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2022.03.30
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いばらの奥に宝は眠る


男は傷つきながら
道を進む

宝のために
いばらを傷つけることもせずに

人々は
いばらの奥に棲む龍に
彼を差し出した

人々の平和のために

彼の休息に
梟が鳴いていた

彼のために
友が泣いていた

旅の途中
男の行く手は
絡み合ったいばらによって
完全に閉ざされた

胸の底へ
暗闇が沈んでいき
長いあいだ
夜の冷たさに身を委ねた

バサバサッ

彼方から聞こえる
鳥の羽ばたき

幼いころ
手当てした鳥の
故郷を飛び立っていった姿が
胸の底からよみがえる

男はふたたび身を起こすと
いばらの壁を登りだした

登っては落ちる

いばらの向こうに覗く夜空は
限りなく遠かったけれど
限りなく美しかったので

落ちては登る

鳥が
薬草を咥え
舞い戻ってきた

いばらの棘が
星々を宿し
光瞬くたび
やわらかにほどけ

夜明けとともに
いばらの道は開かれた

その先で
彼が龍と出会い
宝を手に入れるまでの
真実は誰も知らない

やがて
人々は彼を忘れた

たった一人の
老いた男を忘れることで
人々に平和が訪れた

星が流れ

産声があがり

いつか語られる

龍を退治した曾祖父の物語

本当に孤独な夜に
本当に独りではなかったことを
思い出しながら


薬草で手当てしてやった
龍とともに










◆ネット詩誌 MY DEAR にて いただいた評◆
さやかさん、こんにちは。
素敵なタイトルですね。
ついついいばら姫を思い出したのですが、
こちらはいばらの奥にある宝物を勇者が取りに行くという
少しゲームのお話しのような設定になっているようです。
って思うんだけど、すごく美しい物語で、表現もすてきですね。
佳作一歩手前です。
こちら、秋さんこんなに素敵な構成で表現なんだけど、

勇者は勇者であるのですが、彼でもいいし、男でもいいはず。
表現のアプローチを少し変えるほうがいいかなと思います。
なぜなら、勇者っていう言葉がどうしてもゲームとか
ファンタジーとか、彷彿とさせてしまい、そのことが邪魔をするように
感じるからです。ぜひご一考ください。





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最終更新日  2022.08.12 20:05:14
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