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ボール・ウオッチの新作「エンジニア ハイドロカーボン ディープクエスト」です。 チタンを削り出した裏蓋一体構造と5.3mmという厚さのサファイアクリスタルにより、なんと3000m防水を実現しています。4年前に発売されたROLEXのシードゥエラー ディープシーのような例外はあるもの、機械式時計としては最強と言える防水性能です。 そして感心するのはそのサイズで、直径43mm、厚さ16mmは、その防水性能を感じさせません。一般的なダイバーズウオッチ(200~300m防水)となんら変わらないサイズで、普段使いに全く支障ないでしょう。 さて、防水以外の性能ですが、ボール・ウオッチのお約束で、耐衝撃性:7,500Gs、耐磁性:4,800A/mと、日常で想定されるかなり厳しい外乱にも涼しい顔で耐えてくれます。さらに自発光するマイクロガスライトがふんだんに使用された文字盤と回転ベゼルは、夜間でも抜群の視認性を長期間にわたり保障してくれるでしょう。 視認性に関しては、少々時分針が短いかもしれません。通常の時間を読み取るのには支障なさそうですが、回転ベゼルで潜水時間を読み取ろうとすると少々寸足らずに見えます。まあ実用上問題あるレベルでは全くありませんが。 ムーブメントはETA2892A2のCOSC認定クロノメーターが搭載されています。高価なマニュファクチュールキャリバーではありませんが、精度・信頼性ともに高いレベルで安定感のある優秀なムーブメントであることは周知の事実。後述するコストパフォーマンスに大きく寄与していると考えれば、極めて「まっとう」な選択です。 流行にまかせて「巨大」にしたり、エキセントリックなデザインに走ることなくオーソドックスなデザインながら、チタンの独特な質感にガンメタのベゼルと、ところどころに使われているステンレススティールとのコンビネーション等により、只者ではない雰囲気を醸し出しています。またシャープでエッジのきいた針やインデックスは全体的にぎゅっと引き締まった印象を与えています。文句なしにカッコいいダイバーズです。 で、価格が約35万円。防水性能をはじめとする各種ハイスペック、軽量なチタンの採用、クロノメーターの搭載等々を考慮すれば非常に優れたコストパフォーマンスです。唯一足りないのはメーカーの知名度といったところでしょうか。逆に言えば知名度の低い今こそ買い時なのかもしれませんね。ボール・ウオッチ一覧へまだまだ東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.07.08
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輸入万年筆の日本国内価格ってやっぱり高いですよね。 今回のチャレンジもデルタの万年筆ですが、本国イタリアからの購入です。 購入したのは今年の新作「ギャラリー ブルームーン」です。 日本での発売は未確認ですが、現時点で楽天内では売っていないようです。 日本での定価はドルチェヴィータと同額のようで、ミディアムサイズが73,500円(税込)なので、私が購入したピストンフィリングは89,250円(税込)と思われます。 これがイタリアのショップでなんと330ユーロ!。定価なのか割引価格なのかよく分かりませんが、とにかく日本で割引価格で購入するよりはるかに安いです。これに送料や通関料・消費税などかかりますが、それでも万単位で安い。 今回はブルームーン以外にCaran d'Acheのエクリドール2本(BP、PC)、ボトルインク3本(デルタ2色、ペリカンエーデルシュタイン1色)を購入し、日本国内定価の合計約13万円のところ、約6万3千円也!(送料等込みで)。 で、インクがまた安いんです^^)/ デルタのボトルインク、日本なら1,890円もするのがたった3.5ユーロだし、ペリカンのエーデルシュタインは2,480円が10.5ユーロと激安。というか日本での定価が高すぎるでしょ! ということで今回もかなりお得な買い物ができました。が... 実はメインのブルームーン、HPの説明では(少なくとも写真は)ピストンフィリングではなくミディアムだったので、当然ミディアムのつもりで購入したのですが、到着したのはピストンフィリングでした。 より高価なものが届いたので良かったと言えば良かったのですが、注文したつもりのものと違うものが届くというのはやはり微妙です。これがもし逆だったら、日本なら即返品といくところですが、相手が海外では返品手続きに挫けるかもしれません。 今回は日本国内価格の高さを再認識したと同時に、海外通販のリスクを改めて考えさせられました。私はやはり多少のリスクを加味しても、それを補って余りあるコストメリットがあると思うので、これからも海外通販を利用するでしょう^^;)<補足> 日本の定価があまり高くないブランドも結構あります。AURORA、Pelikan、S.T.Dupont、Montegrappaなどは日本の並行輸入店で買う方が安いくらいです。DELTAやFaber-Castellなどの代理店さんにはもっと頑張ってもらいたいものです。まだまだ東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.05.21
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SKY-DWELLERの陰に隠れて目立ちませんが、サブマリーナのノンデイトもモデルチェンジしてます。 calibre 3130を搭載したデイトなしサブマリーナ。なんとなくデイト付きサブマリーナの廉価版というイメージがつきまとい、ロレックスファンからはあまり支持されていないのが少々悲しいところ。 現在のノンデイト(新型も)はクロノメーターだしパラクロムひげゼンマイだしで、日付表示がないということ以外はデイト付きと同じスペックですから、ニーズによっては非常にお買い得なモデルと言えます。(ブレスレットのスクラプが少々簡易?) とは言え、ロレックスの売りの一つである「デイトジャスト機能」を省かれているわけですから、廉価版と言えば廉価版なのですが^^;) 今回のモデルチェンジでは、他のスポーツモデル同様ベゼルの黒い部分がセラミックスになり、針は太くアワーマーカーは大型になるなど小変更がなされています。セラミックスのベゼルは十分高級感のある光沢なので、廉価版という評価は見直されるかもしれませんね。(そのぶん価格も廉価と言えないものになるのでしょうが^^;) ロレックス入門用であったり、アウトドア等でガシガシ使うためのセカンド(3rd、4th、、、)として持てば良い仕事をしてくれそうです。(ちょっと贅沢?) この他スポーツモデルではヨットマスターもモデルチェンジしましたが、個人的に色使いが全く好きになれないので割愛させて頂きます...^^;)まだまだ東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.05.13
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あの「フジツボ」ケースが復活しました! このSpacemaster Z-33はSpeedmaster X-33の後継機種らしいクォーツの多機能時計ですが、このケース形状を復活させたオメガ、嫌いじゃないです^^;) 1970年前後にいくつかのモデルで採用された、通称「フジツボ」ケース(火山:ボルケーノと呼ばれることも)。特に記憶に残っているのはやはり「フライトマスター」でしょう。製造期間が短かったため個体数が少い上、存在感抜群のケース形状と極太GMT針が目を引く独特なダイヤルは人気が高く、アンティーク市場ではそれなりに高値で取引されています(状態の良いものがそもそも少ないのですが)。 最近のオメガはシーマスター「プロプロフ」など過去のモデルの復刻モノが面白いです。オメガには復刻したら人気が出そうなデザインが多々あるので、是非とも最新技術をつぎ込んだ「復刻モノ」を出して欲しいです。12角形ダイヤルのコンステレーションやCラインケースなど。で、フジツボケースのフライトマスターはマストで^^;)まだまだ!東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.05.05
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昨年のバーゼルワールドで発表された毎秒1000振動のコンセプトモデル「マイクロタイマー フライング1000」に度肝を抜かれたのはまだ記憶に新しいところです。しかも1年も経たずにほぼそのまま市販化されたという事実にまた驚かされたのがつい先日。 そして今度は毎秒2000振動です。しかも全く新しい調速システムが使用されているということで興味津津です。 毎秒2000振動=5/10000秒単位の計測が可能という、機械式としては耳を疑うような振動数なわけですが、これを可能にしたのが「ガーダーシステム」と名付けられた、線形振動子を利用した新しい調速システムです。 フライング1000まではひげゼンマイを使用した、ある意味コンベンショナルな調速システムでしたが、どうやら理論上ひげゼンマイで可能な振動数の限界に達したとのことで、このガーダーシステムが採用されました。 線形振動子、要は真っ直ぐな棒を振動させるというもので、昔ゲーセンで定規を弾いてボタンを連打したあれです(例えが貧相ですが^^;) 脱進機の構造は、見たところスイスレバー式とそう大きな違いはないように見えますが、どのようにして振動子と力のやり取りをしているのか気になります。 さて文字盤に目を移すとブルーのセンター積算針と12時位置の「10000」の文字が目立ちます。このセンターのブルーの針は5/10000秒刻みに0.05秒で1周します。つまり1秒間に20周することになり、尋常ではないスピードであることが分かると思います。フライング1000の倍のスピードですが、この長い針をよくもまあそんなスピード動かせるものだと感心します。 3時位置には1秒積算計、そして12時位置に60秒積算計、これが全ての積算計なので1分間しか計測できませんが、そんなことはこの際どうでもいいでしょう^^;) そして6~8時方向に横長にくり抜かれた中に、この時計のハイライトであるガーダーシステムが鎮座しており、クロノグラフ作動時には新システムの動きが堪能できます(見えるかどうかは別として...)。 ところで今年はモンブランから1/1000秒クロノグラフが発表されました。これはコンセプトモデルではなく市販モデルで、フライング1000がたった150秒しか持たなかったクロノグラフのパワーリザーブがなんと45分(しかもパワーリザーブ付き)、積算計も遥かに読みやすく洗練度は格段に上を行ってます。ミネルバ製で、価格も格段に上を行っているのですが。 モンブランから、というのは意外でしたが、にわかに超高振動戦争勃発の予感です。 モンブランの1/1000秒にも驚きましたが、この機構の先駆者であるタグ・ホイヤーには敬意を表するとともに、更なる技術革新を期待せずにはいられません。まだまだ!東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.04.08
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ゼニスからワールドタイマー「Pilot Doublematic」が発表されました。 名前の通りパイロットウオッチらしい硬派なデザインが印象的です。 機能と視認性を重視したであろう黒い文字盤はどこからどう見ても紛れもないパイロットウオッチです。 ゼニスのワールドタイマーはティエリー・ナタフさん時代にもありましたが、少々成金趣味的なデザインにがっかりしたのを覚えています。(良くも悪くも高級志向というか...) このエルプリメロをベースにしたワールドタイマーには、クロノグラフの他アラーム機能が付加されています。一見GMT針に見えるのがアラーム設定針で、8時半位置にアラームON/OFF表示、7時位置にアラーム用パワーリザーブインジケーターがあります。 ゼニスのアラームって、あまりイメージがありませんが、昨今増えてきたワールドタイマーの中で独自性を持たせた結果なのでしょうか。 アラームなしで価格を抑えたバリエーションがあったりすると魅力的ですね。ついでにビッグデイトもやめて普通のデイト表示にすればもっと安くできそうだし。なんならベースをエリートにした3針(非クロノグラフ)バージョンも悪くないかと^^;) いずれにせよ、昔の「レインボー」とかがあったころの、硬派なゼニスが戻ってきたようで嬉しいです。ナタフさん時代を全否定するつもりはありませんが、やっぱりゼニスは「知る人ぞ知る、硬派な時計メーカー」という立ち位置が一番しっくりきますね。(単に私個人の思い込みですが^^;)東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.03.25
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久しぶりにロレックスに新型が登場します。 「SKY-DWELLER」と名付けられたこのニューモデルは、ロレックスでは初の年次カレンダー(2月末以外調整不要)を搭載したというだけでも十分注目に値しますが、それ以外にも特筆すべきポイント満載です! 先ず外観ですが、デイトジャスト系のデザインですが、直径は42mmとデイトジャスト系では最大で新EX-IIと同じです。個人的には40mmあたりがちょうど良いのではないかと思いますが、大き過ぎというほどでもないと言ったところ。 最も目を引くのは時分針の付け根に輪をぶら下げたように配された24時間ディスクでしょう。中央ロゴ下の赤い三角形がローカルタイムを示すGMTウオッチであることが分かります。ローカルタイムを針ではなくディスクで表示するのはロレックスでは初めてで、文字盤外周と同心円にしなかったところに独創性が窺えます。 更に細かく見ると、時分針は中央よりやや付け根側がくり抜かれており、極力ローカルタイムを読み取りやすくする工夫がされています。実用性に対するロレックスの拘りが感じられますね。 そして一見目立ちませんが、アワーインデックの外側の小窓が「月」を表示する年次カレンダー機構を搭載しています(写真は8月28日の状態)。日食と月食からインスピレーションを受けて考案されたサロスシステムなる機構で大の月と小の月を判別しているのですが、ロレックスのHPで機構の動きをみても私には良く分かりませんでした^^;) これらの機能と時間合わせを行うための調節機構がまた斬新です。 回転式リングコマンドベゼルと名付けられた可動式のベゼルと竜頭操作を組み合わせることで、これだけの複雑機構をストレスなく調整できるというのは驚きです。 竜頭は、ロックを解除して手巻きする第1ポジションと、そこから1段引き出した第2ポジションしかありません。 ベゼルは、時計回りに回しきった位置が既定位置とされて、その位置では竜頭を操作しても何も調整できません。 そこから反時計回りに約45度回した位置が日付と月を調整する位置で、竜頭の第2ポジションで調整できます。普通の時計の日付け送りに比べて圧倒的に少ない労力で送りと戻しが可能です。その代わり月は日を送ったり戻したりすることでしか変わりません。日と月は完全に連動しているようです。さすがに半年分調整しようと思ったら結構な操作量になるかもしれませんが、GMTマスターの日付け調整よりははるかに楽そうです。 そこからさらに反時計回りに約30度回した位置がホームタイム調整位置で、ここでは時針のみを1時間単位で進めたり戻したりできます。当然時計を止めることなく調整でき、海外旅行先で最も重宝する機能です。 そこからさらに反時計回りに約45度回した位置(8時付近)がローカルタイム調整位置で、秒針が停止した状態で全ての指示が連動した状態で時間調整ができます。 ヨットマスターIIで採用された機構の応用のようですが、腕時計にはまだまだソリューションが隠されていることを思い知らされます。 ロレックスのHPでシミュレーションできるので興味のある方はいじってみてください^^;) 最後にムーブメントです。 この「SKY-DWELLER」に搭載されている「calibre 9001」は、ほぼ全くの新設計ムーブメントのようで、31〇〇系に新しいモジュールを乗せたわけではありません。 基本構造は、両持ちのテンプ受け、マイクロステラナットによるフリースプラング式緩急調整、パラクロムの巻き上げひげ、パラフレックス耐震軸受など、31〇〇系の美徳とされていた構造は引き継がれていますが、外観は一新され、パワーリザーブは72時間に延び、巻き上げローターの保持はボールベアリングに改善され、他社の最新ムーブメントに比較しても負けるところが一つもない、と言って差し支えない内容です。 実際の精度が31〇〇系に匹敵すると断言することはできませんが、そこはロレックス、期待を裏切らない精度を魅せてくれるでしょう。 さて、今年はゴールドモデルのみ(WG、YG、エバーローズG)の展開ですが、来年以降コンビやSSモデルの展開も期待できます。さらにムーブメントに関しては今後の展開が非常に楽しみです。モジュールを外した新たなベースムーブメントとしてスポーツモデルにも採用されるのではないかと、ついつい色々と妄想してしまいます^^;)1年経ちましたが、まだまだ東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.03.11
