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2009.03.30
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カテゴリ: 日常の事
 
 
  2005年11月3日の日記を再度、掲載します。 
 


この頃はCD「沖縄の魂の行方」を制作していて七転八倒している
  頃でした。 
 


   ***************



頭の中がCDのことしか考えられない状態が続いているので、脳を

リフレッシュするためにも全く違うことを少し。

僕が今、仕事をしているところに一人、物凄い男がいる。

廻りから 『馬鹿が服着て歩いている』 『天下一馬鹿の会会長』 と言

われているのだが、全く異論のない凄い男。



中学を卒業してすぐに職人の世界に入り、現在38才だが離婚して子供が一人いる。

この男の凄さは毎日深夜2~3時頃まで酒を飲み、翌日6時半には現場に現れるのだがその酔い方が半端ではない。

二日酔いではなく、今現在超へべれけ。ING。ぷんぷん匂う。足はふらふら。ろれつが回らない。打ち合わせが出来ない。周りに聞くと多分15年間くらいこんな感じだという。
よく起きて来られるもんだと感心するが、週に一回は無断欠勤をする。


何度も自ら辞め、他所へ行っては一日でクビになり、1,2ヶ月で戻ってくる。これを何年も繰り返しているらしい。
もう明日から来なくていいっ!と言われるのを察知して翌日から突然来なくなるので本人曰く
「俺はよぉ、これでも一回もクビにはなったことがないんだぜぇ」

何度も受け入れる方はとっくにうんざりしているのだが自分たち以外、世界のどこにもこの男を受け入れるところはないからと、大人の対応だ。この辺り、黒澤明の「どですかでん」或いは開高健の「日本三文オペラ」の世界。

当然午前中は全く仕事にならない。
昼食は気持ち悪くて食べられないので、一人壁にもたれて「ピルクル」をチューチューすすっている。

DJを目指している22歳の男が言った。
『なんか弱った虫が木の汁を吸っているみたいで、最高に面白いっすね。死ぬんじゃないすか、そろそろ(笑)』。


それを聞いて生き絶え絶えに『死にてぇよお~』。
まともに食事をとらないので体重も40数kg。ガリガリ。ホントにいつ死んでもおかしくない。

午後からやっとまともに仕事復帰。なかなかやる。
段取りが異常に早く、別人かと思うほどだ。


『俺よぉ、午後からの出勤っつうことにしてくれりゃよぉ、やるヤツだよね。な?』。 違うね。だって時折午後3時、4時までろれつが回ってないことがあるもの。

仕事が終わると50CCのバイクでいつものところへ直行。
あるときその途中でお巡りさんに停められ、免許証を拝見となったのだが、差し出された免許を見てそのお巡りさん絶句して言った。

『なんだこりゃあ!』

 『あぁ~?? 見りゃあ分かんだろうよ。免許だよ。免許のカラーコピーだよ』

『お前ねえ、こういうの何ていうか知ってるか?公文書偽造って言うんだよ、公文書偽造!』

 『何てぇ~??そんなムツカシイ言葉、オレ聞いた時ねえや!だってよぉ、酔っ払って何回も再交付してっからよお、もう本物は持つの止めたんだ。5回も再交付してっからよぉ!』。

腰砕けになったお巡りさんは 『俺はなあ、お前のような馬鹿と話しするために警察学校行って警官になったんじゃないんだ。もういい、あっち行け!行け!』

と無罪放免となったらしい。翌日彼が 『いやーホント、良い奴だったぜぇ、切符切らなかったんだからよぉ。あいつは良いお巡りだよ。』

よっぽど悲しかったんだろうなあ、お廻りさん。苦学してたのかな?

で、無罪放免になった彼が向かった先はいつもの所。
ここがまた凄い所。
飲み屋ではなく、70才過ぎのお婆さん一人暮らしの借家。

通称猫屋敷。

不動産屋は更地にして駐車場にしたいのだがその年で立ち退かせるわけにもいかず、お婆さんが死ぬのを待っているんだと彼は言う。現にその家の周りはぐるりと駐車場。駐車場の真ん中にポッカリ一軒だけある。


一度だけ怖いもの見たさで覗いたが強烈な臭いに目が痛くなった。

そこへなんと連日連夜7~8人が仕事が終わり次第風呂にも入らず、家にも帰らず酒を担いで集まり深夜まで飲み会をしているのだという。
毎日だ。しかも何年も。

どこでそのお婆さんと知り合ったかと聞くと、居酒屋だという。
何年か前にいつも行く居酒屋で、一人で飲んでいるお婆さんに声を掛け友達になり、それからは、猫屋敷が彼らの居酒屋になったのだ。

それにしても70才を過ぎて毎日一人で居酒屋に来るお婆さんの人生も凄まじいものがある。

その猫屋敷の玄関前に車椅子が置いてあるので、足が不自由なのかと聞くと 、『あー、あれはオレが買ってやったんだよ。だってよぉ~、松葉杖で飲みに来るからよぉ、これで来いやあ』 と買ってあげたんだそうだ。

『良いところがあるじゃないか!馬鹿のくせに』と褒めると 『えへへへえー』 と喜んでいた。

 そのお婆さんの入れ歯がコップに入っていて、それを知らずに焼酎を入れて飲んでしまい、慌てて入れ歯ごと表に吐き出してお婆さんの怒りを買い、暫く出入り禁止になったり、酒瓶で頭を割られ包帯ぐるぐる巻きで現場に現れたりと、まだまだ面白い話は一杯あるが、疲れた。終~わり。 さ、CD、CD。リフレッシュどころか疲れた。「沖縄の魂の行方」HP見てね!


        ***************

この馬鹿が死んだと、今日連絡がありました。

上の日記を書いたのが2005年。
あれからも、病院に担ぎ込まれて入院している最中に逃げ出し、酒を飲みにいきまた倒れるということを数回繰り返していました。

すっかり顔なじみなったドクターに 「君ねぇ~。もう来なくて良いよ。酒を止める気はないんだろう?」 と言われ、

「えへへぇ~。医者がよぉ、飲みたいだけ飲めってよぉ!医者、公認公認」 と笑ってた。

去年末に電話があり 「チネンチャンよぉ~。オレ、また戻ったんだぜぇ~。スゲェだろう。でも、今度はちゃんとやるよ。」

「もうさんざん言ったからゴチャゴチャ言わないけど、次こそ死ぬぞ! いきなり酒を断つのは難しいだろうけど、せめて飯食ってから飲め!」



破滅的な生き方しか出来ない人間がいる。

これはもう、業なのだろう。

かつての落語家にも多くいた。

43歳という早死にでご両親には親不孝した。

でも、あの、車椅子を買ってあげたお婆さんにはお前は良いことをしたよ!

助よぉ、助さんよぉ。

お前が生きていた事を今、皆に伝えたよ。



あの世でしこたま飲め!!!







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最終更新日  2009.03.30 23:16:03
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