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現在の資本の循環システムは、静脈を持たない昆虫の血液の循環システム。
世界の経済は一つになりグローバル化したのだが、それによって富める者は益々豊かになり、それから比較するに、貧しい者はよけい貧しくなる。健在の経済のシステムには、貧しい階層から豊かな階層への資金の流れは有っても、その逆の流れは存在しないか、極めて不完全流れしかもたない。ソ連の崩壊によって社会主義経済システムは否定され、資本主義市場制度が、全地球的規模に広がりを持つ事になったが、
現在の資本主義社会の血液たる、資本の循環システムは静脈を持たない、昆虫における血液の循環システム
のような、まだ不完全な制度システムであり、経済活動にに不可欠な資本の循環還流システムが、富裕層と貧困層、あるいは先進国と、貧しい開発途上国との間では、十分機能しているとは言いがたい。
現在の社会において、
一定の経済的な成長が不可欠なのは
、通貨のその一部が常に時間に対する一定の割合で、富裕階層や企業の資産として蓄えられ社会に出てこなくなるので、
時が経つとともに通貨の供給量が減少してくるためなのです。
不完全な循環システムのもとでは、社会の血液たる金が、ある部分においてだけ金が流れ、有る部分は流れにくいといった現象が起こる。そして社会に血液たる金が安定して流れないために、好況や不況の波となって現れたり、わが国において見られるような、経験した事の無いような大不況や、デフレスパイラルとなったりする現象を十分に説明できるだろう。
現在起きている問題は、資本主義制度の持つ、本質的な問題から起きている。アメリカではグローバリズムによって、少数の大金持ちに富が集中し、世界の大資産家二〇〇人の所得合計は、1994年に4400億ドル(約53兆円相当)であったのが、98年には1兆4200億ドル(約170兆円相当)になった。世界のたった二〇〇人金持ちだけで日本の国家予算の二倍以上の資産を独占しており、その資産はたった四年間で実に、二・四倍に増えている。アメリカはグローバリズムを推進する事によって、世界中の貧困層から、金を吸い上げるシステムを確立する事が出来たのです。(統計数字等は内橋克人氏著{もうひとつの日本は可能だ}光文社刊より引用)。日本でも一部の階層にのみ富が集中しつつあり、階層の分化と固定化が極めて明確になりつつある。現在のわが国でも貧富の格差は拡大し階級の固定化も進んでいる。金持ちの子弟は自由に親から金を借りたり、あるいは遺産として譲渡され、あるいは人脈やその運用のノウハウを、親からこへこから孫に子々孫々伝えるられる結果として階級の固定化という事が起こる。
資本システムの不完全さが、資本主義の本家アメリカや、開発途上国で見られるような、極端な貧富の格差や、累積債務となって現れるのは明らかである。先進国では富の再分配のための税制や、年金等の社会保障を通して貧しい市民にも金は還流されるが、石油等の資源の豊かな一部の国は例外として、開発途上国では社会保障のシステムは完備しておらず、金も技術も無く耕作すべき土地も持たない貧しい市民は、共同体の相互扶助の制度や豊かな市民からの施し等にる、貧弱な資金還流よって、かろうじて生活しているのが現状である。
それらの事がテロや犯罪や治安の悪化等の、温床となっているのは明らかである。アメリカはあの9.11日の歴史的大事件以後テロとの戦争を宣言し、それ以後アフガンそしてイラクと矢継ぎ早に、テロの撲滅を正面に立てて参戦していったが、状況は悪化の一途を辿っている。これらの戦争でビンラディンらテロの首謀者を捕らえ殺害したとして、テロが終結に向かう事は絶対にないだろう。最も本質的問題が何も解決されていないからである。
を開発途上国は市民は貧しく資本の蓄積も無い。先進国からの投資も期待出来ないし、外国から金を借りようにもそれすらも難しい事なのです。世界は経済的に統合され単一の市場となり、資本は電子的記号となって、地球的な規模で社会を循環しているが、先進国と途上国の間では、資金の流れが滞ってこのシステムが十分機能しておらず、それによって経済的な発展が阻害されているといえるだろう。
相対通貨のシステムは、
慢性的な税収不足と、貿易収支のアンバランスに悩む、開発途上国とこれらの国々に、自動的に資金を還流するシステム
(先進国が教育や環境保護のあるいは社会資本整備のために直接雇用という形になる。)
でもあり、先進国の豊かな階層から、その日の生活にも困っている人々や、
開発途上国の貧困層に、直接に必要とする資金を分配するシステム
でもある。開発途上国の政府は、国自体が相対通貨制度と通貨の電子化を推進し、これらに付加価値税をつける事によって政府を運営し、必要とする物品を先進国から購入する事で、資本の循環は完結し、脊椎動物のような、世界を一つとする資本の完全な循環システムを構成できる。
それによって現在の資本主義社会の、新たな進化にもつながり。開発途上国の深刻な資金不足は解消し、テロや犯罪の温床となる極端な貧困も撲滅への道は開く事が出来るだろう。アメリカはテロの防止と、その根元を断つためにも、この制度を先頭にたって採用すべきだろう。アメリカは相対通貨制度採用のための、社会基盤がととのっている、数少ない国家の一つなのだから。
相対通貨制度の世界的な規模での制定によって、資金不足でのためにもこれまで経済的な発展から取り残されてきた、アフリカ諸国さえも急速な経済発展を始め世界的な経済革命となるだろう。
相対通貨は発足当初は、各国国内での完結したシステムとされるべきでであろうが、システムの広がり具合と成熟度合いを計りながら、先進国間や開発途上国との連携や、通貨同盟そして究極的には世界の通貨の統合も目的とすべきだろう。
そして行政を通さず、専門の国際機関によって、先進国の豊かな階層から、貧しい国の最も助けを必要とされる人々に、直接ICカードや携帯情報端末によって、分配されるようにすべきである。この相対通貨のシステムにより、世界の経済システムは、歴史上始めて、真に有効な資本の還流システムを持つ事になり、現在の資本主義の社会を進化させ、新たな文明建設の原動力となるだろう。
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