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昨年クロノマットGMTが発表されたとき、その大きさにがっかりした人は多かったのではないでしょうか。 直径47mmはどう贔屓目に見ても「デカイ!」というのが正直な感想でした。「for BENTLEY」や「MONTBRILLANT」等にも同程度かもっと「巨大」なモデルはありますが、まあそちらはデザインや機能面で大きさが必然であると言えなくもないので特に気にはならなかったのですが(そもそもあまり興味をそそられなかったというのが正直なところかも^^;)。 せっかく自社ムーブメントにGMTモジュールを載せた新型(Caliber 04)ってことで期待したのに、47mmじゃ...まるで鈍重なSUVではないか!意図が全く理解できませんでした。(そんなにデカ厚って人気あるのか?と) で、やっと出たのが44mmの「クロノマット44GMT」 正直これでもデカイ気がするけどなんとか許容範囲でしょうか(次は是非41mmを)。 44mmが出たことで格段に魅力が増した感があります。 まずGMT機能ですが、最近のGMTウオッチらしく竜頭一段引き出した状態でローカルタイム(通常の時針)を1時間単位で秒針を止めずに調整でき、二段引き出した状態でホームタイム(24時間針)を時分針連動でストップセコンド機能により正確に調整できます。 そしてベースになっているCaliber 01の優秀さは今更言うまでもありませんが、コラムホイールで制御される垂直クラッチや自動位置決め装置付きリセットハンマーなどの構造は、いかにも最新のクロノグラフムーブメントであり、加えて約70時間のパワーリザーブやクロノメーター取得の精度など、ほとんど死角が見当たりません。 唯一緩急調整がフリースプラングではないというのがマイナスと言えばマイナスですが、既に十分な精度が出ている上に、フリースプラング化で価格が跳ね上がるような状況は誰も望まないことで、ブライトリングとしては清い割り切りなのかもしれません。 そして目立たないけど歓迎できる点が一つ。回転ベゼルのインデックス面がサテン仕上げになったことです。今までのCaliber 01を積んだクロノマット(GMTも含め)は全面ポリッシュで、時計全体がピカピカに磨かれた印象でした。「高級感」はあったかもしれませんが、実用上もっとも傷つきやすいベゼルは、やはりサテンの方が好ましいように思います。 また、ポリッシュされた4つのタブとのコントラストがはっきりしたことで、デザイン的にも立体感が高まったように感じます。 クロノグラフ+GMTという、なかなかおいしい組み合わせはそうありませんし、しかも自社ムーブメントとなれば他に選択の余地はほとんどありません。47mmなら無理でも44mmはかなり現実的なサイズです。非常に魅力的なモデルが追加されることを素直に喜びましょう^^;)東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.02.26
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モーリスラクロアから初のダイバーズウオッチ「Pontos S Diving Chronograph」が出ます。 ETA7750を搭載したインナー回転ベゼル式の200m防水クロノグラフで、挿し色のオレンジが水中での視認性に貢献し、同時にスポーツウオッチらしい外観に仕上がっています。 一見ダイバーズウオッチには見えないスマートな外観は、モダンなポントスシリーズのイメージ通りで、直径43mmというダイバーズとしてはそれほど大きくもないサイズと、何気なく風防内に収められたインナー回転ベゼルの効果で非常にすっきりしたものに仕上がっています。少々穿った見方をすれば、これ見よがしなデカ厚ダイバーズに対するアンチテーゼとも受け取れます。 カラーはオレンジのほか挿し色に水色を使用したものや、地味なモノトーンも用意されています。またストラップは写真の如く挿し色と同色のストライプが入ったNATOストラップのほかSSブレスレットも選べるので、モノトーンにSSブレスを選んでビジネスシーンで違和感なくさらりと身に付ける、というようなこともできそうです。 ポントスシリーズなので、7750搭載機としては比較的安価な価格設定がされるのではと思います。新社会人が初めての機械式として持つのも良し、休日のアウトドア用に2本目3本目などとして持つのも良いかもしれません。 モーリスラクロアは比較的新しいブランドですが、自社専用のケース工場を保有し、近年は自社ムーブメントの開発にも積極的で、なかなかクオリティーの高い時計造りで徐々にその知名度を上げています。といっても日本ではまだまだ知っている人は少ないようですが。 ただいま一つブランドの立ち位置がはっきりしないというか、ブランドイメージの構築に右往左往しているように見えます。特にフラッグシップであるマスターピースシリーズでは、クラシカルで仕上げのいい時計に注力していたかと思えば、「蚊取り線香でへろへろになった蚊」みたいな少々エキセントリックなクロノグラフを造ってみたり、四角い歯車を秒針にしたヘンテコなのを造ってみたり、メモワール1は未だに完成しないしと、明らかな失敗作(失礼!)が目立ちます。 ダブルレトログラードやムーンフェイズレトログラードなどはとても綺麗で私も好きなので、できればそっちの流れで進んでくれればいいのにと、勝手に思っています^^;)東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.02.12
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いよいよ2012年新作腕時計がお目見えしました!先日開催されたSIHH(通商ジュネーブサロン)から気になるモデルを紹介します。 今年のIWCはパイロットウオッチ押しです。 中でもトップガンシリーズの充実ぶりは特筆もので、Calibre:79350(7750じゃないやつ)搭載のクロノグラフに加え、永久カレンダー(多分Calibre:51612搭載)や7日間巻きビッグパイロットウオッチ(多分Calibre:51111搭載)が、全てシリーズ共通の黒いセラミックケースで登場です。またSSケースのスピットファイアシリーズにもCalibre:79350搭載モデルが追加されます。 で、個人的に一番歓迎したいのはIWCでは私の知る限り初(過去にポルシェデザインとしてはありましたが)となる「ワールドタイマー」です。一応名称に「TOP」と付いているようですが、ケースは普通のステンレススティールのようなのでトップガンシリーズではなさそうです(良く分かりません...^^;) 近年、各社GMTやワールドタイマーウオッチに力を入れていますが、IWCもこの流れに乗ったようです。ただIWCが「らしいな」と感じさせるのは、パイロットウオッチとしてまとめたことです。この手のワールドタイマーは、パテックやジラール・ペルゴのイメージが強いためかどうしてもドレスウオッチ系(世界を飛び回るのはお金持ちのセレブが多いからか?)という先入観がありますが、本来この機能はパイロットにこそ最も相応しいものであるということを再認識させてくれます。(昨年BALLから発売されたワールドタイマー(Ref.DG2022A、Ref.GM1020D)は非ドレス系ワールドタイマーとして妙に新鮮に見えました) ムーブメントは現時点では不明ですが、スピットファイアUTCなどに積まれているCalibre:30710ではなく、新たなモジュールが搭載されているようです。ベースがETA系か分かりませんが、価格が明らかになれば想定できそうです。 Calibre:30110系をベースにしていればそこそこリーズナブルな価格設定になりそうですが、80110系がベースだと少々お高いかもしれません。 さて、ワールドタイマーで最も気になるのは操作系ではないでしょうか? パテックのようにボタン操作だけで好きなタイムゾーンに合わせられれば最高ですが、見たところ竜頭1つでの操作となるようなのでそこまでの簡便さはないのでしょう(それが普通ですが)。願わくば、ロレックス・GMTマスター2のように短針を単独操作(1時間単位で送り・戻し)できるモジュールであってほしいですね。これが24時間ディスクの単独操作(ETA2893など)では雲泥の差ですから。(解説ではなんとなく前者っぽい) まだまだ不明な要素はありますが、パイロットウオッチ然とした精悍な顔つきとワールドタイマーとしてのデザインのまとまりは非常に魅力的です。直径45mmは少々大きいですが、GMT好き、ワールドタイマー好きには強力な選択肢の一つになりそうです^^;東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2012.01.29
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21世紀に入ってから、腕時計、とりわけ機械式腕時計の多様化は加速度的で、我々エンドユーザーがその溢れる情報を整理し的確に理解することが極めて難しくなってきています。 そんな状況で新設された「ウォッチコーディネーター検定」は、主に顧客に対してきちんとしたアドバイスができる販売員の育成を目的としており、日本時計輸入協会が行う専門知識の認定制度です。 出題範囲は時計発展史からムーブメントや外装の知識、はては包装と進物の知識やら法律に関して等々多岐に渡り、およそ考えられる時計に関わること全てを網羅しています。但しあくまで「販売員」をターゲットにしているので、簡単な実習はあるもの時計修理技能士のような技術に特化した資格ではないようです。 先述したように、非常なスピードで多様化する時計産業において、今後も健全な成長を目指すならこういった検定制度は不可欠なのでしょう。購入者は、販売員からの正しい情報と知識によって判断できるようになり、それにより後々のトラブルも回避できるでしょう。 以前は「高いお金出してロレックス買ったのに、1日2秒も進むとは何事だ!」的な苦情も多かったと聞きますが、これなどは機械式時計に対してほんの少し知識があれば「さすがロレックス、1日2秒しか狂わない!」という称賛に変わります。 定期的なオーバーホールが必要だということを知らずに買えば、後日それを知ったときには残念な気持ちになるでしょう。先に知っていればどうということはないのに。 また、例えば文字盤のエナメルが如何に繊細で手間のかかる代物かということを知っていれば、高い代金に納得するばかりか愛着をもって大切に扱うことができるかもしれません。 これらは非常に単純な例ですが、現代の腕時計はびっくりするくらい複雑だったり聞いたこともないような新素材を使っていたりしますから、販売員が正しい知識を身に付けることはエンドユーザーにとって喜ぶべきことでしょう。(但しメーカーがきちんと情報を開示しないと成立しない面もあるので、メーカー側にも誠実な対応を求めたいところです) 更に、この検定では法律や費用に関する知識も求められ、つまり今後自分でお店を持とうと考えている人にとっては最初の足がかりになるかもしれません。 もちろん時計を生業にしていない単なる時計好きでも参加できるので、趣味として受けてみるのも一興かと。 検定の詳細は以下、日本時計輸入協会HPを参照のこと http://www.tokei.or.jp/news/post-1.html東日本大震災被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2011.10.10
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新宿伊勢丹で開催されている「ワールドウオッチフェア」へ行ってきました。雑誌やインターネットを駆使すれば最新の情報はいくらでも手にする(目にする)ことができる昨今ですが、実際に現物を見ることで印象が変わるということは良くあることです。まず感じたのは、大きな時計が増えたということです。数年前からの「デカ厚」はもちろんですが、防水性能や耐衝撃性能などを売りにしたスポーツモデルではなく、どちらかと言えばドレスウオッチに分類される時計でさえ直径40mmを大きく超えている時計が珍しくありません。例えばブレゲの「クラシック・オーラムンディ」。直径は44mmもあります。実用的なワールドタイム機能を搭載した複雑時計ですが、文字盤には美しい世界地図(アジア、アメリカ、ヨーロッパ向けの3種類がある)が描かれ、全体としてクラシックでありながらなんとも色気のある美しい時計です。ブレゲを知らない人から見ても一目で高級品だと思わせるに十分な質感を持っています。ただデカイです。このデカさが質感を向上させていることに貢献しており、確かに細部にわたって良く造り込まれているという印象を受けます。しかし、私は「同じ性能なら小さい方が機械として優秀」と思うので、大きいとそれだけで「なんだかガサツに造られた」と感じてしまいます。もちろんこの時計が緻密な計算の上に非常に丁寧に造り込まれたものだということに異を唱えるものではありませんが、例えばあと5mm小さければどんなに魅力的であったかと、思わずにはいられません。同じように感じた時計はまだまだあります。カルティエの「カリブル・ドゥ・カルティエ・マルチタイムゾーン」(45mm)やヴァシュロン・コンスタンタンの「パトリモニー・トラディショナル・ワールドタイム」(42.5mm)など、偶然にもワールドタイムばかりですが、これらと比較するとパテック・フィリップのワールドタイム(38mm)が非常に小ぶりで、同時に洗練されていると感じませんか。逆に驚くほど小さなものもありました。セイコーの「創業130周年記念限定グランドセイコー」です。35.8mmという直径は、ドレスウオッチでも40mm超えが当たり前の現代においてはレディースと言っても違和感がないサイズです。このモデルの場合、初代グランドセイコーをモチーフにしているために、サイズはある程度決まってしまったのかもしれませんが、現代の大型化の流れに対するアンチテーゼと取れなくもありません。(セイコーはガランテやブライツで45mmとかも沢山ありますが)この他、ランゲやパテックのようにほとんどが40mm以下というブランドもあります。小さいものがきっちり造り込まれていると、それだけで魅力を感じます。被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2011.07.03
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昨日やっと「DOLCEVITA MEDIUM」が届きました^^/(「やっと」と言っても発送から到着まで10日もかかりませんでしたが)初の海外通販です^^;以前から欲しいと思いつつも、値段の高さからずっと保留にしていました。定価73,500円 安いネットショップでも5万円以下は難しい。ふと、海外ではどうなのだろうと、以前どこかのBlogか何かで「日本の定価は高い!」というようなことが訴えられていたのを思い出し、海外のネットショップをリサーチしてみたところ...ありました。アメリカでの定価は(Retail Price)$525。日本円に換算すると、$1=¥85としても44,625円。大抵のSHOPは20%引きくらいで売っているので、3万円台の中ごろということになります。これなら送料や関税を含めても4万円くらいで買えそうな気がしてきます。しかもSHOPによっては日本では取り扱っていないEFも扱っています。支払いなどの手続きを英語でやらなければならないというところに若干(かなり)の不安はありましたが、PayPalを利用することで不安は大幅に軽減され、大したやり取りも必要なく注文することができました。今回は、値段、PayPal利用可、EFがある、等の好条件が重なったSHOPを見つけることが出来たので購入に踏み切りましたが、実際にモノが届くまでは不安だった、というのが正直なところです。少々いい加減な梱包でしたが、ちゃんとしたものが届いたので一安心です。それと、現在このDOLCEVITA MEDIUMのニブは14kしかないはずなのですが、今回送られてきたものには18kのニブが付いていました!どちらが良いとは一概に言えませんが、やっぱり18kの方がありがたいと感じます。恐らく、海外だとあまり需要がないEFだったので、既に製造中になっている18kの在庫がまだあったのだろうと思いますが、これは嬉しい誤算でした。結局今回の費用は以下の通りです。本体価格 $415送料 $39.05(PayPal請求額 37,447円)課税 1,000円(消費税+地方消費税)通関料 200円合計 38,647円 ちなみにSHOPは「Cajun pen shop」です。それにしても改めて日本での定価を見てみると、やっぱり高いですよね。$1=¥130時代の定価です。日本の代理店にはもっと努力をしてほしいものです。DELTA以外にも、FABER-CASTELL(ここの定価が一番酷いかも)、OMAS、VISCONTI、Conway Stewart等々、内外価格差が大きいです。逆に内外価格差が非常に小さい(または日本の方が安いくらいの)ブランドも結構あります。AURORA、Pelikan、S.T.Dupont、Montegrappaあたりは国内のネットショップ等を利用した方が安くて安全と思われます。
2011.06.05
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ロンジンのニューモデルはなかなか魅力的なラインナップです。まずはコラムホイール作動のクロノグラフ「コラムホイール クロノグラフ レコード」です。 一昨年発表された「ヘリテージ コラムホイール クロノグラフ」同様、ETA開発の自動巻きクロノグラフ「CAL.L688.2」を搭載しています。コラムホイール作動のクロノグラフとしては異例の安さからか暫く品薄が続いていましたが最近はぽつぽつ見かけるようになりましたね。 今回発表されたモデルは黒い文字盤(白文字盤もありますが)に赤を配したスポーティなものです。ラグやプッシュボタンの形状が直線的で、一見してスポーティな印象です。特筆すべきは、クロノグラフ秒針に1/8秒を正確に読み取るために付加されたノギスのような目盛りです。そう言えばロンジンは昔もこんなノギス目盛りを秒針に付けたクロノグラフを造ってましたね。カウンターウエイトと思しき大きな〇も含めて、あまりスマートとは言い難いものがありますが、ロンジンが最高のクロノグラフメーカーであった古き良き時代を思い起こさせるという副次効果まで加味すれば、琴線に触れる人も多いのかもしれません。 もっともヘリテージ・・・同様30万円程度の価格設定であれば、魅力的なコラムホイール作動の自動巻きクロノグラフであることは間違いないでしょう。 続いては「マスターコレクション レトログラードムーンフェイズ」です。 こちらは、2008年に発表され品薄がようやく解消されつつある「マスターコレクション 4レトロ」にムーンフェイズとデイ/ナイト表示をプラスしたコンプリケーションモデルです。CAL.L688.2同様ETAによる専用設計のCAL.L707.2 (ETA A07L31)を搭載しています。 外観上、各種調整用プッシュボタンが目立たなくなっていることに気付きます。4レトロではクロノグラフのような調整ボタンでしたが、新作では「ちょっとした」出っ張り程度になっており、よく見ると2重構造のようで、恐らくムーンフェイズと昼夜表示の調整が増えたことに対応したものでしょう。(新しいカタログでは4レトロも同様のボタン形状になっています) 日付、曜日、第2時間帯、秒針の計4本のレトログラード針に加え、ムーンフェイズと昼夜表示を持つ、かなり複雑な部類に分類されるコンプリケーションと言っていい今回の新作、4レトロが約60万円(SSモデル)と良心的だったことからも今回の新作の値段も大体想像できますね。被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2011.05.03
