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小説 「 scene clipper 」 again 第 20 話
語る方も聴く側も、ひとつふたつ駅を戻ることが出来たなら
もうひとつ話ができた、聴けた。
口にこそ出さないが、一行の表情に同じ想いを、読み取れた
気がしてリョウは車窓に目を転じた。
品川駅で山手線に乗り換える。
青木さんたち一行はお迎えの車があるそうなので、ここでお
別れすることになった。
「リョウ君、本当にありがとう。田島さんの墓参という大き
な目的を果たせただけでなく、いろんな珍しいものを見聞き
させてもらいました。礼を言いますよ」
そう言って頭を下げられた。
「あ、困ります。どうかそのようなことは為さらないで下さい」
滅多に目にすることのない、青木氏が人に頭を下げる姿を見て
・・・ケンさんが目を大きく見開いた。
それから俺に向き直って
「リョウさん、本当にありがとう。このことは一生わすれません」
その清々しい振る舞いに感動して返事はまず首を横に振ってから
「青木さんやケンさんにそんなに喜んでもらえて、こっちこそ礼
を言わせて下さい、ありがとう」
「また連絡していいかな?」
「もちろん、また飲もうね」
何時もそうだが、気に入った人との別れは例えひとときであって
も、名残惜しいものだ。
「なんか、いいよね男の背中と、それを見送る男も・・・」
「・・・そう、かな・・・」
「さてと、私たちも帰るとしますか」
「うん、で、どっちにする?」
「外回りで新宿から京王新線で笹塚。それか渋谷で京王井の頭線
に乗り換えて明大前から京王線でってこと?」
「だね、・・・上妻が部屋にいたら、寄ってみるなら渋谷で京王
井の頭線に乗り換えて・・・」
マリが話を折る、疲れてるなやっぱり・・・。
「下北に寄るのなら、悪いけど・・・」
「そうだな、・・・今日のところは新宿から新線で帰るか」
「無理してない?」
「いや、正直言って流石に俺も疲れてなくは無い・・・」
「そっか、リョウさんもモンスターじゃなかったんだ」
「そりゃそうさ、結構な強行軍だったからな・・・マリにも栄養と
休息が必要みたいだし、今日はどこかで旨いメシ食って風呂に入っ
て寝るとしようぜ」
「賛成、上妻さんに電話も明日に、できたらそうして・・・」
「了解しました、マリさま」
「うん、よろしい!」
二人で声に出して笑った。
それは久しぶりのことだった。
これが今年の〆になります。
ちょっと早いですが、良いお年をお迎えください。
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