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パリのリヨン駅構内にあるレストラン「 ル・トラン・ブルー 」。絢爛豪華な内装で有名で、映画『ニキータ』や『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』 にも出てくる。
「内装は一見の価値ありだが、料理はマズい」が日本での固定評。それでも今回は南仏からパリに戻ってきた夜、ディナーを食べに行ってみた。
予約しなくても余裕で入れる。席はいったいいくつあるのか・・・ とにかく広い。お客さんはほとんど外国人観光客で、めかしこんだ人が多い。
テーブルとテーブルの距離がやたら狭く、とにかくどんどん客を詰め込むぞという意思を明確に示している。
ガラスの向こうはホーム。南仏行きのTGVはここから出る。
隣りに座っていたのは、ドイツ人の見るからに上流階級の家族。ここだけ急にヴィスコンティの『ベニスに死す』の時代になったようで、デジカメをパチパチやるのは非常にはばかられた。なので、こっそり写す・・・ といっても隣りのドイツ上流夫人とは目があってしまい、ニッコリとご挨拶。
どうせだから話しかければよかったかな・・・ 日本人がドイツ語を話すと、案外めずらしがられて話が弾むのだが(話が弾みだすと困る・・・ ドイツ語はかなり忘れているので・笑)。
連れているローティーンのお嬢様は2人は超ウルトラ美形で、なんとまあモノを食うというのに、薄手で大判のスカーフを胸のところにきれいにドレープをつけて巻いている。
スンゲー、お洒落・・・ よっぽど綺麗に食べる自信がなくては無理だ。
おまけにドイツ上流夫人もその旦那さんも、ウエイター相手には、ちゃんとフランス語を話している。
と、通路のほうを見ると、これまたモダンなドレスに身を包んだスタイル抜群の黒人女性がさっそうと(たぶんトイレに)歩いていった。
南仏はバカンス客が多かったので、ミシュランの星つきレストランといえど、案外カジュアルな服装の人が多かったのだが、さすが花の都・パリ。ここまで気合を入れてめかしこんだおのぼりさんが集結するレストランがあるとは・・・
しかし、天井の装飾のゴテゴテぶりは、聞きしに勝る。
フレスコ画もギリシア神話の女神みたいなモチーフから、旅情を誘う(?)南仏の海から、本当にごちゃごちゃのめちゃくちゃ・・・
壁も天井も柱も装飾しつくされている。空白が怖いんですかね? ここまで来ると一種の神経症だ。
とは言え、思ったより装飾品は埃っぽく、壁の絵は色もくすんで、レストランの大空間は暗かった。ウェブサイトでは、キンキラ金のイメージなのに、案外ゴールド感がないのだ。イメージ写真とずいぶん違う。バリ島のホテル並みだ。これじゃ一種のダマシでは?
しかし、なんざんしょ、このド派手なシャンデリアは・・・
隅々まで行き届いた貴族風成金趣味に呆れてしまった。
料理は期待しないほうがいいと言われていたので、ハズレの少なそうなものを頼むことに。
まずは、イタリアンなら何とか食べられるであろうMizumizu母のためにフェットチーネ。
テーブルの上に置かれたとたんに食欲減退。これまでに見た幾多のパスタ料理の盛り付けの中でも栄えあるワーストワンを進呈したい。
Mizumizu母は、一口食べて顔をしかめる。
「味がない」
パリのパスタ料理は味をつけないのか?? 塩をかけたら、多少味がついた(塩の)。しかも、驚いたことに、このフェットチーネはちゃんと手打ち(つまり自家製)のようなのだ。
自家製パスタでここまでマズイものを作れるとは・・・ さすがフランス人、芸術的です。
同じくハズレが少ないであろう、ホワイトアスパラを頼んだMizumizuだったのだが・・・
これまた運ばれてきたとたん、「失敗」の二文字が目の前に浮かんだ。
茹ですぎなのか、単に古いのか、アスパラに張りがなく、色も悪い。さらにマヨネーズ風ソースが最悪。
「味がない」
またも、塩をかけて塩味で食べるMizumizu。これならキューピーマヨネーズのほうが断然ウマイわ。ちゃんと自家製で作ってるフレッシュなマヨネーズに見えるのだが、ここまでボンヤリした味って、シェフは味覚異常なのか?
これまた生涯最悪のホワイトアスパラの称号を進呈。
東京の ツム・アインホルンのホワイトアスパラ は、これに比べるとなんと美味しいことか。ソースの深く上品な味わいは職人技だ。
隣のドイツ上流家族もホワイトアスパラを食べていた。これじゃ、ドイツで食べたほうがマシなんじゃ・・・?
もうこれ以上、ここの料理は口に入れたくないので、「もう終わり? カフェは?」と、なんとか飲み物をオーダーさせようとするギャルソンを押し切って、支払いを終え、さっさと退場した。しかし、不思議なことに、ウエイターの態度は悪くなかったのだ。
これだけ食べただけで、カードで回ってきた請求額は6,600円。
たけーよ。
「値段は高めなのでコースがオトク」などと宣伝しているサイトも多いが、パスタとアスパラでここまで芸術的にマズイんじゃ、コースにしたらどうなるのか想像もしたくない。
バーがあるので、コーヒー一杯にしておいたほうが無難です。バーといっても、広いレストラン内のわりあい中央にカウンターテーブルがあってそこで飲むので、内装は十分に堪能できるはず。
しかし、ご自慢の内装も・・・ もうちょっと掃除したらどうなんだろう。ここまでゴテゴテじゃ、埃を払うのも難しいのか。
お客に日本人がいないのも頷ける。こういうおのぼりさん相手で高いばかりの店をありがたがる時代は日本では終わっている。客にドイツ人・アメリカ人が多いというのも・・・この味じゃさもありなん。
『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』 では、ここでMr.ビーンが口に入れた生牡蠣を吐き出したりする、見ようによっては相当に失礼な場面がある。魚介が苦手なのに、フランス語がよくわからず頼んでしまい困ったので、食べるふりをしてこっそり口から出して捨てている・・・ というふうに映画を見たときは解釈したのだが、もしかしてアレ、このレストランの料理が食えんほどマズいってことを暗に皮肉ったのか? レストランの外に出たときは、そんな気さえしてきたのだった。
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