『カラスの親指』
“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。
ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。
戸惑う二人。
やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。
失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、
彼らが企てた大計画とは。
「お金のありそうな人」をちょっくら騙くらかして小金を稼いでいる、
2人の詐欺師のオヤジ。
もちろん彼らも最初から詐欺師だったワケではなく、
真面目に働いていたのに、運が悪かったせいで転落の人生をたどり。
ヤミ金に脅される毎日に嫌気が差し、なんなら自分も騙してやろう!
という、似たような境遇のオヤジ2人組だけれども、
ヤミ金との関わり方は、全く正反対だったのだ。
過去のことなんてお互い追求せず、しがないオヤジ2人で詐欺を働き、
ひっそりと暮らしていたのに、なぜか、過去の傷が疼き始める。
過去にしでかしたとんでもないことの追っ手を巻くために、
他人の戸籍で暮らしているのに、この頃追われているような気がする。
そこに飛び込んできた、赤の他人の少女。
その姉と彼氏まで2人のボロ家に転がり込んできて、さぁどうなる!?
詐欺師に騙されているのか、作者に騙されているのか…。
まぁ作中の詐欺師の手口を考えるのは作者なのだから、
物書きってのもとんでもない詐欺師なのかも(笑)。
赤の見知らぬ他人だと思っていた姉妹にも、実は深い因縁があって。
その姉妹との因縁、過去に起こした事件、過去の傷、そんなもの全てを、
一掃しようと思いついた、大詐欺とは!
いやもうハラハラドキドキというか、その巧みさ複雑さに、
そう来ましたか!という爽快感。
そして、騙されると分かってても、騙される(笑)。
でもそういうの、嫌いじゃない。
一体何が隠されてるの?一体誰が犯人なの?
と推理しながら読むというよりは、騙されることを前提で、というか、
物語の登場人物並みに(笑)その物語にガッツリのめり込み、
うっそ!?と種明かしをされて驚く方が好きかも(笑)。
そんな興奮を軽く味わえた、一冊でした。
ちなみに「カラス」とは、玄人の詐欺師のこと。
親指とはお父さんのこと。
他の指も役割がそれぞれあって、なんて話にはホロリときました。
メイキング・オブ・マッドマックス 怒り… 2015.07.24
『家族の言い訳』 著:森浩美 2015.02.07
『あなたに褒められたくて』 著:高倉健 2015.02.05
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