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カテゴリ: 日々の旅






 日常生活の中で、まったく予期せず、「ふと」意識の中に浮かび上がって来る一種の ひらめき 、のようなものは誰だって経験するものである。つまり、 この時 をつかめという事だ。ある作家がこれを称して、「わがU・F・O」と言っていた。確かにそれは、ある日突然、「ふと」やって来るもので、確認飛行物体(I・F・O)ではない。僕はこれを「無意識からのメッセージ」とでも呼びたい。つまり、日常生活で自分を見失っている度合いが増して来ると、無意識の世界から、そういう警告がやって来るのだと、秘かに信じているのである。

   ――― アナタニハ、
         タビガヒツヨウデス ――― と、

これ が来た時に、その 思い に身を委ねてみてはどうか、という事である。
 そうした時、旅はすでに始まっている。つまり、この「ふと」が、日常から旅へと導く重要な橋であると言いたいのである。この橋がなんらかの原因で通行不能になった時すでに、「悪い状態の日常(悪旅をまねく日常)」に落ち入っている。その時人は、それに気付いていないのだが、やがて、あの ズレ がしだいに大きくなり、それに気付かざるを得なくなり「悪旅」がやって来る。そしてこん度は、自己を見つめなければと、逆に意識をとがらせて日常生活の重要さを忘れてしまい、自己に収縮してしまう。さらに深みに はまっ ていく。どちらにせよ、旅と日常を切り離した時に、狂って来たのである。

 ここに至って、 日常 とが二つの別のものとしてはとらえられなくなって来る。すなわちこの二つは、「生」というものが<旅⇔日常>という回路を息づく場合の形式なのである。だから絶えずその間を行き来していなければ病気になってしまうのである。これが「悪旅」である。そして、そのリズムがスムースに行なわれている場合、<楽旅⇔良い状態の日常>という回路が成立している。この時、「旅→日常」の作用を「慣れ」が行なうとすれば、「日常→旅」が「ふと」なのである。そして、今の僕達にとって、この「 ふと 」をどうつかむか?という問題は、非常に重要な事ではないのだろうか?

ふと・慣れ

 さて、この「ふと」自体は何でもない事である。単なる気紛れだとしてそのまま放ってしまえば、消え去っていくような事である。それに身を委ねてみなければどうしようもないのである。その時始めて、旅が始まるのである。身を委ねる。すなわち、その思いもままに やっ てみる事。あるいは、考えてみるだけでも良い。しかし、これが実は困難な事なのである。――日常生活で慣らされてしまっている「身体」、「頭」に取っては。時間とお金が充分あったとしても、である。
 つまり問題は、感受性と、頭(考え方)と、それに伴う身体なのであるから。先ずは、それを感じなければ話にならず、次に、気紛れ、雑念として、良く考えもせず打ち消してしまえばそれまでで、又、怠惰によっても始まらない。
 要は、感受性を豊かに、頭を柔軟に、身体を軽くしておけば、必ず楽旅が「ふと」おとずれるだろう。そしてきっと、 あの 喜びを体験出来る。

 ――― 明日何が起こるかわからないからおもしろいんだ。
     いつも、今日はどんな出会いがあるのかしら、
     と思って部屋を出るの。…etc.       ―――

 このような感慨も、出所は ここ に在るのである。すなわち、「生」の喜びである。実際、一瞬先の事すらわからない。わからないながら、絶えず動いている。これが、「生」である。
 そして、「ふと」をつかむ、という事は、僕達にとって、この「生」を取り戻そうとする運動に、他ならない。

 さて、冒頭の逃避行を遂行出来ずまま、この も終わりに近づいて来た。胃の具合も良くなって来た所で、華麗なる終止符を。

BON! VOYAGE.

        『 なにかを思いついても、
          それを十分以内に
          実行に移さなければ、
          そいつは夢の世界に
          消え去ってしまう。  』

              <バックミンスター・フラー>


           Copyright(C) 1976 HOKUSUI-SHA All Rights Reserved.



 完結編です。一つの文章を3日に分けて掲載しました。これは、大学時代に友人達と3人で作った同人誌で発表したものです。名前を『Rooling Game』(ろおりんぐげえむ)と言います。その3号からの転載です。1976年12月22日発刊。「完全不定期刊行物」と但し書きがあります。1975年からスタートして、この3号で止まったままです。でもまあ、完全不定期ですから、また何時、続刊されるか分かりませんが(笑)。
 文中の作家さんは、藤本儀一さんです。バックミンスター・フラーは、言わずと知れた奇才の建築家・宇宙論者ですね。この言葉は、当時の『雑誌:宝島』のスクラップから引用したものです。
 色が変わっている箇所は、ルビに黒丸が付いていた文字です。(その1)(その2)も、同様に編集し直そうと思います。


ローリング・ゲーム




 さて、今日はこれから地域ボランティアと仕事です。東京は、曇り空ですがおだやかな昼下がりです。自転車で行こうか、車にしようか迷っています。
 まあ、なんとかなるさ~。 
 「ふと」したタイミングを頼りに動きたいと思うわたしです。





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Last updated  2007/05/21 10:50:06 AM
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