「地域に開かれた学校」はもはや当たり前になってきました。
「学校」は近隣住民の理解や協力があってこその存在です。
それが子どもたちのためにもなり、教職員のためにもなる。
そんな実例がてんこ盛りの本を紹介します。
『学校力UP!明日からできる地域連携30のアイデア』
、日本標準、2011、1500円)
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【目次】(「BOOK」データベースより)
初級編 校長裁量で明日からできる連携アイデア
( ポケットガーデン
ー校内敷地での造園ボランティアを募集
/ 犬の散歩をする人と仲良くなる
ー防犯係の「準レギュラー」に
/ 米づくり協力隊の協力員
ー学校農園の農作業をサポート ほか)
/中級編 保護者&地域の参画を促す連携アイデア
( 遊びの玉手箱
ー休み時間に地域のサークル活動と連携
/ 子どもの才能発掘審査員制度
ー美術の「プロ」が作品の見方を指南
/ 公開行事の大幅拡大
ー見せて困る行事はほとんどない ほか)
/上級編 学校&地域双方の活性化を促す連携アイデア
( 軒先美術館
ー商店の軒先に子どもの作品を展示
/ 逆上がりができるぞ教室
ー一度できたら「一生もの」のスキル
/ 子ども郵便屋さん
ー近隣のお年寄りに「学校便り」をお届け ほか)
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著者の、校長時代の実践記録によるものですが、
校長でなくても実施できるものもあり、
「学校関係者」なら、参考になると思います。
学校と地域の具体的な連携アイデアが分かりやすく紹介されています。
商店の軒先に子どもの絵を飾ってもらうようにイーゼルごと貸し出す、
「ポケットガーデン」として校内敷地での造園ボランティアを募集、
長期休業期間中の図書室を開放、等々。
著者が「難しくない」とおっしゃる通り、実現の難易度は低いものが多いです。
「うちの学校でもできそうかな」「やってみようかな」と思えるものが、
きっと見つかります。
本の構成は、1アイデア3ページとコンパクトにまとめられてあり、読みやすいです。
すぐに読めちゃいますよ。(^^)
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『学校力UP!明日からできる地域連携30のアイデア』
(・以降の 太字
は本の内容。かなり部分的に抜粋しています。
顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)
・大上段に構えて取り組むより、
「ちょっとやってみようか」と軽い気持ちで始めたほうが、うまくいく。
☆ 「校舎のユニバーサルデザイン化」
・ 階段の踊り場に、ちょっとした休憩所を設ける
などすると、
ふざけて駆け下りたり、後ろから押したりする子どもが減る
。
ちょっとした工夫で、子どもを叱らなくてもよくなるものですね。
☆ 環境整備は 「ビフォー」と「アフター」の差を
・意図的に「ビフォー」と「アフター」の差をつける。
↓
自分たちが役に立っているという実感
(それを演出するのが、校長の役割)
・たとえば、除草は一日で終わらせず、
草を刈ったところとこれからの所をしばらく残しておき、
「作業中」の立て札を立てたり、
ペンキ塗りも同様に「ペンキ塗りたて」の表示を当分出したままにしたり。
・活動の実績を宣伝・広報する上でも大切。
☆
「遊びの玉手箱」
休み時間に 地域のサークル活動と連携
・週に1回、休み時間に
地域でサークル活動をしている方々に来ていただき、
子どもたちと一緒に遊んでもらう。
・遊びの内容は、ゲートボールやスポーツチャンバラ、
ソフトバレーボール、竹馬、切り絵など。
・休み時間に入ると、子どもたちは一目散に希望する遊びに場所へ行き、
その遊びに没頭する。
・地域の方々と一緒に遊んでいただく中で、
子どもたちはいつの間にか
学年や性別の垣根を越え、友達の輪を広げていく
。
異学年交流とか男女が共に遊ぶこととか、とても大事だと思います。
それが自然にできるように仕掛けていくのは、学校としての仕組みづくりの
アイデア次第のところがありますね。
いわゆる「縦割り班」で1~6年生が混合で遊ぶ取り組みは
わりとしている学校があるのですが、
教職員ではなく地域の大人が入るというのは、
教職員にとっても負担軽減化につながり、いいのではないでしょうか。
外国だと、教員の専門性は「授業」にある、と割り切っているところも多いようで、
遊びや生活面でかかわるのは担任とか教員よりも他の人をもっと活用すればどうか、
というのは、今後の日本の教育体制に与える重要な示唆だと思います。
☆ 「 お年寄りによる校内散歩 」
・子どもに「社会性」や「社交性」を身につけさせる上で、
教師以外の大人と会話する機会は多ければ多いほどよい。
・お年寄りにとっても、子どもたちに囲まれての散歩は楽しいもの。
また、階段を昇降することで足腰が鍛えられ、健康増進にもなる。
☆
「下校時刻のきっかりタイム」
街ぐるみ防犯
の基礎固め
・子どもたちを「きっかり」の時刻に集団下校させる取り組み。
・下校時刻が明確になることで、
地域の人たちの「子どもへの目配り」が、校門からの出発時刻を逆算してできる。
・下校時刻までの待機時間は、担任の腕の見せどころ。
子どもたちと一緒に遊んだり、個別指導にあてたりする、
有効な担任裁量の時間となる。
勤務校でも、登下校を地域の方に見守っていただき、
大変助かっています。
この本の取組内容で「なるほど」と思ったのは、
下校時刻までの活用のところです。
各学級の足並みをそろえるためにも、下校時刻までに余裕を持たせておき、
早く下校準備ができた学級は担任裁量で有効活用しておくというのは
いいですね。
☆
「中3チューター制度」
生徒たちに自らの「未来像」を描かせる
・10月~2月、部活動を引退した後の中3生が対象。
・教育委員会から市民に働きかけ、あらゆる分野の専門家に登録してもらった。
・各講座は、「1対1」の個別指導を基本にした。
個別指導の形態をとるのは、
子どもたちに個人としての考えや意見を問い、精神的な自立を促す意味がある。
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僕がぜひやってみたいと思ったのは、
「階段の踊り場に休憩所」でした。
実はこの文言の取り扱いは、いろいろなアイデアの中に埋もれるように
さりげなく書いてあっただけなのですが、
僕は「こういうのがステキだなー」と思ったのでした。(^^)
地域によっては合わないアイデアもあると思いますが、逆にぴったりくるアイデアもあるのでは。
学校は子どもたちの財産であり、地域の財産です。
より輝いていくための工夫は、積極的にやっていきたいものです。
昨今、学校の「学力」ばかりが声高に叫ばれているような気がしますが、
直接的に子どもたちに「学力」をつけることよりも、
実は環境整備や「外堀を埋める」的なことのほうが、大事かもしれません。
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