やっと映画「クライマーズハイ」を見た。御巣鷹山の航空機墜落事件の報道をめぐって新聞社内部の様々な軋轢、葛藤がとても激しくリアルに表現されていた。女性記者もがんばっていたがほとんど男の仕事場の話としか思えなかった。
全権デスクの悠木(堤 真一)
過去の大事件を象徴する「大久保・連赤」という言葉が何度も出てきて時代を感じさせた。新聞作りの現場における主義・主張、プライドのぶつかり合い、過去の栄光ある実績と現在の安住など新聞社の人間模様は生々しかったが、お互いが歯に衣着せず過激にやりあったりぶつかりあっていく姿は、ねちねちせず、かえって小気味よくすら感じた。 
御巣鷹の墜落現場
また新聞社で仕事する人たちのすさまじい上下関係、家庭や労働環境というものも描かれていて人間ドラマにもなっていた。いつもながら山崎 努の演技には感心した。
堤真一と小澤征らによる谷川岳一の倉沢衝立岩の登攀が回想的に挿入されていた。谷を大きく俯瞰するカメラが衝立岩の登攀に臨場感と高度感を見事に映し出していた。たくさんのカラビナやヌンチャクがカチャカチャと音をたて、ロープが流れ、アブミがひるがえる。そんな登攀シーンを見ていると自分がそこにいるようにドキドキしてしまった。悠木の息子が打ち込んでいったというハーケンに悠木があぶみをやっとかけるシーンには、いつも届かなくて苦労した自分の姿が重なったりもした。


谷川岳一の倉沢出合い 衝立岩の登攀
一つ違和感があったのが、初めに悠木と安西が谷川に行こうとする場面でキスリングを持っていたことである。御巣鷹の事件が起きた当時、ザックは縦型でスマートになりキスリングは縦走でもほとんど見なくなっていたと思う。特に谷川のロッククライミングでキスリングというのは何か特別のこだわりがあったのだろうか。
また、悠木の息子ジュンのことは原作にはあったが、この映画では具体的に登場しない。ジュンが体力の衰えた父のために打ったハーケンや悠木がニュージーランドに会いにいく場面などは映画だけを見た人にはワケがわからなかったと思う。
主役を演じる堤真一が力強くかっこよかった。10月は私も再び谷川岳一の倉沢だ。「さあ、頑張ろう」という気持になった。
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