Atelier Mashenka

Atelier Mashenka

2007.01.08
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カテゴリ: アート
太田記念美術館「ギメ東洋美術館浮世絵名品展」 のあと、
上野の東京国立博物館「博物館に初もうで」へ。




午後の日差しを浴びる東京国立博物館本館。
謹賀新年の垂れ幕や、お正月の生け花の飾りなどがしつらえてあり、
ちょっと晴れがましい雰囲気。



お正月にちなんでおめでたい企画が開催されていたけれど、
それらはさらっと流して、目指すは国宝展示室。
昨年見てとりこになった長谷川等伯の「松林図屏風」に今年も会いにきた。
昨年の記事はこちら

昨年は会期ぎりぎりで行ったので、かなり混みあい、
全体像を見ることができたのは、閉館5分前になってからだった。
今回はそこまでの混みようではなく、いきなり白い全体像がわっと押し寄せてくる。



長谷川等伯「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」 の右隻全図


やはり何か不思議な感覚がやってくる。


実体とは何か?
こんな問いの言葉がわいてくる。


実体である4本の濃い色の松が、亡霊のような影のような魂のような同形の松たちに
画面奥へと、彼岸へと誘われとらわれゆくかのように見える。
二重性、多重性。存在のあやうさ。
色即是空。



キャプションにある「連筆(れんぴつ)」という技法のことを読み、
かすかに心臓がひきつれ、恐怖に似たような切迫感を何故か感じた。
私も昨年の走墨作品展で、筆の2本使いに格闘したことを思い出し、
本当に等伯という人が、束ねた筆で絵に向かう姿を、その緊迫感を
生々しく想像したからかもしれない。


今年はそんなことを受け取った。

来年は「松林図屏風」と私と、
またお互いどんな1年を経巡ってどんな邂逅をすることだろう。




中国、日本の書もずいぶん展示されていたが、
本阿弥光悦の「和歌巻」に魅き付けられた。

みずみずしく流麗、それでいて大胆な力強さとシャープさも持ち合わせて。
点をひとつ打つにも、その入り方はため息が出るほど美しい。
文字から文字へのつなぎも美しく、穏やかで軽やかな呼吸が感じられる。
闊達さ・自在さがなんとも言えず心地いい。

あんな書を書くには、心の自在さが要るんだろうなあ・・




小林一茶の「自画賛」という掛け軸もよかった。
「子ともらを 心ておかむ 夜寒かな」という句と、老人の背。
孤独なのだろうけど、どこか自由な、力の抜けた老人の背中を感じる。
"お"や"か"などの字はすごくちっちゃい字だし、老人は簡潔な線で描かれ、
書も絵も空白だらけの掛け軸なのだ。

しかしその空白に、想いのすきま風が行き来しているかのような、
滋味深い作品だ。




今回は、初めて東洋館へも足を踏み入れた。
入り口からすぐの、西方・ガンダーラ美術のセクションに入ったとたん、
何故か泣きたくなった。胸がふるえた。

遠く西方で息づいていた仏教。
東方と違って、白い土地。土の色が違う、仏像の色が違う。
ヨーロッパの、ギリシャの影響の混じる仏像。

あまり見たことない、胸に両手を握っておし抱く姿の仏像。
様式は異なっても、ここにも仏教の空気があり、祈りが捧げ続けられている。
はるか古だとしても。はるか砂漠の地だとしても。


あまりに整ったすっきりとした美しい仏頭があった。



アフガニスタン出土だっただろうか。
ギリシャ彫刻の洗練と均等美、東洋的な深い瞑想と静けさ。


以前、ゲリラなどにより、
バーミヤン遺跡が破壊され失われていく様子を写したニュース映像を思い出す。
今では西方やインドでは仏教が廃れてしまっているけれど、
かつては仏教によりつながっていた。遠く西方から日本まで。

アジア。

これまであまり共感も実感もなかったけれど、
アジア一帯を、その中の日本を、仏教美術を通じて改めて強く感じた。



「博物館に初もうで」や、国宝「松林図屏風」展示は
上野の東京国立博物館にて、1月28日まで。





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Last updated  2017.02.16 13:29:55
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松林図屏風  
一村雨  さん
なるほど、亡霊のような松ですか。
言われてみれば、そう思えますね。
私も得体の知れない何かを感じます。
この絵の世界をさ迷ってみたい気もするし、
そうでない気もするし・・・
神秘的な絵ですね。 (2007.01.23 20:58:37)

