今回の修理は、「 PIONEER XR-P760FG CDチェンジャー搭載ミニコンポ(発売日:1996年) 」だ。CD25+1のCDチェンジャーと、ダブルTAPEを搭載したゴージャスなミニコンポだ。 こんな多機能ミニコンポは、今時販売されていない。コレクターには、貴重な一台だ。
[ PIONEER XR-P760FG CDチェンジャー搭載ミニコンポ
]
既にメーカー修理を3度も経験しており、4度目は断られ、当方に依頼を頂いた。修理は結果的に予想を超える、かなりの大手術となった。
■主な故障と原因
■修理
大事に使用されていた個体ではあるが、使用頻度が高く、古いため、各所の劣化が著しい。このため、主な故障箇所だけでも上記のように多数にのぼった。
まずは分解に手こずった。CDチェンジャー部を取り外すのに、かなり頭と日数を費やした。
CDラックの右側ヒンジと連動するリンクアームを外すことが分解の肝だった。分かってしまえばなんと言うことはない。
CDチェンジャー部とCDスロットインユニットが取り外せれば、前面パネルに設置されたダブルTAPEユニットは、簡単に取り外せる。
TAPEはパイオニア独自メカで、なんとゴムベルトが5本も使用されていた。これを交換しないことにはTAPEの点検すらできないので、思い切って交換。かなり交換し難い構造で、難儀した。
TAPE-2はゴムベルト2本、TAPE-1は3本だ。駆動モーターは1個を双方で共有する。
ゴムベルトを交換し、手回しで動作確認すると、案の定TAPE-1の状態が切り替わらない。
TAPEユニットを分解して確認したところ、 状態切り替え用のバネが外れていた。これを正常位置に戻して復旧。
内部プラスチック固定部の破損も多数あった。最も顕著だったのは、DC-DC変換用電源ユニットのブラスチック製廃熱口だ。この廃熱口は、同ユニットを固定する役割も担っている。これが、ブラスチックの経年劣化により破損。
熱融着と耐熱絶縁テープで補強補修した。
自走式CD取り込みユニット。汚れはあるが不具合はなく、クリーニングのみ。CDスロットインユニットも駆動系と検知センサー系を中心にクリーニング。
中に収められていたCDユニットを取り出すと、これを支持する防振ゴムが全て劣化破損し、同ユニットは脱落していた。これがCD系全ての不具合の原因となっていた。
この防振ゴムは既に入手不可。手持在庫から最も近い代替品を見繕って交換し、何とか復旧。因みにCDピックアップは「PIONEER CMK-54XT
(違うことが判明 → AEA7004)」だった。一度交換されたのか、まったく問題はなかった。
半田付け部の劣化も、全ての基板に及んだ。この年代にしては多くはなかった。
その他もろもろの修理を行い何とか無事に復旧できた。しかし、 この類の機種が無事に修理できることは、劣化度合と交換部品の入手性から見て、かなり稀だろう。
結局、全ての修理を完了するのに、2週間以上を費やす大修理となとなった。
かなり疲れたので、この類の機種の修理は、しばらく遠慮させて頂くことにしよう。
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