次被害を封じ込めるFault Tolerant Systemの構築の鍵となります。
2010.04.28
コメント(0)
植物が原料の「バイオ燃料」は、燃焼時に排出されるCO2量が植物の成長する際に吸収したCO2量と等しいことから、「カーボン・ニュートラル」とみなされ、CO2排出はゼロと見なされる燃料なのですが、現状の「バイオ燃料」はトウモロコシや大豆等の食料を原材料とすることから、穀物相場高騰をもたらしたと言う批判も大きなものとなっています。そこで、食用では無い植物や藻から作る「第2世代バイオ燃料」が注目されています。原料は非食物系の植物「カメリナ」「ジャトロファ」など3種類、これまでは種を搾って油を採りランプ油などに使われて来たことで、食物と競合しないのが利点とされ、しかも、乾燥してやせた土地や高地でも育ち、代替燃料として期待されている様です。第1世代バイオエタノールとは違って、植物油そのものですから、粘度も高いことからガソリン代替とはならず、ディーゼル油仕様のみとなりますが、化石燃料代替としては十分です。フォルクスワーゲン社とダイムラー社は、第2世代バイオ燃料メーカー独コレーン社(CHOREN)に出資、BTL(Biomass To Liquid=バイオマス・トゥー・リキッド)燃料の普及を目的とする。BTL燃料は植物から生成される液体燃料で、3社は既に2002年から、BTL研究開発を行っている。コレーン社はフライブルグにBTL工場を建設、1万5000トンのBTLを生産するが、これは1万5000台の車が1年間に使用するBTL量に相当する。又、同社は生産能力20万トンの工場を建設する計画も進めている。日本でバイオディーゼルとされるのは、第一世代のFAME(Fatty Acid Methyl Ester:脂肪酸メチルエステル)、廃食油(天ぷら油など)を回収し、メタノールを加えてエステル化したもので、試験的にバス等の運行に利用されている。植物油のリサイクル利用と言う面では良いのだが、酸化安定性や重合安定性の問題が指摘され、不純物問題もある。第二世代バイオディーゼルは、BHD:バイオ原料油の水素化処理油(Bio Hydrofined Diesel)と呼ばれ、植物油、廃食用油および獣脂を原料とし、石油精製プラントで水素化精製して作る。FAMEとは異なり軽油に近い組成となり、実用化ハードルは小さいが、原料調達の仕組みをどう作り上げるかが最大の課題となるようだ。数年来、次世代エネルギーの主役として、水素や燃料電池が脚光を浴びていますが技術的ブレークスルーも経済的な価格面からもハードルも高く、最近では実用化でのハードルの低いバイオ燃料がニュースで取り上げられることになった様に思われます。
2009.02.15
コメント(0)
電球形蛍光灯が従来の白熱電球に比べ、寿命約6倍、電気代・CO2約1/4とされることから、東芝ネオボールZリアルに交換しましたのは1ヶ月前のことでした。価格は800円強と白熱電球の10倍でしたが、寿命6倍で経費的にほぼ同じだと思ったのです。ところが、昨日テレビニュースで「LED電球が発売間近」と報じていましたので注目し、インターネットで調べてみました。東芝ライテックは「E-CORE LED電球」シリーズの新製品「一般電球形4.3W」を発表した。発売は2009年3月18日で、価格は10,500円。消費電力は4.3Wで、一般的な白熱電球の20-30W型に相当し、白熱電球とほぼ同じサイズを持つLED電球で、既存の白熱電球ソケットに差し替えて使用することが可能だ。一般的な白熱電球では全方向に光が出るのに対し、同製品では上側にしか光が出ないため、ランプ全体としては20-30W相当の明るさだが、器具に取り付けて照明として使用する場合、下方向に向かう光の量は40W型の白熱電球に相当する。また、一般電球形4.3Wでは、密閉形の照明器具への取りつけも可能となった。従来、発熱の問題から、電球型LEDは密閉形の器具へは使用できなかったのだが、大型の放熱フィンでこの問題をクリアしており、より広い範囲で使用することが可能になった。LED電球は、電球形蛍光灯が苦手とする、寒い場所や、繰り返しの点灯に強いというメリットもある。一般電球形4.3Wの定格寿命は4万時間で、白熱電球の40倍となる。価格は白熱電球40個分よりも高い。しかし、4万時間分の電気代では、一般電球型4.3Wの方が2万7,000円程度節約できると言う。電球型蛍光灯の明るさ比4倍・寿命比6倍であるのに比べ、LED式電球の方は明るさ比8~9倍・寿命比40倍と各段に改善されていることが分かりましたが、販売価格が100倍程度に高いのには驚くばかりで、普及するには時期尚早と判断しました。又、私の技術的認識では「LED電球は発熱せずに高効率」と言うイメージがありましたので、「発熱問題を放熱フィンで解決」と報じているのも意外でした。「確認せずに持っている先入観は、あやふやで危険なことなのだ」と、改めて自戒させて頂きました。
2009.02.12
コメント(0)
欧州南天天文台(European Southern Observatory) が提供したと言う画像を見てもブラックホールが存在しているとも思えませんが、16年に亘る恒星の動きを追跡研究したデータを処理した結果の結論らしく、格段に進歩したデータ処理技術の成果と考えられます。近赤外線で観測した銀河系の中心部。見えない超巨大ブラックホールがあり、周囲の星の動きを長期観測した結果、質量は太陽の約400万倍と分かった。ブラックホールの解明が進むと期待される。これだけでは良く分かりませんので、インターネット英文版を覗いてみますと、次の様に記載されていました。The 16-year study involved tracking the movement of 28 stars at the center of the Milky Way using telescopes at the European Southern Observatory in Chile.Using the data collected, astronomers were able to calculate important properties about the black hole -- called Sagittarius A* -- such as its size and mass.欧州南天天文台チリ観測所に於いて、16年に亘って銀河系中心部にある28恒星の動きを追跡研究して来た。蓄積されたデータを解析し、「サジタリアスA」と呼ばれるブラックホールの大きさ・質量等の重要な特性を計算出来ることとなった。Professor Reinhard Genzel, who led the study at the Bavaria-based Max-Planck Institute for Extraterrestrial Physics, said the data collected proved the existence of the black hole "beyond any reasonable doubt."ドイツのマックス・プランク研究所での地球外物理学を主導する、ラインハルト・ゲンツェル教授は「集められたデータは、如何なる疑念も無く、ブラックホールの存在を証明した」と述べた。"Undoubtedly the most spectacular aspect of our long term study is that it has delivered what is now considered to be the best empirical evidence that super-massive black holes do really exist," said Genzel. The black hole had a central mass concentration of four million solar masses, he added.ゲンツェル教授は「超巨大なブラックホールが存在すると言うことが、最善の帰納的な証拠として考えられる」、又「その質量は太陽の400万倍」と付け加えた。The study also enabled astronomers to calculate the distance of the earth from the center of the galaxy, now measured to be 27,000 light-years, and enhanced by six times the accuracy to which they were able to measure the positions of stars -- the equivalent of seeing a one euro coin from a distance of 10,000 kilometers.この研究で、地球から銀河系中心部までの距離は2万7000光年と計算することを可能とし、その精度は1万km先から1ユーロコインを見極める程度に達している。ブラックホールをウィキペディアで調べますと、下記解説がありました。現在、ブラックホール自体を直接観測することはまだ成功していないが、周囲の物質の運動やブラックホールに吸い込まれていく物質が出すX線や宇宙ジェットから、その存在が信じられている。銀河の中心には、太陽質量の10*E6~10*E10倍程度の巨大ブラックホール (super-massive black hole) が存在すると考えられており、超新星爆発後は、太陽質量の10倍~50倍のブラックホールが形成すると考えられている。最近、両者の中間の領域(太陽質量の10*E3程度)のブラックホールの存在をうかがわせる観測結果も報告されており、中間質量ブラックホール (intermediate mass black hole; IMBH) と呼ばれている。今回計算確認されたブラックホールは太陽換算10*E6倍質量ですから、将に探し続けていた巨大ブラックホールなのでしょうか?
