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愛車である2011年式のライトウェイ・ソノマにブロックタイヤを履かせてみた。

太めのロードタイヤのままでもある程度未舗装路を進むことはできたし、
舗装路ではそれはもう当然のことながら快適だったわけだけれど。
期間にして二年と少しはこのツアラープラスを履いていて、このタイヤしか知らないと言っても過言ではなかった。
購入時に付いていたケンダのタイヤの乗り心地なんてものは、とうの昔に忘れてしまっていた。

空気圧表示の限界近くまで空気を入れたゴーガノのブロックタイヤの乗り心地は、それはもう酷かった。
いや、太いブロックタイヤなんてモノはある程度空気圧を低くして乗るものなんだろうけど、
ロードタイヤから乗り換えたばかりなのでとりあえず限界まで入れた。


試しに多摩湖の周辺を走ってみた。
未舗装路にたどり着くまでのアスファルト部分は正直苦行でしかなかった。
低い空気圧による衝撃の吸収、なんてのはあまり信じなかった。馬鹿だから。
結局帰りに何度も自転車を止めて空気を抜くことになる。タイヤを押して、具合をみる。

多摩湖の軽い未舗装路は、スギノのクランクに付いていたチェーンリングを留めるボルトを食べてしまった。
ミドルとインナーにいきなり変速ができなくなり、チェーンが内側に落ちる。
アウターとミドルのチェーンリングを手で揺すると、少しぐらつくようになってしまった。
仕方がないので唯一使えるアウターに入れて、なるべくトルクをかけないようにゆっくり帰ることにした。
トレイルと呼ぶまでもない道の洗礼であった。

東君はショッピングセンターの中にあるアウトドアショップのアルバイトだ。
大学の三年生で、深谷ダボスのランドナーと東叡社のスポルティーフを嗜み、旅情を愛する青年だ。

僕と同い年で、ミヤタのリッジランナーをドロップハンドル化したツーリング車を駆る、アツい男だ。
まだそれぞれ二回しか会ったことはないが、二人とも「自転車」で「旅」や「冒険」をすることについて一つの柱ともいうべき方針を持って、この世界を楽しんでいるということが会話やツイッターを通してひしひしと伝わってくる。分かる。
ロマンだ。自転車で旅をするというのは、ロマンだ。素晴らしい。生きているという事を肌で感じながら、自分の脚で橋や山、地平線に向かって、それを越えて、言葉に出来ないような景色を眺め、日々感動しながら、ひたすら進む。

僕もそういう感覚が好きで、それが楽しくて病みつきになって、旅をしたいと言いながら日常を過ごしている。
でも、結局のところどうなんだろう。



死んだ感性で見る景色は、二人が見ている景色と同じとは思えない。
好きなように好きなところへ行って、好きなように感じれば良い。確かにその通りだ。競争でもコンテストでもあるまいし。
それでも考えてしまう。例えば石井君のようにオーストラリアの素晴らしい地平線を見ても、僕なんかの程度の感性ではそれを充分に感じ取ることはできないんだろうな、と。
少なくとも高校生までの自分が持っていたような感覚、感性は無いんだろうなと。

同じフィールドで話をして良いんだろうか。
もちろん相手に合わせる必要はない。違う人間なのだから。意識してしまう自分は小さい男だ。
他人の土俵に上がりたがる。そしてわざと負け、勝負しようとしないでヘラヘラと笑って相手を褒める。酷い有様だ。

もう自分は何も、誰かのためにしてやれることはないんじゃなかろうか。
みんなから何かを与えて貰うばかりで、何も与えてやれない。持ってないから当然だ。
与えようとすればするほど、貧しくなる。悪循環。ネガティブというのとはちょっと違う。
与えられると思っていたものは、大学に入って全て失ってしまった。所詮父親の受け売りであった。そんなもんだった。

ボルトの足りないチェーンリングをそろそろと静かに回しながら、家に帰ってきた。
向かい風だったのもあって、たった10km足らずの道のりに1時間ほどもかかってしまった。
必死で嵌めたタイヤを見て虚しくなり、同時に愛車に対して申し訳なく思った。
明日ボルトを締め直して、明後日は本格的な林道を走ってみようと思う。今度は空気圧に気をつけながら。そしたら、元のタイヤに戻しても良いかなと思っている。福田さんとの約束もあるわけだし。

アルゼンチンの話、もう一度読んでから、感想を練っていこう。





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Last updated  2014.01.27 00:13:43


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