図書館で借りた本。
いろんな意味でとっても刺激を受けた。
フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳―いま、この世界の片隅で 林 典子著
著者の林典子さんは、1983年生まれ。アメリカのペンシルバニア州の大学に留学して国際政治学と紛争学を専攻していた大学3年の2006年に、西アフリカ・ガンビア共和国の新聞社で写真を撮り始める。
ガンビアに行ったのは、たまたま大学の掲示板にあった研修参加者募集の貼り紙を見たことから。
現地で暮らしながらこの国をじっくりと見てみたいと、2週間の研修終了後一人だけ2か月帰国を遅らせてもらうように教授に頼んだそう。
飛び込みで頼み込み、新聞社「The Point Newspaper」で写真スタッフとして働くことになる。
それまで取材や記事原稿を書いた経験もなく、当時は持っていたニコンのカメラFM3のフィルム交換の仕方もよくわからなかったという。
独裁政権下にあり報道規制が厳しいガンビアで、命をかけて書きたいことを守ろうとする記者の姿に打たれて、彼女はフォトジャーナリストの道を歩み始める。
主な6か国での取材の経緯が丁寧に綴られ、悩みながら成長していく歩みも感じられるのがとても興味深い。
「報道の自由がない国で―ガンビア」
「難民と内戦の爪痕―リベリア」
「HIVと共に生きる―カンボジア」
「硫酸に顔を焼かれた女性たち―パキスタン」
「震災と原発―日本」
「誘拐結婚―キルギス」
初めて自分の取材として訪れたリベリアでの写真を、帰国後いろんな人に見てもらった際のコメントが、あとがきに書かれている。
「これは個人的な旅の思い出の記念写真のレベル。被写体が撮影者の存在を意識していない時の表情を見てみたかった」
「状況が不安定な地域へ行ったという証拠写真のような写真なんて撮りやすい。大切なのは撮影者が単にその場所に居たということではなく、そこで起きていることを、どう写真に切り取るかということだ」
フリーランスで活動していく中で、「写真を撮らない時間」の大切さを学んでいく。
パキスタンでは、結婚や交際を拒否したり、浮気の疑いをかけられたりした女性が、名誉を傷つけられたとする男や近親者から報復として顔に硫酸をかけられる事件が後を絶たないという。
硫酸被害者たちを支援するシェルターで出会った女性たちは、みんな強い。強くならなければ生きていけないんだろうけど。筆者に撮るならしっかりとした写真をちゃんと撮るのよと励ましているようにも見える。
カンボジアのシュムリアップでHIVと共に生きるボンヘイ少年の今後を私も見守りたくなった。
OnAsia Photojournalism contest 2010奨励賞(「パキスタン硫酸被害者の女性たち」)
第7回名取洋之助写真賞(「硫酸に焼かれた人生~ナイラとセイダの物語」)
DAYS国際フォトジャーナリズム大賞1位(2012年「東日本大震災-混沌と静寂」)&3位(2013年「キルギスの花嫁誘拐」)
2013年フランス世界報道写真祭Visa pour l'Image 報道写真特集部門金賞(「キルギスの誘拐結婚」)
2014年全米報道写真家協会(NPPA)「フォトジャーナリズム大賞」現代社会問題組写真部門1位(「キルギスの誘拐結婚」)など
国内外で数々の賞を受賞し高い評価を得てはる。
Webナショジオ・インタビュー 林典子
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