Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2006.01.09
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カテゴリ: アート
松下電工汐留ミュージアムにて 「ルオーと音楽」展 を見た。

ルオーは、父親がピアノもつくる家具職人、妻はピアノ教師、と
常に音楽が生活にあり、彼自身も大声で歌いながら
絵を制作していたという。

しかしむしろ詩や文学や文学者とのつながりのほうを
より強く感じたのは、私が音楽的な人ではないからかなあ?

彼自身詩や本を書いており、ボードレールの詩集「悪の華」、
「ユビュ爺の再生」など詩集や物語への挿絵が多く展示されていた。


言葉を超えて、心を打つ作品、感覚に訴える作品、
という点では言語的というよりは確かに音楽的だ。非常に静かな音楽。

そういえば、ブリジストン美術館で見た「郊外のキリスト」なども
無言の鎮魂歌、という印象を受けた。

昨日の杉本氏のちょっと理知的な作品とはその点が対照的で、
ルオーの前では、考えることがいらない。


最初の展示室は、サーカスシリーズなどの油彩画と、カラーの版画。
道化師(ピエロ)の目を閉じた静かな顔、かわいい。
晩年の「マドレーヌ」(多分サーカス団の女性の顔)の原色使いは、
時代は違うけれどフォービスムを彷彿とさせる。


2つ目の展示室は、銅版画「ユビュ爺の再生」挿絵。


残酷で、黒人たちに圧制を加える白人たちは、
ユビュ爺も含め、みな肥え太り、嘲笑的でもあるけれど、
何ともユーモラスな姿で描かれ、なんとなく憎めない。
中でも「政治屋」は、欲深そうな、意地悪く細めた目にめがね、
ピンと跳ね上がったカイゼル髭、丸く白く大きな額などが


それに対し黒人は、弾力あるラインで、長いしなやかな肉付きの手足、
穏やかな顔やユーモアと活力あふれる顔などで描かれ、のびのび躍動感がある。
黒の美しいこと!
白と黒の可能性をとても感じさせてくれる。


次は聖書の風景シリーズ。
小品ではあるが、静かな小さな光を放つ、真珠のような作品郡が見られる。
すでに聖書を離れ、自然と街と人とを描いているかのよう。
月明かりのもと、どこかにある街角、どこかにある一本道、どこかにある野辺の道、
そこにたたずみ、あるいは歩むキリストと弟子、マリアなど。
その人物たちは姿かたちは判然とはせず、風景と同じで
それは「誰か」であっていいのかもしれない。


「回想録」の、親交のあった人物たちの肖像画と自画像もとてもよかった。
これまで見たルオーとはまったく違うタッチで、こんな絵も描くんだと新鮮に感じた。

詩人の「アンドレ・シュアレス」の肖像画は
ルオーが「彼は盲目の人のように見える」と言っている言葉どおり、
目が落ち窪み、暗い目元をしている。
尊大な、孤高の雰囲気。

自画像は、また驚いた。
彼の描く道化師(クラウン)によく似ている。
道化師を写実的に描くとこうなりそう。
彼が好んで描いたモチーフである道化師は、
実は彼自身の投影だったのかと思い至る体験だった。

小説家「ユイスマンス」は、まるで鷹のような風貌の横顔で描かれている。
とがった鷲鼻、鋭い目、その横顔は意志や頭脳が
今にも肉体をやぶって飛翔しそうな感じだ。

「悪の華」の詩人「ボードレール」は、
元となった写真とともに展示されている。
目の下のくま、引き結んだうすい唇と口元の影など
少し陰鬱な雰囲気はあるものの、
何かこちらを見抜かれているような、視線を感じる肖像画だ。


「悪の華」のモノクロ版画シリーズも、白と黒の可能性を感じさせてくれる。
ボリュームのとらえ方が独特だなあと思う。
人間の中にひそむ悪の部分、負の部分を描きながらも、
ルオーの作品は、哀しいような愛情のまなざしを感じることができ、
モノクロなのに穏やかなセピアの色に見えるのは、不思議だ。
展示室の壁の色がベージュだから、同質化しているのかもしれない。

参考作品として、ルオーと並んで「三大"悪の華"」と呼ばれる、
ルドン、ロダンの作品も展示されていた。
ルドンの銅版画作品は、ルオーのあたたかみある雰囲気とは対照的に
神経質な感じで、ずいぶん本の雰囲気も違ったことだろう。
ルドンはパステルのカラーの絵のほうが好きだなあ。

また、ロダンの挿絵は、1枚しか見れなかったけれど
写実的でずいぶん力強く、ルドンの非健康的な病的な神経質さと対照的。
いったいどれが一番しっくり感じるんだろう?
ボードレールは読んだことないが、読んでみたくなる。


祝日の午後行ったにも関わらず、まだマイナーな小さな美術館のせいか、
何しろ静かで、人も少ない。
しかもたいていひとりで見に来ている人ばかりなので、
みな無言でルオーと向かい合っていて、理想的な鑑賞条件だ。

松下の真新しいビルの4Fにあり、ミュージアムの入り口前には
何に使うのかよくわからない広々ぜいたくな空間もあり、
トイレもナショナルマークのばっちり入った素晴らしいウォームレットで、
ほかほかと快適♪
特に女子トイレは、手洗いのところはガラス張りで自然光のたっぷり入るつくり。
あんな明るいトイレは生まれて初めて入ったかもしれない。

1Fはナショナルのショールームになってるので、
すてきなキッチンや照明器具なども見られるし、
1F入り口のところにルオー展のチラシのラックがあって、
そこには割引券がついているから、500円の入場料も、実質400円。

版画や小品が多い印象ですけど、ゆったり見られるので
ルオー好きな方はいかがですか?





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Last updated  2017.02.16 13:42:49
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Re:ルオーとの静かな語らい~汐留ミュージアム「ルオーと音楽」展(01/09)  
一村雨  さん
ここは行ったことがないのでさっそくチェックしました。
トイレがお勧めなんですね(笑)
(2006.01.17 17:47:47)

Re[1]:ルオーとの静かな語らい~汐留ミュージアム「ルオーと音楽」展(01/09)  
mashenka  さん
一村雨さん、こんにちは!

>ここは行ったことがないのでさっそくチェックしました。
>トイレがお勧めなんですね(笑)

男子トイレはよくわかりませんが(笑)

ぜひルオーとゆっくり語らってきてくださいな♪
(2006.01.18 23:42:00)

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