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岡田安紀子陶のきのこ作品より
当夜提出された52作品を参加者がそれぞれ7作品(うち特選1)選び、特選2点、その他を1点としてセレクト数の多さが作品の優劣では決してないが、時間的制限を考慮して特選選出の理由をそれぞれ述べることで進められた。
当夜の即興作品のテーマは紅型(びんがた)。OCATに置かれてあった美術展予告のチラシから菊池さんが提案。
参加者: 菊池享、山中成利、澤山輝彦、寺西建二、扇マダラ、佐田俊美、土井英津子。 作品のみ: 大江友亮、高畑あき女
5点句
ちょこなんと春になれない椅子がある 建二
17音詩ならではのこの把握は素晴らしい。当夜の僕の特選句。ちょこなんとに作家独自の心情が刻まれている。
サクラまだ咲きません私は同じ時間に乗って 輝彦
24音詩での今回最高の出来とみた。僕の準特選句。この表出のあたらしさがきのこポエムの希望となろう。
3点句
あわもりの口うつし南の風邪に紅型ゆれて 輝彦
24音詩はこの作家と成利さんの独壇場の感あり。口うつしにアルコール度数の高い泡盛では咽ぶぜとの声もあったが、南風、紅型、泡盛と沖縄らしい烈しさを詠み込み成功している。
紅い襟うちなんちゅうの恨(はん)映し 成利
当夜、僕も怨(おん)という語を用いて紅型に挑んだが、まとまらず見事1本とられた。紅型を生んだ沖縄 の苦難の歴史を滲ませて言いおおせて何かある作品となっている。
善良な貝なら蝶になれるだろう 建二
七十ニ候の「A化してBとなる」の発想を転用しての表現。貝と蝶の取り合わせが味噌。
紅型が目の前で通せん坊春宵時満ちて 俊美
目の前に立ちふさがる紅型(をまとった女人 )と春宵が満ちていく趣きには得もいえぬエロスがある。お見事!。
すたすたすたよたよたよた犬あるく三月 享
三月が妙に的を得ている。後日譚だが、当夜の犬シリーズの作者は戌歳らしい。
2点句
人科ヒト勝ち負けそれがどうした徐々に春 享
大阪市長の教育改革案が背景にあるのかな?。ヒト種のバトルリングにも春兆すとの意か。
ひたすらに花待つ吾れへ明星を抱き月出ず マダラ
当夜もっとも擬古的になりさがったマダラ作品。繊月・木星・金星が1直線に並んだ夕べをかく表現。目下俳句脳の解体中とか。
無季野菜電子レシピのつくる春 享
無季野菜は有機に想を得た作者の造語。しかし、季節感のない現代をうまくとらえており春の新メニューに臨場感あり。彪生さんにささげたいとの作者の言。
紅型の深き沈黙かがよえる落日の海 マダラ
恨の句には負けるが、同趣の思いをきのこポエムに乗せて抒情的に。
貝殻に詩があり春に渚あり 建二
あり、ありの繰り返しに難ありとの声もあったが、これは対句形式で違和感なし。ただ手馴れた俳句らしい表現に難あり。
おぼろ月記憶に小手かざす西行がおりまして 享
24マスの原稿用紙を自作して健闘中の享さん。これも17音詩ではありえなかった詩境。
闇夜ではなく紅型の黄地にこうもり乱れ飛ぶ 英津子
国宝紅型の文様映像を見ての率直な表現。中国文化の影響の濃い鳳凰と幸福のしるしコウモリ。
空海に近づく気配亀鳴けり 建二
亀鳴く、けら鳴く、みみず鳴くは俳句独特の架空の季語。空海と向き合うひとときをこう対象化した。
1点句
春日差し仮寝の枕はカラマーゾフ 成利
昼寝や仮眠の枕は積ん読法で馴染んできたドストエフスキーにかぎる。しかし、にカラマーゾフの枕で春眠となると目覚めのほどが思い知らされるというもの。暁を覚えずとは行きますまい。
カーテン越しに見るような視線がささる3.11 英津子
3.11は戦後の日本が体験した人災の最たるものとなってきたが、傍観者の複雑な心境や負い目を的確に表現。作者の自戒か?。
棒に当たる犬の哲学徐々に春 享
犬シリーズの17音詩版。俳句の量産はこのようにして可能であると作者自身が自嘲的に示した作品と受け止めた。
プーチンの貌は冷たし温いピロシキ指先の春 輝彦
やや肥えたせいか、冷血の様相を帯び始めたプーチンとロシアの家庭料理のピロシキを対比させた氏独特の視点。豚まんならさしずめ温家宝やとう小平でしょうかな?。
言葉にする言葉にできない繰り事のような春 英津子
繰り言ならぬ繰り事は作者の造語か?、誤記か?。苦吟の春となったようだ。加藤郁乎の歩く銀杏銀の夜ともある苦吟難吟の夜とも読めそうな<切株やあるくぎんなんぎんのよる>の句 を即座に思い出した。
蝶の翅ゆらりとのぞく歓喜仏 建二
ゆらりとが味噌。歓喜仏はガネ―シャの聖天さんONLYか双体道祖神でもよいのかが話題となって合評はそちらのほうへ関心が移った。この作品の場合、微笑仏か道祖神のほうが似合いそう。
如月や素足に赤いハイヒール 建二
足フェチの僕としては平静でいられない句境だが、町中での実景とか・・・。
反転すすべてが反転したかのような春の日 英津子
春の勤め帰りの光景を見ていてふとそんな感じに襲われたという。毎日無事帰っているのか心配になるような作品ですね。
琢木はココアで革命論者よ花ミモザ 享
ミモザの花がとってつけたようでどうしょうもなく浮いてしまうが、酒ならぬココアで革命論議を交わしたらしい。字余りか字足らずにするかいかがいたしましょう。
三寒四温三寒四温タケに誘われ家を出る 友亮
ここでの反復は蛇足。句意は冴えかえる日も暖かい日も頓着なしにきのこ採りとのことなので「三寒四温の寒の果て」とすればすっきりするのでは?。
啄木のローマ字日記おぼろ月 享
表現の多様性を模索した生活者であり詩人の啄木の日常とおぼろ月の対比か?。
白モクレンの蕾のにこ毛あの頃のあやうさの 輝彦
さてさて意味深長な作品。あやうさので止めたところが心憎い。
もう春かボンボン時計の息づかい 建二
柱時計の時報に春を感じている図だ。息づかいの擬人的な把握が日常からすこし背伸びした心境を表現しているとみるべきか?。
太陽風(ふう)磁気嵐私は押されて梅を見に 輝彦
水の惑星の異変を羅列しながら、そんな風に押されてドンキホ―テのように風車に突進するのかと思いきや・・・。この作家、ハイな状態が昂じてあちらの世界まで行きそうな乗りで終始しました。
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