すぃ工作室
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この小説をはじめて読んだ夜、眠れなかった。ぐいぐいと物語に引き込まれてしまい、止まらなくなった。こんな本は、ひさしぶりだった。そして、読んだ日から、ちょっっとだけ、何かが変わった気がする。なんなんだろう・・・あれは。そんな『食堂かたつむり』が東宝で映画になると聞いた時、驚いた。じわりじわりと人気が広がって、映画化につながったんだろう。主演は柴咲コウさん。おっぱい山の麓に住む住人は、豚のエルメスを筆頭!に余貴美子さん ブラザートムさん 三浦友和さん 江波杏子さん…あの物語の中から抜け出してきたような、小川糸さんの言葉にぴったりの面々。そして‘食堂’の要である料理の担当は、オカズデザインさん。こんなすてきなキャスト&スタッフで、あの物語が映像になるなんて。しあわせな連鎖だなぁ。そして、さらに幸運なことに・・・その映画の中で、うちのお米が、スクリーンデビューしたのです。映画完成試写会、ふわふわ&そわそわした気持ちで席に着いた。スクリーンの中で、ピッカピカに炊きあがったお米が、笑ってるように見えた。しあわせなお米だなぁ。そして、物語が終わり、音楽に浸りながら ほんわかした気持ちでエンドロールを見ていたら…「山崎さんちのお米」という名前を発見!!! おーーー。 すごーーーい。目眩がするほど暑い日も ひたすら草むしりして、台風が来たら神頼みして・・・コツコツお世話して育てたお米が、こうして、いろんな人に、場所に、出逢わせてくれる。なんだか、手の中が、ぼぉ~っとあたたかくなる感じ。米づくりを続けてきて、ほんとうによかったと思う瞬間です。 よい知らせは続くもので、映画の公開に先立って、「食堂かたつむりの料理」 という本が出版されました。小川糸さんとオカズデザインさんによるレシピ。1ページめくるたび、文字と料理の美しさにうっとりします。そして、小説の中の情景を思い出す。料理とともにトリップ。 瞬時に 小説の中の匂いに浸る。さらに、もう一冊。「豚ごはん」 という なんとも渋いタイトルの オカズさんの本も出版されました。手をかけ、心をかけ、時間をかけた おいしい豚料理の数々・・・ココロをこめてつくりたくなる、レシピ。 香ばしいにおいがして、おなかがぐぅ~っと鳴ってしまうような写真。オカズさんの手のうち&知識をこんなにおしげもなく披露してしまっていいのか・・・と思ってしまうほど、充実の内容。料理を本気で作りたくなる本。 ガツンときます。こうやって、真剣に食を愛する人や本に出会うと、いろんな刺激を受ける。‘食べることは生きること’って、確かだ。 そして、ふと 自分のとなりをみると…ちっちゃな手で、食べものをわしづかみして、夢中でむしゃむしゃ食べてる二歳児がいる。そう、こうやって、人は生きるんだな。私も、この子や旦那に、おいしいものを いっぱい作って、めいっぱい生きてもらうんだ。シンプルでいいから、たった一皿のなかに、生きる希望みたいなのが、ぎゅっと詰まった料理…そういう ‘ごちそう’ が、いつか作れるといいなぁ。
2010.01.25
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