2008.12.11
コメント(1)
第2回国際量子暗号会議(Quantum Cryptography 2008)が2008年12月1~2日に開催され、NHKBS1英語ニュースで報道されていました。量子力学の基本原理とされる「ハイゼンベルグの不確定性原理」を利用する技術と言うから驚きです。「ハイゼンベルグ(Heisenberg)の不確定性原理(Uncertainty Principle)」とは「或る素粒子物質の二つの状態量は同時には正確な測定は出来ず、誤差は避けようが無い」と言う原理で、敷衍すると「量子の或る状態を測定すると量子は必ず別の状態に変化する」と言うことになります。20世紀物理学の巨星アインシュタイン(Einstein)は、「決まってはいるが人間に分からないだけ、神はサイコロを振らない」と反論し、忌み嫌った理論でもありました。公開鍵暗号方式は不特定多数の相手と暗号通信を行える技術として普及している。しかし、計算量によって暗号鍵が保証されるパラダイムであり、高性能コンピュータの進歩によっては安全性が崩される可能性もある。絶対に安全な暗号化技術として「量子暗号」と呼ばれる技術が研究されている。それは「ハイゼンベルグの不確定性原理」に基づいて盗聴の有無を必ず確認することで暗号鍵の安全性が保証される。即ち、量子データ通信中にそのデータを盗み見ようとすると、その量子の状態が変化するためデータが盗聴されたかを認識できる仕組みだ。一般的な光通信では沢山の光子をまとめて「0」か「1」の情報を符号化させるが、量子通信では光子1個に「0」か「1」の情報を与えるため、光子の変化が厳密に判断できる。87km長距離通信に成功する等、完成度は高く、光ファイバを活用することが可能。現代暗号と組み合わせたシステムを構築したことにより、実際に製品として納入することも可能だと言う。しかし、量子暗号通信は通信速度が非常に遅く7.2bpsにしか達しない等、課題克服とはなっていません。兎に角、素粒子物理学でしか利用出来ないと思われた「ハイゼンベルグの不確定性原理」の工学への適用と言うその進歩には目を見張るものがありますが、通信技術の中核として光子と言う素粒子を問題にするですから、これは必然の方向だったのでしょうか?
2008.12.08
コメント(0)
1974年のオイルショックを受け、1970年代後半にはオイルサンド・オイルシェールの石油資源開発は注目を浴びていましたが、1980年代の原油価格低迷から、全て中止と言うことになりました。昨今の異常な原油高騰を受けて、30年振りにオイルシェール開発が取り沙汰されているのが気になりますが、「石油は魔物」と言われていますので今後の動向が注目されます。三井物産はオイルシェール(油分を含む頁岩)の大型開発に参画する。ブラジル国営石油会社ペトロブラス等と共同で2013年以降、日量5万バレル規模の商業生産を目指し、事業権益の最大2割を獲得する。オイルシェールからの原油量産は成功すれば世界初。米原油先物が一時1バレル140ドルに迫るなど原油高騰が続く中、コスト高で手つかずの新資源への投資が本格化し始めた。両社は米ベンチャー企業のオイルシェールエクスプロレーション(デラウェア州)が米政府から開発権を得ている中西部ユタ州の鉱区開発に参画する。30~40億バレル(日本の年間消費量の2~3年分に相当)の埋蔵量を見込んでいる。オイルシェール開発を手掛けていたTosco(The Oil Shale Corporation)を訪問したのは1981年頃でしたが、Exxonが介入して来たことで開発プロジェクトは1982年に放棄されたと記憶しています。イラン革命・アメリカ大使館人質問題も決着に向かい、原油価格が低迷しつつある時期でしたから、採算が取れないと判断された様です。その頃は、今で言うバイオ燃料、天然ガス由来のGTL(Gas to Liquids)燃料と言う代替石油の選択肢も無く、採算分析は比較的単純だったと思われますが、今回は果たしてどうなるのでしょう?歴史は繰り返すとは良く言われますが、情勢の違いを克服できるか注目される処です。世界中に埋蔵されているオイルサンド、オイルシェールから得られる重質原油は5兆バレル以上と推定されている。オイルサンド(Oil Sands)は、極めて粘性の高い原油を含む砂岩。母岩が砂岩ではなく頁岩の場合にはオイルシェール(Oil Shale)と呼ばれる。オイルサンド・オイルシェールから原油を得るためには、母岩を採掘・乾留するので、大量の産業廃棄物が発生する。従来原油と比較して採掘及び抽出コストが高く、廃棄土砂の処理に多額の費用を要するため、不採算資源として放置されてきた。しかし、原油(WTI)価格が高騰して採算コストを上回るようになり、大規模な採掘・精製が行われるようになった。これに伴い、埋蔵地や採掘権の買収に多額の投機マネーが集まっている。オイルサンドは、カナダ(アルバータ州)、ベネズエラに分布する。極めて低質なものは日本でも新潟県新潟市の新津油田などに見受けることができる。代表的なオイルシェール地帯はアメリカ合衆国(西部)、ブラジル、ロシア、オーストラリアなどに分布する。インターネット検索しますと、Tosco (The Oil Shale Corporation) は幾多の曲折を経て、2001年にフィリップス石油(Phillips Petroleum)に吸収され、2002年からはConocoPhillips 傘下の一部門となっている様です。今回三井物産が権利を得ようとしているオイルシェールエクスプロレーション(デラウェア州)とは、Toscoとは別企業。未だに「石油は魔物」で、採掘権・鉱区開発などで種々の選択肢があるのは歴史的なものの様です。
2008.06.11
コメント(1)
現在は水素を得る為には炭素を含む化石燃料を原料とし、改質器の中で二酸化炭素(CO2)、猛毒の一酸化炭素(CO)が発生しますので、除去しなければなりません。特に12%も入っています一酸化炭素は、二酸化炭素変成プロセス過程を経て、排気中に10PPM以下となる様に設定されています。結局、排ガス中には相当量の二酸化炭素(CO2)が含まれ、CO2発生率は従来発電方式と殆ど同等となってしまいます。無尽蔵の太陽エネルギーを使って、純水素ガスを製造し、燃料電池で動力・電力を得て、二酸化炭素(CO2)を発生させずに環境を汚すこと無く生活する、そんな時代が来て欲しいものです。スイスの民間研究所CSEM(Centre Suisse d'Electronique et de Microtechnique)が太陽発電を行う人工浮島(MegaFloat)を海上に建設するプロジェクトに取り組んでいる。2010年代初頭の実用化を目標に、強い日差しを遮る障害物のない海上で効率よく太陽光発電を行う研究開発を進めている。アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国のラスアルハイマにてプロジェクトが進められている。2007年5月にラスアルハイマ当局に太陽発電の浮島構想を説明し、500万ドルの資金提供を含めたプロジェクト推進への支援を取り付けた。直径5km円形の浮島に太陽の熱エネルギーを集めて貯蔵する設備を設置し、太陽熱エネルギーによって蒸気を発生させ、水素を取り出し発電に活用する。且つ、直射日光の強い昼間に熱エネルギーを蓄えて夜間の発電にも利用する。日本でも経済産業省・環境省・NEDOを中心に同じような動きがあり、人工浮島(メガフロート)上に風力発電・太陽光発電・海水淡水化設備、水素製造設備を設けて海洋上で水素製造・発電する計画ですが、予算化もならず未だ検討段階に過ぎません。