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最近最もイっちゃってる時計メーカーはタグホイヤーかもしれません。 もちろんいい意味でなんですが、常識にとらわれない「新しい試み」を次々に発表しています。今年はなんと1/1000秒を計測するクロノグラフです。もちろん機械式です。 昨年のバーゼルでは、ひげゼンマイを持たず磁力でテンプに復元トルクを与えるという仰天機構を搭載した「ペンデュラム・コンセプト」で驚きを与えてくれました。それ以前にもベルト駆動の「モナコV4」を市販化したり、クロノグラフ専用輪列を持たせることで1/100秒を計測可能にした「Cal.360」を開発したりと、近年のタグホイヤーの開発力には驚かされるばかりです。 今回発表された「Mikrotimer Flying 1000」は、言わばCal.360の進化版で、クロノグラフ専用輪列に360万振動(時間あたり)という途方もない速度で振動するテンプを持っています。機械式のテンプが500Hzで振動するとはにわかに信じ難い、というのが正直な感想で、機械式時計の概念を覆すような、衝撃的な試みと言えます。 TAG・Heuerの公式HPで作動している様子を見ることができます。センターのグリーンの1/1000秒カウンターが1秒間に10回転する様は、ちょっと異様とも言えるスピードです。 6時位置のインダイヤルは0.1秒刻みの5秒積算計、センターの白い針は1周2分30秒という少々半端な積算計になっており、実用性という点においては疑問を持たざるを得ませんが、あくまでコンセプトモデルであり、1/1000秒をアナログで表示するという最低限の目的は達成しています。 ちょっと心配なのはやはり耐久性で、機械式時計がいかにデリケートな精密機械であるか、少しでも知識がある人ならば、針が尋常でない速度で回転する様は心配しない方がおかしいと、言っても言い過ぎにはならないでしょう。 とは言え、機械式で1/1000秒表示を実現した開発力は脱帽せざるを得ず、また市販化しない技術は開発しないという姿勢が崩れていないことを前提とすれば、タグホイヤーの開発力には素直に拍手を送りたいと思います。被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2011.04.17
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今年もバーゼルフェアが開催されましたが、まず注目はロレックス エクスプローラーIIのモデルチェンジです。 とても分かりやすい(^^;)24時間針のオリジナルモデルへの回帰といいましょうか、オレンジ色の大きな矢印型に変わりました。 ただし外観上の変更は、24時間針以外は他のスポーツモデル同様現行品のブラッシュアップに留まり、あからさまな初期モデルへの回帰は見られません。 目立つ変更点を挙げると、まずケースサイズ。40mmから42mmにサイズアップしました。今のご時世40mmはスポーツウォッチとしては確かに小ぶりだったかもしれません。他にはインデックスと時分針の大型化でしょうか。ロレックスの最近のモデルチェンジではみなアワーマーカーの大型化と時分針の拡幅による視認性の向上が図られており、このエクスプローラーIIでも同様の処理がなされています。実用性を追求するロレックスらしい変更と言えます。 そしてもう一か所、文字盤の「EXPLORER II」の文字が、24時間針と同じ鮮やかなオレンジ色になりました。これも最近のロレックスではお約束のようで、GMTマスターIIやミルガウスでも同じ手法が見られます。 さて、肝心の中身ですが、ムーブメントは現行のCal.3185からCal.3187になりました。一足先にモデルチェンジしたGMTマスターIIにはCal.3186が搭載されていましたが、さらに改良が加えられています。HPの説明から察するに、Cal.3186も3187も基本的には3185と同じですが、3186はひげゼンマイが「パラクロム」という材質(耐磁及び耐衝撃性に優れる)に変更されたもので、3187はさらにテンプの耐震装置が「パラフレックス」という最新のショックアブソーバに変更されています。 ただ、現行のエクスプローラーIIも、製造が新しいものにはCal.3186が積まれている、なんていう話も聞きますし、最近製造されたGMTマスターIIにもCal.3187が既に積まれている可能性も否定できません。少なくとも新型のエクスプローラーIIにはCal.3187が積まれることと思いますが、いつの間にか更に新しいものに変わっている、なんてことも無い話ではないでしょう。良くも悪くもそれがロレックスのやり方であり、モデルチェンジに関係なく常に最良のものを市場に提供したいという姿勢なのでしょう。ただユーザーがそれを知るには裏蓋を開けるしかない、というのがファンにはもどかしいところなのかも知れませんね^^;) ちなみにロレックスのCal.31〇5シリーズの優秀さは今更語るべくもないところですが、ざっとおさらいを。 なんと言っても調速機廻りの贅沢な構造とその恩恵による高精度でしょう。ひげゼンマイは姿勢差の少ない巻き上げひげ(一部の高級ブランド以外殆ど使っていない)を採用しており、更に最近はパラクロムという特殊な材質で造られています。調速は緩急針を持たないフリースプラングで、テンプについた2対のマイクロステラナットによる調速は、衝撃に強く、姿勢差も出にくい、非常に優れた調速機構と言えます。また、cal.318〇系は時針を1時間単位で単独で動かすことができ、海外旅行等で現地時間に調整するのが非常に簡単で便利です。(ETA2893系は時針単独操作ができないので海外での時刻合わせが結構面倒なんです) パワーリザーブやリバーサー式巻き上げ機構等は平凡と言わざるを得ませんが、この辺りの価格帯ではトップクラスの出来の良さです。 さて、個人的な感想を言わせて頂くと、「本気で欲しいかも」というのが正直なところで、円高なうちにそこそこ値が下がってくれたら真剣に購入を考えそうです^^;) 私の場合、ちょっとした思い入れがありまして、もともとアンチロレだったのですが、初期型のエクスプローラーIIだけはデザインが好きで、20年近く前に欲しいと思いつつ値段とNASA云々に負けてスピードマスターを買い、それ以来気になりつつ気が付けば100万円を超え、150万円を超え、とても手が出せない代物になってしまいました(たしか当時は40万円くらいで買えた)。 で、あのオレンジ色の24時間針復活です。できればインデックスや針も初期型に似せてくれればな~などと思いつつも、既に資金のやりくりを考え始めています...被災地を応援しよう!!青森県/岩手県/宮城県/福島県/茨城県
2011.04.10
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長野県は諏訪大社の近くにある「諏訪湖時の科学館 儀象堂」に行ってきました。 近代時計発祥の地と言われる諏訪にあるこの施設、ちょっと興味があったのでスキーのついで(失礼!)に寄ってみました。 目玉は「水運儀象台」という巨大な天文観測時計塔で、900年以上前に中国で造られたものを正確に復元したものだそうです。水の力を動力とし時刻、天球儀、天体望遠鏡を連動させてかなり正確な時刻表示ができたらしいです。 一定量の水を水車に流し、バケットが一杯になると重さでストッパーが外れ、バケット1個分だけ水車が回転するという仕組みは、まるでアンクルとガンギ車の関係に良く似ており、900年も昔にこんなものを造っていたとは、中国恐るべし、です。 館内はさほど広いというわけではありませんが、古い壁掛け時計、柱時計、置時計などが所狭しと並んでいます。中にはジャガールクルトのアトモスがあったりします。 また、数は少ないですが懐中時計や腕時計もあり、ほとんどが国産品でやはりというかセイコー製が多いです。スイス時計産業を壊滅状態に追いやるきっかけとなった「アストロン」も誇らしげに展示されていました。 その他には、簡単な体験装置のようなものが多数あり、水晶が振動する原理や脱進機の動きかたの説明、緩急針による進み遅れの説明など、果たして時計オタクでもない人たちが興味を持つのか、ちょっと疑問に思うものも多数ありました(^^;) 私はやりませんでしたが、時計作り体験もできるそうで、クォーツのみならず機械式のコースもあり1日掛りの本格的な内容も選べるようです。 時計に興味ない人は行っても面白くないでしょうが、時計好きならば一度は行ってみると良いかもしれません。
2011.02.13
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新しいクロノマット01が裏スケだったらな~と思っていた人は多かったんではないでしょうか? 昨年から新型クロノマット01に搭載された自社開発クロノグラフムーブメント「B01」は、コラムホイール作動に垂直クラッチを採用した本格的な自動巻きクロノグラフムーブメントで、発売以来高い評価を受けて確実にブライトリングのフラッグシップキャリバーの地位を築きつつあります。 腕時計を「プロ用の計測機械」と位置付けている同社には、ケースバックをスケルトンにするという選択はなく、裏蓋から機械が見える腕時計がラインナップに加わることはありませんでした。これは新型キャリバーB01を搭載したクロノマット01に対しても例外ではなく、ファンにはもどかしいジレンマに感じたことでしょう。 そんなクロノマット01になんとシースルーバックモデルが登場します。 インダイヤルの赤い針が目を引きますが、やはりキャリバーB01を「魅せる」ことにしたブライトリングの判断に関心がいきます。 裏蓋をくり抜き、そこにサファイアクリスタルをはめ込むことでムーブメントを見えるようにするわけですが、ムーブメントが見えること以外にメリットは無いと言えます。 全体の重量が軽くなる、というのは一見メリットに思われますが、実は重心が腕から離れることで付け心地が悪化する(座りが悪くなるとでもいいましょうか)と言われています。 明らかなデメリットは、まず防水性能でしょう。水圧に耐えるための機械的強度の低下や、水の浸入を食い止めなければならない接続面が増えるということがあります。金属とクリスタルの線膨張係数の違いにより、高温や低温環境では密着力に差が出てくるでしょう。1枚ものの無垢材には勝てません。 また、磁気からムーブメントを隔離することができず、耐磁性能はムーブメント自体の非磁性に頼るしかありませんし、紫外線による潤滑油の劣化という懸念もあります。 これらの理由から、ブライトリングは裏スケモデルを作らなかったのでしょう(見せたいほどのムーブメントを持っていなかったというのもあるかもしれませんが)。 とはいえ、一般的な使用状況において、上記のようなデメリットをデメリットと感じることは皆無です。防水性能は確かに非裏スケモデルの500mから200mにダウンしていますが、200m防水を不満に感じるのはプロの潜水士くらいであろうし、最近の高性能な潤滑油を劣化させるほど紫外線に晒すには、悪意を持って裏側を日光浴させるしかないでしょう(それでも劣化しないかな?)。航空時計として唯一気になるのは磁気くらいでしょうか。飛行機のコックピット内などは磁気も多そうだし(一般人には関係ありませんが^^;) いずれにせよ、例えばNASA公認のオメガスピードマスタープロフェッショナルに裏スケモデルがあるように、ブライトリングに裏スケモデルがあっても何の不思議もないわけで、私のような裏スケ賛成派には大歓迎です。裏スケを限定モデルだけに採用したのは「プロ用の計測機械」メーカーとしての矜持でしょう。妥当な判断だと思います。 更に、ナビタイマーとモンブリランにもキャリバーB01を積んだ限定裏スケモデルが登場します。クロノマットも含め各々世界2000本限定です。多くのファンが望んでいたであろうB01の裏スケモデルです、品薄は必至と思われるので、ファンならずとも要チェックです。ブライトリングを探す
2010.11.28
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「旅」をテーマにした腕時計「タンブール」。その新作がとても面白いです。 私は基本的に「時計メーカー」以外のブランドの機械式時計には正直あまり興味を持たないのですが、ルイ・ヴィトンの新作「タンブール・スピンタイムGMT」にはグッときました(^^;) 写真がないので言葉だけでどこまで伝わるか自信がないのですが... 丸い文字盤の中央には針が2本だけついていて、1本は分針で一周60分を表示し、もう一本は黄色いGMT針で恐らく一周24時間を表示。秒針はありません。 そして「スピンタイム」という名前はローカルタイムの表示から来ているのですが、この機構がとても面白いんです。文字盤外周、時間のインデックスがあるべき位置には四角い窓が(計12箇所)開いていて、その窓を塞ぐように立方体がおさまっています。この立方体は、文字盤中央から放射状に伸びた軸に固定され、軸が回転することで4つの面を文字盤側に見せることができる構造になっています。4つの面には1面おきに数字が書かれていて、例えば12時位置の立方体には12と24の数字が書かれていて、90度回転する毎に文字盤には「12」→「空白」→「24」→「空白」→「12」と表示されます。 例えば、朝の9時台とすると、9時位置の窓に「9」が表示され、他の窓は全て「空白」が表示されている状態です。そして10時になると同時に9時位置と10時位置の立方体だけが90度回転し、9時位置の窓には「空白」が、10時位置の窓には「10」が表示されるのです。そしてその11時間後再び9時位置の立方体が回転すると、今度は「9」ではなく「21」が表示されるという非常に凝った24時間表示のジャンピングアワーとなっています。 立方体が回転するという、立体的な機構、なんかすごく惹かれるんですよね(^^;)。ハリーウインストンのオーパス5(3つの立方体による時間表示とレトログラードの分表示が見事に組み合わされたヤツ)は未だに強烈な印象として残っているし。 まあお世辞にも視認性が良好とは言い難いし、立方体を回転させるためのトルクロスで精度に影響がでないのか?とか、気になる面はありますが、発想と実現力には素直に感心するところであります。また、価格も450万円と、比較的現実的な(十分高額ではありますが)ところにも好感が持てます。昨年の「ミステリューズ」に比べれば随分まともな価格です。 旅のおともに如何でしょうか?(ちと贅沢が過ぎますが^^;)楽天でタンブールを探す
2010.10.11
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最近腕時計に対するアンテナが低くて(汗)先日やっと気付いたのですが、スピードマスターの入門機とも言える「オートマチック」(Reducedと言われていた小さいやつ)が、新しいムーブメントを積んだ「スピードマスターデイト」にモデルチェンジしたようです。 ETA2892-A2にデュポア・デプラのクロノモジュールを乗せていた以前のオートマチックは、竜頭とプッシュボタンの位置が(横から見て)一直線に並ばないモジュール構造特有のウイークポイント(?)を持ち、Cal.1861搭載のプロフェッショナルと同じデザインながら、なんとなく目が離れたいまいち締まらない顔つきから、あくまで機械式初心者向けの入門機という印象が付きまとっていました。 しかし新しい「デイト」はフレデリック・ピゲ開発(生産はETAかな?)の(モジュール構造ではない)一体型自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載し、一気に格上げされた感じです。デザインも一新され、十分モダンと言える外装も手に入れました。 新しいキャリバー「Cal.3304」の詳細は不明ですが、少なくても調速機構はフリースプラングで、クロノグラフの作動はコラムホイールを採用しており、クロノメーター取得という十分に高級な仕様です。但し、オメガキャリバーの代名詞とも言えるCo-Axialは採用されず、パワーリザーブは48時間と、最近のオメガのクロノグラフキャリバーと比べると少々見劣り感があるのは否めません。(他ブランドの同価格帯と比べると圧倒的に高級仕様と言えますが) 定価はそれなりに上がりましたが、実売価格は30万円を下回っているし、ムーブメントの仕様を考えればかなりコストパフォーマンスに優れたモデルであると言えます。新しいスピードマスターデイトを探す他のオメガの時計を探す
2010.09.23
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ブレゲのスポーツモデルと言えば「Type XX」シリーズですが、今年新たに加わった「Type XXII GMTフライバッククロノグラフ」には正直驚きを隠せません。 この新型に積まれた「Cal.589 F」の振動数は、なんと毎秒20振動! 1時間当たりの振動数72000はゼニスのエル・プリメロを遥かに上回っており、既に比較対象にすらならないほどの超ハイビートと言えます。 センターの赤いクロノグラフ針は30秒で1週し、0~30秒か30~60秒かを判別するためのインジケーターが12時位置にあります。分積算は同じくセンターの60分積算計が受け持ちます。9時位置の永久秒針も1周30秒というのは少々視認性に欠けるかもしれませんが、クロノグラフを動作させずとも毎秒20振動というハイビートを実感するための演出なのでしょう。そして3時位置には24時間表示と6時位置には12時間表示の第2時間帯表示を持つGMTウォッチとなっています。 これほどの超ハイビートを実現できたのはやはりシリコンパーツの恩恵があるわけで、脱進機とひげゼンマイにシリコンパーツが使われています。ひげゼンマイは残念ながら巻き上げひげではなく平ひげのようです(ブレゲはシリコン製の巻き上げひげを製造できる!)。 そして何より驚かされたのはその価格設定で、SSケースで200万円を切っています。近年ハイビート化は一つのトレンドで、ゼニスのエル・プリメロは別としても、セイコーインスツルの12振動、オーデマ・ピゲAP脱進機の12振動、グランドセイコーの10振動など、次々に新型のハイビートムーブメントが登場していますが、10振動を超える(現状はセイコーインスツルの12振動とAP脱進機の12振動)超ハイビートモデルには、ちょっと現実離れした価格が設定されています。 セイコーインスツルの12振動モデルで840万円、オーデマ・ピゲのAP脱進機モデルに至っては3000万円近い定価(脱進機の特殊性などもありますが)です。ケース素材が高価な貴金属であったりするわけですが、一般的には「超ハイビート」など他社を圧倒するような付加価値があるムーブメントは、貴重な貴金属のケースに収めて生産数を抑えることによって、更に希少性を高めて高額な価格に設定するものです。 しかしブレゲはこのとてつもない超ハイビートムーブメントを、惜しげもなくSSケースのスポーツモデルに収め、200万円アンダーという価格で市場に投入しようとしています。「雲上」と呼ばれるブランドの最新テクノロジーを「たった」200万円で手に入れることができると考えると、これは一つの事件と言えるのではないでしょうか。 まだこのムーブメントの信頼性や耐久性は未知数と言わざるをえませんが、今後の展開が非常に楽しみです。尚、今月23日から伊勢丹新宿店で開催されるワールドウォッチフェアに早くも登場する予定です。会期中にはスペシャルエキシビジョン「ブレゲ クロノグラフ200年の歴史」が開催され、貴重なミュージアムピースも多数展示されるようなので、興味のある方はぜひ見に行って下さい。 ブレゲの時計を探す
