むらきぃの司法試験受験勉強記

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2019.02.11
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カテゴリ: 過去問の教材

平成21年短答式試験問題[民事系科目]〔第13問〕

イ.一般の先取特権を有する債権者は,債務者がその所有物の代償として支払を受けた金銭についても,先取特権を行使することができる。

【解説】

正しい

先取特権は、その目的物の売却・賃貸・滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭に対しても行使することができる(民法304条1項)。先取特権には物上代位権が存在していることを示している(内田Ⅲ487頁)。


この解説の執筆者は,いったい何を言っているのでしょうか。

本肢における債権者は,共益の費用,雇用関係,葬式の費用,日用品の供給のいずれかの原因によって生じた債権を有する一般の先取特権者です(民法306条1号~4号)。

そして,一般の先取特権を有する債権者は,債務者の総財産について先取特権を有しています(同条柱書)。

したがって,例えば,債務者が所有する動産が売却されて買主に引き渡されると,その動産は先取特権の効力の外に出てしまいますが(同法333条),債務者がこれによって取得する代金債権あるいは債務者がこの債権の弁済として取得した金銭は,いずれも債務者の総財産の一部として一般の先取特権の対象となります。

よって,一般の先取特権者は,債務者が受けるべき金銭の払渡しの前にその差押えをする必要はないですし,この意味において,一般の先取特権には民法304条は適用されないのです(我妻榮・有泉亨・清水誠・田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権』[第2版](日本評論社,2008)510頁以下参照)。

また,物上代位性が認められる先取特権は,動産の先取特権と不動産の先取特権だけであって,一般の先取特権ついては物上代位は問題にはなりません。

なぜなら,上記の通り,一般の先取特権の場合は,債務者の総財産が目的物となるため,債務者が受けるべき金銭または物は,債務者の総財産の中に当然に吸収されると考えられるからです(近江幸治『民法講義Ⅲ 担保物権』[第2版補訂](成文堂,2007)42頁参照)。

したがって,本肢の解説において物上代位を根拠とするのは明らかに誤りです。


ちなみに,本問の解説の執筆者は,本問について以下のようにコメントしています。

いずれも、先取特権・質権の本質的理解に必要な条文上の知識を問うものであり、適切である。



むしろ,本肢の場合には,一般の先取特権では物上代位が問題とならないことを前提としたうえで,債務者がその所有物の代償として支払いを受けた金銭に対しても一般の先取特権の効力が及ぶことを理解しているかどうかを問うところに出題趣旨があるようにも考えられます。

それを物上代位の一語で片づけてしまうのは,法科大学院の教員にあるまじき甚だしい誤謬です。

私は,本問の解説の執筆者の方にこそ,先取特権の本質的理解に問題があるのではないかとさえ感じました。

なお,上記解説が引用している内田Ⅲ487頁を確認したところ,当該頁は質権の内容が記述されている箇所であり,「先取特権には物上代位権が存在していることを示している」などという記載は一切ありませんでした。


それでは。





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Last updated  2019.02.11 08:00:13
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