具体的には海上に移動可能な人工浮島を設け、その上でクリーンなエネルギー源である水素を、太陽光や風力などの自然エネルギーで得られた電力を利用して製造する。技術的には風力や太陽光は天候に大きく左右され、電力の供給源として安定性に欠けることが実用化の上で問題視されているが、この不安定な電力を水素製造するための「水の電気分解」に利用することで欠点を補うことが期待でき、近未来に自動車や家庭のエネルギー源の主流と目されている水素を安定供給する可能性を検討することができる。又、人工浮島は移動が可能であるため、各地の太陽光や風力などのデータ採取が可能である。他の方法より長期的に環境面で優位と判断されれば、海上を利用した大規模な自然エネルギー水素製造設備や発電設備を検討することもできる。また、海洋上に水素の貯蔵設備が位置するため、地震・津波などの自然災害に強く、万一事故が発生しても周辺への被害が少ない。日本が検討している人工浮島(MegaFloat)拡張計画、風力発電も入れて一寸欲張り過ぎている気がします。太陽光発電・水素製造・燃料電池だけに絞らないと膨大な予算が必要で、パイロットプラント化も難しいと考えています。
2008.01.05
コメント(1)
21世紀は化石燃料も枯渇を迎えて、水素エネルギー利用無しにはエネルギー供給(Energy Supply)が成り立たなくものとされています。しかし、一挙に転化できるものでも無く、当面は埋蔵量豊富な天然ガス(Natural Gas)を燃料としつつ、段階的に天然ガスに水素を混ぜたハイタン(Hythane)、究極的には水素(Hydrogen)を用いることが妥当とされています。ハイタン(Hythane)はアメリカにて使われる造語で、 Hydrogen+Methane=Hythaneとされ、米国のBrehon Energy PLC の商標登録用語とされています。ヨーロッパではナチュラルハイ(Naturalhy)、即ちNatural Gas+Hydrogen=Naturalhyと呼ばれているのですが、アメリカ造語の方が使い易いと思われます。ハイタン(Hythane)若しくはナチュラルハイ(Naturalhy)は、天然ガスに水素を15~20%混ぜたもので、天然ガスに比べ温室効果ガスや大気汚染物質を約50 %削減すると報告されています。水素(Hydrogen)の時代は2050年以降と考えられていましたが、COP13のロードマップを考えますと、ハイタン(Hythane)利用が加速して、2020年には水素(Hydrogen)エネルギー時代が始まるものとみて準備を始めておく必要がありそうです。水素エネルギー社会が実現すれば市内に水素パイプラインが敷設されて家庭や工場に水素が送られることが予想されますが、水素供給チェーン(Supply Chain)での主たるコスト要因は、製造では無く配送と貯蔵と考えられており、長期的な解決策は、水素パイプライン・ネットワーク(Hydrogen Pipeline Network)の構築にあるとされています。水素ガス・パイプラインの実態漏洩調査から、パイプライン接続部やシール部は、天然ガス・パイプライン以上に頻繁にチェックする必要があることが確認されており、水素ガス・パイプラインは、一般に天然ガス・パイプラインよりも低圧で操業されているのが現状となっていて、エネルギー輸送量が低くなってしまうのが問題となっています。従って、漏洩防止構造設計と防爆安全設計の向上を綿密に企画し、安全で効果的な高圧力でのハイタン輸送から水素ガス輸送実現が、今後喫緊の課題になるのだと思っています。
2007.12.22
コメント(0)
リチウムイオン電池は初期型メタハイ電池よりも、エネルギー密度が高く使用寿命も長いことから、ノートパソコンなどモバイル情報機器に多く使用されています。しかし、過充電は電池を急激に劣化させ、最悪の場合は破裂・発火すると言われ、実際にモバイル機器の電池が火災や爆発が起きて回収となった事例が多くありました。東芝は12月11日、高温や低温など過酷な条件下でも発火や破裂の恐れが少ない新型の高性能リチウムイオン電池「SCiB(Super Charge ion Battery)」開発成功と事業化計画を発表しました。「高い安全性、長寿命、急速充電性能、高出力、低温性能」との特徴が挙げられています。負極材に従来のコバルト酸リチウム(LiCoO2)に替えてチタン酸リチウム(LiTiO2)を採用、引火点の高い電解液や耐熱性セパレータを組み合わせ、内部短絡が起こっても熱暴走を起こしにくい。バッテリを物理的につぶして短絡させても、セル温度は100℃未満で収まり、発煙も発火も生じない。急速充電を3000回繰り返しても容量低下は10%未満、約5000回を超える繰り返し充放電が可能。5分間で電池容量の90%以上の充電が可能。電気二重層キャパシタ並みの高い入出力性能(パワー密度)、マイナス30度の低温環境でも十分な性能を維持するとされている。 2008年3月から量産を開始しつつ、非常用電源・風力発電平準化電源への産業用途、電動アシスト自転車・ハイブリッド車など電動車両への適用を模索し、2015年度には売上高1000億円規模を目指すらしい。発表された「SCiB」性能の特性上、モバイル用リチウムイオン電池の電圧やエネルギー密度が及ばないことから、現状では携帯電話・パソコン機器向けとは位置づけられていないのが残念です。しかしコバルトはレアメタル(稀少金属)ですから、チタン適用電池の方がコスト的にも安価に出来る可能性も秘めています。燃料電池(Fuel Cell)と共に期待したい技術ですし、小型化は寧ろ高性能リチウムイオン電池の方が向いているのではと思っています。
2007.12.17
コメント(2)
私が初めて飛行体験したのは、航空自衛隊木更津基地でのC-46輸送機で、1963年のことでした。座席後部には落下傘降下用の開口部があって、歩いて行けば落ちるのだと少し怖かった思い出も残っています。それから45年経ちましたが、驚くほど防衛用輸送機は進歩しようとしています。それにつれて調達費用も莫大となり、防衛利権が暗躍する事態となり、賄賂・収賄が取り沙汰されているのは許されることではありませんが、エンジン選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。C-X (Cargo aircraft-X) は、防衛省・航空自衛隊における「次期輸送機」の一般名称で、第一次C-XはC-46の後継として1960年代に計画され、防衛庁技術研究本部と川崎重工業が開発したターボファンエンジン双発の中型輸送機でC-1として採用された。第二次C-XはC-1の後継として2000年に計画され、防衛省技術研究本部と川崎重工業にて開発が進められている、ターボファンエンジン双発の大型戦術輸送機である。C-1と比較し積載量は3.75倍・飛行速度は1.2倍、航続距離はC-1がペイロード8t搭載時に約810kmに対し、C-Xは12t搭載時に約8,900kmとなっている。C-X技術仕様乗員: 3名(パイロット2名・ロードマスター1名) 寸法: 43.9m L x 44.4mW x 14.2mH最大離陸重量: 141,100kg 最大積載量: 37,600kg エンジン出力: 27,900kg(推定)×2 巡航速度: Mach 0.8 (高度12,200mのとき) 巡航高度: 12,200m 航続距離: 0t/10,000km 12t/8,900km 37t/5,600km装備するエンジンは、ロールス・ロイス(RR)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、プラット&ホイットニー(P&W)の3社からの提案を検討した結果、2003年8月にGEのCF6-80C2型エンジンを採用した。