朝、妻が騒いでいる。「炊飯器の蓋が開いていた」と悲しげな表情で私の前に皿を突き出した。そこには、お釜の形をした米3合分の立派なおこげが、まるでスポンジケーキのように丸皿の上に乗っていた。クリスマス前だからといって意図して作ったわけではない。炊飯器の蓋が開いた状態で加熱されてしまった結果、水が蒸発して米を焼いてしまったわけである。我が家の炊飯器は強く蓋を押さえつけるように閉じないと、しっかり閉じてくれない。注意を払って蓋をしないと、一見閉じているようにみえるのだが、隙あらば開こうとする。中途半端に蓋をして米を炊こうものなら、自慢の圧力でいとも簡単に蓋を開けてしうのだ。朝起きたときに炊き立ての御飯が食べられるようにと、タイマーで自動的にスイッチが入るので皆が起きる時間には立派なおこげの出来上がりとなる。初めちょろちょろ中ぱっぱどころではない。一直線におこげが生成される。
さて、そのおこげであるが、沸騰したお湯の中に出汁をいれて刻んだ葱と白菜そして鶏肉をいれ少し煮込む。最後に特性おこげを食べやすい大きさに割っていれて塩と醤油、酒で味を整えると「和風おこげリゾット」の出来上がり。案外いける味である。