Re:「博物館に初もうで」@東京国立博物館(01/08)  
sakura さん
お久しぶりです~
博物館もお正月飾りをするんですね。
来年行ってみたい。
長谷川等伯「松林図屏風」は本当に亡霊のようですね。なるほど色即是空ね…。
昨年国立博物館で「書の至宝」で光悦の書を見ました。やはり素晴らしかったのを覚えています。
あのような書が書けたらと思いますが…。
ダリ展を見に行った三男が増永先生のような絵があったと言ってましたが。私も見れば良かったわ。 (2007.01.23 21:42:32)

松林図屏風  
はろるど さん
こんばんは。
「松林図屏風」はなかなかその魅力が感じ取れずに、四苦八苦している(?)作品です。
いつしかmashenkaさんのように感じ取れればいいなと思いました。

東洋館は私も今回初めてです。
館内の複雑な構成に参りながらも、
その充実したコレクションには驚かされました。
今度改めてじっくり拝見したいです。 (2007.01.23 22:14:10)

一村雨さん  
mashenka  さん
>なるほど、亡霊のような松ですか。
>言われてみれば、そう思えますね。

昨年もそう思いました、なんだか怖くなる小心者の私(^^;)

>私も得体の知れない何かを感じます。
>この絵の世界をさ迷ってみたい気もするし、
>そうでない気もするし・・・
>神秘的な絵ですね。

"得体の知れない何か"・・そうですね、そんな言葉がぴったり。
遅ればせながら今回もTBさせていただきました!
(2007.01.23 23:39:50)

sakuraさん  
mashenka  さん
>お久しぶりです~

こんにちは、ちょこっとご無沙汰しててすみません。

>博物館もお正月飾りをするんですね。
>来年行ってみたい。
>長谷川等伯「松林図屏風」は本当に亡霊のようですね。なるほど色即是空ね…。

どうやら1月は毎年恒例のようですよ、
飾りやおめでたい企画(干支や初夢の特集)や「松林図屏風」の展示など。

>昨年国立博物館で「書の至宝」で光悦の書を見ました。やはり素晴らしかったのを覚えています。
>あのような書が書けたらと思いますが…。

わからないながらも最近書を少しずつ見てますが、
光悦の書はいいなあと思います。

>ダリ展を見に行った三男が増永先生のような絵があったと言ってましたが。私も見れば良かったわ。

そんな作品があったようななかったような・・
すごく混んでて、全部を丁寧には見られなかったので。
息子さんは美術に興味あるんですね!
sakuraさんの血をひいてますね~。
(2007.01.23 23:47:01)

はろるどさん  
mashenka  さん
>「松林図屏風」はなかなかその魅力が感じ取れずに、四苦八苦している(?)作品です。
>いつしかmashenkaさんのように感じ取れればいいなと思いました。

はろるどさんでも四苦八苦されてるんですね(笑)

私は、評判の高い関根正二の「信仰の悲しみ」の良さを
いまいち感じとれません・・・
どうやったら感じ取れるようになるのか、わかりません。
逆になんの説明もなくても、びび~ん!とくる作品もあるし。不思議です。

>東洋館は私も今回初めてです。
>館内の複雑な構成に参りながらも、
>その充実したコレクションには驚かされました。
>今度改めてじっくり拝見したいです。

東洋館、複雑でしたか?
真ん中が吹き抜けで、周りを少しずつ段々をのぼっていくあのつくりが
私はとても気に入りました。
エジプトのミイラまであったのは、びっくりしました。
私も今度、じっくり見てみたいなあと思いました。
(2007.01.24 00:03:13)

Re:「博物館に初もうで」@東京国立博物館(01/08)  
こんばんは~♪ 
松林図屏風の前で「恐怖に似たような切迫感」かぁ。。。
などど関心している場合でない、まだまだと思っていたのに28日ですか。ああん、行けない時期が続きます。でも、mashenkaさんのところで読ませてもらえるから幸せ(^^)v
(2007.01.24 21:10:39)

れおなるど21さん  
mashenka  さん
>こんばんは~♪

こんばんは~♪(^-^)

>松林図屏風の前で「恐怖に似たような切迫感」かぁ。。。

昨年も、この絵にはぞっとしました。
なんでかわかりませんが・・

>などど関心している場合でない、まだまだと思っていたのに28日ですか。ああん、行けない時期が続きます。でも、mashenkaさんのところで読ませてもらえるから幸せ(^^)v

他の方のブログを読んで、いろいろ想像するのも
楽しいですよね~♪
れおなるどさんに、そんなふうに楽しんでいただけてるのは、
嬉しいことです。
(2007.01.25 01:13:42)

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