CF6-80C2のカタログ価格は1基1,000万ドルである。選定に際しては、導入されているB747-400(政府専用機)やE-767、導入予定のKC-767が同一エンジンを採用しており、整備面で都合が良いことから決定されたと思われる。海外でも広く普及している為、渡航先での整備拠点もあり、又日本国内のエアラインもボーイング社製の機体と共に、同系統エンジンを600基以上採用しており、信頼性の高さと国内での運用経験も選定の根拠とされている。この大型ファンエンジンを供給出来るのは、ゼネラル・エレクトリック(General Electric: GE)社、ユナイテド・テクノロジー(United Technologies)傘下のプラット&ホイットニー(Pratt & Whitney: P&W)社、ロールス・ロイス(Rolls Royce: RR)社と、世界に3社しかなく、選定候補は次の様だったと思われます。P&W候補エンジン: PW-4062 (推力 28,100kg) GE候補エンジン: CF6-80-C2(推力 27,900kg)RR候補エンジン: RB-211-524G(推力 27,200kg)いずれのファンジェットも優れたエンジンですが、私が選定責任を負わされても、燃料消費(Fuel Economy)・運用実績(Flight Experience)・整備体制(Logistics Support)・環境適合(Low Emission)などの観点から、多分GE社のCF6エンジンを選んだと思います。民間大型旅客機B747開発ではP&W社JT9DとRR社RB211が搭載エンジンを競ったのですが、JT9Dに軍配が上がり、RR社は開発費が嵩んだことで倒産し英国策会社となりました。遅れを取ったGE社は軍用輸送機C5A‐Galaxy(ペイロード118t:大型戦車輸送可能)搭載のTF39を受注することで、それを民間用に設計変更しCF6シリーズを展開、燃料消費率の優秀さから民間大型旅客機への搭載が増加してP&W社JT9DとRR社RB211を凌駕する事態となりました。そこでP&W社はJT9Dエンジンを全面設計変更してPW4000シリーズを展開して、3社供給体制を維持して来たのです。今回のC-X輸送機用エンジン選定問題、山田洋行が防衛利権を掛けて暗躍し賄賂・収賄が取りざたされていますが、選定結果そのものは極めて妥当だと思っています。
2007.12.03
コメント(4)
多摩ニュータウンでは幹線道路での水道管の更正工事が始まって久しく、半年を経過しても完了していません。処々に路線規制もあり、アスファルト路面も凸凹でとてもスムーズな走行は出来ません。当初はねずみ鋳鉄(Gray Cast Iron)管からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管への更新をしているのかと思っていたのですが、1970年代に開発された多摩ニュータウン地区は最初からダクタイル鋳鉄(Ductile Iron)管が敷設されていた様で、今回は「高度浄水」のコンセプトにも対応した管内エポキシ塗装を更新・更正する工事の様です。東京都水道局では、平成19年4月からNS形ダクタイル鋳鉄管の採用口径を呼び径75~250mmまでを呼び径1,000mmまで拡大したことに伴い、説明会を平成19年3月に開催しました。その後の入札結果から、施工企業が選定し、ダクタイル鋳鉄管の直管の管内面塗装を現行の呼び径350mmから呼び径1,000mmまでモルタルライニングからエポキシ樹脂粉体塗装への変更工事を行いますのでお知らせします。留意事項:US形ダクタイル鋳鉄管の内面継手管・ダクタイル鋳鉄管推進工法など、管路内での作業を伴うものについては、従来どおりモルタルライニング管としますのでご注意ください。ダクタイル鋳鉄とは、普通鋳鉄の衝撃に弱い欠点を克服し、鋳鉄でありながら鋼と変わらない強度と伸び特性を持つ「球状黒鉛鋳鉄」。1954年クボタが世界にさきがけて大口径ダクタイル鋳鉄管の製造に成功させ、1957年には遠心力鋳造法によるダクタイル鋳鉄管の量産を実現させた。厚生省では1991年には「フレッシュ水道計画」を策定、「質の高い水道施設づくり」として21世紀に向けた水道整備の長期目標を示し、地震などの災害にも強い水道を強調した。更にモータリゼーション進展により管路に加わる荷重は一層の増大傾向にあり、広範な地域で発生している地盤沈下と言う深刻な課題克服もあり、ダクタイル鋳鉄管は、瞬間的に発生する巨大な衝撃に耐え、長期間にわたって厳しい圧力に耐える要求に応える戦略素形材として位置付けられている。又、現代の都市事情・交通事情に見合った新しい施工技術。たとえば「パイプ・イン・パイプ工法」「既設管破砕推進工法」も開発されている。既設パイプをさや管としてその中に新パイプを挿入し管路更新する工法である。パイプ接合を省人自動化する「接合ロボット」の研究開発も進む。「高度浄水」のコンセプトにも対応したパイプ内面処理技術の高度化(内面エポキシ樹脂粉体塗装)も進む。幹線水道本管がエポキシ塗装となりますと、水道管の錆・侵食が無くなり格段に寿命は延びるのですが、各家庭への小さな給水管は塩ビ製ですから、これでは全てプラスチック配管で供給された水道水を飲むことになり、プラスチックからは環境ホルモン物質の溶解が懸念されることになります。この様なシステムを変更することは困難と思われますが、近頃多くなった飲料水・お茶販売なども全てペットボトルで販売されていますので、長期的観点から考えるとその不安は消えません。
2007.11.26
コメント(4)
石油価格の指標となるNY原油 WTIは現時点95ドル/バレルとなっていて、今にも100ドルを超える情勢となるに留まらず150~200ドル/バレルも予測され、生活への影響は甚大になりつつあります。一方NY天然ガスは8.3ドル/MMBTUで、相場価格は倍額近く上昇しているものの、原油程の高騰とはなっていません。しかし、このままの単位単価ではエネルギー源としての価格比較は難しいので、原油価格を熱量ベースで天然ガスと同じ単位になる様に算出することにしたい。1バレル=42ガロン(=159リッター)、石油密度8.34lb/ガロン(=0.82kg/リッター)、石油熱量18,000BTU/lb(=10,000kcal/kg)とすると、石油1バレルに含まれる熱量は(42*8.34*18,000BTU)=6.3MMBTUとなる。即ち、原油 WTI価格は95ドル/6.3MMBTU=15.1ドル/MMBTUとなり、同じ熱量の天然ガス価格に比べて概略1.8倍の価格となっていることに留意したく、やはり原油相場は極めて投機的色彩が強いのです。日本の電力・ガス各社はLNGバッチ輸送にて25年長期契約で天然ガスを輸入しているので、3ドル/MMBTU程度で、現時点驚くほど安価なエネルギー源となっています。この天然ガスから代替石油を製造し流通させるのが、バイオ燃料と異なり食料穀物市場との軋轢も無く、現時点では最善の方法と考えています。フィッシャー・トロプシュ(FT)法を用い天然ガスから石油を製造するGTL(Gas to Liquids)商業用プラントが稼働している。GTL技術により精製した石油は、硫黄やアロマ分(芳香族)を含まず、排気ガス中の煤塵や硫黄酸化物の有害物質が少なく、環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして注目されている。2006年シェル社ではマレーシアの商業用プラントを稼働させつつ、2010年を目途にメジャー他社とも共同でカタールに世界最大規模のGTLプラントを完成させ、普及拡大を図る方針と伝えられる。日本でも石油資源開発で研究が進められていて、2007年9月新潟市で実証プラントの起工式が行われ、2008年の完成を目指すとされている。このGTL代替石油、原油よりも可採年数が長いとされる天然ガスを利用するので、長期の安定供給が可能とみられている。又、マイナス162℃の液化天然ガス(LNG)とは異なり、常温での流通が可能で、従来の石油インフラが全て使える利点がある。1年前に記述しました“GTL-クリーンな代替石油”と言う日記はこちらです石油時代は終わったと極論する人もありますが、ハンドリング容易なことから離れ難いものがあるのです。しかし、経済発展に合わせて石油供給量を増やすことを画策するのでは無く、省エネを進めて石油消費量を何とか少なくする工夫が、今地球温暖化防止の観点からも求められている喫緊の課題だと思っています。
