Naoya フランスでブラス!!

Naoya フランスでブラス!!

PR

×

Profile

ナオちゃん9978

ナオちゃん9978

Comments

matt@ VDYZkcECinmgGRN hyGmIt http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…
julian@ UacdMIxJtcLP C1SLPl http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…
julian@ ZRbnsqkVYpBzZLLeFU kGm7f5 http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…
julian@ iIKfhZIjUZo Xg5isU http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…
julian@ cKYupCNmGOuPCYQTS VTcSW1 http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Favorite Blog

堀本惠美子展 新潟… New! 恵美子777さん

源氏物語〔35帖 柏木… New! USM1さん

ハープコンサート in… 47弦の詩人さん

LiTtLe IsLaNd JoUrN… 小島くるみさん
ふぉとあーと ようこ@フォトアートさん

Freepage List

February 5, 2012
XML
カテゴリ: 修行の日々
 2月2日未明のパリ地方の気温はマイナス13度。私が今自分の新たなる門出に対するイメージにぴったりだと思う。生ぬるい風よりは、自分の目を覚ますような冷たい風を好む。風向きがころころ変わるのは、フランス人の性格そのもののよう。

「自らの羽で羽ばたいていく。」
 独立する時にフランス人が好んで使う表現。人生はよく航海や演劇に例えられるが、私には「道」という言葉が相応しい。

「もうここから先はお前独りで歩むんだ。」
 荒野のような場所に辿り着き、師フィリップは少し脇へと歩いていった。42年間の闘争の日々、その荷をようやく降ろし、技術の伝承の役割を終えた他のメートル・ダールの方々と合流した。
「ゆっくり休んでいいんだよ。『時代の流れのためにバラバラにされた職人たちのかつての結束力を取り戻す』という使命を続けたいなら好きにしていい。後は残された人生を奥さんをはじめ家族のためにできるだけ使って欲しい。もうすぐ生まれる新しい楽しみがあんたを待ってるから。あんたが創った『アトリエ フィリップ・ロウ』は俺が守る。10年間育ててくれてありがとう、師匠。」
 この職業に出会って以来職人のあり方を貫き通した師の背中に私はつぶやいた。
「職人の役割は技術の伝承というバトンを渡すようなもの。」
 私にはそれは終わりのない駅伝やリレーをするようなもののように思える。そして私の右手には一本のバトンが握られている。手放すわけにはいかない、この国の楽器製造の伝統技術が詰まった重いバトン。「やるしかない」と決めたとき、そのバトンの重さと感じていたプレッシャーは少し軽くなった。

「師なくして弟子はなく、弟子なくして師にはなれません。」メートル・ダールの弟子の一人、ヴァレリー・コラ・デ・フラン。

 前を見れば、険しい山も深い谷も迷宮のようなトンネルも、藪も深い霧も見える。曲がりくねって障害だらけの道。それが私の門出のイメージ。ところで「急がばまわれ」に類似する格言は世界中にあるらしい。
「迂をもって直となせ(中国の格言)。」
「回り道が最も近道(イギリスの格言)。」
フランス語でまだこのような格言を見つけていない。この国は多くの人がお金も苦労もかけずに成功する道を探しているが、そんなものはありえないというのが、私が10年の修業で得た答え。その他の言葉はあるようなので以下に抜粋。
「成功に王道なし。」
「全ての道はローマに通ず(意訳:成功する方法はひとつだけじゃない)。」
以上、白水社仏日辞書『Le Dico』より。
そして、
「自分の道は広いと思え。」
弘謙兼史氏の言葉を思い出した。


 そして音楽を始めるずっと以前の頃が見えた。そこには膝を抱えてうずくまっている一人の少年がいた。楽器に出会う前の私自身だ。もし過去に戻れるなら自分自身に言ってやりたい。
「うずくまってすねて、泣いてばかりいないで立ちなよ。世の中には面白いことがたくさんあるから。」
そう言って手を取って立ち上がらせてあげたい。
2008年、職業見学に来たエリアスという一人の少年がアトリエを訪れた。自分に全く自信を持てない少年だった。私の少年時代と違う点は「プロのドラマーになりたい」という夢があるだけ。自分の夢を語ったときは顔を輝かせたあと「でも僕自信ないから」と顔を曇らせた。私はその少年エリアスに言った。
「君が15歳というその年で夢を諦めるなんて早すぎる。」