2010.06.06
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今年のバーゼルで発表されたシャネルJ12シリーズの「Retrograde Mysterieuse」。一見ただのトゥールビヨンに見える新しいJ12は、J12シリーズ10周年記念限定モデルで生産本数は僅か10本です。 ところでこのモデルの最大のハイライトはトゥールビヨンではなく分針の運針にあります。文字盤をよく見ると3時位置に「丸いもの」があり、これが分針の運針を妨げるため、分針は特殊な動きをすることになります。 説明によると、分針は20分(4時位置)から時計回りに進んで10分(2時位置)までの間は通常の時計と同じ動きをしますが、10~20分の間は10分間かけて逆回転で20分まで進み、また通常の運針を始めます。分針が逆回転している間の分表示は6時位置の回転ディスクが受け持つのだそうです。 分かりにくっ!というのが正直な感想です。 時計を見た瞬間、現在時刻が10~20分なのか、それ以外なのかをまず判断しなければならず、つまり時針と分針の位置関係だけで直感的に読み取ることができません。 で、何故こんなややこしい時刻表示になったかというと、3時位置の「丸いもの」が原因なのですが、実はこれが竜頭で、シャネルとしては完全なラウンドケースを実現するために竜頭を文字盤に食い込ませ、これを避けるがためにこのような複雑な機構を乗せた、のだそうです。 文字盤に対して垂直に取り付けられた竜頭は、1回押すことで飛び出して操作可能になり、ベゼルの「タイル」を押すことで時刻合わせと巻き上げを切り替えます。確かに面白い機構ではありますが、竜頭をわざわざ文字盤側に置く必要性には疑問が残ります。手巻きなんだから素直にケースバックに付ける方が遥かに合理的ですよねぇ?。しかもこれを実現するため「だけ」にヘンテコな運針の機構を乗せて、時刻の読み取りにくさを致命的なものにしています。 ムーブメントの開発はルノー・エ・パピで、シャネルの要求を実現するために相当の苦労をしたことでしょう。竜頭の機構だけはシャネル側で開発したようですが、まあ、その竜頭のお陰でヘンテコな分針の機構を開発することになったルノー・エ・パピとしては、それぐらい自分のとこでやれよ、といったところでしょうか... 前例のない機構ではありますが、どうにも合理的な必然性が見出せず、単に差別化だけを目指して無駄に複雑機構にしているようにしか見えません。予価2625万円という価格設定に説得力を持たせるためだけに付けられた(ように見える)トゥールビヨンを含め、やっぱり珍しいもの好きなお金持ちにウケる「おもちゃ」が作りたかったんだろうな~と。シャネルはファッション界では大きな存在で、時計ブランドとしても存在感を高めてきていますが、まだ時計に関しては見識が低いというか、いまひとつセンスがないと感じます。 少々(かなり?^^;)シャネルに対して批判的な内容になってしまいましたが、私は、少なくともシャネルの時計に関しては好きではありません(時計以外のアイテムが好きと言う訳でもないですが)。高級時計市場の中での地位を築きたいがために、力技で高価なムーブメントを得ているだけのように見え、どうしても機械式時計としての完成度が低く見えてしまう...。シャネルに限ったことではないけど、10年後、20年後、50年後、ちゃんとアフターケアする気があるのか?機械式時計が廃れたらサッサと撤退するのでは?と、時計メーカーとしての姿勢を問いただしてみたいと、改めて思わせる今回の新作でした。
2010.05.02
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今年のタグ・ホイヤーは、新型自社開発クロノグラフムーブメント「Cal.1887」を発表し、これを搭載する「カレラ」の予定価格を40万円台に設定するなど、ETA2010年問題への対応に抜かりはありません。この価格設定は他ブランド(とりわけクロノグラフを多く扱う中堅ブランド)にとって、とても楽観視できるものではないでしょう。私の予想も大きく裏切られました^^;) ところで、今年のタグ・ホイヤーにはもう一つ興味深い発表がありました。それがコンセプトモデル「ペンデュラム・コンセプト」です。 なんとこのコンセプトモデルは、従来通りスイスレバー脱進機を搭載しながら「ひげゼンマイ」を持ちません。かといって電子デバイスも一切使用しない、正真正銘の「機械式」です。アンクルを介してテンプに主ゼンマイの動力を伝えると同時に、テンプの往復運動から正確な運針のタイミングを受け取るという作動原理は機械式時計そのものですが、ひげゼンマイの代わりに「磁力」を使用しています。テンプに埋め込まれた永久磁石がひげゼンマイの変わりに復元トルクを生み出すというわけです。 機械式時計が発明された17世紀以降、ひげゼンマイは様々な改良が加えられながら300年以上機械式時計の心臓部に欠かせない部品として今日に至っています。しかし克服できなかった欠点も存在しました。温度変化や重力に影響される点です。材質は日進月歩で進化するも、線膨張係数を「0」にするには至らず(シリコンは線膨張係数が大きいらしい)、幾何学的な重心が回転により変化する問題は解決できませんでした。 そこでタグ・ホイヤーが目を付けたのが「磁力」だったわけです。 磁力は磁場によって主に鉄に作用する力で、磁場には質量も無ければ体積もないのですから少なくとも重心の問題は完全に解決されると言っていいでしょう。但し温度変化に関してはどうなんでしょうか?磁石って温度によって磁場が変化したりしないのでしょうか?また、ひげゼンマイ以上に磁気の影響を受けそうな気もします。コンセプトモデルではテンプがオープンハート状態で耐磁が考慮されているようには見えませんが、まあショーモデルと考えれば不自然ではないし。実際のところどうなんでしょうね、気になります。 何れにせよタグ・ホイヤーの場合、モナコV4のベルト駆動もそうであったように、コンセプトモデルは必ず市販化しているので、近い将来市販化される可能性はかなり高いと思われます。もしかしたら機械式時計に大革命をもたらすかもしれない「磁石テンプ」、他社の追従の有無など含め楽しみな技術であると思います。 ただひげゼンマイには機械式時計300年以上の歴史、先人の知恵が詰まっています。これがいきなり無くなってしまうというのは少々寂しくもあります...※磁力や磁場に関しては当方専門家ではないため正しい表現か自信がありません。ですのでもしご指摘等あれば書き込みをお願い致します。タグ・ホイヤーの時計を探す
2010.04.18
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ペキネ(PEQUIGNET)。名前は聞いたことあるし、腕時計を作っているということも知っているブランドではありますが、あまり印象がなく、どんな時計作ってたっけ?というのが正直なイメージのブランドですが、今年発表された自社開発ムーブメントには大きな可能性を感じます。 1973年創業という比較的新しいこのフランスのブランドは、ファッション大国らしいラグジュアリーなジュエリーウオッチを展開していますが、スイス製機械式ムーブメントを取り入れたハイクオリティーな機械式時計はヨーロッパでは高い評価を得ているようです。日本での知名度は今ひとつ(というか全然?)ですが... 今年のバーゼルフェアで発表された「Cal.ロワイヤル」は、ペキネ初の自社開発の自動巻きムーブメントで、4時位置にスモールセコンド、8時位置にパワリザーブ、そして大型ディスクを使用したビッグデイトと大型の曜日表示を持つのが特徴です。6時位置に大ぶりなムーンフェイズを持つバージョンもあり、文字盤はかなりコンプリケーションな感じです。 パワーリザーブは88時間もありますが、精度を維持できるのは72時間までとしており、パワーリザーブインジケーターは0~72と-16を分けて表示するなど配慮がされていて好感が持てます。 ムーブメントを見ると、ややオフセットされた自動巻きローターが特徴的です。テンプが半分隠れる程度までオフセットされたローターは、4/5ローターとでも表現すればイメージが沸くでしょうか。そしてこれにより見やすくなったテンプを見ると、緩急針を持たずテンプに4つ取り付けられたマイクロスクリューで緩急調整するフリースプラングであることが分ります。 また、長いパワーリザーブは、流行の複数の香箱を持つ方式はなく一つの巨大な香箱により実現しています。但し従来のように芯で巻き上げて香箱で輪列にトルクを与えるのではなく、香箱で巻き上げて芯からトルクを与えると言う、真逆の構造を持っています。これは香箱が大きくなることで、ゼンマイが解ける際の振動や姿勢差(重力の影響)が大きくなるため、香箱より遥かに軽量な芯をトルク伝達に使用したものです。部品点数をむやみに増やすことなくロングパワーリザーブを達成しており、なかなかよく考えられたムーブメントであることが伺えます。 そして驚くべきはその価格設定。ムーンフェイズ無しのSSモデルでは60万円以下という情報もあり、フリースプラングの機能満載マニュファクチュールムーブメントと考えると、かなりのバーゲンプライスです。中途半端な機械式時計ブランドでは太刀打ちできないでしょう。 ここ1~2年の間に様々なブランドが魅力的なマニュファクチュールムーブメントを発表しています。ETAの2010年問題は単に機械式時計の高騰を助長しただけではなく、良質なムーブメントの選択肢を確実に広げてくれています。これがスウォッチグループの思惑通りなのかどうかはさておき、ニコラス・G・ハイエックのコメント「スイスの時計産業のどこにもイノベーションはない。どこにも新規開発はない。だから私は、彼らが新規開発に踏み切れるよう後押ししたのだ」(’03年1月)は、単にETAムーブメントの供給停止を正当化する「建て前」のように思えましたが、その実スイスの時計産業は痛みを伴いつつも変革が進んでいます。但しまだまだETAの動向が大きな鍵であることは間違いないでしょう。
2010.04.11
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ゼニスは自社のマニュファクチュールムーブメント「エル・プリメロ」に新たな機能を与えました。 文字盤外周に刻まれた10までの数字。これが意味するところ、そう、センターの秒積算計が1周10秒の積算計なんです。10秒積算計の目盛りは1秒の間に10目盛り刻まれ、1秒間に10振動(毎時36,000振動)のエル・プリメロによって正確に1/10秒を表示することに成功しています。 この「エル・プリメロ フロドワイヤント1/10thセコンド」は、3時位置に60秒積算計、6時位置に60分積算計という特異な積算構造を持つクロノグラフで、9時位置のスモールセコンドも含めると、3つのインダイヤルが全て「1周60」のインデックスであり、視認性(読み取り易さ)という面においてはお世辞にも優秀とは言えません(むしろ見難いって^^;)。しかしこのモデルに対してそんな評価は意味を持たないと言って良いでしょう。最大のハイライトがセンターの10秒積算計にあるのは言うまでもなく、これこそがエル・プリメロにしかできない1/10秒の可視化です。通常の6倍の角速度で運針する様はさぞ迫力があることでしょう。 タグ・ホイヤーはエル・プリメロ(Cal.36)に「ノギス」の如く機能する回転目盛りを装備することで1/10秒の可視化を試み一定の成果を上げましたが、「1/10thセコンド」とは比べるべくもないでしょう。 デザイン面では、オーソドックスでトラディショナルなデザインが採用されているのが興味深いところです。時計業界の流れがデカ圧一辺倒から変わりつつあること以上に、後述する新CEOの方針によるところが大きいようです。 また、新たなラインとして「キャプテン」シリーズが加わりました。エル・プリメロ搭載のオーソドックスな3カウンタークロノグラフと、エリート搭載の中3針モデル。50年代の機械式時計全盛期を思わせるクラシカルな意匠(現代に通用するモダンさも持ちつつ)は、なぜか妙に安心できます。クロノグラフで42mm、3針で40mmという、現代においては控えめなケースサイズも好感が持てます(個人的にはあと一回り小さくして欲しい)。更に好感が持てるのはその価格設定で、SSモデルであれば、クロノグラフが50万円台、3針に至っては30万円台です。今時ちょっと有名なブランドであればETAムーブメントでも軽く越えるようなこの価格設定は、前CEO時代には考えられませんでしたね(失礼!)。 ゼニスの新作を見て感じたのは、トップが替わったことによる変化の大きさです。2009年6月にジャン=フレデリック・デュフール氏が新CEOに就任して僅か1年足らず、奇抜なデザインと無理な価格設定からの脱却が確かなものであることを実感させてくれました。前CEO:ティエリー・ナタフ氏の舵取りを全否定することはしませんが、オープンやデファイに象徴されるエキセントリックなデザインと、以前のイメージからかけ離れた価格設定にはかなりがっかりしたと言うのが、機械式時計ファンの偽らざる気持ではないでしょうか(もちろん世界経済の変化という側面も大きかったのでしょうが)。 私もナタフ氏時代にはゼニスを「どちらかと言うと嫌い」なブランドと位置付けていましたが、今年の新作を見て考えが大きく変わりそうです。デファイに替わるスポーツラインがどうなるのか等々、これからのゼニスには注目したいと思います。ゼニス一覧へ
2010.03.28
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今年も新作の発表、ジュネーブサロンとバーゼルフェアが開催されました。ジュネーブサロンは既に(というかとっくに)終わっていますが、気になった情報をいくつか採り上げたいと思います。 先ずはパネライの新作ムーブメント。 手巻きの「Cal.P.999」。昨年発表されて大注目だった、自動巻き「P.9000」シリーズ同様完全自社設計ムーブメントですが、少々趣が異なるもよう。最初の搭載モデルはラジオミール P.999 42mmで、価格はCal.P.9000を搭載したルミノール1950 3デイズオートマチックと同等であるものの、GMTやパワーリザーブインジケーター搭載バリエーションは無く、代わりに金無垢とチタンモデルがあります。主要スペックを比べてみますと、<Cal.P.9000系>サイズ 直径31.8(13・3/4リーニュ)、厚さ7.9mm振動数 28,800/h(4Hz)石数 28石パワーリザーブ 72h調速方式 フリースプラング(調整用スクリュー4箇所)<Cal.P.999系>サイズ 直径27.4(12リーニュ)、厚さ3.4mm振動数 21,600/h(3Hz)石数 19石パワーリザーブ 60h調速方式 緩急針(スワンネック、チラネジテンプ) ※スワンネックは金無垢モデルのみ 先ずサイズですが、パネライムーブメントとしてはかなり小ぶりと言えます。そしてこれを搭載したラジオミールも一回り小さな42mmです。これは近年のシンプルウオッチに見られる小径薄型化に準じたものでしょう。 そして、ひたすら性能重視だったP.9000系に対し、P.999はロービートのチラネジテンプにスワンネック緩急針を採用するなどオールドスタイルをとっており、完全に審美性重視のムーブメントであることが分ります。ハイビートでフリースプラングの方が性能的に勝っていることは確かでしょうが、チラネジが沢山付いた大きなテンプがゆったり振動する様は、確かに機械式時計好きの弧線に触れるはずです。 ただ、なんとなく違和感を覚えるのは、審美性重視はパネライのアイデンティティーに反していないのか?というところです。もちろんP.999が性能を無視しているとは思いませんが、今まで一貫してフリースプラングを採用してきた自社開発ムーブメントとは明らかに違う思想で設計されていると思われます。 また、審美性を重要視しながらブリッジの仕上げがサテン仕上げというのもなんだか中途半端だし、ブリッジの分割形状も曲線を多用しながらも今ひとつ美的センスが感じられない(これは個人差があるのでしょうが)。というのが個人的な感想です。 近年のトレンドとして、自動巻き=性能重視、手巻き=審美性重視、という流れができてきているようですが、美しい手巻きムーブメントが相応しいのは、無骨な実用時計ではなくドレスウオッチのような繊細な時計ではないでしょうか?そこにブランドイメージが重なって美しさに深みが増すというか。 パネライがパネライとして美しさを表すなら、やはり機能・性能を追求した結果の「機能美」こそが最大の魅力になるのではないかと思います。ただこういった「らしくないモデル」は往々にして生産数が少なく、後年コレクターモデルになったりするんですよね(^^;)パネライ一覧へ
2010.03.21