2007.11.12
コメント(0)
1990年後半から全国に先駆けて導入された電話回線を使う水道自動検針システムは、これ又全国に先駆けて取りやめることになりました。水道メータは計量法により有効期限が定められ、8年毎に更新しなければならないらしいのですが、その整備費用は巨額になり、どうも訪問検針の追加人件費を考慮しても、費用対効果が劣悪になると判断された様です。東京都水道局のWebページには次の様に記載されています。多摩市及び多摩ニュータウン:お客さまの水道料金等を算定するため、 2か月に1回検針を行います。検針を行う基準日は地域によって異なります。-メータボックスの上には物を置かないでください。 -犬はメータや出入口から離れた場所に待機させてください。 ※基準日が休日等と重なった場合は、検針日は変更になります。※多摩市及び多摩ニュータウン地域には、直接検針員が伺う訪問検針と電話回線を使い検針を行う自動検針の2種類があります。1990年代では、携帯電話・PHS網も今ほど発達しておらず、況して光ケーブル網も整備されておりませんので、銅線電話網を水道自動検針システムのデータ・ハイウェイにしたのです。しかし、近頃は誤信号と思われる結果も多くなり、革新的な「PHSを使った自動検針システム」への更新も検討されたようですが、8年で補用部品在庫が無くなることで、寿命がせいぜい10年しかないと言う実績から、検針員が直接伺う訪問検針の方が、費用削減となると判断したのでしょう。全国的には、水道・電気・ガスのユーティリティ関係を「PHSを使った自動検針システム」に変更しようとする動きが盛んですが「8年毎更新を考慮した総合計算」では割高となり、10年後は全国的に多摩ニュータウン地区と同様、結局廃止の憂き目に会うのだと推断せざるを得ません。省人化による費用削減は飛び付き易いテーマなのですが、長期的展望に立たないと結局は税金・企業整備費の無駄遣いとなって、住民負担を増す危険性がありそうです。
2007.10.19
コメント(1)
今朝のNHKニュースで、広島県の機械メーカが「超臨界水による廃液処理装置」を製造・販売していることが報じられていました。注目しているのは焼酎メーカ業界、醸造後の廃液を従来は海上投棄していたのですが、これからは投棄禁止となり、年間22万トンに及ぶ廃液処理は喫緊の課題となりました。デモンストレーションによると、どろどろの廃液は、超臨界水を使うことで水と2酸化炭素ガスに分解され、固形物は何も残りません。しかしニュースで見る限り、実験室規模に近く、年間22万トンに及ぶ大型廃液処理プラントが実現するには未だ壁が幾つかある様な気がします。それでもこのようなニュース報道には、環境技術の進歩が感じられ、持続可能な社会実現への一歩とも思われ、嬉しいものがあります。超臨界流体は、入り込む気体の性質(拡散性)と、成分を溶かす液体の性質(溶解性)を持っていますので、環境/医薬品分野での有機溶媒の代替としても利用でき、環境に優しい技術として注目を浴びています。水の場合は圧力22.1MPa・温度374℃、二酸化炭素の場合は圧力7.4MPa・温度31℃を超えた領域で超臨界状態となります。超臨界水利用は1990年代中頃から始まっていましたが、超臨界二酸化炭素に比べて相当の高温・高圧が必要で、特有の取り扱い難さを伴って進展はなかなかの様でした。しかし、燃焼処理とは異なり、ダイオキシンやNOx(窒素酸化物)等は発生しませんので、特にプラスチック処理・ダイオキシン分解等には、環境にも優しい超臨界水利用の処理装置実用化の進展が期待されます。この種の問題は、何時もコスト競争力の有無が、最後の難関となります。溶剤を使わない超臨界二酸化炭素でのクリーニングは、環境に優しく繊維を傷めず、色落ちも無いことで、数年前に話題になりましたが、現在不況只中のクリーニング業界に浸透しつつあるのでしょうか?
2007.10.05
コメント(2)
先月機種変更したNTTドコモN903iでは、記憶媒体として、従来のminiSDに替ってmicroSDが搭載されていますが、画像類をパソコンに取り込むには、裏ぶたを取り外して電池横のスロットからmicroSDを引き抜く構造設計になっているので、面倒です。それに加えてSDアダプタに挿入してから、パソコンのカードリーダーで読み込ませなくてはならず、非常に煩雑です。画像をメール送信すれば簡単で良いのですが、320万画素の画像を高い送信料を負担しなければなりませんので、面倒で煩雑な上記手作業を行うしかありません。どうもあまりにも小型なので紛失防止も考慮されているのでしょうが、使用者にとってはコンパクト過ぎて不便になったとも見える技術革新だと思われます。microSDカードは2005年7月13日に承認されたフラッシュメモリ型電子媒体で、外形寸法は11mm×15mm×1mmと、SDメモリーカードの1/4程度。汎用品として使われているリムーバブルメディアの中でもっとも寸法が小さく、最大で2ギガバイトの容量がある。SDメモリーカードの規格と互換性があり、microSDカードを変換アダプタに装着することによって、SDメモリーカードやminiSDカードとして利用することができる。携帯電話での利用は2006年1月に開発が発表されたVodafone 804Nを皮切りに、続々と対応端末が開発されている。auの2006年秋冬CDMA 1X WINモデルで、NTTドコモでも903iシリーズがmicroSD専用スロットを搭載するに至った。スロットは頻繁に取り外せない構造となっていることが多く、現実的には「取り外し可能な内蔵メモリ」のような扱いとなっている(あまりにも小型であるため、紛失防止も考慮されていると思われる)。また、ボディの小型化薄型化にも貢献できるため、miniSDに替わって主流となっている。2007年6月にはついにSD陣営での売上トップに君臨する規格となった。
2007.09.11
コメント(0)
