2004年01月02日
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カテゴリ: 読んだ本のこと
世の中には、いくつもの才能に恵まれている方がいらして、そうした方々は、エネルギーに満ち溢れ、それが作品からも伝わって来ることが多いのだが、辻井喬という方の作品からは、不思議なくらい、そうしたぎらぎらした部分を感じることが無い。昼間の本名での御仕事から、ごく自然に、詩人・小説家に移り変わられているように思われる(実は、私たちは、そのことのほうに驚くべきなのかも知れないが)。

各種の新聞や雑誌に発表された随想などを収めた『深夜の読書』(新潮文庫)。

それらの随想が対象としている主題の多様さと思索の深み、明晰な文章。

個々の随想を読んでの感想を記していては、きりが無いので、数件の随想で初めて知ったことや、私自身が想起したことなどを。

「少年十字軍」
長崎県生月島に歌い継がれている「歌オラショ」の「らおだて」は、グレゴリオ聖歌の「ラウダーテ・ドミヌム」である由。

「学術書の言葉」
日本の学術用語の難解さの原因を、これほど明確に論じた文章は、初めて読んだ。卓見である。
また、ベルグソンがノーベル文学賞を受賞していたことは、初めて知った。


このタイトルで、『アンタッチャブル』の、あのシーンを思い出した(辻井氏の文が、この映画のことを述べているというわけではない)。

「その日豊饒の海で」
昭和45年11月25日に関しての、辻井喬として、ではなく、本名での立場での懊悩。制服のことは、この随想で初めて知った。追想というものには、あとから手が加わって(作為によらずとも)、実際に起こったこと、そのときに考えたことなどの連鎖が、あたかも論理的必然であるかのように述べられてしまうことがあるが、この文章には、そういった部分が無い。こうした書き方のほうが、実は、たいへん難しいはずだ。

「悪い節を跨いで」
『犬が星見た ロシア旅行』 の作者が少女の姿で登場。





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最終更新日  2005年03月12日 00時22分33秒
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