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先日(といっても昨年の話ですが)ご紹介したタグ・ホイヤーの自社開発クロノグラフムーブメント「Cal.1887」の追加情報です。(ほぼCHRONOSの受け売りですがご容赦を^^;) 実はこのムーブメントは1998年にセイコーが発表した6S系がベースになっているのだそうです。ここで言うベースと言うのは設計段階で、という意味で、セイコーからベースムーブメントとして購入している訳ではありません。正確にはセイコーインスツル(SII)と6S系ムーブメントの特許を含む知的財産の使用に関する契約を締結し、タグ・ホイヤーが独自に開発した。ということです。 なるほどコラムホール作動、スイングピニオンクラッチ、マジックレバーによる両方向巻上げ機構など、主だった機構が同じわけですね。但しSIIから購入しているのはピン、ネジ、レバー類とごく一部のみで、残りはスイス国内で生産されており、当然と言えば当然ですがこのムーブメントが「SWISS MADE」と定義されることに疑いの余地はありません。 6S系ムーブメントの優れた特徴は「CHRONOS」27号を読んで頂くとして(^^;)、スイスの名門ブランドである「TAG Heuer」が、今後の戦略上非常に重要になるであろう自社開発クロノグラフムーブメントを、あろうことか「日本製ムーブメント」をベースに設計したという事実は非常に興味深いです。 スイスブランドにとって「SWISS MADE」つまりスイス製であることは、我々日本人には想像できないくらい重要な、死守すべき砦のようなものです。多くのブランドが「スイス製以外のムーブメントは、どんなに優れていようと使うことは考えていない」と公言しているように、スイス時計産業の生命線といっても過言ではないと考えているのでしょう。そして多くの愛好家もまた「SWISS MADE」に価値を見出しています。 近年「SWISS MADE」の定義は緩和されつつあり、その定義の存在価値が低下しているのを危惧する声も多くあるようです。各ブランドは「SWISS MADE」の価値を維持することに苦慮しているようです。 もちろんCal.1887も「SWISS MADE」であることは間違いありませんが、一方で基本設計が「JAPAN MADE」であるという事実もあります。 近年の日本製とりわけグランドセイコーにおいては、スプリングドライブに象徴される技術力や、装飾品としての作り込みなど世界的に高い評価を得るに至っていることは確かです。が、やはり高級機械式時計というカテゴリーにおいてはまだまだ遅れているという認識があり、機械式時計市場では「日本製」そのものの評価が高いとは言えない状況です。 日本のセイコーのDNAを強く引き継いだ「SWISS MADE」のCal.1887が、果たして世界的に受け入れられるのか、スイスの時計業界はどのように受け止めるのか、日本人として少々複雑な気持ちですが、興味深く見守りたいと思います。タグ・ホイヤーの時計を探す
2010.02.11
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2009年ももう少しで終わろうとしていますが、2010年の話題がちらほら出始めました。まずはかなりの話題となりそうな、タグ・ホイヤーの自社開発クロノグラフムーブメントについて。 来年創設150周年を迎えるタグ・ホイヤー。満を持して自社開発の自動巻きクロノグラフムーブメントを投入してきました。そのCal.1887のスペックを見てみましょう。 ムーブメントのサイズは直径29.3mm、厚さ7.13mm。これはETA7750系よりほんの少しだけ小さいサイズ。28800振動/時、パワーリザーブ約50時間、エタクロン緩急針、39石、耐震装置はキフショック、とトータルの性能はETA7750を上回っています。が、やはり量産を意識してかフリースプラングは採用されず、このあたりはブライトリングB01に近い設計思想なのでしょう。 続いてクロノグラフ部分です。作動は近年のトレンドに沿ったコラムホイールで、ブルーにコーティングされた大きめのコラムホイールは、このムーブメントにおける外観上のハイライトと言えます。が、いかにも切削加工し易そうな柱の形状は、このムーブメントは量産化が前提であることを裏付けているようにも見えます。 クラッチは最も普及している(というか7750系に使われている)スイングピニオン(振動ピニオンと呼ぶそうですが)です。近年流行の垂直クラッチでなくて残念!と思ってしまいますが、実はここがこのムーブメント(というかタグホイヤー)の拘りで、この機構こそ創始者であるエドワード・ホイヤーが1887年に特許を取得した動力伝達方式なのです。キャリバーNoを1887としたあたりにもこの機構への拘りが伺えます。 このスイングピニオン方式、7750が「大衆機」と位置付けられているがために非高級品という印象がついてしまっていますが、パーツが小さいこの方式はトルクロスが少なく、また整備性に優れ、設計次第で垂直クラッチに勝るとも劣らない高精度な作動が可能になる、とはタグ・ホイヤーの主張。IWCの89000系もスイングピニオンを採用しているなど、必ずしも垂直クラッチの優位性が絶対的なものではないと言うことなのでしょう。 自動巻きはセイコーやIWCが得意とするラチェット式の両方向巻上げです。V字型に伸びた2本の爪がラチェットとなって巻き上げる、セイコーが採用しているマジックレバーと呼ばれるタイプです。不動作角が大きい割りに実用上の巻上げ効率に優れ、また機構自体を薄くできることから、近年この方式を採用した自社開発ムーブメントが増えています。 と、ざっとスペックを見てみると量産を意識しつつも老舗のクロノグラフメーカーらしい拘りが随所に盛り込まれた「実力重視の中堅機」といった印象です。まさしくブライトリングB01と真っ向勝負になりそうなムーブメントです。タグ・ホイヤーの中ではCal.36(エルプリメロ)やCal.360(1/100秒計測)とCal.17(ETA2894系)の間くらいの位置付けとして、60~80万円あたりの価格帯のモデルに搭載されるのではと予想されます。タグ・ホイヤーの時計を探す
2009.12.23
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エポスの新作は毎年楽しみです。基本的にどれもコストパフォーマンスに優れ、デザイン面では遊び心が感じられるモデルが多いというのが「楽しみ」の所以ではないかと思います。 さて、2009年の新作も期待通りの高コストパフォーマンスモデルが目白押しです。 先ずはレクタングラー(角型)コレクションのパーフェクション・シリーズより3モデル。 左から2つはETA2824を搭載したオーソドックスな自動巻きですが、丸を強調したインデックスが長方形のケースに違和感無く収まっています。またインデックスの外側には放射状のギョーシェ模様が彫られ、文字盤に立体感を持たせています。この結果、なかなか上品なドレスウォッチに仕上がっており、定価7万円台の機械式時計と考えると非常に良くできていると言えます。 右のスケルトンモデルは世界限定99本の希少モデルでジャケ社のパワーリザーブ表示付き手巻き角型ムーブメント「Jaquet7365」を搭載しています。こちらは少々値が張りますが(と言っても30万円弱)ムーブメントの希少性を考えれば十分な低価格と言えるでしょう。但し本数が少ないので手に入れるのは難しいかもしれません。 続いてスポーツモデルのスポーティヴ・シリーズより3モデル。 典型的なパイロットウォッチデザインが2モデル。ETA7750のクロノグラフとETA2824の3針ですが、IWCのパイロットウォッチシリーズやフォルティスのフリーガーなどと同様、分りやすいパイロットウォッチです。このモデルには写真のカラー以外にシルバー文字盤があり、どちらにも蛍光塗料にオレンジ色を採用したものがあります。オレンジ色の針やインデックスはなかなか新鮮で視認性の向上にも一役買っていると思いますので、一度見てみて下さい。価格はクロノグラフが15万円弱、3針が7万円弱と、エポスらしいリーズナブルな価格設定です。 右もETA7750搭載のクロノグラフですが、こちらは文字盤をスケルトナイズした世界限定118本の希少モデルです。希少とは言え、ムーブメントまで希少と言うわけではないので価格は控えめで17万円弱です。楽天内のショップを見渡しただけで10本以上あるようなので今のところ入手はできますが、世界限定118本が本当ならあっと言う間に無くなるかもしれません。 最後に、久々にオーバーダート・シリーズの新作2モデル。 左はETA2671を2個搭載した世界限定999本のGMTモデルです。楕円のケースに時間表示のダイヤルを2つ配した文字盤は非常にユニークですが、それぞれ完全に独立して調整できるので、GMT時計としてはETA2893搭載(24時間針装備)のものより使い勝手が良いのかもしれません。価格は見かけのユニークさに反して13万円弱という低価格ですから、コストパフォーマンスは高いといえます。但し幅47mmの特大ケースは付ける人を選びそうです。 最後は世界限定200本の5ミニッツリピーターです。旧モデルに比べて、文字盤をスケルトナイズするなどしてグッとモダンな意匠になっています。通常リピーターは数百万円(ミニッツリピーターなら1千万円オーバー)するのが一般的ですが、5分単位とはいえ80万円台というのは驚くべき低価格です。 やはりエポスのコストパフォーマンスについては特筆すべきものがあります。やたらと複雑系やハイスペックモデルに走らず、必要十分な機能にほんの少し遊び心を加え、できるだけ低価格で提供する姿勢は創業当時からブレていないように感じます。このあたりが幅広いユーザーに支持される所以なのでしょう。エポスの各モデル詳細はこちら
2009.10.12
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ペリカンの「M400SE 茶縞」と言えば、先日発売されたスーベレーンシリーズの日本限定カラーの万年筆です。私はそれほど「万年筆好き」と言う訳ではありませんが、独特の軸色(茶色のストライプ)が綺麗で、写真を見て欲しくなりあちこち探してみるも既にどこも完売でした。発売日前だったにも関わらずです。 お店やネットで情報収集したところ、ほぼ予約のみで完売だったらしく、店頭に並ぶことすらないのではないかというほどの人気商品のようでした。これが今年の6月ころの話です。その後も出かける度にあちこちの文具屋さんを覘いてみたりしましたが、噂どおり現物を目にすることはありませんでした。 で、昨日ですが、たまたま川崎(神奈川県)に買い物に出て、とある文具屋さんに立ち寄ったところ、なんとあるではないですか!「茶縞」が!。そんなつもりで寄ったわけではないし、というか既に忘れているような存在だったのですが、試し書きもそこそこに即買いしてしまいました^^;) ペリカンのM400茶縞は数年前までレギュラーモデルだったものですが、独特の茶色の縞模様が歩留まりが悪く、それ故生産中止になったそうですが、倉庫に残っていた在庫の軸を使用して今年600本だけ製造したらしいです。確かに現行の緑や青、ボルドーの縞に比べて縞1本1本が不均一で、いかにも作り難そうな樹の年輪のような不規則な美しさがあります。現行品ではホワイトトートイスの軸色が近いですねぇ。但しこちらはキャップやグリップが白く少々ファンシーな雰囲気なので、軸の美しさと落ち着いた雰囲気を併せ持った茶縞はとても魅力的に思えます。 ただ、あまり字を書くことがない私には宝の持ち腐れになる可能性大なのですが...^^;)
2009.09.13
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もうちょっとこのネタで引っ張りますが^^;) さて今回は前回みたいに遠い世界の高嶺の花ではなく、現実的に購入を考えたくなる時計です。私が個人的に気になったものをいくつか紹介しますと... まずはブライトリングの新作「クロノマットB01」。 ご存知の通り、ブライトリングが満を持して投入した渾身の自社製クロノグラフムーブメント搭載モデルです。(以前の記事参照) 実物を見るのは初めてでしたが、ケースの造りは本当に素晴らしい!と思いました。加工精度は当然のように高いし、ポリッシュには1点のくもりどころか微細な歪みもありません。新規に設計された「斜めカット」のメタルブレスも遊びが少なく、高い剛性感と柔軟性を高次元でバランスさせています。 写真の文字盤は「ブラックアイブルー」という濃いブルーですが、これがまた深みのあるいいカラーです。是非実物を見て下さい。 ムーブメントは初出の自社製ですからまだまだ実力は評価されてはいませんが、クロノグラフで名を馳せた名門が4年もかけて創り上げたものですから、まず間違いはないでしょう。自社開発クロノグラフムーブメント搭載機としては比較的リーズナブルな価格設定がされていますし、かなり魅力的なモデルだと思います。 次はロンジンの「マスターコレクション レトログラード」。これは今年の新作ではありませんが、以前から気になっていたのでちょっと見せてもらいました。(以前の記事参照) レトログラード好きには堪らないものがあります^^;) 何せレトログラード針が4本(日付、曜日、第2時間帯表示、秒針)です。それでいてかなりのお値打価格ですから、世界的に品薄と言うのも頷けます。最近はようやく供給が追い付きつつあるようですが、まだまだ品薄は続きそうです。 続いてモンブランの自社開発クロノグラフ「スターニコラ リューセック」です。 計測装置としてのクロノグラフとしては少々視認性に難ありといった感はありますが、オリジナリティ溢れるダイヤルデザインは魅力的ですね。 このモデル、ダイヤルデザインもいいのですがシースルーバックから覘くムーブメントも魅力的です。モンブランにはミネルバ製の高額クロノグラフもありますが、このリューセックの方が圧倒的にコストパフォーマンス良く、モダンで洗練されているように感じます。 価格は100万円を越え、少々高い感はありますが、万年筆のマイスターシュテック146あたりとセットで使いこなせたら間違いなくエリートサラリーマン(ぎりぎり嫌味にならない感じの)に見えるでしょう^^;) 写真はありませんが、やはりパネライのP9000シリーズ搭載の「ルミノール1950マリーナ 3DAYSオートマチック」シリーズは気になります。 残念ながら初日に行ったにもかかわらず「売り切れ」てました。資金が貯まったら真っ先に買いたいモデルです(今のところ)。 他にもオメガの「プロプロフ」、IWCのNEW「アクアタイマー」、セイコーの「ハイビート36000」などなど、100年に一度の大不況などどこ吹く風?といった感じで、魅力的な新作が豊作だったように感じます。
2009.09.06
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まもなく終了しますが、日本橋三越で行われているワールドウォッチフェアのレビューです。 今回は雲上ブランドのトゥールビヨンを中心に紹介します。 まずはパンフレットの表紙にもなっているブレゲの「クラシック・ダブルトゥールビヨン」です。 確か2006年頃に発表されたモデルですが、実物を目にするのは初めてでした。2個のトゥールビヨンを載せたムーブメント自体が12時間で1周する(片方のトゥールビヨンが時針を兼ねている)という、仰天コンプリケーションです。価格も仰天モノで贅沢を言わなければ東京近郊に駐車場付き一戸建てが建ちます^^;) 果たしてどれ程の精度が出るのか疑問ではありますが、興味深い装置であることは確かですねぇ... 次はジャガー・ルクルトの「ジャイロトゥールビヨン1」と「レベルソ・ジャイロトゥールビヨン2」 これも今年の新作ではありませんが、トゥールビヨンのキャリッジが3次元で回転する様はまさに小宇宙です。写真では分りませんが、レベルソの方はひげゼンマイがちょうちんひげになっており、2軸トゥールビヨンの弱点である「厚さ」を逆手に取った「飛び道具」的な使い方が面白いです。 次はジラール・ペルゴの新作「ヴィンテージ1945スリーゴールドブリッジトゥールビヨン」です。 こういった「普通」のトゥールビヨンでは物足りない感じが否めませんが、それでも「超」が付く高級コンプリケーションであることには間違いありません。感覚が麻痺しているだけですね^^;) 普通のトゥールビヨンはまだまだ沢山出てましたが、だんだんありがたみが無くなってきたのでこの辺にしておきます。 数年前は、こういった比較的規模の大きいフェアでもトゥールビヨンはかなり希少な存在だったと記憶していますが、時代は変りましたね。一千万円を越える品物がこんなに沢山集結する時計業界とは、一体どうなってるんでしょう??? やっぱり行き過ぎた資本主義の歪みが表面化してきているのかな~、などと思いつつ、今日は「清き」一票を投じてきました。皆さんも投票してきました? ちなみにフェアは明日(31日)までです。
2009.08.30
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日本橋三越で今日から始まった「ワールドウォッチフェア」に早速行ってみました。 世界の50を超えるブランドが出店し、普段目にすることのない貴重なモデルや最新作などが多数展示(販売)されていて一見の価値ありです。少なくとも目の保養にはなります^^;) ブレゲの「ダブルトゥールビヨン」や「トラディション」シリーズ、ランゲ&ゾーネの「ランゲ31」、ジャガールクルトの「ジャイロトゥールビヨン」、ジラールペルゴの「スリーゴールドブリッジトゥールビヨン」などなど、思わずため息がこぼれるようなコンプリーケーションが所狭しとディスプレイされ、その傍らで商談しているお客さんもちらほらいて、今日の不況が嘘のように思えてくるような豪華絢爛な空間でした。 もう少し身近なブランドでは、ロレックスの新ケースのデイトジャストやデイデイト、ブライトリングの「クロノマットB01」、オメガの「スピードマスター月面着陸40周年」や「プロプロフ」、モンブランの「スターニコラ・リューセック」、グランドセイコーの「ハイビート36000」などなど、注目の新作が多数並んでいました。残念ながらパネライの「ルミノール1950 3デイズ」シリーズは早くもSOLD OUTで見ることができませんでしたが、ロンジンの4レトロなど普段なかなか店頭に並ばないモデルなども含めて、十分見ごたえのある内容でした。 後日写真をUPしたいと思います。 それにしても、こういったフェアで高額な時計がポンポン売れている現状を見ていると、悲しいかな格差社会を痛感しますねぇ...。世の中100年に一度の大不況だと騒いでいますが、単にお金が一極集中していて大多数の市民に回っていないだけなんでしょうねぇ。 と、少々愚痴ってしまいましたが、一時計好きとしては十分満腹な内容でした^^;) 興味のある方は覘いてみては如何でしょうか?