ボーイング737事故原因は設計変更不良の疑いが濃くなり、ボーイング社の製造物賠償責任(PL)法を始めとする法的責任が問われることになる気配となりました。ボーイング737旧世代機からハイテク装備の新世代機にする際、前部可動翼(スラット)アームを取り付けるナット直径をボルト穴とほぼ同じで抜けやすいものになっていたことが分かった。旧世代機のナットは直径1.4cmで、新世代機より30%大きい。アーム穴はそれより小さく、しかもボルト穴とナットの間にあるダウンストップ内径は0.8cmで、ワッシャーが無くてもナットが抜けない構造となっていた。新世代機ではナット直径1.06cm、スラットアーム穴1.12cm、ダウンストップ内径は1.06cmであり、ワッシャーの介在無しには抜け落ちる懸念のある構造となっている。整備士は「旧世代機の仕様の方が理にかなっている」と話している。何故その様な設計変更が行われたのか現段階では不明ですが、私は「部品共通性を図った結果」だと推測しています。何十万点ともなる航空機部品は、共通化が図られれば製造コストダウンも達成出来ますし、使用工具類も少なくなりますので、組立・整備工数も格段に少なくなるのです。今回問題となったナットは、飛行機での違う構造部材との共通部品になっているに違いありません。設計時の設計審査(デザイン・レビュー)では、他方面からFail Safe(間違っても安全な運行可能)・Fault Tolerant(未習熟の行為でも安全性確保)が厳しく問われる筈なのにと考えますと、何故見過ごされたのか不思議でなりません。万全を期しても人知は限りがあるのですが、今回の不具合は「企業倫理を忘れコスト優先に走った」と言う企業営業論理の結果かも知れません。
2007.08.31
コメント(1)
昨日の事故調査委員会による会見で、「スラット(高揚力装置)のボルトが外れ、燃料タンクの壁を突き破って、大量燃料漏れとなり、エンジンの熱で発火に至った」と発表されましたが、盲点個所だった気がしました。ボルト・ナットは機械要素の根幹で、特に航空部品では脱落したり外れたりしない様に設計・製造されているのが常識だからです。ナットが緩んで来ますと外れる原因となりますので、通常航空部品では、自動締め付けナット又はナット部分をボルトに点付溶接して弛み防止をしている筈で、信じられません。信じられないことが起きるのが事故ですので、未だ明確ではありませんが自動締め付けナットの締め付け力不足の可能性が大きくなり、設計不良の可能性も出て来ました。国交省が、日航、全日空、スカイマーク3社にボルトの取り付け状態を確認するよう耐空性改善通報(TCD)を出したそうですので、点検結果に注目しています。那覇空港でのボーイング737‐800型が炎上した事故で、国交省事故調査委員会は23日、事故機の右主翼内の燃料タンクに直径2~3cmの穴が開いていたと発表した。事故調査委は、事故機が那覇空港に着陸後、誘導路を走行しながらスラットを格納した際、ボルトがタンクを突き破ったとみている。離着陸時に使う翼前面のスラット(高揚力装置)のボルトが外れ、燃料タンクの壁を突き破っていた。穴から漏れ出た燃料がスラットのすき間を伝って大量に流れ落ち、右エンジンの熱で発火したとみられる。海外のボーイング737で今回と同じ個所のナットが外れるトラブルが過去に2件あり、内一件でタンクが破れ燃料が漏れた事例があり、ボーイング社は2005年12月、各国航空会社に点検を勧める技術情報を送っていた。今回の事故を受けて、ボーイング社がより強制的な点検指示を出すべきだったかどうかも検討する。国交省は23日、同じ構造の機体を持つ日航、全日空、スカイマークの3社に、ボルトの取り付け状態を確認するよう耐空性改善通報(TCD)を出した。
2007.08.24
コメント(1)
新潟中越沖地震で東京電力・柏崎刈羽原子力発電所が予想を越えた被害を受けたことが報じられ、発電所設置基準で最も厳しいとされる「原子力発電所の安全性」が、再び疑問視されることとなった。想定された地震加速度273ガル(cm/sec2)に対して、今回680ガルと2.5倍を記録したとの報道がなされている。その結果、放射性物質が海水にも大気にも排出されてしまったと言うことだが、危機管理設計の不備だったのだと推断している。自然現象は常として予想外のことが起きることを想定し、2次被害を防ぐ対策が講じられていないことが今回明らかとなったのが悔しい。例えば、冷却水配管での漏洩が発生した場合にも定められた局所に集中させ、拡散を防ぐ措置を講ずることがそんなに困難でも追加費用を要することでも無いと思われるのだ。大気への放射性物質排出も水配管接手から漏れに起因することは間違い無さそうだ。近年、原子力発電のライフサイクル発電コスト(発電単価)が、火力発電に比べ高いことが議論されることで種々コストダウンが検討されて来たのだが、コストアップとなる2次被害安全対策(多重防護設計思想)が「蔑(ないがしろ)」にされて来たのだと懸念せざるを得ない。経済産業省 原子力安全・保安院原子力安全広報課原子力発電所では、基本的に放射性物質を閉じこめる構造とした上で、異常な事態や事故の発生を防止することはもちろんのこと、仮に事故が発生したとしてもその拡大を防止し、さらに周辺環境への放射性物質の放出を防ぐ対策を講じています。このような対策を多重防護の設計とよび、それぞれの段階において様々な対策を講じています。又、原子力発電所では、機器の製造や据え付けなどが設計どおりに行われていることを確認するため、建設途中で多くの試験や検査を行っています。運転を開始した後も日常的にこれらの機器の点検を行うとともに、法律に基づき約1年に1回原子炉を止めて、これらの機器の分解点検を行うなど、綿密かつ膨大な点検や検査を行っており、万一異常や故障が発見された場合は、直ちに補修や部品の取替を行っています。
2007.07.18
コメント(4)
フジテック・エレベーターの強度不足問題ではつくづく日本製造業の技術力低下を実感しました。技術力は組織の総合力によって支えられ、設計、製造、購買、営業の各部門がベクトルを合わせて良い製品を造り上げることにあると言っても良い。何らかの変更が余儀なくされた時は、各部門が連携をとってより良い製品への設計変更・次善の策を模索する方法が長い間培われて来たのです。その中でも、設計部門においては担当者の考えがOJTで上司からダブルチェック・トリプルチェックされ、設計組織全体の責任として他部門に展開されたのです。強度部材用のSS400に比べ、板金プレート部材のSPHCは強度的に30%劣るのに、見過ごされたミスは信じられません。今回の強度不足問題は、購買と設計の連携不足にあると言っても間違い無く、担当者の「少しでも安価な鋼材でも良い」と判断したことにありそうだ。人間個人の考え方には限界があり、総合的組織判断力に委ねる必要があるのだが、今回は欠落していたと断ぜざるを得ません。売上高・利益率至上主義の蔓延で、部門内のOJTもままならず、又部門間の連携が破壊され、日本製造業の技術力低下は加速度的に低下しているのだと危惧しています。SS400 一般構造用圧延鋼材(JIS G3101)SS(Structural Steel)400:最小引張強さ400N/mm2用途 車両、建築、橋梁、船舶等の強度部材SPHC 熱間圧延軟鋼及び鋼帯(JIS G3131)SPHC(Steel Plate Hot Commercial):最小引張強さ270N/mm2用途 大型キャビネット、各種機械部品のプレート部材しかし、「プレート部材を強度部材に使用するとは!」、品質管理でISO9000規格をどうのこうのと言う前に、基本的技術判断力に欠けた行為で愕然としてしまいます。
2007.07.17
コメント(2)
