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小説 「 scene clipper 」 Episode 14
「じゃあ、改めて」
「リョウさん、誕生日おめでとうございます!」
「二度言われると、ちょっと照れるな・・・。」
「ガラじゃない、と思いますよ」
「んだと!」
「あ、グラス持って!」
はぐらかすの、天才だな
「よし、乾杯!」
「乾杯!」
水城が冷蔵庫を振り返る
「あれ、賞味期限切れないうちに飲んじゃってくださいよ」
「ああ、夕子ちゃんの気持ちを無にしちゃ申し訳ないもんな」
「あれ、じゃあ僕の気持ちは・・・」
「お前にも・・・一緒だよ、解れよそんくらい、一々口で言わなくても」
水城は何も言わず次の瓶の栓を抜き、俺のグラスに注いで自分のにも注ぎながら
「聞かせてください」
「ん?」
「やだなあ、リョウさんの同級生の夕子さんの話ですよ」
「同級生?いやいや1コ下だよあの夕子は」
「知らないっすよ、リョウさんが同級生って言ったんじゃないですか」
「・・・・・・だっけか?」
「・・・・・・・・・・・」
「そうそう、さっきのケンカと、その後でお前の彼女の夕子ちゃん、つまり『ケンカ』と『夕子』という二つのワードが俺の記憶の鍵を開けちゃったわけ」
「・・・・・・・」
「君にはちょっと難しいかも知れません、ハハハハハ!」
「好きなだけ笑っていいから思い出してね」
咳払いした・・・・立場を元通りにしなきゃな
「あれは・・高一の夏も終わりの頃だった。俺はあの日今日みたいに殴り合いのケンカをして・・・その後で相手が『腹が減った』と言うので、『じゃあバスターミナル手前の店でお好み焼きでも食うか』と言った。」
「『おう、そうすべぇ』で『んじゃあお前顔洗って帰り支度してこいよ』と俺が言うと『この野郎手加減しろよな、前歯が一本足りねえぞ!』ときた。『それはこっちのセリフだ!馬鹿力出すから右手の人差し指おかしいぞ、お前俺にお好み焼き食わせろよな』でお互い大笑いしてそれぞれの教室にもどったんだが」
「はいはい、リョウさんも俺らと似たようなことしてたんですねぇ」
(一緒にすんなよ・・・)
「そこを廊下で見てたんだよ夕子が・・・でな」
「うんうん、それで?」
「『男子って単純よねーあきれるわ』そう言いやがった。笑いながらな」
「えー!いい度胸してますね、そっちの夕子さん」
「ああ、あいつの親父は漁師でな・・漁師って気が荒いのが多いからな」
「夕子さんの親父さんもやっぱり?」
「あいつの親父はもういない」
「え!?」
「あれから二・三日あと、海が急に時化た日があってな・・・」
※時化る=海が荒れる
「あの朝漁に出てから、夕子の親父は帰って来なかった・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
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