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2008年06月18日
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カテゴリ: エッセイ集
人口減少時代に入った日本で、ついに、移民政策が動き出そうとしています。

その発信源は、時の政権与党である自民党。幹事長・中川秀直氏率いる外国人材交流推進議員連盟(議連)は、「今後50年間で1000万人(総人口の10%)の移民受け入れ」を打ち出し、報告書素案をまもなく福田首相に提出する予定です。

日本の政界ではこれまでも、バブル期の人手不足などを背景に、移民受け入れに関する議論が散発的に行われてきましたが、その都度、迷宮入りになり、本格的な政策論議に発展することはありませんでした。

今回の自民党の動きが、これまでと違って、本格的・具体的な政策構想になりうる予感がするのは、政権与党の幹事長をはじめ、有力議員80名が軒並み名を連ね、来年度の法案提出を目指していること。またその思想も、安価な単純労働力の導入ではなく、高スキル労働者の、家族を連れての定住を前提に、それにふさわしい社会システムの再構築、言葉を換えれば「多民族・多文化国家への移行」をうたっていることです。これまでの自民党と比べると、危機感、本気度が違う、という印象を受けます。

移民の大量受け入れは日本にとって未経験、かつ政治的にセンシティブな問題なだけに、今後、どの時期に、どのようなかたちの政策構想にまとまるかは、予測がつきません。中間報告が出ても、その後、党内調整、衆参両院での論議、各省庁との調整を経るわけで、その家庭で、骨抜きになる可能性も十分ありうるでしょう。私の意見は、

移民政策は政治家の強いリーダーシップで、断固進めるべき

だと思います。日本国の少子高齢化と、経済社会の活力減退は、もはや待ったなしの状態です。マイナーチェンジをやっている時間的余裕はなく、人口構造を変えるための抜本的な外科手術(社会システムの作り変え)は不可欠。今後、日本が活力を保ち続け、豊かで夢のある社会になっていくためには、

1)少子化対策(出生率向上)
2)女性、高齢者の労働参加促進
3)移民の受け入れ(高スキル労働者と、その家族が中心)




国民のコンセンサスを、待っていてはだめです。移民受け入れの国民コンセンサスなど、どんな先進的な移民国でも得られないのですから・・・今こそ、政治家が立ち上がり、強いリーダーシップで、国民を説得し、かつ、外国に対して、「開かれた日本社会」をアピールしなければならない。

移民受け入れは、日本各地の地域コミュニティに、大きな変化を迫るものです。雇用、住居、教育、社会福祉、医療など、あらゆる種類の社会問題に直面するでしょうし、場合によっては、大きな軋轢も生むでしょう。日本の社会は、それを乗り越えなくてはならない。その延長線上に、豊かで夢があり、オープンで包容力のある、新しい日本社会が現出するのだと思います




とはいえ、私の立場からすると、「ちょっと待った!」と言いたい。

移民受け入れの前哨戦として、戦略的に取り組むべきテーマが、一つあると思う。それが、

海外移住した日本人の帰国・定住促進

です。かくいう私も、7年間にわたる、海外での暮らしを経て、日本にUターン帰国してきた一人です。

言語、文化、習慣を異にする外国人を、日本社会に適応させるのは、実際問題、難易度がかなり高いし、本人や地域社会の多大な労力も必要です。一方、日本で生まれ育ち、海外暮らしを経て、日本にUターン帰国するのであれば、上記よりはるかに少ない労力で、日本社会になじませることができます。

そんな「Uターン帰国者」を、日本社会がどれだけ外に開かれているかの、リトマス試験紙として使うことはできないのか?あるいは、彼らの声を、いかにして外国人に「移住してもらうか?」の、政策立案に生かすことはできないのか?

「やらない理由はない」と、思いますけどねえ。そうだ、自民党の議連に、メールしてみよう!私の意見を、聞いてくれるかもしれない。


ま、それはともかくとして、私は、日本社会が多文化・多民族社会に生まれ変わろうとする、その転換期に、日本にUターン移住したことは、正解だったと思います。かつ、移住のタイミングが、30代後半という、働き盛りの時期だったことを、神に感謝せずにはいられません。

なぜ、そう思うのか?それは、 いま日本社会が、かつてないほど、海外生活を経験した私のような人材を、切実に必要としている からです。



したがって、いろんな国籍、バックグラウンドを持つメンバーで構成されるチームを運営することが、我が職場の必須のスキルになりつつあります。そこで、オーストラリアや中国で、現地のエンジニアと同じ釜の飯を食ってきた、私の経験が大いに生きることになる・・・。

それだけではありません。外国、特に西洋文化圏のオーストラリアで身につけてきた、Assertive(言いたいことを、筋道立ててはっきり主張する)という技能が、日本の職場を良くするために、大いに役立っています。

今の職場で、私は外注という立場ですので、一部の社員の方から、時にはひどいことを言われたり、不条理な扱いを受けることもあります。そんな時、自分を押し殺して我慢することなく、「いくらお客様でも、悪いことは悪い」と、Assertiveに主張することによって、私は自分の身を守ってきましたし、また、チームメンバーにも推奨してきました。このことが、職場の風通しを良くすることに、貢献してきたと思います。

私が感じたことは、「最近の日本のビジネスマンは、ちゃんと主張すれば、聞く耳を持ってくれる」ことです。組織上の立場やしがらみ、情念に縛られるよりも、理念、ロジックの世界で物事が動くようになってきた・・・日本の企業社会も、静かに変わりつつあるようです。

仕事だけではありません。日本で暮らすことは、老後に向けた資産形成の上でも、非常に好都合だということに、私は気づきました。



シドニーの都心近くで、小さい中古マンション1軒買うお金があれば、日本の地方都市や首都圏近郊で、単身者用の中古マンションを10軒買える

ということです。一生に1軒しか買わないのなら、日本で不動産買うのは確かに損かもしれませんが、10軒買えるのであれば、いろんな都市圏、沿線で、築年数、間取りにバラエティをもたせて、分散投資をすることができる。またそれにより、経年劣化や地震のリスクを抑えることもできるのです。年に1軒づつ買い足して、家賃収入を得ながら、複利、複利で運用していけば、10年後どうなるか・・・。

私はこれまで、好景気に沸くオーストラリア、中国で過ごしてきましたが、あるいは日本にいた方が、40代でRetire rich(財産や固定収入を十分残して現役引退)するチャンスが大きいのかもしれないと、時々思ったりします。ま、もっとも、私は40代の若さで引退するつもりは毛頭ありませんけどね。それでも、「お金のために働かなくて済む」ようになるのは、大きな魅力ではあります。

もちろん、日本での暮らしは、良いことづくめではありません。オーストラリア、あるいは中国の暮らしを、懐かしく、好ましく思うことも多々あります。ですが少なくとも、日本は私にとって、「 思ったよりずっと住みやすくて、ずっと面白くて、チャンスに溢れた国 」であることは、自信を持っていえます。


日本から海外移住した皆様、海外暮らしで培った能力や生き方を、いつの日か、母国・日本で活かしてみませんか?

日本の社会は、これから、新しく生まれ変わります。その過程で、あなたの参画を、是非とも必要としています。外国の空気を吸ってきたあなたこそ、日本の社会に、新風を吹き込むことができる。あなたの能力と経験は、日本各地の職場で、家庭で、地域社会で、あらゆる面で、活かされるはずです。

そして私は、Uターン移住しようとする方々を、どこまでも応援します。





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最終更新日  2008年06月19日 00時35分08秒
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