Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2006.10.08
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地下の展示室にて。高橋由一の著名な「鮭」。
もうそこから人の流れがとまってしまうほど混んでいる・・(泣)


関根正二「子供」に ブリヂストン美術館「雪舟からポロックまで」展 以来、また会えた。
この作品はすごいと思えるのだが、隣の「神の祈り」は先日の、
「モダン・パラダイス」展 の「信仰の悲しみ」と同様、
残念なことに私にはまだ良さがよく感じ取れない。


黒田清輝「読書する女」は展示替えで見られず、残念。


八木一夫「ザムザ氏の散歩」、初めて見る造形作家。
ちょっとグロテスクな茶の斑点が散りばめられた、不可思議な造形の焼き物。
グレゴール・ザムザの姿がこんな・・・?
まだよくわからないが、とても興味深い。


模本「鳥獣戯画」、うさぎとカエルが相撲をして遊ぶシーン。
日本のマンガやアニメのルーツとも言われているのも納得、
面白いし、表情も線自体も生き生きしている。本物を見てみたいなあ。


松本竣介「鉄橋近く」、彼独特のやさしい青と黒。
橋や建物や人影がシルエットとなっていて、どこか物悲しく甘く、叙情的。
寒色が中心なのに、あたたかさを感じさせるところが不思議でもあり、魅力でもある。




松本竣介「塔のある風景」


同じく松本竣介「塔のある風景」、
戦時中、庭に埋めておいた絵の具を掘り出して描いたら
代赭色(たいしゃいろ)ばかりになってしまった、という逸話が添えられている。
しかしほんとに戦後、
心に映るのはこんな空、こんな地の色だったのではないかと思える。
今描きとめなければ、という意志の現れているような太く生々しい黒の輪郭線。


ピカソ「肘をつく女」、じっとりした藍色、物思う女の視線。
キャンバスの布目が粗く、その静かな単調な陰影が
藍の色の深さとあいまって印象的な作品。




ルオー「たそがれ あるいは イル・ド・フランス」


この作品は、これまで見たルオーの中でもベスト3に入るくらいいいな、と思った。
共感、共有という言葉を思わせる絵。

緑の空、夕陽に照らされる雲の朱。
かなたは白くわずかに輝いているが、明るい希望とは感じられない。
むしろ、これからもずっと続く困難や苦悩を予感させる。

しかしその風景の中に立つ一行の姿が、力強くもないけれど、貴く見える。
心が一緒に運ばれる。これからの夜の歩み、夜の風景へと。



ルオーに後ろ髪ひかれながら、2階の展示室へ移動。


棟方志功「二菩薩釈迦十大弟子」は、見るのは3回目だと思う。
同じ版ではないかもしれないけれど。
何回見ても見事だ。
こうべを曲げ、指を突き上げ、目をかっと見開き、
四角い版木の中に、いっぱいになるほど窮屈に押し込められているが故に
より強く発せられる、釈迦の弟子たちの憤り、叱咤、もどかしさ、気概。




横山操「絶筆」


横山操の最後の未完の作品、「絶筆」をこんなところで見られるとは思ってなかった。
暗いグレーの空、黒い墨の林に、白くけむる細い道、不思議な白だ。
やわらかな感触さえ感じさせる白。幻想的とも言えるほどだ。

グレーには、わずかに銀彩が混ぜてあるのか、微妙な輝きがある。
同時に、足元には金彩か黄土色だか、草の生えているかのように
しゅっしゅっと細いラインが乱れ描かれ、
何故かそれらは、林の消え行く白い道の奥のほうへ向かい描かれていくのだ。

これは何だ?すでに草の描写ではない。
死の向こう側へと放たれた矢のようだ。
光の矢なのか、林の精気なのか、彼の命の志向性なのか。
この林の白い小道の向こうに、横山操の亡霊が永遠にさまよっているのを
示唆するかのように思えてしまう。

等伯の 「松林図屏風」 と近いものを感じる。
濃い霧のような実体のない白い道は、松林図の空白と似て、
それよりさらに厚みがあり、得体が知れない。こんな小さな絵なのに。



横山操「雪富士」、こちらは雪を積もらせた富士を描いた大作。
薄墨で山肌の影をさらっと描かれた、雪の富士のふもとに、
リアルな、心に痛いような黒々とした木々の枝。
届かぬ高みへの志向と絶望を感じさせる。
白く塗り残された雄大な富士よりも、
この黒い細い枝々と、バックの墨の空のほうにばかり目が行く。

