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駅のベーカリーカフェは朝と夕方が忙しい。
店長ともなると休みもなく定時上がりなどない。
店長といっても会社の直営店で実態はサラリーマン…
やりがいなどない。
最近は会社にどう思われようがいいと思っていた。
今日は他のスタッフに任せて無理やり定時で上がってやった。
保育園に6歳の息子を迎えに行くために…
妻と二人で迎えに行ったことは何回かあったが、
一人では初めてだった。
二人で迎えに行くときは妻が園内に息子を迎えに行き
僕はどこか落ち着かずいつも園外にとめた車の中で待っていた。
店からトラブルの電話がないか、休みの日も落ち着かない。
家にいても、家族で出掛けたときも携帯が気になって気が休まらない。
自分がオンオフの切り替えが下手で息子達に迷惑をかけているのはわかっていた。
でも今日は会社を定時で上がり、一人で保育園に向かった。
保育園に着いた僕はいつものように園外に車をとめた。
こんなに重たい門だとは知らなかった。
門を開け園庭を抜けると園児達のいる教室がある。
教室の外から息子を探していると先生が声をかけてきた。
「なにか?」
先生は僕の顔を覚えていない…
僕も知らない。
不審者だと思われているんだろうか。
いつもは夫婦で共働きのため18時か19時に迎えに来る。
今は15時、パン屋は朝が早いため定時上がりも早い。
「息子を迎えに…」
すると僕に気付いた息子が嬉しそうに少し照れた顔で教室の奥から出てきた。
帰り支度をして靴を履いた息子はずいぶん早くなった足でジャングルジムへ走って行った。
「とうさんきてきてー」
白衣にジャンバーを羽織った僕も園庭を走ってジャングルジムへ向かった。
6歳の息子はジャングルジムの一番上に登り得意そうに僕をみた。
そのあと滑り台に鉄棒と一時間ぐらいそのまま園庭で遊んだ。
他の園児達も先生も教室のほうから僕らを見ていた。
あんなに楽しそうに遊んでいる息子を見たのは初めてだった。
ずっと見てほしかったんだと今になって思う。
息子を車に乗せた僕は家には帰らず自分の地元へと向かった。
地元では有名な景色がきれいな場所。
標高1000メートル近い山の頂上は夜景がきれいで悩みがあるとそこへ行く。
今日は息子にきれいな景色を見せてやろうと思った。
頂上に着いた僕らはしばらく景色を見ながら二人で今日の話をしました。
保育園で楽しかったこと、僕の仕事のことも(笑)
しばらくすると息子がいつものように虫探しを始めた。
僕はその様子を携帯の電源を切って見ていた。
山の頂上から見る空や街は夕陽で真っ赤に染まり
気付けば涙でにじんでいました。
これは妻と息子が家を出ていく2日前の出来事でした。
幸せってなんでしょう?
仕事ばかりで若過ぎた僕には毎日が許容範囲を超えていた。
もちろん僕がつまらない人間で、大人になりきれていなかったんだろう。
当時は理想と違う現実の中で何が幸せかわからなくなっていました。
幸せの定義 その1
子供とおもいっきり笑う