確か先週の日経だったと思うのですが、私の大好きな小泉武夫先生が、亡くなった元帝国ホテルシェフの料理長である村上信夫の思い出として、彼が焼きを入れたフライパンを貰ったという話が書かれていました。全く別のところで、村上氏は娘の嫁入り道具の中にも自分がメンテナンスしたフライパンを入れたという話を聞いたことがありますので、たまにこういう事をする人だったのかもしれません。何と羨ましい話。
で、ちょっと引っかかったのはここからで、小泉先生はそのフライパンを思い出の品として、自分の書斎の壁に飾ってあるそうなのです。私が先生の立場なら、ガンガン使いますねえ。こういう道具は使ってこそその真価が発揮できると思います。無論、絶対に村上氏が使うほど上手くは使えませんが、それでもいいじゃないかと思います。自分が死んだ後、近しい人に渡したフライパンが毎日のように台所で使われるなんて、私なら嬉しさの極みです。すくなくとも、そのフライパンが書斎の壁にかかっているよりは。
小泉先生が、そのフライパンを壁にかけて思い出としている、その気持ちも分からなくはありません。ありませんが、やはりなんといっても、使ってこその道具だと思います。