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2008年06月16日
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カテゴリ: 柏・東葛
今日は野暮用があり、朝早くから柏へ行っておりました。


久しぶりに乗る常磐線と、車窓からの景色。懐かしかった・・・私は高校時代の3年間と、社会人になってからの2年間、ずっとこの景色を眺めてきました。柏・松戸の、新緑のまぶしい一戸建て中心の住宅地から、江戸川を越えると、時折り工場のみられる、マンションと密集家屋が混じる下町の風景に変わります。日暮里に近づくほど、密集度も増してきて、柏から約25分間の旅が終わります。

マンションは多少増えましたが、相変わらず垢抜けない景色だなあと、思いつつも、私にとっては、かけがえのない故郷の風景であることには変わりありません。

しかし、私の大事な故郷・常磐沿線を含め、東京下町、千葉県・埼玉県の郊外都市は、昔も今も、東京の都心部や西側に暮らす、所謂「山の手住民」の差別、偏見の目にさらされてきました。一昔前は、「汚い」、「貧乏」、「治安が心配」、「煙モクモクのイメージ」・・・昨今では、「負け組沿線」、「パ・リーグ地域」、「価値のない土地」などという言説が、幅をきかせています。

上のようなことを言う人間は、ほぼ決まって、我が地域をよく知らない。たとえば、東京下町と千葉県郊外とでは、実際、生活環境も住民層もライフスタイルもずいぶん違うのですが、多くの場合、一緒くたにされる。実際、東京の西側に住んでいると、その違いに気づくのは難しいし、また心無いことを言う人間ほど、下町や千葉埼玉のことなど、はなから知る価値もないと思っている。ひどい場合には、ほとんど足を踏み入れたこともないのに、否定的なコメントをする者もいる(参考; 私の西高東低論 )。

ま、奴らには好き勝手言わせておけばいいさ、という考えもあるでしょう。でも、次のことを考えたとき、私たちは果たして安穏としていられるでしょうか?

  • 首都圏のほぼ全ての地域は、東京に通勤する住民と富の争奪戦を繰り広げている
  • 首都圏のほぼ全ての地域は、東京都市圏が必要とする迷惑施設の押し付け合いをしている

たとえばの話、なぜ、政財界人、セレブな人々、スーパーリッチな人々など、お金と影響力のある人々は、東京の都心や山の手に住むのでしょう?。なぜ、東京の清掃工場やし尿処理場は、麻布とか表参道じゃなくて、下町や湾岸地域につくられるのでしょう?



さらに、下町、千葉埼玉に対するマイナスイメージは、セレブや有名人に迎合するお調子者の手によって、どんどん、増幅してしまいます。「負け組」とか「パリーグ地域」とか、最近できた言葉ですよね?

上に見るように、都市イメージの点では、「持たざる側」に置かれている。強者からの、いわれない差別偏見にさらされ、いつでも不利益を被る。この冷酷な現実を、東京下町、千葉埼玉の人間は、肝に命じなければならないのです。




そういえば一昨年、東京足立区を題材にした「ルポ下層社会」という、ショッキングなレポートがありましたね。あの文章は、子供の頃から足立の風景に親しんだ私にとって、痛ましいものでした。

上記は、「文芸春秋」でノンフィクション作家・佐野眞一氏が、綿密な現地調査をもとに書いたルポです。格差社会を告発した点で、社会派ルポとして高い評価を得ているようです。一方、一方的に「下層社会」呼ばわりされた足立区は猛反発し、 抗議文 を公表するなど、とにかく賛否両論が分かれる文章です。

私は、あの文章を何度も読み返しました。確かに、力作であること、読み物としてのクオリティがそれなりにあることは認めます。ですが、足立の地べたに、足をつけて生活している人々のことを思うと、とてもじゃないが、あれを高く評価する気にはなりません。


まず第一に、たとえ格差社会を告発するためとはいえ、64万もの人々が暮らす足立区を名指しで、下層社会とレッテルを貼り、「文芸春秋」というメディアに載せて、全国に発信することによって、地域イメージを著しく損ね、地域の人々の心を傷つけたことに対する反省や後ろめたさが、感じられないことです。

貧困問題は、一部地域を除いて、東京のどこにでもあるわけで、いくらリアリティを重んじるルポとはいえ、足立区だけを名指しする必要があったのかどうか?「東京某所」でも良かったし、複数の区を題材するのでもよかったのではないか?格差を告発する目的のために、特定の区名を絨毯爆撃するのは、例えは悪いけど「誰でもよかった殺人」のような、後味の悪さがあります。

また第二に、足立の地で、貧困問題の解決や、地域のイメージアップに向けた行政の努力を、佐野氏が「格差を隠蔽するための意匠すなわち虚飾に過ぎない」と論断したこと。確かに、足立区の現状も行政も、イケてない面は多々あるでしょう。でも、行政も住民も、足立に住んでいるという、その現実から出発しなくてはならないし、重苦しい現実を目の前に、一所懸命努力しています。それを、あんな書き方をされたら、地域の人々はどう思うでしょう?

仮に、佐野氏が足立区に住んでいたとしたら、果たしてあのルポを書いただろうか、または、文芸春秋の編集長が足立区在住だったら、あれを全国に発信しただろうか・・・それを考えるにつけ、都市イメージを「持たざる地域」に置かれた悲哀を感じざるを得ません。足立は持たざる地域だからこそ、佐野氏の商売のネタに利用されて、大きなダメージを被ったのです。




差別偏見を、どうするのか?残念ながら、人類から差別偏見をなくすことは、不可能でしょう。私にだって、少なからぬ差別偏見はあるし、一生、ゼロにはできないと思っています。



つまるところ、馬鹿にされないだけの実力をつけるしかないと思うのです。東京の東側であっても、浦安や幕張は、すでにイメージ向上に成功し、柏とその周辺地域は、それに続こうと、いま頑張っています。そう、やればできるのです。大東京は、敗者復活が可能な都市なのです。

私の夢は、「首都圏における柏の地位、常磐線の地位を向上させること、都心・山の手側からも、一目おかれる存在にすること」です。

私は、常磐沿線に育ったおかげで、パワーエリートや、「持てる者」に対する強烈な対抗意識を持ち、今日に至っています。「いつか、奴らを見返してやる!」という情念が、私に絶えず、エネルギーを注ぎ込んでいます。

「いつか、必ず・・・」、常磐線が江戸川を渡るとき、「とんがり帽子の取水塔」を眺めがら、私は、決意を新たにするのでした。





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最終更新日  2008年06月17日 00時13分46秒
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