小川山3日目、最終日は兼ねてより昇ってみたかった烏帽子岩左稜線のマルチに出た。このルートは今から30数年前に既にあったが忘れ去られていたルートを2人のガイドによって再開拓・整備されたものであり、懸垂下降を含めて20ピッチある。小川山のマルチピッチといえば、せいぜい8ピッチ程度なので全20ピッチは小川山最長であることはもちろん、日本最長クラスのマルチピッチになる。
今回はラッキーなことにこのルートを再開拓した一人松原尚之さんにガイドしてもらうという幸運に恵まれた。松原ガイドはもう10回近くもここをガイドしているとのことだった。
朝、7時過ぎ、まず取り付きの烏帽子岩を目指してガレ場を1時間ほど詰める。8時から登攀開始。短いがスラブやクラック系のピッチが次々と登場。3ピッチ目はダブルクラック、5ピッチ目からはリッジ上の登攀となる。高度感抜群で最高に快適だった。
紅葉を見下ろしながら最高の登攀


11ピッチ目の両側が切れ落ちたリッジはスリル満点だった。風が吹くとかなり怖いだろう。なおもルートを進めると、13ピッチ目に10mの美しいハンドクラックが出てくる。ここできちんとしたクラック昇りが必要になる。ハンドジャム、フットジャムなどいつ練習したかそれも記憶にないが、やるしかない。何とか昇ってほっとした。


一直線に走る美しいクラック あちこちに巨大な岩峰が見える
その後は懸垂下降を2回繰り返し、リッジクライミングを続けて、最終ピッチのチムニーめざして変化に富んだ稜線を進む。


懸垂ポイントに立つ後続パーティ 20ピッチ目のチムニー
最終ピッチのチムニーで苦労すると聞いていた。このワイドクラックとも言える広い岩の隙間をどう攻略していくかが課題だった。松原ガイドが空身で昇れるようにとの配慮でまず荷揚げをした。前半は背中を左の岩面につけて脚や膝を突っ張って身体を上げる。途中で方向転換をし、今度は右の岩面に背中をつけて手を下向きにしてずりずりと体を摺りあげていく。思ったより楽にできて12時20分終了点に到着した。長かったが充実した。
ここで後続パーティを待ち、一息ついて下山。最初は岩だらけの急坂だが、途中から樹林帯に入り、最後は渡渉して廻り目平に帰着する。鮮やかな紅葉の中で一日の登攀を終了した。
このルートは予想以上の高度感と岩峰の露出感が抜群で、廻り目平周辺の岩峰群を見下ろしながらのルートはクライミングと登山の両方の楽しみを存分に味わえた。ただ行程が長いので持久力が必要になる。ロープワークとルートファインディングが遅いと時間切れになるかも。実際、最終ピッチの前にエスケープルートがあり、時間切れでここから下山する人も多いと聞いた。
小川山のすばらしい秋の三日間が無事終わった。
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