「この見学の内容をクラスで発表するんだろ?そのレポートの書き方と発表の仕方は俺が教えてやる。君はそこで最高点を取って先生やクラスメイトを見返してやれ!」
小さなことでもいいから何かこの少年に自信というものを与えたかった。そして数ヶ月後。
「企業見学の発表で、クラスで最高点を取りました。40点中38点です。」
「ブラボー!よくやった!!」
後にこの少年はフランスのプロのドラマー養成専門学校に入学し、私たちに挨拶に来た。身長は180cmに達するほど成長し、気力に漲った顔になっていた。
「お前には競争相手が多い。でも負けるなよ。いつか有名になったらうちのアトリエを宣伝してくれ。」
「そうだ、打楽器製造もしくはヘッドの交換はぜひ『アトリエ フィリップ・ロウ』にご相談くださいって言うんだぞ。」
師と私はこの少年の未来を祝った。
 ひとつだけ私が誇りを持って言えることは、「ドジで不器用」ということを自他共に認めていて、「努力のどの字も知らなかった」と実の母親に言われた私でもここまでは来れたということです。私の技量ぐらい誰にでも辿り着けます。
「努力は才能を凌駕する。」小学館少年サンデーコミックス「史上最強の弟子ケンイチ」より、ふたつ名「ハーミット」こと谷本夏。

 10年間という時間、思い出すことはあっても、もう振り返ることはないだろう。
 前に向き直った。いくつかの言葉を思い出した。
「あなたはまだ人生のスタート地点に立ったばかりです。」大前春香(遥?)「ハケンの品格」より。
 そして昨年京都タワーの一階のお土産コーナーで買った一枚のTシャツに綴られた言葉。筆で書かれた「道」という言葉の後に以下の文章が続く。
「この道を行けば
どうなるものか
 危ぶめむなかれ
 危ぶめば道はなし
 踏み出せば
 その一足が道となり
 その一足が道となる
 迷わず行けよ
 行けば分かるさ。」
 何かの道を志す方には必須のTシャツ。京都観光の折には購入されたし。

 私は右足を一歩前に出し、反対の左足をさらに前に進めた。
「2世代目の進路は?」
誰もいないところから声が聞こえた。かつて大学の構内で卒業後の進路について思い悩んだ時にある声を聞いた。後にそれは自分の心の中から来る声だと気付いた。
「進路は、自分の夢を叶えるための道。」
私は自分の中に住むもう一人の自分に答えた。
「創造の女神に再会しに行こう。後継者探しとその育成はその後だ。」
「・・・。」
 かつて夢の中で自分の夢にうなされたことがあった。目覚めるとびっしょりと前身に汗をかいていた。「いつになったら俺をこの世に生み出してくれるんだ?」という問いかけに聞こえた。
「だったら、私に作ってよ。」
 2001年に夢をくれた女の子はそう言った。
「アトリエの屋台骨の修理、あと少し残ってる免許皆伝のための課題、打楽器製造強化、楽器開発資金と時間の捻出、やることがたくさんあるぞ。」
 多難であろう道を歩み始めながら私は笑った。
「自分が本当になりたいものになりにいく。そしてこの世で最高の褒め言葉をもらいにいく。」
その時は、私の夢実現の証明となるだろう。
「夢、それはこの世で最も強くて純粋なエネルギー。自分を見失いそうになったときの道標。」

目を凝らして前を見た。私より先に独立して自らの道を歩く「フランスの人間国宝メートル・ダールとその弟子たちの会」の仲間たちが見える。皆困難な情況の中、独りで、あるいは二人、もしくはグループを組んで歩んでいく。
 弟子「エレーヴ」たちの定義を考えた。一人一人がフランスという国の伝統技術の次世代への継承を託された「次代を継ぐ者」だと思う。
 そしてこの国で出会った、夢追う人たち。そのような人たちの中にいることを誇りに思うと共に、まずは彼らに見習おう。
 ある歌のフレーズが頭に浮かんだ。
「ハイホー、ハイホー、行けばいい、自分の選んだ道を」: 読売テレビ「グッと!地球便」主題歌、カラーボトル「ハイホー」。
 私の道は楽器がくれた道。

