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2006年10月17日
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カテゴリ: 御伽衆
其の四


それでなくても巫女が大奥に入るというだけで、異例中の異例なのに、この出で立ち。
周囲の反発はおろか、城内では大騒ぎです。
通常なら宮中の正装、唐衣裳(からぎぬも)姿でいなければならないのに誰に何を言われても娘は、そのスタイルを変える事はありませんでした。(※唐衣裳。。。俗に言う十二単)

さすがにこの姿には周囲の女房たちも慌てふためき、神事を行わない時だけは、その姿の上にせめて五つ衣(5色に重ねられた衣)と小袿(表地と裏地に別裂をつけた三重の仕立のもの)を着てもらえるよう、城主である黒龍の武将にも説得してもらえるように懇願しました。

これには娘の世話を任されたもの達はおろか、大奥にいる女御たちも面白いはずがありません。
あの手この手で意地悪をするものの、娘はといえば、毎日淡々と加持祈祷をして暮らし、ほんの少しだけ女御達の前で術を見せては、逆に脅かす有様です。
そのやり取りに黒龍の武将は苦笑いし、女中たちは次第にこの娘を好きになっていきました。

娘は毎日、神殿に通い加持祈祷をし、夜には城主の笛に合わせて舞を踊る日々。

平穏なこの暮らしがいつまでも続きますように---------と。
でも今は、戦乱の世。
それが儚い夢だとわかっていても、誰しも願わずにはいられない安らかな時間でした。

そんなある夜。招かれざる客が早馬を飛ばし、この宴にやってきました。

「開門、開門。取り急ぎ、殿にお目通りを!!」
「いったい何があったというのだ。こんな夜更けに」
「戦です。ついに戦が始まりました。」
「・・・・・・・・」
「一族挙げての大戦ですので、皆さんご祈祷をうけていらっしゃいます。奥方様にもご祈祷に参加し、一族の勝利祈願をしていただくようにと仰せ付かって参りました。」
「な、なんと・・・」

皆の願いも虚しく、戦火の波は遂にここまで押し寄せてきました。

この事態に娘も気が気ではありません。
何せ、戦の中心は自分が生まれ育った場所なのですから。

「父上・・・。母上・・・」あまりの事に娘は気を失いかけました。
敵国に嫁いだばかりか、両親のいる都を滅ぼすために自分が祈祷しなければならないなんて。







                                           【  其の五





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Last updated  2013年07月30日 16時01分38秒
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