この写真は15年ほど前、種子島宇宙センターを訪問した時のもので、向かって右に並んでおられる現地所長にセンター内を案内して貰った時のものです。当時はJAXAでなくNASDAの時代で、ロケットもH-II、3重工が独立に現地事務所を開設し、NASDAをサポートしていました。その前年、H-IIメインエンジンLE-7がエンジン試験場で破損事故を起こしたので、原因究明と対策が検討されている時期でもありました。水素・酸素燃焼では炎温度が3200℃にも達するので、エンジン試験場への影響・被害も心配でした。今ではロケットは改良型のH-IIAとなり、製造責任は三菱重工が全体責任を負う様に変更となりました。やはり受け取り機構のJAXAでなく、製造責任がメーカでなければなりませんので、これは正しい改革だと思っています。現在は国際的に評価される20機連続成功を目指しているのですが、国際競争力を高める為には、一層の品質管理とコストダウンは不可欠だと思っています。今後、情報収集・宇宙科学需要から、年平均3機打ち上げの官需があり、民間・海外からの追加受注を考えますと、少なくとも年4機打ち上げ体制の構築が必要だと思われます。従ってロケット製造だけでなく、打ち上げも民営化して業務移管する方向でロケットビジネスの改革が進められている途上となっています。今後ともJAXA主導で、ロケット製造・打ち上げシステムの仕様改良を行って行く方向ですので、官民の連携を上手く生かして行ければ良いなと思っています。1969年に設立された種子島宇宙センターは、総面積約970万平方メートルにもおよぶ日本最大の宇宙開発施設です。種子島東南端の海岸線に面しており、世界一美しいといわれているロケット打ち上げ射場です。ロケットの組み立てから打ち上げまで、そして衛星の最終チェックからロケットへの搭載までを行っており、我が国のロケットや人工衛星の打ち上げを担う施設です。施設内には、小型ロケット打ち上げ用の「竹崎射場」、日本の主力ロケットであるH-IIAロケット打ち上げを中心とする「大崎射場」があり、その北方には「増田宇宙通信所」「野木レーダ局」、西方に「宇宙ヶ丘レーダステーション」「光学観測所」などの試験設備が整備されています。また、液体ロケットエンジンおよび固体ロケットの地上燃焼試験等を行う開発関連設備も備えています。
2007.04.25
コメント(2)
機関とは駆動機エンジンのことで、外燃機関と内燃機関に大別される。外燃機関は、エンジン内を流れる作動流体が外部加熱器にて燃料熱で温められて高温高圧のガスとして流入し、動力を発生した後、外部環境によって冷却されて初期状態に戻って、再び循環サイクル流体となる。代表的なものとしては水/水蒸気を作動流体とする蒸気タービンがあり、加熱器はボイラーと呼ばれて、今でも広く火力発電所、原子力発電所に多く用いられている。郷愁を誘う蒸気機関車は、往復動の蒸気エンジンで駆動されるが、これも外燃機関である。その他、近頃環境対策に良いとされ、宇宙空間にても採用されているスターリング・エンジンもこの範疇に入る機種である。一方、内燃機関は、大気を吸い込んで高圧状態としてから、燃料熱で直接温められて高温高圧のガスとして流入させ、動力を発生した後は、大気中に排出され、循環することは無い。自動車用ガソリンエンジン、トラック用も多いディーゼルエンジンが、代表的なものであり、航空機用のジェットエンジン/ファンエンジンもこの範疇に入り、近頃はガスタービン火力発電所も従来型火力を駆逐する情勢で、この世の中の駆動機として用途が極めて広い。1960年代まで、日本の造船業での主力エンジンであった蒸気タービンは、残念ながら熱効率の観点からディーゼルエンジンに取って替わられ、その設計・製造部門は廃止となってしまっている。其処から派生発展した航空機用ジェットエンジンが主力機種となっているが、陸舶用ガスタービンはジェットエンジンの下部組織として編入されエンジン製造工場を持てなくなっているのは寂しい。今でも現代技術の中核として考えられ、重工他社の後塵を拝しているのは悔しい限りだ。機関設計OB会は、長年、江東区豊洲地区で外燃機関と内燃機関設計・製造を担当したOBの集いとなっていて、日本のエンジン技術をリードした猛者が多い。従って、独自のエンジン製造工場を持てないでいる現在の会社状況を考えると、切磋扼腕するOBが多いのも頷ける。重工各社は、1960年代とは異なり工学系学生の人気ランキングからも外れつつあり、有能な後継者が育たないと言われているのも、世相が変化しているとは言え、先人としてはとても残念だ。しかし世の中、全業種で「全てマニュアル通り」が会社方針となり、技術裏付けが希薄なコストダウンが主流、損傷対策・事故対策は後手に回ったことで、ガスストーブ・湯沸かし器の中毒事故等が頻発していると思われるのは、結局何か大切なものを失っていることなのだ。OB会で先輩後輩と話をしつつ、在籍した会社の、延いては日本の技術レベルの低下を、ひしひしと感じざるを得なかったのが現実でした。
2007.03.11
コメント(3)
工学の世界では、実際の現象を実験室規模でシミュレーションして再現しながら解析し、改良に適用することが重要であるとされている。それぞれの解析目的で種々提案されていて、代表例として次の様な無次元数がある。レイノルズ(Re)数(流体における慣性と粘性の比率。流体解析に必須) マッハ数(物体の速度と音速の比率。高速流体解析に必須) プラントル(Pr)数(熱輸送と運動量輸送の比率。熱流体解析に必須)ヌセルト(Nu)数(熱輸送における熱伝達と熱伝導の比率。伝熱解析に必須)ビオ数(熱輸送における熱伝達と固体側の熱伝導の比率。伝熱解析に必須)レーリー数(流体層の温度勾配を無次元化した量。熱対流解析に必須)グラスホフ数(自然対流の強さを判断する無次元数。熱対流解析に必須)リチャードソン数(密度が層状変化する境界層流れの不安定性。気象力学に必須)逆に複数の現象比較を行う際には、スケールの違いなどの影響を除くために、計測結果などを無次元化して、無次元数で比較を行うことが妥当と考えられる。流体力学の分野で多く用いられるレイノルズ(Re)数は、代表長さ[長さの次元]、代表速度[速さの次元]、動粘性係数[粘性/密度の次元]の値を用いて求められ、流れ場の状態を表す無次元数となり、応用性が広い無次元数の代表格とされている。上記のグラフは円管内流れ場におけるRe数と流体摩擦損失無次元数との関係を表したもので、上下水の水道管、ガス管等の大きさ設定の妥当性に用いられる。即ち、水、石油、各種溶液等の液琉体、空気、天然ガス、各種ガス等のガス流体を流送する場合に、適切な口径と摩擦抵抗に見合うポンプ・圧縮機の所要動力が設定されるのである。しかも、このRe数は只者ではなく、高温流体が流れる際には、円管内からの熱伝達が問題になって来るのだが、Nu= 0.023Re^0.8Pr^0.33として、プラントル(Pr)数を併用して熱流解析にも使われる優れものなのだ。レイノルズ(Re)数は、交通機関媒体を設計するにも有用な無次元数で、設計には欠かせないものとなっている。例えば、航空機・自動車を設計する際に、実際の媒体と模型について、このレイノルズ数が同じであれば、媒体周りの空気の流れは相似となりサイズは異なっても本質的には同じ現象と考えることが出来るのである。乗用車であれば大きさは数メートルなので、実際媒体で風洞試験を行い、流体抵抗を実測することが出来そうに思われる。しかしながら、航空機となると数十から百mを超える大きさになるので、小さな模型を用いてレイノルズ(Re)数が同一となる様に試験して、設計是非を検討することが必須になる。結果は所要エンジン動力大きさに直結するので、極めて重要な試験解析となるのである。近年コンピュータによるCFD解析で解析出来そうに思われるのだが、Re数が異なればその解析は用を為さないので、どうしてもRe数を同一にしたシミュレーション風洞試験を実施しなければならない。小さな模型試験で、レイノルズ(Re)数を合わせるには、風洞の高圧化・極低温化など種々方法が考えられるが、いずれも詳細な工学検討と多大な設備投資が必要となる。この実際動向については種々あるが、多大な設備投資が必要で、国家もしくは多国間プロジェクトで推進されている例が多い。この件については、いずれ又、次の機会を得て論じたいと思っています。
