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小説 「 scene clipper 」 Episode 21
「知り合い、そう知り合い、だよね?」
「そう、久しぶりに会った知り合い、ね、リョウさん」
紹介した途端に上妻は焦り始めた。彼にしてみればステディな関係になりたいと考えているスージーのことを、以前から知ってる態で話し続けるリョウにやや厳しい目を向けていたのだが我慢できずに口をはさんだ。
「なんだ?どういう知り合いなのか聞かせろよ・・・。」
リョウとスージーは見合っていてスージーは『どうする?説明・・・』
リョウは『伊藤さんちのホームパーティの話からだと長い・・・』
と目は口程に物を言う何とかで、テレパシートークを展開しそうになったが
リョウが「ちょっと待った!」とブレーキをかけた。
上妻はさらに気分を害したのか、引きつり気味の笑みを浮かべて抗議する。
「何がちょっと待っただ!俺たちゃさっきから結構待ってるぞ、なあ水城君」
「え、まあそんな感じですよね・・・」
そこへそろそろ抑えきれなくなってきたようなトーンで元クイーンの声が
一行を圧した。
「続きはパスタの店に行ってからってのはどうなの!?」
リョウ「そ、そうだよね。俺も今そう言おうと・・・」
マリ「ふーん・・・」
上妻「そうですね・・・予約してるし」
スージー「オウケイ、レッツゴウ!」は良かったがマリににらまれて俯いた。
水城と夕子は気を付けに近い姿勢で俯いた。
上妻がリョウの横に並んで耳打ちしてきた。
「せっかくの水城君の祝いの席だ、スージーとの出会いは和やかに終えるように
な」
「ああ、分かってる・・・」
「お前のその困った顔、高校の時の同級が見たら驚くぞきっと」
「マリちゃん、こわい・・・」
「今の、俺が驚いた・・・」
「お、ここだな『デリツィオーゾ パスタ』デリツィオーゾって『歓喜』という意味があるらしいからな、美味しくて『歓喜』出来そうだ」
壁はレンガ造り、素焼きの焼き物のようなオレンジっぽい茶色・・・テラコッタだな。
窓は床から天井の少しばかり下までの全面を30センチ四方くらいの木枠にはめ込まれたガラス窓。木枠のやや薄めのネイビーブルーがテラコッタ色のレンガの壁とマッチしてる。
扉を開けると、「こちらへどうぞ」とスタッフが案内してくれた。
4人がけのテーブルが3つ並んでいる横を通り、奥まった6~7名が座れそうな
長方形のテーブルに案内された。
テーブルの上に置いてあった「 Reserve
「どうぞこちらへ、ご注文が決まりましたらお申しつけ下さい」
そう言うと終始笑顔を絶やさない感じのいいスタッフはカウンターの奥、多分キッチンに戻った。
皆メニューから各々パスタを選ぶ、リョウはムール貝抜きのボンゴレビアンコとスパゲティポヴェレッロをチョイスした。
水城はボンゴレロッソ、夕子は「同じのを」と仲の良さを見せつけた?
上妻とスージーはこれまた仲良く「ペペロンチーノ」と声を合わせて選び
最後にマリはたまたま通りかけたスタッフを呼び止めて、
「きのこのペペロンチーノ、出来ます?」
と訊いた。
「はい、おつくり出来ます」との返事に満足げにうなづく。
上妻はもう一度メニューを手にして「そういうの有った?」
「メニューにはないわよ。だから訊いてみたの」とやや得意げなマリちゃん。
メニューを閉じて俺を見る上妻に「和やかに・・だろ?」と言ってやった。
不意に俺の左手にマリの右手が重ねられた。大胆だけど歓迎する。
何かが俺の中で爆発したようだ・・・いや確かにそうだった。
「オーダーしていいわよね」おれの顔をしっかり見ながら言う。
「もちろん、大歓迎だよ」
「おかしな日本語・・・」
そう言いながらも嬉しそうに白い歯を見せたマリは、顔の向きを変えて
「すみません」
とスタッフを呼び止めた。
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