空は遠大な黒だけれど何故か、
閉ざされ、どこへも行けないような閉塞感を覚えさせる、浅い黒だ。
広い闇なのに、すぐ向こうには壁があるというような。

濃密さ、充実感、深さがなく、
深い闇に対する不安や恐れもない代わりに、
閉ざされた黒の前に取り残され、なすすべもないような、
無力感や絶望に途方に暮れてしまう。

以前見た 「清雪冨士」 に感じたような、
富士の白と、空の青との境に、生死の相克を見ていたかのような
執拗なほどのぎりぎりさ、は消えている。

茫洋とした絶望を抱きつつ、なお富士を見つめ、墨を魂の言葉として
創作に向かい続ける姿は、そのまま黒い細い枝のようだ。



熊谷守一は、これまで何点か見たけれど、今回「縁側」や「日輪」などの
単純で、ほっこりした感触の作品を見て、唐突に山下清の作品を思い出した。
日の下で、干してあるTシャツが風にたなびいている貼り絵だったと思う。
表現手法は違っていても、何か共通するエッセンスがあるのかもしれない。



三岸節子「作品III」、緑の風景の中にいろんなビンを固めて配置して描いた、
少し写実的な「作品II」と比べ、同じビンの絵でもすっかり抽象的になっている。
夕景だろうか、代赭色にうねる背景に、黒々とした、
機関車とか工場の煙突を思い起こさせるビンたちのシルエット。
女流画家の作品ながら、ダンディズム、という言葉がわいてくる。



秋野不炬「ナヴァグラハ」、秋野不炬の作品は初めて見たかもしれない。
胡粉という白の顔料を塗り重ねた上に象牙黒を塗り、
それを引っかいて下地の白を輪郭線として
仏や、菩提樹だろうか?大きな樹とそこに集う動物などを描いている。
やわらかそうな、それでいて固そうな、不思議なマチエールとなっている。
インドへのシンプルな強い想いがキャプションに添えられている。




濱田庄司「白釉流描大鉢」


ビデオで見ると、濱田氏は本当に10数秒で描いている。
左手に大鉢を持ち微妙に傾きを変えながら、
右手でひしゃくをくるくるささっと操って、釉薬をかけ流していく。
淡い灰褐色の大皿に釉薬が線と円を描き、のびやかに踊る。

その模様は、波打ち際の砂の染みのようだったり、骨のようだったり、
てんてんと釉が垂れ、1つところにたまり、いきなりまた走り出したり、
その動き、流れが素晴らしくここちよい。
筆で描いたのではないのに、と驚嘆と、無駄な嫉妬の思いでため息をつく。




岡本太郎「遭遇」


岡本太郎も、実は太陽の塔くらいしか、作品の実物を見ていない気がする。
これは確かにすごい遭遇だ。
赤と黄、緑、青、白、黒、全てのエネルギーが濁流となって渦巻いている。



最後の「知られざる作家へのまなざし」のコーナーでは、見たいと思っていた
小泉清を中心に見た。荒れ狂った絵の具!
藤牧義夫というまったく知らなかった画家にも興味を持った。
機会があったら見てみたい。



日曜美術館のビデオを、コンパクトにたくさんの種類を流していたけれど
ゆっくり見ている時間はなかった。
もともと美術館でやっている紹介ビデオは
必ずしも熱心には見るほうではないので、いいんだけど・・


何しろ多くの素晴らしい作品をじかに見ることができ、
短い時間だったけれど、非常に濃い、いい時間を過ごした。
今年は日本の作品を見ることをテーマにしているので、
そんな私にぴったりの展覧会だった。
できることなら、もう1回行きたいくらいだったなあ。






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Last updated  2017.02.15 19:51:31
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mashenka @ Re[1]:生誕120年 棟方志功展(11/12) 一村雨さんへ お久しぶりです! 私もうな…
一村雨 @ Re:生誕120年 棟方志功展(11/12) お久しぶりです。 この展覧会、棟方志功の…
mashenka @ Re[1]:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 一村雨さんへ 素晴らしい障壁画でしたね…
一村雨 @ Re:サントリー美術館「京都・智積院の名宝」(01/21) 安部龍太郎の「等伯」を読んで、この親子…
mashenka @ Re[1]:横山操「ウォール街」(10/31) 一村雨さんへ 横山操の手にかかるとNYの…

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