夢みるきのこ

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2005年02月09日
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カテゴリ: きのこ地蔵
 立川武蔵の仏教思想1500年史(講談社現代新書)はとてもわかりやすく概論以上の深みがあってついうなづきながら読みふけってしまう。空海と最澄を論じた章の終りに「重要なことは、日本仏教史の中で、この二人がはじめて世界(諸法)全体を自己という場においてとらえたことだ。この二人が現れるまでは、仏教僧たちは自分自身という実験場において仏教という異国の思想を自信をもって開いて見せることができなかった。つまり、この二人によってはじめて仏教が日本で咀嚼(そしゃく)されたのである。この共通点に比べるならば、二人の相違点は取るに足らないことのように思われる。」と述べています。しかし、空海はどこの馬の骨とも知れぬ存在ながら、よほどバックグラウンドに恵まれたのであろう。彼ほど自身がこの世に使わされた意味を自覚していた人物はわが国の歴史には彼の前にも後にも見られないように思える。彼はその生とその使命を完結して鬼籍に入った。いわば稀代のスーパースター的存在であった。完璧すぎて後進は彼の世界に一語たりともつけ加えることはできなかった。一方の最澄は唐語をあまり理解できず、天台の教義の習得も通訳を介して行っていることから見ても、遣唐使として在唐の時期ですでに空海に数馬身の差をつけられている。皮肉なことに最澄のこの不完全さが後進を育てる隙をつくったことで天台はその後多くの傑出した僧を輩出することになる。
清水泰博の京都ガイド(岩波アクティヴ新書)は主に自転車でのトレール探訪である。「洛中の地蔵祠のリサーチをやっているよ」と友人のNが写真と一緒に届けてくれたものだ。一挙に読んで、とてもセンスのよい建築家であることがたちどころに理解できた。
「きのこ地蔵プロジェクト」にとつても京洛のゾーン分けが私の中でしっかりと把握できたことで大いに参考になった。
東山、嵯峨野、北山、御室、大徳寺界隈、鴨川ルート、上京、下京、東山トレッキング。これで私の頭の中の京都景観図はできあがってしまった。読みすすめながら次から次へとプランが湧いてきて知らぬ間にぼーっと思いにふけっている自分に何度も気づいた。
 お地蔵さんをしっかりと見据えるためにはまず仏教思想という全体からアプローチする、次に人間世界の地図の全体からアプローチする。あまりに地蔵から遠いように感じられるでしょうが、地蔵がかすむほど遠いところから地蔵を目指すことこそが「きのこ地蔵プロジェクト」の目的であると確信しています。清水さんの著書はそうした意味でも「構造が見えなければプランは立てられないよね」ということを私にそっとささやきかけてくれているのだと思いました。





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最終更新日  2005年02月09日 21時59分47秒
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