むらきぃの司法試験受験勉強記

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2019.03.02
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カテゴリ: 過去問の教材

平成24年短答式試験問題[公法系科目]〔第19問〕

ア.ある事項を条例によって規制する結果として,地域ごとに取扱いに差異が生じることがあり得る。憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上,このような地域ごとの差異は憲法自らが容認しているといえる。

【解説】

正しい

いわゆる徳島市公安条例の適法性に関する最大判昭和50年9月10日(刑集29巻8号489頁、判時787号22頁、判タ327号120頁、憲法百選Ⅱ235事件)は、法の規定は、条例が、法と別に一定の規制を課すことを排斥するものではなく、具体的規制で両者の規制が重複する場合でも、法は条例の及ばない範囲に適用されるとしており、その限度で地域ごとに差異が生ずることは憲法の容認するものとの趣旨であるから、この記述は正しい。したがって、正解は選択肢1である。


この解説が指摘している​ 最大判昭和50・9・10刑集29巻8号489頁 ​(徳島市公安条例事件)は,以下のように判示しています。

「地方自治法一四条一項は、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて同法二条二項の事務に関し条例を制定することができる、と規定しているから、普通地方公共団体の制定する条例が国の法令に違反する場合には効力を有しないことは明らかであるが、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによつてこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によつて前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一の目的に出たものであつても、国の法令が必ずしもその規定によつて全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。」

しかし,この判示から直ちに本肢の内容を読み取るのは,少し難しい気がします。

この点,​ 最大判昭和33・10・15刑集12巻14号3305頁 ​(東京都売春取締条例違反事件)は,

「論旨(一及び二の後段)は、売春取締に関する罰則を条例で定めては、地域によつて取扱に差別を生ずるが故に、憲法の掲げる平等の原則に反するとの趣旨を主張するものと解される。しかし 憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によつて差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、所論のように地域差の故をもつて違憲ということはできない。

と判示しています。

徳島市公安条例事件判決 ​よりも​ 東京都売春取締条例違反事件判決 ​の方が直截的であるため,最も適切な判例を指摘できていないという意味では,上記解説は誤っていると思います。


ちなみに,本問の解説の執筆者は,本問について以下のようにコメントしています。

出題判例の何れも、条例と憲法の関係に関する最高裁判決の基本的なものであって、判例百選等の学習によって習得すべきである。

東京都売春取締条例違反事件判決 ​は,現時点における最新版の判例百選にも収録されていますし(長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿 編『憲法判例百選Ⅰ』[第6版](有斐閣,2013)72頁),もちろん本問出題時における最新版の判例百選にも収録されていました(高橋和之・長谷部恭男・石川健治 編『憲法判例百選Ⅰ』[第5版](有斐閣,2007)72頁)。

本問についてこのようなコメントをする以上,上記解説の執筆者には,少なくとも判例百選に収録されている基本的な最高裁判例については,最も適切な根拠判例を的確に指摘してもらいたいところです。


それでは。





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Last updated  2019.03.02 08:00:17
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