Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2006.04.06
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この間、 新橋美術倶楽部「大いなる遺産 美の伝統展」
浅井忠の「グレーの秋」という作品が展示されていて印象に残っていたけど
そのときは彼のことはほとんど知らず、
絵のタイトルも「秋をグレーととらえるかあ・・!すごい感性だ」と
変なところに感心したりして。

グレーが色のグレーgrayではなくて
彼が好んで描いた、フランスの地名Grez-Sur-Loingとは後から知って、
恥ずかしい(>_<)!

今回の展覧会は、比較的水彩の小品が多かったので
どっぷり絵を見たい方にはちょっと物足りないかもしれないけど
仕事帰りで、しかも病み上がりのお疲れモードな今の私は
おだやかで落ち着いた風景画たちに癒されたな~。


「グレーの牧牛」、さっそく“グレー”です(笑)
同タイトルの作品が2点出品されていたけど、
より淡い色彩のほうが印象深かったな・・

淡い緑の牧草地に、2頭の牛と牛飼いの女、奥の1頭の馬、
それらに背後の木々から光がもれあふれ、
やわらかい空気感を見事に描き出している。
中央の牛は、静かな歓喜にいなないているように見える。


「グレーの冬(グレーの橋)」、夕方の日差しがあふれ、
村へと続く橋の、なにげない風景全体を桃色に染め上げている。
冬枯れた光景なのに、うっとりするような、
砂糖菓子のような甘やかな空気がつまっていて思わず見入ってしまう。


「ベニス」、両側にせまる建物の壁、建物の影に細い運河と小舟、
小さな橋を渡る女たちのシルエット・・
そうした路地裏を垣間見る視線や、ひそかな息遣いの感じられる作品。
翠色の川面がしっとりと美しい。
異国的で硬質でありながらも、やわらかくなぜか懐かしい味わい。
旅する画家自身の心象風景のようでもあり、
思わずそこにまぎれこみたくなる、誘い込まれるような空間。


「聖護院の庭」、中間色の色調が多い中、
珍しく“赤”の色(やはり淡いけれど)で植え込みの花が描かれている。
離れて見ると写真みたい!
まあるく刈り込まれた植え込みの連なり、その造形と不揃い具合がかわいい。


「波濤」、ただ、海。波。淡い空。
寄せる波をただただ見ていたい欲求は、
誰しも感じたことがあるのではないだろうか。

それと同じように、ただただこのささやかな水彩の海を見ていたい。
決してドラマティックでもなく、爽快なくっきりした美しさもないけれど
彼の描くこの波には、普遍的なるものを予感させられる。

ささやかな白い波頭。
ゆらめき。

低い視点から描いているのか、水平線はまっすぐではなく、
大して大波ではないのに、ゆらめいて描かれている。
彼はゆらめくものが好きだったのではないか、とふと思ってみる。
彼の水彩画の、美しい淡い、まもなく消え去ってしまう、
光と時間のゆらめき。
そこへのまなざし。

私は確かに癒されるのを感じた。


「東京国立博物館所蔵 没後100年記念~高野コレクション 浅井忠展」は
日本橋タカシマヤ8階ホールにて
4月11日(火)までです。 
午前10時~午後8時(最終日は6時終了)開催。



 ●浅井忠 略歴
 浅井忠(1856~1907)は、「日本洋画の静かなる父」と呼ばれ、
 明治洋画壇を牽引、日本の油彩画・水彩画の位置づけを確立。
 イタリアの風景画家フォンタネージの
 「天然を師として勉強せよ」という教えにもとづき、
 情緒あふれる風景画・風俗画を数多く残した。
 明治9年開校の工部美術学校時代から画風を確立した明治20年代、
 約2年間の欧州滞在時、帰国後の京都時代を経て、51歳の若さで死去。







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Last updated  2006.04.07 02:29:53
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mashenka @ Re[1]:生誕120年 棟方志功展(11/12) 一村雨さんへ お久しぶりです! 私もうな…
一村雨 @ Re:生誕120年 棟方志功展(11/12) お久しぶりです。 この展覧会、棟方志功の…
mashenka @ Re[1]:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 一村雨さんへ 素晴らしい障壁画でしたね…
一村雨 @ Re:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 安部龍太郎の「等伯」を読んで、この親子…
mashenka @ Re[1]:横山操「ウォール街」(10/31) 一村雨さんへ 横山操の手にかかるとNYの…

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