2004年10月22日
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カテゴリ: 日常雑記
要するに文化祭のようなものらしい。
もともと公立中学校に期待なぞしていないのだが、なかなかすごかった。

公立の中学校に行く良さというのは、やっぱり近所の友だちと一緒だということかなあと、ぼんやり考えながら、合唱やら器楽やらの演奏を聴いてきた。
子どもというのは、個人差はあるものの、ほんとに「まねっこ上手」で、よい手本があれば、よいものを身につけられる子は多いと思う。特にからだを使って「表現」するということ、芸事に関しては、その傾向が強い。

よい手本を見ていないということが、子どもたちの姿からありありと見える。
声の出し方ひとつでも、手本を見ると見ないとでは大違いなのに。
2歳に満たない幼児が、数々のコトバや体の使い方を覚えていく過程を毎日見ているだけに、子どもには「教える」より「してみせる」つもりで、関わったほうがよいのではないかと思っている。




むか~し教育実習に行ったときの話。

たまたま「校歌のテスト」というオキマリの課題の日で、いままでロクな音楽教師に出会わなかったわたしは「前に出て一人ずつ歌っておわり」というのを想像していた。
けれど、彼女は「一人ずつ、別室で歌わせる」という方法をとり、しかも歌ったあとに個別指導までして教室にかえすということをやってのけたのだった。
その指導は、ちゃんと自分が歌ってみせて、それをできるまでマネさせるという方法だった。

たかが校歌。子どもたちはそう思っていたと思う。
けれど、そのテストのあと、大きく子どもたちの歌が変わったのだ。
ひねくれ盛りの高校生にでも、伝えられるものがたしかにあるのだと、彼女のレッスンは教えてくれた。

それから、一緒に実習に入ったピアニストの友人がいた。
とても派手で技巧的な演奏をする、見た目もナカナカのオトコだった。
その日、わたしが担当したのは合唱の授業だったが、未熟な実習生に同情してか、生徒たちはがんばってついてきてくれて、ものすごくいい演奏ができあがろうとしていた。
・・・・しかし。わたしはピアノがニガテなのだった。いや、ある程度は弾けるのだが、プロのピアノ弾きにはかなわない。
教室のうしろに立って見ていた彼に声をかけた。実習だというのに。


T氏はニコヤカにうなずいて、彼をピアノに向かわせてくれた。
彼は苦笑しながら、伴奏を弾きはじめた。
生徒にざわめきが起こる。(うわ、すごいっ)
歌が始まった。・・・・いままで聞いたことのないような響き。

本物の持つ力というのはすごい。無条件ですごい。


わたしの下手な伴奏で歌わせなくてよかった。チャンスを逃さなくてよかった。
あのときに得た満足感は、その後のわたしの「教え方」に大きな影響を与えている。
適材適所。教える側のプライドなんか要らない。そのときできる最上の方法で教えるのがイチバンだと。

結局、その後チームティーチングが常態のトコロで仕事をするようになり、またいろいろシボられることになるのだが。
やっぱりセンセ稼業は芸達者でないとあかんなあと、しみじみ思ったことであります。






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最終更新日  2004年10月24日 01時51分06秒
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