2009.08.22
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今からちょうど40年前の今日、1969年7月20日にアポロ11号の船長二ール・アームストロング氏が「イーグル(月着陸船のこと)は舞い降りた」と月面着陸成功を告げました。その後(正確にはグリニッジ標準時で7月21日02:56)バズ・オルドリン氏と共に月面に一歩を踏み出し、「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大いなる飛躍だ」と言ったのはあまりにも有名な話です。 そして厳しいテストを唯一クリアし、このアポロ計画に公式採用された腕時計がオメガのスピードマスターであり、人類史上初めて(そして唯一の)月面に携行された腕時計であったことも、時計好きであれば知らない人はいないと言うくらい周知の事実ですよね。 つまりオメガにとっても今年はアニバーサリーイヤーであり、月面着陸40周年記念の限定モデルが発表されました。写真はSSモデルで限定7969本、他にプラチナモデルが限定69本用意されています。 先日紹介したプロプロフの方がインパクトがあり、こちらの存在が霞んでいる感はありますが、20世紀最大の偉業と言われる月面着陸に貢献した功績を考えれば、この記念モデルの存在価値は非常に高いと言えます。 性能面は現行スピードマスター・プロフェッショナルと同じで、ムーブメントはレマニアベースの手巻きCal.1861、サイズや防水性能も同一スペックです。異なるのは外観上の違いだけで、先ず目に付くのは永久秒針のインダイヤルに、月面に降り立つイーグルと「APOLLO 11」の文字と紋章をデザインした純銀製のメダルが配されたことです(プラチナモデルではこのメダルが18KYGとなり、シリアルナンバーが記載されています)。 他には文字盤のロゴの下部に赤い文字で月面に降り立った時間「02:56 GMT」が追記され、クロノ秒針の先端は赤く着色されています。そして裏蓋には文字盤のメダルと同じデザインがエングレービングされ、外周部にはお決まりの「THE FIRST WATCH WORN ON THE MOON」と月面に降り立った日付「JULY21,1969」、そしてシリアルナンバーが記され、プレミア感たっぷりです。 このモデルはオメガファンだけでなく、例えば子供の頃にアポロ11号の偉業をリアルタイムに見ていた世代には堪らない逸品になるのではないでしょうか。流石に定価が1千万近いプラチナモデルは無理としても、SSモデルであれば定価54万6千円ですから十分手の届く範囲(むしろ世代的には楽勝で買える額かも)です。既に発売されているので早めに押さえることをお勧めします。 近年、日本の月探査衛星「かぐや」をはじめ、にわかに月面探査が再開されつつあります。また明後日(7/22)には46年ぶりに日本で皆既日食が観測されるなど、天文ファンならずとも興味を惹かれるイベントが多数あります。そして時間の概念は天体の動きに基づいたものであり、時計と天文学は切っても切れないものです。この月面着陸40周年記念スピードマスターを手に、遥か月面、更にその先の広大な宇宙へと思いを馳せてみませんか。楽天内の月着陸40周年記念スピードマスターを見るオメガ一覧へTOPページのブランド別検索コーナーが新しくなりました。まだ工事中の部分もありますが、今後とも宜しくお願い致します。
2009.07.20
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今年セイコーから発表された新作「グランドセイコー メカニカル ハイビート 36000」は、名前の通り36000振動/h(10振動/秒)の新開発ムーブメントです。現行モデルで10振動と言えばゼニスの自動巻きクロノグラフ「エルプリメロ」がありますが、量産3針自動巻きムーブメントとしては唯一の存在となります。 遡ること1960年代、ロンジン、ジラールペルゴ、そしてセイコーは既に10振動のハイビートムーブメントを製造しており、件のクォーツショックがなければ、もしかしたら10振動(更に12振動も)が現在の主力となりえたかもしれません。しかし現実にはクォーツショックにより多くのブランドの技術開発が事実上ストップし、結局それまでに技術が確立されていた8振動以下しか生き残れなかったのでしょう(エルプリメロは例外として)。 そして今年発表された「Cal.9S85」は単に40年前の10振動を復活させたものではありません。主ゼンマイ、ひげゼンマイを素材から新たに開発し、ガンギ車やアンクルは「肉抜き」して軽量化、またガンギ車の刃先は最先端のレーザー加工により潤滑油の保持力を高めるなど、完全にハイビートに最適化した機械になっています。(詳しくはセイコーさんのHPを参照下さい) ただあえて残念なところを挙げるなら、フリースプラング化がなされなかったことでしょうか?セイコーさんはフリースプラングにあまり興味がないようなのですが、精度に拘るならやはりフリースプラングは是非とも取り入れて欲しいものです。 今年はオーデマ・ピゲから12振動のAP脱進機搭載モデルが出たり、ファーブルルーバから開発中の10振動ムーブメントの発表があったりと、にわかにハイビート競争の始まりを予感させる話題が出てきました。フリースプラング化の次はハイビートがトレンドになっていくのでしょうか...(個人的には5や6振動のゆったりしたテンプの動きを見るのが好きなんですが^^;) もう一つ、セイコーブライツシリーズが充実してきました。中でも新シリーズ「アナンタ」は、独特のケース形状の比較的高級ラインで、スプリングドライブや、新開発の機械式クロノまでラインナップされています。特に機械式クロノは新型の自動巻きクロノグラフで、コラムホール作動、垂直クラッチ採用の高級仕様でありながら定価30万円以下というのは拍手を送る他ありません。ちなみに「アナンタ」とはサンスクリット語で「終わりのない」、「無限」を意味する言葉で、デザインのイメージは「日本刀」だそうです。イメージ通り、海外の高いだけで実力が伴っていない時計(ブランド)をバッサバッサと切り捨ててほしいものです。 世界的な大不況をものともせずに力の入ったモデルを投入してきたセイコー。日本の技術力の高さを見事に証明して世界に発信し続ける姿勢には、改めて拍手を送りたいと思います。TOPページのブランド別検索コーナーが新しくなりました。まだ工事中の部分もありますが、今後とも宜しくお願い致します。
2009.06.14
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バーゼルフェアも終わり落ち着いた感はありますが、改めて振り返ってみるとやはり世界的な不況の影響で全体的に元気がなかったように思います。 そんな中でもきっちり存在感を出していたブランドがいくつかありました。ブライトリングもその一つで、社運をかけて開発したクロノグラフムーブメントを躊躇無く投入してきました。先日紹介した自動巻きクロノグラフ「B01」です。(B01についてはこちらを参照) そして注目のB01搭載機は新型クロノマットでした。今までのクロノマットはETA7750ベースの縦3つ目でしたが、新型は横3つ目(3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンド)になり、往年のヴィーナス搭載機を彷彿させます。 デザインも細部がブラッシュアップされており、特にダイアル中央にスクエアがデザインされたことで、計器としての視認性とダイアルの立体感を両立したようです。また回転ベゼルは1/4ずつ回転方向にスロープ状の傾斜を付けることで指のかかりを良くしています。 そして注目すべきはその価格で、最もリーズナブルなモデルは60万円台ですから、コラムホイール作動、垂直クラッチを採用した自社製クロノグラフとしては異例の低価格です。これは年産数万個を前提とした大規模な製造体制があってこそ実現した価格でしょう。パネライの9000シリーズに勝るとも劣らない、2009年の目玉と言えそうです。ブライトリング一覧へ
2009.05.31
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アクアタイマーシリーズが一新された今年のIWC。中でも水深計が付いたディープ2の登場はファンには嬉しいニュースだったのではないでしょうか。 ディープ1は10年前に発売されるも、水深計部分の技術的な問題が多かったようで500個程度しか生産されずに廃盤となった幻の機械式水深計搭載腕時計ですが、それが10年の時を経てディープ2として復活したと言えます。2では問題の水深計部分を時刻表示用ムーブメントから切り離した設計にすることで、信頼性・操作性・メンテナンス性ともに大幅に向上しているようです。 シリーズ全体の共通仕様として大きく変ったのは、まず回転ベゼルがインナーからアウターになったことでしょう。やはりダイバーがグローブをはめたまま操作することを考えればアウターの方が有利であることは想像に難くありません。インナー回転ベゼルはIWCの象徴的なものという印象がありましたが、先々代はアウターだったし、機能性を考えて躊躇無くインナー回転ベゼルを廃するあたり、IWCの時計創りに対する姿勢が現れていると言えます。 全体的な雰囲気は先代に似ていますが、これはカラーリングが似ていることによるものでしょう。ベゼルは外部に出たたことによる傷防止のためか、インデックス部はサファイアクリスタルで覆われており、その下に発光塗料(ルミノバ)をたっぷり塗ることで視認性も大幅に改良されているもよう。また、ストラップはラバーとSSブレスが用意されていますが、クイック交換システムにより簡単に交換できるようになっています。 ラインナップは先代同様2000m防水を誇る3針のオートマチック2000、120m防水のクロノグラフとディープ2ですが、クロノグラフにはケースまで全てブラックの「エディション ガラパゴス・アイランド」と、自社クロノムーブCal.89360をRGケースに納めた「クロノグラフinレッドゴールド」があります。ガラパゴスモデルはダーウィン財団とのコラボモデルで、運がよければガラパゴス島の調査に参加できるという購入特典があり、もし当たれば時計代なんてどうでも良くなるくらいの特典です。 「ディープ2」と「inレッドゴール」は例外として、他は先代譲りのETAベースのムーブメントということもあり、かなり控えめな価格設定になっています。3針のオートマチック2000は40万円台ですから、ブランドの知名度や機能性、なかなか贅沢な創りであることを考えれば、ETAベースであることを差し引いても十分お買い得と言えるでしょう。 もう一つのトピックスはダ・ヴィンチシリーズの新型永久カレンダークロノグラフ「パーペチュアルカレンダー・デイト/マンス」です。 ダ・ヴィンチの永久カレンダークロノグラフと言えば、4桁の西暦表示と9本もの指針とムーンフェイズを持つCal.79261(ETA7750ベース)搭載モデルが有名(というかクォーツモデルを除けばこれしかない)で、2007年にケース形状が一新された後もこのムーブメントが引き継がれてきました。2007年には自社開発の自動巻きクロノグラフムーブメントCal.89360が発表され、新ダ・ヴィンチシリーズに真っ先に搭載された経緯があり、遅かれ早かれこの新型クロノグラフムーブメントに永久カレンダーモジュールを載せた「新ダ・ヴィンチ」が出ることは予想されていました。 で、このモデルです。先代に比べ妙にあっさりした顔、というのが第一印象。クロノグラフ+永久カレンダーという基本機能は変りません。クロノグラフがフライバック式になり、ムーンフェイズと曜日表示が無くなり、西暦の4桁表示の代わりに閏年表示が付いた、というのが機能的な差ですが、この差以上に見た目の印象は変りました。内容的には、日付で2枚、月で2枚、閏年で1枚の計5枚ものディスクを駆動するために必要な大トルクをまかなうための新機構が搭載されているようで、このお陰で月の変わり目等でもテンプの振り角低下はごく僅かということです。個人的には4桁の西暦表示とムーンフェイズは残して欲しかったんですが...(買いもしないのに勝手を申しますが^^;) これら以外にもパイロット、インジュニア、ヴィンテージの各シリーズに新作が追加されますが、ここでは割愛させていただきます。IWC一覧へ
2009.04.14
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今年はNASAがアポロ11号で月面着陸を成功させて40周年に当たります。同時にオメガにとってはスピードマスターが月に降り立った唯一無二の存在となってから40周年に当たる年という事になり、当然これを記念した限定スピードマスターが発表されました。スモールセコンドに、鷲が月面に降り立つ様子が控えめに描かれ、クロノグラフ秒針の先端と、文字盤に記された月面に降り立った時間「02:56 GMT」の文字だけが赤く着色された限定モデルで、オメガファンでなくても科学好きの男子であれば興味を持ってしかるべきでしょう。 しかし今年発表されたオメガの新作で最も注目に値するのは「プロプロフ」の復活ではないでしょうか? オメガの「プロプロフ」とは、1970年に発売されたダイバーズウォッチで、正式には「シーマスター プロフェッショナル600」という名称で、文字通り600m防水を誇るプロ仕様のモデルでした。その特異な造形からか、アンティーク市場では根強い人気があり、たまに見かけてもかなりの高額で取引されています。 今年発表された新型「プロプロフ」は、驚くほどオリジナル(1970年)に忠実な外観を持ち、いかにも頑丈そうな角ばったケースに物々しいオレンジのベゼルロック解除ボタンや赤く巨大な分針など、見るからに只者ではない雰囲気を醸し出しています。オリジナルとの明確な違いはその防水性能で、600mから1200m防水に、いかにも現代のプロ仕様と呼べる性能になっています。ロレックスの新型シードゥエラーの3900m防水やIWCアクアタイマーの2000m防水には及びませんが、十分過ぎる防水性能であることは間違いありません。これ以外は日付位置が3時位置から4:30位置に移動したり、竜頭ガードの形状が若干変ったり、回転ベゼルのインデックス部にサファイアクリスタルが使用されるなど、細部のブラッシュアップに止まり、全体的な雰囲気は本当にオリジナルそっくりです。 搭載されるムーブメントは新生オメガの基幹キャリバーたるCal.8500です。これは2007年に発表された最新の自動巻きムーブメントで、CO-AXIAL脱進機にフリースプラング調速装置を組み合わせた高精度クロノメータームーブメントで、ツインバレルによりパワーリザーブは60時間と、なかなかのハイスペックです。 気になる価格ですが、ラバーベルトが8,400スイスフラン、メタル(メッシュ)ブレスが8,600スイスフランということで、日本での価格は80万円台後半になりそうですが、まだ発売は未定です。 あくの強い外観は万人受けするのもではないでしょうが、単なるハイスペックなダイバーズウォッチでは物足りないと言う向きには、非常に魅力的な存在となることは間違いないでしょう。OMEGA一覧へ
2009.04.05
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いよいよバーゼルフェアが始まりましたが、私が最初に気になったのはロンジンの新作クロノグラフ「ロンジン コラムホイール クロノグラフ」です。 非常に品の良い、古き良き時代=機械式手巻きクロノグラフ全盛期=を彷彿させるヴィンテージ風クロノグラフですが、なんと中身はETAの新型自動巻きクロノグラフで、コラムホイール作動の機械です。 9時位置にスモールセコンド、3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計という並びは、かつての名機「Valjoux23」や「Venus178」「Lemania27CH」等(これらは手巻きですが)と同じであり、またロンジンには手巻きクロノグラフの最高傑作と言われる「CAL.13ZN」を製造した過去があります。過去を知る人にとっては感慨深いロンジンの新作と言えるのではないでしょうか。 さて機械ですが、「CAL.L688.2」とはもちろんロンジンでの名称で、ベースはETAの新型「A08.231」になります。A08は、2005年に発表された7750の3針版A07「バルグランジュ」シリーズとは少々流れの違うシリーズと言えそうです。明らかにされた仕様は、振動数28,800/h、ムーブメント直径30mm、27石、パワーリザーブ55時間というところですが、振動数やサイズ、石の数、インダイヤルの並びの他、テンプのサイズと位置やコラムホイール(カム)の位置が7753(ほぼ7750と同型)に酷似している(見える範囲ですが)ことからも、このムーブメントのベースが7750系であることは疑いようがないでしょう。 ただし良く見れば、パワーリザーブが延びたり、緩急針の微調整装置が変ったり、ブリッジの形状が直線的でなくなったりと、明らかな違いも見受けられます。この違いがベース機「A08.231」からなのか、ロンジンによるものなのかは定かではありませんが、少なくとも数少ない量産型コラムホイール作動の自動巻きクロノグラフムーブメントであることは間違いありませんし、コラムホイール作動としてはかなりリーズナブルな価格設定がされるのではないかと期待できます。 また、十分過ぎる実績を積んだ7750系の進化モデルと考えれば、精度や耐久性の面での心配が殆ど要らないというのもこの機械の大きなアドバンテージと言えます。 青焼きされた大型のコラムホイールがとても目立ち、自動巻きクロノグラフとしてはなかなか見栄えの良い機械です。当然シースルーバックでしょうから、コラムホイールの作動を十分堪能できるでしょう。 近年高~い自社開発クロノグラフが沢山出てきましたが、それらにとってこのETA A08は大きな脅威となるでしょう。願わくばこのA08がかなりの低価格で、他のブランドの自社開発ムーブの低価格化を促す起爆剤になってくれればいいのにな~と思います。(それ程単純なことでもないのでしょうが^^;)ロンジンの検索結果へ
2009.03.29
