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このブログでは以前連邦議会議事堂(The US capitol)を 前編 と 後編 に分けて紹介した。かなり時間が経過してしまったが、記憶を呼び起こしながらスミソニアン最新の博物館について書きたい。
「国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館」(National Museum of African American History and Culture)は2016年9月にオープンした。開館のオープンニングセレモニーには当時大統領だったオバマ大統領も駆けつけ祝辞を述べた。奴隷がアメリカ大陸に連れてこられた経緯から奴隷解放運動、公民権運動、そしてヒップホップカルチャーと非常に充実した展示になっている。他のスミソニアン博物館に比べると小さく見えるが、地下3階、地上4階の巨大な空間が広がっている。ゆっくり展示を楽しみたい人は少なくとも3時間〜4時間くらい確保しておくことをお勧めする。他のスミソニアン博物館同様無料だが、大変人気のある博物館であるためオンライン上で事前の予約が必要となる。入り口でQRコードを係員に見せる必要があるため注意されたい。
地下は主に黒人の1400年〜現代までの歴史の展示、地上の建物は黒人の文化を発信するコミュニティスペースとなっている。
地下の展示:
30名以上は収容できそうな巨大エレベーターに乗リこむと、ドアが閉まりゆっくりと下降する。壁には年号が刻まれており、下に降りていくにつれてその年号が遡っていく。まるでエレベーターがタイムマシーンで下に行くに連れて過去にタイムスリップしている感覚に陥る。エレベーターは1400年の年号になってところで止まった。まさに1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見し、入植者たちが未知の地で開拓を始めた時期である。白人は自由とチャンスを求める冒険者として、黒人は未開の地を整地する労働者としてアメリカの地にやってくる。
地下3階は大航海時代のアメリカの展示が広がっていた。地下3階から地上に向かうに連れて現在に近づいていく展示の仕方になっている。テーマパークさながらの演出に驚いてしまった。生々しい展示に目を覆いたくなるような箇所もあるが、それが黒人が歩んできた歴史であり苦悩でもある。アフリカ系アメリカ人が自由を獲得するために歩み続けてきたレガシーがそこにはある。黒人の子供用の手錠(shackles)や奴隷保有者が奴隷を罰するために使っていたムチ(whips)、奴隷がモノとして扱われ売られた際に発行される売買契約書、厳しい環境に耐えられず逃げ出した奴隷を報じる新聞記事や見つけた者への懸賞金の案内など貴重な展示品の数々がある。人種隔離政策(segregation)の展示からも肌の色の違いによって生じた大きな格差社会を垣間見ることができた。
地上に近づくにつれて、Martin Luther King. Jrや慈善家として活動するOprah Winfrey、アフリカ系アメリカ人初の大統領となったBarack Obama氏が登場する。地上に出ると前面ガラス張りの建物に自然光が差し込んできた。地下の薄暗い展示室から出てきた私にはその光が黒人がこれからの未来に抱く「希望の光」(a glimmer of hope)のようにも見えた。
地上の展示:
地上は主にアメリカで活躍したアフリカ系アメリカ人のスペースとなる。見どころはオリンピックや国内スポーツ(NFLやMLB)で大活躍した黒人選手の展示ある。きっとテレビで見聞きした選手の展示を見つけることができるだろう。選手が使用したスポーツ用品も展示されており、アメリカのスポーツファンにとってはたまらないスペースになっている。
また、二階と三階は常に有名な黒人アーティストによる音楽が流れていて、視覚だけでなく聴覚からもアフリカ系アメリカ人の文化を学べるようになっている。有名黒人アーティストのレコードや音楽楽器の展示もあったので音楽が好きな方にお勧めしたい。地下の展示は薄暗く重厚感があったが、地上の展示は音楽やスポットライトのような照明が設置されており地下とは違うポップな印象を受けた。
ワシントンDCに行かれる予定があれば是非訪問をお勧めしたい。
オープニングセレモニーの一部は こちら
から視聴可能である。
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