21. Weingut Von Othegraven
午後はとりあえず、カンツェムのフォン・オテグラーフェン醸造所に向かおうとしたのだが、ヴィルティンガー・クップの麓の坂道を上っている途中で、かなり大回りして行かなければならないことに気がついた。本当はヴィルティンゲンの手前で川を渡らずに、ザール川の対岸を走れば、なんなくカンツェムに到達出来た筈なのだが、気づくのが遅れた。
ヴィルティンガー・ヘレの畑からカンツェマー・アルテンベルクの畑へ抜ける農道は昔何度も歩いたことがあり、トラクターなら確実に行けることはわかっていた。だがレンタカーではどうか一抹の不安は残ったが、とりあえず行ってみると、なんなくカンツェムの村を見下ろす場所に出た。トリーアに住んでいた頃、一体何度ここからこの景色を眺めたことだろう。 5 月上旬の展葉の頃、畝一面に咲いたたんぽぽの、心なごむ光景。収穫の季節はもちろん、晩秋の紅葉もとても美しい。
フォン・オテグラーフェン醸造所には、ファルツのフリードリヒ・ベッカーと、隣村のファン・フォルクセンがゲスト参加していた。オープンカーで訪れる人が多く、緑の多い邸にセレブな雰囲気が漂っていた。
オーナーのハイディ・ケーゲルさんが亡くなって、
2011
年にケーゲルさんの甥っ子にあたる、テレビのクイズ番組「クイズ$ミリオネア」のドイツ版司会者のグンター・ヤオホがオーナーになり、一般にも広く知られるようになった醸造所だが、ワインの品質はそれ以前から非常に高かった。モーゼル下流にあるルベンティウスホフ醸造所のオーナー醸造家、アンドレアス・バルトが醸造責任者を兼任していて、彼は野生酵母による畑の個性を表現したワインを得意とする。ここのワインの新酒はいわゆる野生酵母臭が明瞭だが、上品でとても味わい深い。
フリードリヒ・ベッカーのワインも、とても良かったことは言うまでも無い。力強くて飲み応えがあって、グラウブルグンダーがロゼの色合いをしているのにはちょっとびっくりした。マセレーションの時間を長くとったのだという。
実は、トリーアに住んでいる友人が、我々のために招待券を手配してくれていたのだが、手違いで昨日ホテルにようやく届いたので、支払ってあった入場料を、招待券と交換で取り戻せるかどうか入り口の案内所で聞いてみた。一人 35Euro
で約 5000
円。友人の好意も無駄にしたくはなかった。するとイヴェントの責任者は隣村のフィルツェンにあるピエモント醸造所にいるから、そこに行って直接聞いてみてほしいという。そこで我々はフィルツェンへと向かった。
(つづく)
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