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「ブライトリングはマニファクチュール化には興味ないのだろうか?」と多くの方がやきもきしながら待っていたのではないかと思いますが、ついにというか、やっとというか、自社開発ムーブメントが発表されました。 シンプルに「B01」と名付けられたクロノグラフムーブメントです。 約4年もの歳月をかけて極秘裏に開発されたこの自動巻きクロノグラフムーブメントは、コラムホイール作動で垂直クラッチを採用した、近年のトレンドに沿った高級機と言えます。垂直クラッチは省スペースで、歯車の連結時に起こる「針飛び」が発生せずに正確な計測開始ができることからパテックフィリップ、ロレックス、フレデリックピゲ製のブランパンやオメガなど、近年発表されている多くの高級クロノグラフムーブメントが採用するクラッチ方式です。また古くから高級機の定番作動機構とされているコラムホールは、部品の製造や動作の調整がシビアである代わりに滑らかで確実な動作をするとされています。 更に70時間と長時間のパワーリザーブを確保しており、これはゼンマイのトルク特性にも好影響のはずです。またリセット時にクロノグラフ針を帰零させる機構にはブライトリングが特許を取得した独自のオートセンタリングシステムが採用されています。 さて、ブライトリングは100%クロノメーターを宣言する数少ないブランドで、この新型ムーブメントも例外なくクロノメーターを100%取得するはずです。また、このムーブメントの製造に合わせるかのごとくファクトリーの増設が完了しました。で、どうやらこのムーブメントの生産数は年産最大5万個程度を想定しており、価格も自社開発自動巻きクロノグラフとしてはかなり押さえられたものになりそうです。 惜しむらくは調速装置で、エタクロン式の緩急針に微調整機構が付いているもののようで、フリースプラングは実現されませんでした。これだけは他の自社製クロノムーブに対してビハインドとなるでしょう。ブライトリングが満を持して発表したムーブメントですから、必要にして十分な精度(クロノメーター取得程度)を得ることは当然可能でしょう。しかしそれより先の精度に対する「拘り」には欠けると言わざるを得ません。が、フリースプラング化によって価格が跳ね上がってしまうのはブライトリングの時計創りの精神に反したのかもしれません。これはこれで一つの正解なのでしょう。 現在ラインナップされているクロノグラフは、ETA/Valjoux7750かETA2892をベースにした、前者は縦並び、後者は横並びにインダイアルを配した、大きく分けて2種類がありますが、これらの何れかがB01に置き換わるのか、はたまた全くの新シリーズとして追加されるのか、まだB01のインダイアルの構成すら分らない状況ですが、あれこれ想像しながらバーゼルフェアでの発表を待ちましょう。ブライトリング一覧へ
2009.03.21
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2009年がスタートして早や2ヶ月が経ちましたが、時計業界の動きも慌しくなっております。1月19~23日にスイス・ジュネーブで開催されたSIHH=通称ジュネーブサロンから気になるネタを紹介したいと思います。 まず気になったのがパネライの新作ムーブ。P.9000と名付けられた新型ムーブメントは、もちろんパネライの自社開発ですが今までのP.200X系とは全く別のシリーズのようです。 3針+日付の自動巻きP.9000の他、これにGMT針とパワーリザーブ表示を追加したP.9001とP.9002があります(ちなみに9001はパワリザをブリッジ側に配し、シースルーバック越しに見るタイプ)。 肉抜きされた巻上げローターの形状はP.2003そっくりだし、全面サテン仕上げなところも200X系の雰囲気がまんま継承されている感じです。ただ中身は全くの別物で、香箱は3バレルではなく2バレルでパワーリザーブは72時間。テンプのブリッジは片持ちで、高さ調整用ナットも見えません。つまり200X系よりもコストを抑えたムーブメントであることが言えそうです。 とは言え28石という多石ぶりや、フリースプラングであったり、ゼロリセット機構が搭載されていたり(9001と9002)と、トータルで見ればロレックスの3135系にも引けを取らない内容です。また短針は1時間単位にステップ送り(戻し)可能で、これは旅行先での時差調整には重宝する機能です。(ロレックスGMTマスターIIの短針と同じですね) で、当然これらを搭載したモデルも発表されています。 これは最も「素」と言える、P.9000を搭載した「ルミノール1950マリーナ 3DAYSオートマチック」です。ケースはモデル名から分るとおり1950ケース(44mm)と呼ばれるタイプで、ケースの表側から裏側にかけてすり鉢状になっているのが特徴です。この他に同ケースで9001、9002を搭載したGMTモデルと、回転ベゼルを装備した47mmのサブマーシブルが発表されています。 何れも300m防水でシースルーバックを採用しており、頑丈でガンガン使用することを前提にしながらも、裏返せば自慢の自社開発ムーブが堪能できると言う抜かりの無さぶりが非常に憎いです^^;) そして特筆すべきはその価格設定で、写真の素モデルなら68万2500円(予価)と言いますから驚きのコストパフォーマンスです。なかなか凝った自社開発ムーブメントでありながら、SSケースに入れてこの価格で出すと言うのは大いに歓迎できるし、これならロレックスと勝負できる数少ない時計になるのではないでしょうか。 パネライのマニファトゥーラ(マニュファクチュールのイタリア読み)コレクションは高くて買えないな~と諦めていた人には、正に朗報ではないでしょうか? 但し実際の性能は未確認ですのであしからず^^;)パネライ一覧へ
2009.03.08
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先日とうとうGMTマスターIIを買ってしまいました^^;) 思いのほか円高の影響が大きく、予想外に下落した価格を目にしたら、なんだか今買わないといけないような気がして... 10日間ほど使用したところ、精度の良さにちょっとびっくりです。当然クロノメーター検定をパスしているのでそれなりに精度が高いことは予想していましたが、今のところ「クオーツ並み」と言っても過言ではないくらいに正確です。 姿勢差などをきっちり確認したわけではありませんが、普通に腕にはめていても、一日置きっぱなしにしても、日差0~+1秒程度と非常に安定しています。これは新しく開発されたパラクロムひげゼンマイ(詳細はこちら参照)の恩恵!とは言い切れませんが、31○○系キャリバーの基本設計の良さと相まって、完璧と言える精度に調整されています。 外観上で旧モデルと大きく違うのは、写真で見る限りでは24時間針の色くらい?と思ってましたが、回転ベゼルの黒い部分がセラミックになり独特の光沢を持ったことと、ブレスレットの中央のコマがポリッシュ仕上げされたことで、実物を手に取るとかなり高級感が増したように感じます。ポリッシュはキズが目立つので、個人的には全部サテンが良かったんですが... 実は私、今迄ずっとロレックスを避けてきました(平たく言えばアンチ)。理由はいろいろあって、「持ってる人が多過ぎる」「高過ぎる」「なんかガラの悪い人のイメージ」「NASAの採用試験でオメガに負けた」等々枚挙にいとまがありません。が、近年他のブランドの値上げが著しい中で、ロレックスが特に高価な存在ではなくなったし、純粋に機械を見れば逆にコストパフォーマンスが非常にいいと言えます。同価格帯で勝負できるのはオメガのCal.8500系くらいでしょうか(異論はあるでしょうが)。 う~ん、ついこの間までアンチロレックスと公言してはばからなかったくせに...人の好みはちょっとしたきっかけで変るものですねぇ~(節操がないだけかも^^;)ROLEX一覧へ
2009.02.02
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昨年から続く世界的な経済の悪化の中で円高が続いています。輸出産業である自動車や家電メーカー等にとってはまさに悪夢のような状況で、国内の景気も冷え切っているわけですが、輸入品の購入に限ってみればこんなにおいしい状況はなかなかありません。 昨年末あたりから名だたる海外の一流ブランドが価格を下げるなどしています。で、当然並行輸入品は円高の影響がもろに出て、相当下がってきています。 ここでロレックスについてちょっと状況を紹介しますと...(全て現行品のSSモデルで価格comの最安値を参考にしています)1.デイトナ 大人気の黒文字盤を例にとってもかなり下がっています。夏ごろまでは安くても120~130万円はしていたものが年末には100万円を大きく割り込むところまで下がりました。年始からまた上がって、現在の最安値はちょうど100万円をちょっと割るくらいです。SSのデイトナに関しては正規店で定価で購入することはほぼ不可能ですから、並行品が定価近くまで下がった今は絶好の好機でしょう。2.サブマリーナ デイト付きは年末から年明けにかけて40万円を切るところがぽつぽつあります。夏ごろから比べると10万円ほどのプライスダウンです。 グリーンサブも年末から年始にかけて最安値は42万円台まで下がりましたが、ここ数日で46万円前後まで戻っています。それでも夏に比べれば10万円以上下がっています。 ノンデイト(クロノメーター)も夏から10万円近く下がって32万円台をキープしています。3.GMTマスターII 2007年から販売開始された現行モデルは2008年に入ってようやく定価まで下がってきましたが、やはり円高の影響を強く受けて年末年始には53万円程度まで下がりました。一旦リバウンドして上がりかけましたがここのところまた53万円付近まで下がりました。 旧モデルも円高の影響で下がってはいますが、そもそも品薄でプレミア状態であるため、品薄が進む今後は円高に関係なく高騰する可能性が高いと思います。4.シードゥエラー 2008年に発売された新型「ディープシー」は発売された直後は結構なプレミア価格で販売されましたが、供給が追いついてきた11月以降はずるずると値を下げて、12月には80万円を割り込みました。以降は78万円程度からじわじわ下がっていますが安定しており、現在も上がる気配がありません。 旧モデルはモデルチェンジの一報と同時にプレミアがどんどん膨れて夏ごろには60万を越える勢いでしたが、やはり円高の影響か年末には48万円を割り込み、年明けに少し持ち直すもまた下がり傾向で46万円程度まで下がっています。とは言えこれもGMT同様品薄が進めば為替に関係なく高騰するでしょう。5.エクスプローラーI ロレックス入門機として安定した人気のEX-Iですが、これも一時30万円を切る値が付くほど下がりました。但し現在は持ち直して31~32万円で推移しています。夏には37万円以上してましたから2割程度は下がっていることになります。6.エクスプローラーII 人気が高い黒文字盤ですと、夏ごろには44万円前後だったものが年末から1月にかけてじわじわ下がり現在は35万円程度で推移しています。下げ止まった感はありますが、白文字盤が今月一気に1万円程値を下げていますし、まだどうなるか分りませんねぇ。 今年か来年あたりモデルチェンジがありそうな気がしますが、それを考えると今は絶好の買い時かもしれません。7.ミルガウス GMTのSS同様2007年から販売開始された最新モデルですが、発売当初はアニバーサリーモデルではない通常モデルが100万円オーバーのプレミア価格でした。どこまでがプレミアの減少でどこからが円高の影響か分りませんが、現在は48万円台まで下がりました。紹介した中ではもっとも値下がりが激しかったと言えます。アニバーサリーモデルに限っては一時は200万円程していたのが今や65万円前後です。 以上主要なスポーツモデルの現状を紹介しましたが、総じて相場はかなり下がっていると言えます。これはロレックスに限ったことではありませんが、最も安定した中古市場がある=つまり資産としても最も価値が落ちにくいブランドの一つ、という意味では非常に買い得感が強まっていると言えるでしょう。 今回のような値下がりは単に円高だけではなく、世界的な金融危機で富裕層の購買力が落ちたことも要因としてあるでしょうから、暫くは低い相場が続きそうです。余裕があるなら今買っておいて損はないのではないでしょうか。かく言う私も先日新型GMTを買ってしまいました^^;)※注:本文中の価格は価格.comの最安値を参考にしています。したがって平均的な市場価格はもっと高額になりますし、もっと安いところもあるかもしれません。また基本的に並行輸入品ですのでご注意下さい。ROLEX一覧へ
2009.01.18
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2008年はいつの間にか終わり、既に2009年に突入している訳ですが、皆様は良い年を迎えられたでしょうか? 私も幸い職を失うことも無く、平穏な新年を迎えることができました。今年(去年?)は曜日の並びが良かったのでかなり長い年末年始休日をもらうことができましたが、その分初出勤の憂鬱だったことこの上ありませんでしたね~(^^;) さて、最近更新が滞っていますが、新年1回目はフォルティスの新作情報です。新作と言っても2008年モデルですが... 先ずはちょっと変り種のアートモデルを2本。 左は「IQウォッチ」と名付けられた3針+日付モデルです。かなり前に発売されており、世界限定999本ということもあり既に品薄状態です。黒板にチョークで書きなぐったようなインデックスは、スイス生まれのデザイナー、ロルフ・ザックス氏によるデザインで、角度や簡単な数式でインデックスを表しているところが面白いです。 右は「プラネット」と名付けられたクロノグラフです。天体の動きを表したという文字盤は、惑星の軌道や昼と夜を表現したもので、画家であり彫刻家であるゲルト・ウィナー氏が時間と言う無形の概念をビジュアル化したものです。古くから宇宙開発に関わってきたフォルティスらしい限定モデルと言えます。こちらは世界限定300本ですので気になった方はお早めに。 続いてコスモノートシリーズから2本。 新たに「B-42ブラック」シリーズとして追加されたチタンケースのクロノグラフとデイデイトですが、その名の通りブラックPVDが施されたオールブラックのモデルです。最近のフォルティスはブラックモデルが非常に多く、今回紹介する2008年モデルでケースがブラックでないのは後に紹介するフリーガースクェアのクロノグラフのみです。 一見ブラックPVD以外は既存のB-42モデルと変らないように見えますが、ダイアルにカーボンを採用したり、インデックスにも細かなブラッシュアップがなされているなど、目立たない改良は加えられているようです。 続いてコスモノートシリーズに限定のオールブラックモデルです。 コスモブラック リミテッド・エディションと名付けられたこのモデルは、見たとおり12時のインデックスと時分秒針、回転ベゼルの0分マーカーのみを白で表し、他は全て真っ黒という異色の腕時計といえます。2007年にはフリーガープロフェッショナルシリーズに、やはり限定モデルとして「ブラックアウト」が発売されましたが、この第2弾になるようです。ブラックアウトはデリバリー開始とともにあっという間に市場から無くなったと記憶しています。 意外にも視認性は悪くないようですが、そうは言っても分単位の読み取りには少々難がありそうです。どちらかと言うとコレクターズアイテム的な要素が強いモデルと言えそうです。 次はフリーガークラシックの限定モデル「24リミテッドエディション」です。 ETA2893のGMT針を通常の時針とし、24時間表示にしたものと思われます。これも最近のフォルティスのお約束とも言えるブラックケースが採用されています。どうせなら普通の時針も付ければGMT時計として使えるのに、と思ってしまいますがデザイン優先ということでしょうか。 最後はフリーガースクェア クロノグラフ。唯一のブラックでないケースです(^^;) 2007年に発売されたフリーガースクエア デイデイトのクロノグラフ版ですが、ラグがケースと一体になったケース形状はデイデイトとは一線を画しています。スイスインターナショナルエアラインズとの共同プロジェクトでできたこのモデルは、スクエアなケースに丸い文字盤のごとくプリントされたインデックスが絶妙なアンバランス感を生み出し、他のスクエアケースの時計にはない独特の雰囲気を持っています。 以上、2008年のフォルティスを紹介しましたが、黒が多いなぁと(^^;)。 最近の流行であると同時に、表面硬度を上げる手法としてブラックPVDが多用されているようですが、あまりにも黒い時計が多くなって少々食傷気味です。長年使ってコーティングが剥がれて「ハゲチョロ」状態になったりはしないのでしょうか?(私はそれが心配で未だに黒い時計には手が出せずにいます^^;) そしてデザイン重視のモデルが増えたとも感じました。実用性の塊のようなイメージのフォルティスですが、最近はデザインで遊んでいる(良くも悪くも)感があります。それでもフォルティスらしく見えてしまうのは、時計作りの姿勢にブレがないということの表れでしょうか。FORTIS一覧へ
2009.01.11
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オリスの新作の続きです... 前回はモータースポーツとダイバーシリーズを紹介しました。今回は残りのアヴィエーションとカルチャー、レディースの紹介です。 まずはアヴィエーションシリーズに新たに加わった「BC4」シリーズ。 4点ビス止めされたクッションケースが印象的な、新しいデザインのアヴィエーションウオッチです。42.7mmというケースサイズ(3種類とも共通)は、昨今のデカ厚ブームの中にあってはそれ程大きいと言う数値でありませんが、クッション型ケースは同じケース径のラウンド型に比して投影面積が大きいため、数値より大きく、ボリューム感たっぷりに見えます。 左から、BC4フライトタイマー。これは9時位置のスモールセコンドと3時位置の第2時間帯表示ダイヤルがシンメトリックに配されていますが、各々のダイヤルの大きさや針の数が違うことで絶妙な表情をしています。更に2時位置に鎮座するインナーベゼル操作用竜頭が強烈なインパクトを与えており、一目で機能は解らずともある用途に専門特化した特殊な時計であることが伺えます。また、2つのプッシュボタンでセンターの時針と第2時間帯の時針をそれぞれ1時間単位で操作することができ、ホームタイムとローカルタイムのセットが非常に簡単にできるという構造になっています。ベースはETAの汎用機2836ですが、かなり複雑なモジュールが搭載されています。 次にBC4クロノグラフ。7750ベースの自動巻きクロノグラフですが、フライトタイマーと比べるとかなり「普通」の時計に見えます。が、それでもこのクッションケースと精悍な色使いは十分な存在感を持っていると言えます。 3つ目はBC4スモールセコンド・ポインターデイ。オリスは以前からしばしばこの「ポインターデイ」を採用してきました。文字盤外周に記された曜日を大ぶりなポインターで指し示す機能ですが、時計でありながら「反時計回り」に回る針であるうえ、1度に動く角度が50°以上という、極めて珍しい動きをする表示機能であると言えます。 次にカルチャーシリーズですが1つだけ、知的な印象のアートリエシリーズの新作「アートリエ アラーム」です。 オリスがアラーム機能を持つ腕時計を製造するのは初めてです。1970年代に製造されたAS5008のリプロダクト品、LJP5800(ラ・ジュー・ペレ製)をムーブメントとして搭載しています。ムーブメントの製造には定評があり、高級ブランドにも多く採用されているラ・ジュー・ペレ。この他にも手巻きクロノの名機ヴィーナス175のリプロダクトも手掛けていたり、ETA7750をコラムホイールにモディファイするなど、その技術力の高さは折り紙付き。今後益々注目のムーブメントメーカーです。 最後にレディースの新作です。 左から、アートリエ デイト ダイヤモンド、レクタンギュラー デイト ダイヤモンド、レクタンギュラー デイト2008の3種類です。 レディースの機械式というのは、最近は増えてきたとは言えなかなかどのブランドも種類が少なく、正直機械式に拘ると選択肢がかなり限られるというのが現状です(そもそも機械式に拘る女性が多いとは思えませんが...)。そんな中でも機械式を常に数種類ラインナップに持つオリスは貴重な存在と言えます。どうしてもサイズの小ささやデザインの自由度ではクォーツに勝てませんが、機械式ならではのゼンマイを巻く感覚、細かく運針する秒針、シースルーバックやオープンハートから覗く小気味良いテンプの動き等々、所有欲をくすぐる要素が多分にあります。これからクリスマスもありますので、ぜひ大切な方へのプレゼントに如何でしょうか?^^;) 以上2回に分けてオリスの新作を紹介しましたが、こうしてみると改めてオリスの良心的な部分が見えてきます。外装面では様々な素材や凝った造形・構造を採用したり、ハイスペックな防水機能を持たせたり、ムーブメントに関しても独自のモジュールを搭載するなど、それなりにコストがかかっていそうなことを低価格で実現しています。逆に言えば、他のもっと高額なブランドも企業努力でオリスのようなコストパフォーマンスが実現できるのかもしれません。 今時計業界は、如何に付加価値を付けて価格を上げられるか、ということに執着しすぎているように見受けられます。既に世界的な金融危機で高級ブランドは厳しい状況になってきていると聞きます。個人的にはこれを機につまらない高級ブランドが淘汰されるのであれば、それは大いに歓迎です。クォーツショックの時のような極端な衰退は無いと思いますが、ここ数年の「暴走」に歯止めをかける良いチャンスかもしれません。 まあ、私は良質な機械式時計が安く買えるようになればいい、と思っているだけです^^;)ORIS一覧へ