2007.02.27
コメント(0)
都心から南に1000km離れた小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」とも呼ばれ、特異な動植物形態を形成していることで知られています。しかしアクセスは、小笠原諸島へは東京港から25時間半掛かる定期船のみで、救急患者の搬送は海上自衛隊の飛行艇に頼っているのが現状となっている様です。環境保護問題で空港開設が白紙撤回となってからは、国主導で開発した超高速船テクノスーパーライナー(TSL)就航が脚光を浴び推進されて来ましたが、原油高などで大幅な赤字が見込まれ、就航直前の昨秋取り止めとなってしまいました。最近、何故かこのTSL検討再開がニュースとなっていますが、国と都の攻めぎ合いにしか見えないのが残念です。都は定期航空路を開設する為、具体的な実施手順などを盛り込むことを決めた。航空路開設への約2300人村民の合意を得た上で、都と村が協議会を設置、村民に加え航空関係者や環境保護の専門家らから意見を聞く会議を今年度中に実施し、建設予定地を固める。現段階では都が設置・管理する第3種空港として、旧日本軍の飛行場があった父島西部の洲崎地区に設置する案が有力とみられる。これに対して国交省は、超高速船「テクノスーパーライナー」(TSL)の小笠原航路就航を再検討すると表明、TSL就航を都と再検討することで合意し、国交省と都が協議会を設置することに合意したことを明かにしたと報じられた。しかし、この合意も国交省の一方的な発表で、石原都知事は「正式な協議会をつくる必要は無く、担当者が話し合えばいい」と語り、隔たりを見せている。石原都知事は9月22日の記者会見で、年間約30億円の赤字が見込まれるなどの問題点を挙げて「すぐに結論は出ない、財政的に国がどこまで金を出すか。長期的に出資を続ける意思があるかだ」と語り、就航は困難との見解を示している。昨年は赤字20億円と発表されていたのですが、今年の更なる原油高騰で赤字幅が増大した様です。TSLはホーバークラフトのように船体を空気圧で浮上させる方式で、推進主機が軽量小型ガスタービンですのでディーゼルと違って燃料として高価な軽油だけしか使えないと言うのが主原因です。物流的には航空路より海上航路の方が圧倒的に有利で、運賃も空路に比べて半額と考えられますので、都と村が設置する協議会内でも、国と都の攻めぎ合いでなく環境影響の少ない代替案として比較検討を続けて貰いたいものだと思っています。テクノスーパーライナー(TSL)は1000トンの荷物を積んで、50ノット(時速約93km)のスピードで500海里(約930km)の距離を航行するという構想で、平成元年度(1989年)にスタートした国家プロジェクトとして推進された研究開発で、トラック100台分の貨物を海上輸送することで、安価な輸送費と道路渋滞を解決出来ると言うのがプロジェクトの売りでした。平成6年度から駿河湾で防災船兼カーフェリー「飛翔」の総合実験が実施され、開発目標がほぼ達成されたとし、小笠原TSLが建造され、2005年11月に実船就航されるとして注目を集めていたのです。しかし石油価格高騰で、当初予想された経済性が得られず、補助金無しには実船就航が難しい状況となり、事態は暗転してしまいました。推進主機が軽量小型ガスタービンですのでディーゼルと違って燃料として重油が使用できず、高価な軽油だけしか使えないと言うのが主原因でした。プロジェクトを始めた時点では石油価格は20ドル/bbl程度、推進中は14~15ドル/bbl迄低下していたのですが、中国経済の躍進で石油需要が一挙に高まり、50ドル/bblを越えてしまい、リスクヘッジの限界を超えてしまった様です。小笠原航路の様な観光主体航路では高価な貨物輸送が少なく、商業的には難しいかも知れません。
2006.10.16
コメント(2)
天然ガスから生産されるGTL (Gas to Liquids)は無色透明で、汚染物質の多い原油に較べて硫黄も不純物金属を含まず、大気汚染対策には格好の合成石油だ。原油価格高騰を背景に、今後GTL製造プラント建設が加速するものと思われる。天然ガスを原料に灯軽油などを生産する技術であるGTL (Gas to Liquids)は、不純物を含まない製品製造、天然ガスの利用分野拡大の面で石油メジャーが注力している分野でもある。日揮(JGC)、千代田化工建設(CCEC)等が、シェル/カタールの大型GTLプラントでエンジニアリング契約、又、重工メーカもハード機器の供給契約を受注しており、日本勢もこの分野では重要な役割を果たしつつある。昨年のニュース記事では次の様に紹介していた。カタールのラスラファン市でGTLプラントの建設が進んでいる。これまでに200億ドル程がつぎ込まれ、嘗て無い大規模プラント群が建設されつつある。投資企業は、石油メジャーのシェル、エクソンモービル、シェブロンテキサコ等が名を連ね、中でもエクソンモービルはこのGTL技術に70億ドルを投じている。2011年迄にカタールのプラント群は30万バレル/日の液化燃料を生産する予定だ。現時点で最大規模のGTLプラントは、マレーシアでのシェル工場内にあるが、生産量は1万4700バレル/日にとどまっている。GTL燃料は1920年代にドイツで開発された「石炭液化」の製造法(Fischer-Tropsch法)を元にしている。南アはFT法によるSasolプラントで石炭の間接液化でガソリンを製造している唯一の国でもある。カタール液化ガス社では、「日本、カナダ、韓国、ヨーロッパ、米国からも関心が寄せられている」としている。米国は京都議定書署名を拒んだものの、各州では排気量抑制基準を設け、精製業者がクリーンなディーゼル油を供給するよう後押ししている。硫黄を含有するディーゼル油では、エンジンの硫黄酸化物・浮遊粉塵排出等による心臓や肺の疾患で、米国では年間1万人もの人が死亡していると言う事情もある様だ。しかし、GTL燃料の需要はそれほど伸びないと指摘する声もある。「燃料への混合剤として重要な役割を担うだろうが、原油に対抗するというのは誇張しすぎだ。ある程度は原油の使用量も減るだろうが、現状を大きく変えることはないだろう」と言うのだ。シェルでは既にGTL燃料をタイ、オランダ、ギリシャ、ドイツで販売中、従来のディーゼル燃料よりも若干高価だ。南アフリカとアメリカ企業が共同設立し、カタール第1号となるGTLプラントを49%保有するサソール・シェブロン社では、2006年GTLディーゼル燃料で市場に打って出る予定だ。カタールでは2011年迄に3つの事業を立ち上げ、天然ガスを30万バレル/日以上の合成油が製造出来る様にプロジェクト推進中であるが、この生産量では現在の石油ベースのディーゼル油市場--1300万バレル/日--を切り崩すことにはならないが、将来の展望はいくらか開けるだろう。GTL燃料は安価な天然ガスを原料にして大量生産されれば、採算面でも問題はないと言う。増して、原油価格が1バレル50ドルを越える現状では、大きな利益を生産者にもたらす。エクソンモービルは2011年までに15万5000バレル/日の生産を目指しているとされ、「カタールに巨費を投じて来たし、今後もさらに投資していくつもりで、エクソンの投資先200ヵ国の内、カタールは今後10年内にはトップ投資国の1つになる」としている。又、一方の石油メジャーの雄シェルでも、原油が20ドルに下落してもまだ利益が出ると試算している様だ。
2006.10.02
コメント(2)
全199件 (199件中 101-150件目)