Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2005.11.19
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カテゴリ: アート


中も大変混雑していて、絵を見ることがこんなに疲れるなんて
久々だったなあ・・・


【ピカソ、カリエール】

私にとって一番よかったのはピカソの「アルルカンと女友達」。
ピカソはこれまであまり好きではなかったが、
先日のブリジストン美術館常設展の作品に続き、
今回のは好きだと感じられた作品だった。

青の時代の名残だろうか、(それともこの作品自体、青の時代のものなのかな?)
憂鬱な青と青緑が印象的だ。
女の服のオレンジ色や、背景のローズ、肌の色の下まで青が塗られている。
ぴったり寄り添う2人、それぞれの手の組み方、グラスの配置、顔の向きなど
すべてが見事なほど画面におさまっている。
おさまりすぎるほど。

女の青い視線にとらわれる。目が合う。
人生に疲れているのか、けだるく、媚も覇気もない表情。
アルルカンのほうは横を向き、怒ったように眉を寄せ、どこかを見つめている。
社会や、ままにならない人生に対する憤りだろうか。

2人の人物は、顔はそれぞれの方向を向いていても
体はやわらかくぴったり寄り添い、
よるべなき時を共に過ごしているのがわかる。
美しさと、ひきちぎれないようなもどかしさのある強さを感じさせる作品だ。


カリエールという画家は、オルセー美術館の図録で見ていいな、と思っていたが、
今回初めて実際の作品を見ることができた。
「母の接吻」という作品がよかった。
暗い背景に、背景にとけこむような暗い色の衣服をまとった、
母と2人の娘の抱擁の場面が描かれている。
顔の表情もぼやけてはっきりしていない。
単色画に近い感じなのに、ドラマティックな雰囲気があふれている。
筆跡に大きなうねり、流れが見られるが、それはちょっとムンクを思わせる。
今度、上野でロダンとカリエール展をやるそうだ。
ロダンと親交があったり、共通項があるとまで知らなかったが、興味深い。


【ゴッホとゴーギャン】

閉館15分前になると、ようやくがらんとしてきて、
ゴッホの「刑務所の中庭」をじっくり見ることができた。
狭い壁に囲まれた刑務所の中庭で、監視員に監視されながら
囚人たちがうなだれてひとつの円をつくって歩いている。

人がいたときは深く感じられなかったが、
ひとりでしんとした中で見ていると、
囚人たちの足音が聞こえてくるようだった。
それは静かで、丈高い壁に囲まれた中庭に音が閉じ込められているように感じられる。
石畳の石、壁に積まれている石を一筆ずつ淡々と丹念に塗っているので、
それらの石、絵の具の一筆ずつで、音を塗りこめているような印象だ。

抜け出せない円環は、人生の象徴だろうか?
しかし、みなうなだれている中で、中央の囚人はひとりこちらを向いている。
こちらに足を踏み出そうとしているようにも見える。
しかし、それは決して希望の一歩とはいえないかもしれない。
この囚人は、ゴッホの自画像だと言われているそうだが、
囚人の円環が生そのものだとすると、
こちらへ踏み出すことは、自由への一歩というよりは
死への一歩かもしれない。
ゴッホの死、5ヶ月前に描かれた作品。


ゴーギャンは、「浅瀬(逃走)」という作品がよかった。
浅瀬を、馬にのって逃走していく2人の人物の絵。
あの色の使い方、あたたかく、密度の濃い色。
彼の組み合わせは、私には考え付かないもので、新鮮に感じる。
以前私は、ゴーギャンの良さはあまりわかっていなかったが、
N.Y.のMOMAで初めて、タヒチの女の小さな絵を見て、
肌のオレンジ色があまりに美しく輝き、生き生きしていて驚いたものだ。
私の中ではゴーギャンは、実際本物を見ないと良さがわからない画家、となっている。


【印象派の作品群】

ルノワールは、今回数種あるポスターの一枚にもなっている、
「黒い服の娘たち」より「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」のほうが
私はいいなあ、と思った。
「黒い服・・」は線で描こうとした作品らしく、
でもかえってそれにより、中央の娘の目がかわいくない!
横にいるぼやけて色で描かれている娘のほうが魅力的に見える。

「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」のほうは、
線はあいまいではっきりしないが、緑の中に集う人々の雰囲気が出ている。
光を感じさせる。
奥の小さな木立の抜け道の出口が明るい黄緑になっていて、
そこが消失点なのか、そこを頂点とする安定した三角形の構図に見える。
その三角形により、人々が顔を寄せ合っているのが強調され、
親密感をかもし出している。
あたたかな温度を感じさせる。


一転して、ドガの「写真スタジオでポーズする踊り子」は、
のびやかな感じはしない。
ひんやりした室内と、かたいポアントの緊張を感じる。
一種不健康な青白い室内。
しかしそんな室内は私には親しみ深く、共感を覚える。
窓ガラスの外に向かいの建物が立ち並んでいるのが見えるが、
外界からは隔てられた踊り子の世界が存在している。
スタジオ内にかかっている青いカーテンの発色の美しいこと!