2008.12.07
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オリスの今年の新作情報です(今更って感じですが・・・^^;)相変わらずモータースポーツ、特にF1との関わりの強さを感じさせるラインナップです。 まずはモータースポーツシリーズから新デザインのウィリアムズF1チームモデル2種類 非常にスポーティーかつ頑強な雰囲気でF1との強い繋がりを感じるデザインです。何気に12、3、6、9時以外のバーインデックスはくり抜かれており、日付と曜日のディスクが隙間から見えることで文字盤に変化を与えています。 今年30周年を迎えたウィリアムズF1チーム。今期11チーム中8位と低迷した同チームですが、過去に113回の優勝と16のワールドチャンピオンシップタイトル獲得という名門チームですから、近い将来必ずや優勝争いに絡むチームになってくれるでしょう。 続いて同じくモータースポーツシリーズからTT3シリーズです。 左からフォーミュラゴールド・リミテッドエディション。これは世界300本限定モデルという非常に少量しか生産されないモデルで、オリスでは珍しい金無垢ケースです。お値段はそれなりに高額ですが、「ウィリアムズ命!」というF1ファンの方には是非とも持って頂きたいモデルです。 次はクロノグラフブラック。その名の通り全身ブラックのクロノグラフ。ケースはブラックのコーティングを施したチタンで、ダイヤルにはカーボンを採用するなど、全身ブラックでありながら各部の素材を生かすことで単色とは思えない立体感があり視認性も悪くなさそうです。 続いてクロノグラフ2ndタイムゾーン。こちらもチタンケースにブラックのコーティングを施したものですが、ゴールドとのコンビにすることでラグジュアリーな雰囲気に仕上がっています。また、第2時間帯表示針の先端や積算計のインデックスに赤を入れることでスポーティさと視認性を向上させています。 最後はグランプリ・リミテッドエディション。2008年のF1グランプリ開催地全18箇所のサーキット名を文字盤に記載したモデルで、18箇所にちなんで世界1800本の限定生産です。今年のF1に思い入れのある方は手にしてみては?中嶋一貴デビュー記念とか。 画像がないのですが、同じくモータースポーツシリーズからクロノリスに新色が追加されました。新色はグリーンで現行オレンジカラーでは排除されていた永久秒針と12時間積算計が付き、更にムーブメントがETA/Valjoux7754になり第2時間帯表示の24時間針まで追加されました。価格も大幅にUPしましたが、全く別の時計と考えるべきでしょう。専用ボックスにドライビンググローブがセットになっています。 次はダイバーズシリーズです。 左から、オレンジカラーのプロフェッショナル・ダイバーズ。現行レギュレーターダイバーズの色違いかと思いきや、直径49mmと大幅にサイズアップしています。防水性能は100気圧(1000m)で変更はありませんが、やはりその大きさはド迫力です。ただしチタンケースのため重量は大きさの割には軽いでしょう。専用ケースは一見の価値あり!? 続いてスモールセコンド・デイト。こちらも47mmというビッグサイズ。カラーは写真のオレンジの他ブルーがあります。上記プロフェッショナルよりは一回り小さいとは言え、こちらはステンレスケースのためかなりの着け応え(?)がありそうです。 そしてダイバーズシリーズとしては恐らく初めてとなるGMTモデル。30気圧防水と、上記2モデルに比べてスペックダウンしていますが、30気圧防水はダイバーズとしては十分な防水性能でしょう。防水性能を下げた替わりにシースルーバックを採用したのはちょっと嬉しいところです。ベゼルは世界の都市名が記載された回転ベゼルで、一般的な24時間表示よりワールドタイムを意識したデザインと言えます。 ざっと紹介しましたが、オリスはハイスペックと低価格を両立させる数少ないメーカーです。今年もコストパフォーマンスに優れた個性的なモデルを出してきています。今回紹介できなかったアヴィエイションやカルチャーシリーズは近々紹介したいと思います。ORIS一覧へ
2008.11.11
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「ダボサ(DAVOSA)」というブランドを良く耳にするようになったのは今年に入ってからのような気がしますが、そもそもどのようなブランドなのか、少し調べてみました(と言ってもネットで拾える程度ですが^^;) スイスに「ハスラー(Hasler)」という小さな時計メーカーがあります。家族経営に毛が生えた程度の規模のようですが、ハスラー家が時計の製造に携わったのが1881年。1917年には高級ブランドの時計組み立てを専門とする「Paul Hasler Terminages d'Horlogerie」社を設立、なかなか品質の高い仕事をしていたらしいです。現在もハスラー銘の懐中時計や腕時計を少量生産しており、ETAの6498や6497、7001、2824などを搭載したリーズナブルでクラシカルな時計で、日本にも少量が輸入されているようです。7001や2824を積んだ腕時計が2万円以下で売られており、私も以前から気になっていました。 話をダボサに戻しますが、ダボサブランドは1993年にハスラーがドイツの代理店「Bohle GmbH」との協力で始めたブランドです。日本では最近ユーロパッションが代理店になったことで耳にする機会が増えたのだと思います。 肝心の時計ですが、ラインナップは多彩でスポーツモデルからクラシカル系に、クロノグラフやGMT、パワリザなどを搭載したモデルで構成されており、デザインも悪くないといった印象です。機械はほぼETAですが、中にはSOPRODなどもあり、興味をそそられるラインナップです。そして価格ですが、中3針が6~7万円、GMTが9~10万円、クロノグラフが13万円前後(全て概略の定価)と、かなりリーズナブルな価格設定です。 ブランドの立ち位置としては、ちょっと前のエポスといったところでしょうか。エポスもリーズナブルとは言え、知名度の上昇に伴って価格もじわじわ上がっており、出始めのころのお得感は薄まってしまいました(といっても時計業界全体から見ればとても良心的な価格ですが)。 しかしエポスと大きく違うのはブランドの歴史でしょう。ダボサブランドとしては1993年誕生でエポスより10年も若いですが、本体のハスラーには100年を越える歴史があり、クォーツショックを生き抜いてスイスの時計産業を支えてきた老舗の一つです。 一見、ぽっと出のファッションブランドかと思ってしまいましたが、どっこい由緒正しいスイスの老舗という、機械式時計ファンの琴線に触れるようなブランドです。 ユーロパッションは「アクアノウティック」「エポス」「オリス」「グリモルディ」「マーティン・ブラウン」「ミューレ・グラスヒュッテ」などを扱っていますが、なかなか目の付け所が鋭いですねぇ~。 ダボサを探すユーロパッションの時計を探すアクアノウティックアントワーヌ・プレジウソエポスオリスグリモルディマーティン・ブラウンミューレ・グラスヒュッテペルレ
2008.10.13
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エポスの2008年新作情報です。(最近仕事が忙しくてココの更新が滞っていますがご容赦を^^;) まずはスポーティヴシリーズの新作3本。(左からRef.3389、3389オープンハート、3389スケルトン 各スペックはこちら) 昨年発売されたクロノグラフモデルRef.3388の3針版です。何れもETA2824のよくある3針自動巻きですが、文字盤のオープンハートや放射状のスケルトナイズがエポスらしい面白いデザインです。またエポスも最近の流行に乗ってブラックを多用していますが、ゴールドと合わせることでラグジュアリーな雰囲気も取り入れようとしているようで、明らかにブラックのみやブラック×SSなどとは雰囲気が異なります(このモデルにもオールブラックやブラック×SSが用意されていますが)。更に秒針の赤が挿し色として全体を引き締めているので、とても精悍に感じます。この「ブラック×ゴールド+赤」は様々なブランドがスポーツモデルに採用しており、既に定番カラーになりつつあります。 価格はラバーベルトモデルで9万円程度、SSブレスレットモデルで10万円を越えています。昔のエポスを知るものにとっては少々残念な価格設定ですが、実売価格は2~3割引きになっているので、まあリーズナブルと言えるのではないでしょうか? 続いてはエモーションシリーズから一挙7モデル!(上段左からRef.3390、3390スケルトン、3391、3392、下段左からRef.3393、3394、3395 各スペックはこちら) 何れも清くクラシカルな意匠に徹しており好感が持てます。写真はSS×白文字盤ですが、GPと黒文字盤があり、組み合わせで4つのカラーパターンが用意されています。文字盤のギョーシェやインデックスなど細かいところがよくデザインされており、全体としてはとてもシンプルに品良くまとまっています。また、サイズは直径41mmと、近年のデカ厚全盛期においてもそれなりに存在感を示しつつも大き過ぎないという、なかなかちょうど良いサイズではないでしょうか?(どうしても一回り小さいサイズが良ければ、旧モデルを探しましょう。探せばまだ見付かるかもしれません) 種類も豊富で、トリプルカレンダームーンフェイズやビッグデイトクロノグラフなどのプチコンプリも揃えられており、カラーバリエーションと併せて選択肢が広いのも魅力です。価格もエポスらしく、なかなかリーズナブルに抑えられています。実売価格ですが、デュポア・デプラ社のトリプルカレンダームーンフェイズを積んだモデルが10万円ちょいくらいですから、かなりのお買い得です。 また、Ref.3390、3390スケルトン、3391の3機種には直径34mmのレディースモデルも用意されているので、ペアウォッチとして購入するというのも十分アリですね。 今年の新作はこの2シリーズのみですが、とても魅力的なモデルを出してきますね~。ところでエポスはETAのムーブメントが殆どですが、2010年以降はどうするんでしょうか?現在スウォッチグループではないエポスにETAから安定してムーブメントが供給されるのか?いきなりマニュファクチュール化!というのも無さそうだし、やはりセリタあたりを併用する、というのが妥当なところでしょうか...(セリタは既に7750の互換機も開発済みらしい)。低価格でがんばっている数少ないブランドですから、こういったブランドが今後も低価格でがんばれる土俵造りを、スイス時計産業全体で考えていって欲しいものです。EPOS一覧へ
2008.09.14
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ハミルトンの新作情報その2はアメリカンクラシックシリーズです。(その1はこちら) まずはジャズマスターシリーズの新作2本。「スケルトン」と「オープンシークレット」です。(左からスケルトン、オープンシークレット 各スペックはこちら) スケルトンは文字通り文字盤側もスケルトンになっており、両面から機械を見て楽しむことができます。機械はETAの自動巻きクロノグラフ2894-2のスケルトン仕様2894-S2で、7750などとは違ってクロノグラフ機構を文字盤側に積んでいるため、シースルーバックからは3針の2892と同じ構造しか見れません。しかしこのモデルは文字盤をスケルトナイズしているのでクロノグラフ機構を見ることができます。但しこの手のモデルにありがちな視認性の悪さは否めず、針が青いことで辛うじて最低限の視認性を確保したという感じ。更に30分積算計と12時間積算計は目盛りがそれぞれ10,20,30分、4,8,12時間しかなく、正確な計測と読み取りは難しいと言えます。そもそも実用性を重視したクロノグラフではないので、スケルトンデザインを楽しむものと割り切りましょう^^;) もう一つのオープンシークレットも、スケルトンほどではないにしろ文字盤の一部がスケルトンになっています。が、こちらは文字盤から機械を見せるという意図は感じられず、デザインの一部にムーブメントの金属をあしらったといった感じです。もっともこちらはETA7750なのでクロノグラフ機構はシースルーバックからしっかり見ることができます。 つづいて新シリーズ「US66」の2本。「パワーリザーブ」と「スモールセコンド」です。(左からパワーリザーブ、スモールセコンド 各スペックはこちら) US66とは1926年に全米初の国道として創設された「ルート66」のことで、シカゴとカリフォルニア州サンタモニカを結ぶ全長3,775キロメートルのハイウエイは、アメリカ南西部の経済・産業の発展に大きく寄与し、廃線となった現在もアメリカンドリームを象徴する名称として企業名、音楽などにも多く登場しています。 1968年に発売された“フォンテーヌ・ブロー”のオーバルケースを再現した特徴あるケースデザインで、文字盤中央部の「網」は車のフロントグリルをイメージしています。12時位置の竜頭や車のインパネを思わせる文字盤デザインなど、アメリカ生まれのハミルトンらしいモデルです。横幅約50mm(スモールセコンドは44mm)の特大ケースは強烈なインパクトがあります。どちらも世界2008本の限定モデルなので、気になった方はお早めに。 今年も大胆なデザインで我々の目を楽しませてくれたハミルトン。じわじわ値上がりしているのは気になりますが、他社に比べればまだまだかなりの高コストパフォーマンスです。HAMILTON一覧へ
2008.08.25
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2008年のハミルトンは、またインパクトのある新作を投入してきましたね。 まずはミリタリー担当の「カーキ」シリーズの新作です。 カーキネイビーに新シリーズ「BeLOWゼロ」が登場です。(左からBeLOWZERO1000、BeLOWZEROオート、BeLOWZEROオートクロノ 各スペックはこちら) 様々な航海用計器や水中時計をアメリカ海軍などに向けて開発・供給していたハミルトンらしいミリタリーテイストたっぷりのダイバーズです。中でもフラッグシップと言えるBeLOWZERO1000は1000m防水というハイスペックで、ヘリウムガス排出バルブを装備し飽和潜水に対応した本格的なプロユースのダイバーズです。しかも10万円台という戦略的な価格がさらに魅力的に感じさせます。 オートとオートクロノは防水性能が200mにスペックダウン(200mでも十分な防水性能ですが)されていますが、その代わり(?)シースルーバックにっており、機械が見たいと言う機械式時計ファンにはこちらの方がありがたいかもですね(^^;) 同じくカーキネイビーから、人気のGMTの新デザインです。(スペックはこちら) 文字盤のデザインが変ったことは言うまでもありませんが、ケース本体からベゼルが独立したデザインになり、以前はベゼル部とラグに段差が無くツルンと同じ面で構成されていたため、なんとなくのっぺりした印象でしたが、ベゼルが独立したことでメリハリの利いたシャープな雰囲気になりました。インナー回転ベゼルの窓には世界の8大ショッピングストリート名が表示できることや金メッキモデルが追加されたことなどから、今までのミリタリー色が薄まりファッション性を強調したものになっています。 カーキフィールドシリーズにはメカオフィサーの自動巻き版「オフィサー オート」が追加されました。(スペックはこちら) ハミルトンの定番らしいオーソドックスなデザインで、写真のセンターセコンド(ETA2824-2搭載)の他ETA2895-2を搭載したスモールセコンドモデルもあります。デザインはオーソドックスながら、直径44mmのサイズは存在感たっぷりです。 続いて「カーキX-コプター」(多分クロス-コプターと読みます)(スペックはこちら) 既におなじみの「X-ウインド」「GMTエアレース」あたりの流れを汲むアヴィエイションウォッチで、今回はヘリコプターがテーマになっています。秒針がプロペラ型だったり、12時間積算計がヘリポートを意味する「H」だったり、シースルーバックの窓がこれまたプロペラ型だったりと、デザインの面白さはまさしくハミルトン流。機能面でも、最大離陸重量(M.T.O.W)の記録や、摂氏と華氏の換算目盛りを搭載するなど、これまたハミルトンらしい斬新な発想でとても面白いクロノグラフになっています。価格もかなりリーズナブルです。 最後は「コード・ブレイカー」シリーズ。(左からオートクロノ、オート 各スペックはこちら) ベンチュラやX-01を見れば、ハミルトンがいかに独創的なデザインを世に送り出してきたかが分りますが、この「コード・ブレイカー」もまた、良くも悪くもハミルトンのデザイン力のすごさが表れています。クロノに至っては幅48.5mm!という特大サイズでこの長方形の形。もはや中身がETAの○○だとか、ケース素材がなんだとか、そんなことは一切関係ない!と思わされるほどのインパクトがあります。こんな時計作れるのは、はっぱりハミルトン以外にはなかなか考えられません。 アメリカンクラシックシリーズはまた次の機会に紹介します~HAMILTON一覧へ
2008.08.17
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