今回の修理は、「 CASIO MDH-5 MDラジカセ(おそらく発売日:1999年) 」だ。市場のMD浸透に合わせた普及価格帯の一台だ。とは言え、それなりのスピーカーユニットを搭載しており、最近のラジカセと比べれば、音はすこぶる良い。
[CASIO MDH-5 MDラジカセ]
普及機らしく、ファンクション(CDやラジオなどの)切替は手動で、ラジオもアナログ式だ。
長い間大切に使ってきたので修理できないかと相談を頂き、修理させて頂いた一台だ。 流通数が少なく、初めて修理する機種だ。
■主な故障と原因
■修理
機能が少ない分、分解は比較的容易だ。
多くのスイッチが動作しないか誤動作するので、点検前に押下式スイッチを全交換した。
操作できるようになったので、点検を再開。MDレンズのクリーニングで再生は復旧したが、録音は以前できない。 この状況から、MD光ピックアップの劣化が原因とあたりを付け、その交換を試みる。
再度分解し、MDユニットを取外す。
MDユニットを分解し内部を確認。MDメカはカシオのオリジナル。MD光ピックアップは「SONY KMS-260B」、ATRAC ICは「Panasonic MN66614R4C1」だ。
MD光ピックアップを交換してみる。
これを交換した場合、個別調整が必要となる。しかし、当該機もご多分に漏れず、整備マニュアルが入手できない。調整しなくても問題ない場合もあるため、これを期待し、確認。
結果、録音はできたが、数箇所に音跳びがあった。やはり未調整が影響しているようだ。今回は、個別調整を割愛できないと判断した。
改めて整備マニュアルを精査すると、「ZD-3」の機種名で英語版を発見した(ただし、各所微妙に異なる)。
早速、MDの調整方法を確認したところ、「現場ではできない。工場の専用マシンで行え」の記載を発見。仕方なくMDピックアップの交換を断念した。
メーカーが当初より工場以外でのMD修理をしない方針は、初めての経験だ。更に調べると、カシオの他機種も同様のようだ(まいったなぁ)。
幸い、手元にあったカシオの別機種のMDユニットを整備したところ、これが正常に動作したため、MDユニットごと交換を行い、修理を完了できた。
[取外して点検中のMD制御基板]
一方のCDは、特段の不具合は無く、全体をクリーニング。
CD光ピックアップは、これも初見の「SONY KSS-880A」だ。国内はもちろん、海外からの入手も困難なレアパーツだ。
CD扉の開閉不良は、開閉機構の整備で復旧した。その他各部のクリーニング、組戻し、点検を行う。動作確認と修理後のエージングを実施し、作業完了。
今回は、何度も分解と組戻しを行ったため、かなりの日数を要してしまった。手を動かす事は簡単だが、やはり事前の調査が大切だ。かつ、定石は最善の道程。これらを再認識した修理となった。
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