『悪人』
保険外交員女性・石橋佳乃が土木作業員・清水祐一に殺された。
清水は再び別の女性・馬込光代を連れ、逃避行をする。
なぜ、事件が起きたのか?
事件当初、容疑者は裕福な大学生・増尾圭吾だったが、
拘束された増尾の供述と新たな証言者から、容疑の焦点は、
清水に絞られる事になる。
なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?
そして、悪人とはいったい誰なのか?
映画の予告が気になった、というより、福岡弁が気になったので、
読んでみました。
悪人 公式サイト
でも映画は観るかは、分からないけど(爆)。
「大切な人がおるね?」
「その人の幸せな様子を思うだけで、自分まで嬉しくなってくるような人たい」
「おらん人が多すぎるよ」
「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。
大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。
自分は失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。
失うものもなければ、欲しいものもない。
だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、
欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。
そうじゃなかとよ」
やっぱよかねぇ、福岡弁は。
舞台も福岡が多く出てきて、実際になじみがあるわけではないけれど、
よく耳にすることが多い場所だったりで、親近感。
だからか、物語の中のお話が、すごく身近な出来事のように思えて。
とある若い女が、出会い系サイトで出会った男に殺された。
それだけで、なんだか昨今よくありがちな事件。
しかし、一人ずつの背景や心情が明らかになるたびに、複雑さを増し、
単なる発作的な殺人事件ではない、もっと深い心の闇が明らかになる。
出会い系サイトで出会った2人も、お互いに何かが足りなくて、
お互いに何かを欲していて。
両親にも愛され、何不自由なく満たされていたはずの女。
そんな女がなぜ出会い系サイトに嵌り、殺害されるまでに至ったのか。
男は、何を求めて出会いサイトに嵌り、女たちと会っていたのか。
もちろん、ただヤりたいだけだった、のかもしれない。
(実際女たちは、「それだけは上手」と言っている)
しかし、親にもロクに愛されたことのない無口で不器用な男はきっと、
そうすることでしか、愛情を表現することができなかったのだろう。
誰かのぬくもりを欲しいと思う時もある。
なんて男に同情気味なのは、映画の役が妻夫木くんだからか(爆)。
実際に小説に描かれる男も、顔は悪くない。
そんな男の心を弄ぶ女。
そんな女の虚栄心を知り、捨てたもう一人の男。
そして、逃げる男を愛する女。
愛するがゆえに、自首しようとする男を引きとめ共に逃げようとする。
その女もまた、何を欲していたのか…。
一番の悪人は、誰…?
見も知らぬ相手と知り合った女…?
殺意はなくとも、殺してしまったの男…?
殺してはいないけれど、弄び捨てたもう一人の男…?
もしかしたら、自分のエゴで自首しようとした男を引き止めた、
女も悪人…?
重くて悲しくて切なくて深い物語。
それは誰の心にも、共感するものがあるからかもしれない。
ただ、幸せになりたかっただけなのに…という。
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