モネの「白い睡蓮」。
新鮮な野菜のように、しゃきっとして目においしい作品。
蓮の池にかかっている太鼓橋の絵だが、緑と白が清冽な感じ。
ちらしにも取り上げられているが、印刷ではまったくその感じは伝わらない。
モネの作品は、とろとろとけてアイスクリームのようだと評されたことがあるらしいけれど、
確かに、こんなにしゃきっとした印象の作品は、珍しいかもしれない。
私もこれまで見たことない。
ずっと見ていても、新鮮な感覚がわきつづける作品だ。


セザンヌは、20世紀美術の祖?なのか、すごいらしいが、
いつまでたっても私にはその良さはわからない。
いろんな画家の、いろんな作品は、それぞれ見たり知ったりしていくうちに
その良さ、面白さ、すごさなどが少しずつわかったり好きになったりしていくのに、
セザンヌは何度見ても、いまいち興味がわかない。
いつかその良さがわかるときがくるのだろうか?


【フランス近代版画】

今回は、これまであまり見たことのない、フランス近代版画も
多数出品されていた。
19世紀終わり~20世紀初頭の版画といえば、
ゴッホのジャポニスム的な作品や、ロートレックの強烈な風俗版画、
ミュシャのアールヌーボー作品などしか思いつかない。
ルノワールやゴーギャンの版画なんて、初めて知った。
やはり油彩画とはずいぶん違う。
ルノワールもゴーギャンも色や面での表現が素晴らしいので・・
ゴーギャンなどは、よりプリミティブな雰囲気が濃厚になり、
黒と、オレンジに近い朱赤の2色で、独特な土俗的な世界を見せてくれる。

モーリス・ドニ「エマオの晩餐」が美しく目をひく。
昔ながらのキリスト教の場面を描きながらも、
抑えた色調で、現代的にも感じられる品のいい作品。
ヴュイヤールやボナールなども、都会的なセンスのいい版画をつくっていて、
空間や空白、微妙な色のずれなど生かしたセンスある、これら一連の版画は収穫だった。


【フォーヴィスム】

マティスの「金魚」は、今回の最大の目玉だったにも関わらず、
正直なところ、あまり感じられなかった。
見る目ないのかなあ・・?
彼の切り絵作品や、力強い単純なラインだけの作品のほうが好みだなあ。


フォーヴィスムの画家の作品では、マルケの「オンフルール港」が
かわいくてよかった。
海と、舟と、港を彩る各国の旗。
ぺたっとした感触の絵だが、不思議な心地よさが感じられる。


レオン・レーマンという画家の「山脈」は、
フォーヴィスムの作品郡の中にあって、ちょっと抽象的で趣が異なっている。
暗い蒼い空と、キュビスムまで行かないけど面で構築された青灰色の山肌。
フォーヴィスム運動から抜け、故郷にこもって独自の世界を追求したという。
その作品は「フォーヴの画家であったとは思われないくらいである」とキャプションにある。

フォーヴといえば、強烈な原色と、それら色の対比の猛々しいものの印象が強いが、
彼のように青とグレーのバリエーションだけで描かれた暗い画面を
もはやフォーヴとはみなせないのだろう。
空のあまりの重苦しさ、雲の流れもどんよりと重い。
しかし、私にはじゅうぶん青が猛々しく感じられる。
その方向へ彼の獣性が突き進んだように思え、やはり私にはフォーヴに見える。


20分入館待ちだったせいか、終了の案内はあったけれど、
閉館時間過ぎても15分くらいは追い出されなかった。
だから最後の30分はやっと思う存分、がらんとした館内で
絵と向き合うことができて、よかった。

上野へは、今度北斎展を見に来る予定だが、ものすごく混んでるらしくて
ちょっとうんざり・・
せっかくだから、すいてるときにじっくり見たいなあ。
北斎展のために、会社休みをとろうかと思案中♪







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Last updated  2005.11.28 01:57:42
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mashenka @ Re[1]:生誕120年 棟方志功展(11/12) 一村雨さんへ お久しぶりです! 私もうな…
一村雨 @ Re:生誕120年 棟方志功展(11/12) お久しぶりです。 この展覧会、棟方志功の…
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