むらきぃの司法試験受験勉強記

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2019.02.10
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カテゴリ: 過去問の教材

平成20年短答式試験問題[民事系科目]〔第37問〕

ウ.発起人は,自らが行った現物出資の目的財産の価額が定款に定めた額に著しく不足する場合でも,職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば,会社に対して当該不足額を支払う義務を免れることができる。

【解説】

誤っている

発起人は、自ら行った現物出資の目的財産の価額が定款に定めた額に著しく不足する場合、設立時取締役と連帯して、会社に対し当該不足額を支払う義務を負う(会52条1項)。ただし、発起設立においては、①検査役の調査を経た場合、または、②その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合には、この責任を免れることができる(会52条2項)。しかし、無過失を立証したときの免責(前記②)は、発起設立の場合に限られており、募集設立の場合は無過失責任とされている(会103条1項)。


この解説の執筆者は,発起設立においては,本肢のように発起人自らが現物出資を行っていても,その目的財産の価額が定款に定めた額に著しく不足する場合に,その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば,当該発起人は会社に対して財産価額塡保責任を負わないと考えているようです。

しかし,発起設立において,現物出資(会社法28条1号)をした発起人は,自らが行った現物出資の目的財産の価額が定款に定めた額に著しく不足する場合には,たとえその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしても,会社に対して財産価額塡保責任を負うことになります(同法52条2項柱書括弧書)。

したがって,本肢のように自ら現物出資を行っている発起人は,会社に対する財産価額塡保責任を免れることはできないので,本肢の場合に当該発起人がこの責任を免れることができるとする上記解説は誤っています。

なお,上記解説の通り,募集設立の場合には,発起人は,その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしても,会社に対する財産価額塡保責任を免れることはできません(同法103条1項)。

これは,募集設立においては,現物出資等の目的財産の価額が定款に定めた価額に著しく不足すると,設立時募集株式の引受人が実質的な拠出額の不公平により損害を被ることから,発起人および設立時取締役の全員に無過失の連帯責任を負わせたものです(江頭憲治郎『株式会社法』[第6版](有斐閣,2015)110頁参照)。


ちなみに,本問の解説の執筆者は,本問について以下のようにコメントしています。

いずれも株式会社の設立に関する基本的事項であり、難易度も高くない。法科大学院の教育を経ていれば、十分に対応できる出題内容である。

確かに,本肢では発起設立の場合に限定されているわけではないので,募集設立における発起人の財産価額塡保責任が無過失責任であることを理解していれば,本肢の正誤を正しく判断できるのかもしれません。

しかし,現役の法科大学院の実務家教員が受験生に向けて解説するのであれば,細心の注意を払って正確な内容を記述してもらいたいものです。


それでは。





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Last updated  2019.02.10 08:00:09
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