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ぼんやりとした空白の時間に何時の間にか
”好きだった”の歌の歌詞が蘇る。
”泣きじゃくる肩の震えをぬくもりを♪”
そんな”恋?”を1度だけ覚えてるけど。
それも誤診による薬の投与による副作用による幻の恋。
はじめから間の抜けた夢のような時間綴り。
真冬の雪と寒い病棟と隣り合わせの死と生と。
絶対に好きにはならないと想っていた鼻を持つ20才の娘と
7つ年上の誤診で寝たきりにされた男がこころ通じた。
彼女はみちのくの中でももっとも雪深い土地の生まれで。
5人姉妹の3番目で暗くていつもおどおどしていた。
罪深い少女のように。
そんな2人の仲へ5人姉妹の長女と言う女性が現れた。
遠野物語のある所から来ていた女性。
3女は色浅黒く声が小さく背も低かった。
鼻はいわゆる鷲鼻と言うかたちで(1番好まないかたちだったが)。
長女は色白で背の高い明るい娘だった。
3女はAB型で長女はA型でした。
何故、美人の方の長女より”あの人は危ないからやめた方が
いいわ”って言う忠告を無視して好きになってしまったのか、
やはり、暗くって裏切りの匂いのする少女の瞳に魅せられたとしか
いいようがないのだが。
子供の頃の風景にある1つの絵。
並んで登校する都会の少年少女に憧れた。
美少年、美少女だった。
惨めに無視され振り向きすらも与えられない田舎の子供。
少女の靴が記憶に残って消えない。
そう言う残酷性を占めた魔少女に出会ったあの冬。
天女より魔女の方に何故か深く傾斜する心。
その恋も時間が決められていて春には必ず別離がやって来る。
すべてが終わって1人残された部屋で生まれて初めての
深淵をのぞくような孤独と淡い5月の虚空に絶望を見た。
狂うかもというこころのあやうさを感じたあの5月。
今は、面影すらも消え去り何もないがあのときの時間の
軌跡がなにもない時間に出会うたび軋みだすのだ。
これは一体何なのだろうかといつも想う。
恋と言うものの思い出なのか、それとも失敗の苦い記憶なのか
薬が描いた恋と言うものに傷付けられたプライドなのだろうか。
一番深く傷付いているのは、罪なくして獄舎に入れられた死刑囚のような
身動きが取れない、翼をもがれた鳥のように自由を奪われ
人生でもっとも充実すべき時を消去された無念さであろうか。
物語の”岩窟王”よりは短いだろうと想っていたが、事実は
それより長いものだった。