MEGAは遺伝子の情報を元にその生物がどのように生まれ進化していったのかなどを分析できる。田村教授が93年に初版を開発し公開した。その後も改良を続け、簡単な操作で多彩な分析ができる機能が世界の研究者に評価され、広く使われている。
11年に発表した論文の引用回数は3万4千回以上にのぼり、世界でみても10位に入る。解析ソフトの分野は日本の研究が弱いといわれているなかで大健闘している。
2位は名城大学の飯島澄男終身教授が発見した炭素材料「カーボンナノチューブ」の論文だ。90年代に世界で盛り上がったナノテクノロジー(超微細技術)研究の火付け役でもある。容量の大きいリチウムイオン電池の電極材料や低消費電力の電子素子などへの応用が期待され、引用回数は3万回を超えた。世界で14位だった。
トヨタ自動車 グループの研究会社、豊田中央研究所(愛知県長久手市)の人工光合成の論文や、京大の金久実特任教授らによる生命情報データベース開発に関する論文などが続いた。
今回の調査では、国際共著論文の重要性が高まっている動向もうかがえた。上位50本のうち複数の国の研究者が執筆者になっている論文の割合は、平成最初の10年間で3割だったが、最後の10年間で8割になった。国際共著論文は引用回数の増加につながりやすいとされる。海外の研究者と協力して活躍できる人材の育成は不可欠だ。
日本の論文全体で引用された回数は、平成の約30年間でみると世界で米英独に次ぐ4位だった。クラリベイトによると近年、日本の論文の発表件数や引用回数は世界で順位を下げ、中国が大きく躍進してきた。
今回のランキングで上位に入った研究も、源流をたどると高度経済成長期に入った日本が科学技術力の強化も唱えた昭和時代の後期に始まったテーマが多い。欧米に追い付こうと研究費を増やし、科学者の発想を生かし比較的自由に研究できる環境があった。
世界各国がイノベーションの創出を競う時代に入り、日本でも政府が組織するプロジェクト型の研究に資金を重点的に投じる傾向が強い。短期的に成果を求めがちで、優れた研究を生む土壌は乏しくなった。存在感の低下に歯止めをかけられるのか。令和時代の日本の大きな課題だ。
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44632930Q9A510C1TJM000/?n_cid=DSTPCS001
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