「俺をはじめ、皆が見ているぞ。」
 師はきっとそのように思っていると思う。私が2代目の役をどのように演じるのかを皆が観察している。何年か前に放映された映画「ラ・モーム」、歌手としてそして女として名を馳せた往年の歌手エディット・ピアフの人生を主題にしたこの映画のポスターを思い出した。おそらく舞台に立つ直前の舞台袖の場面だろう。カーテンの隙間から漏れるスポットライトが彼女のシルエットを映し出していた。横顔はどのような表情であったのか。
 私は、「2代目」を凛々しい顔で演じたい。モデルは、宮崎駿監督の作品「風の谷のナウシカ」のトルメキア王国のクシャナ王女、あるいは別の作者の作品で銀河を駆け抜けた二人の女傑。現実世界のモデルは、フランスのラグビー選手であるモルガン・パラー。国際試合では背番号10番を背負うキッカーであり司令塔。左足での美しいフォームによるペナルティキック成功率80パーセントを誇る。特に私が惚れ惚れしてみるのはキックのフォームに入る前の「必ず決める」という自信にあふれた顔。かくありたいと私は思う。

聖飢魔II EL・DO・RA・DO

 この話を終えるためにこの曲を選んだ。
「速く行け、速く行け、見失わないうちに辿り着け、消えてしまわないうちに辿り着け。」
何度も繰り返されるフレーズが自分の心の中から聞こえてくる声とぴったり合致するから。
自分の胸の内にあるものがその誕生を待っている。
「あなたの夢はすばらしいものですから是非叶えてください。」
大阪在住のプロのトランペット奏者から励ましのお言葉を頂いた。多くの人を待たしているのかもしれない。
「夢に、世界に、そして未来に追いつくにはどうすればいい?」
そんなことを思いながら駆け出した。そして一瞬だけ脇に目を遣った。ずっと横に置いているものが見える。
「いつの日か、あれが獲れるようになりたいな。」
再び前を見て私は駆け出した。『2世代目』はもう始まっている。

「それは遠い海の向こうの、
ある一人の若者の物語。
そして彼が出会う、
夢追う者たちの物語。」

『ひとつの終わり、ひとつの始まり』編、終了。
私の人生の第一章、『例外なる人事』あるいは『怒鳴られながらの修業時代』終了。

次回「あとがき」をもって、「Naoya,フランスでブラス!!」を終了いたします。「日出ずる国から来た弟子」と名乗るのも今回が最後です。

Naoya「日出ずる国から来た弟子 トロンボーン製造を志す者」

皆様の清き1クリックをお願いします。
にほんブログ村 クラシックブログ 管楽器へ
にほんブログ村 その他日記ブログ 匠・職人日記へ
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 7, 2012 06:03:28 AM
コメント(8) | コメントを書く
[修行の日々] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:次なる道を(02/05)  
坂本 登 さん
楽器の開発楽しみにしております。
その楽器が私の2代目trombone となる日を夢見て、 (February 5, 2012 06:30:38 PM)

お世話になった先生恩師へ  
gen さん
お世話になった先生恩師へ「お祝いゲンさんの似顔絵」の贈り物。
還暦のお祝い、定年退職される先生の方々を多数制作させて頂きました。

お世話になった父母。先生や師匠、恩師の、
還暦祝いや定年退職記念のお祝い贈り物似顔絵を制作しております。
ご本人の愛用の仕事道具や作業着、白衣、制服姿を、独自のタッチでお描きします。
表彰式、送別会で記念に残る「かわいいお祝い贈り物似顔絵」作品です。
また、父や母へ、義父母へ。ご両親の金婚式お祝いの贈り物なども制作しております。

お祝い「ゲンさんの似顔絵」の贈り物のページです。
定年退職の似顔絵ページ/
http://www.gen-creation.com/teacher.htm
先生や恩師の似顔絵ページ/
http://www.gencre.net/sensei.html
母の還暦祝い「お祝いゲンさんの似顔絵」の贈り物
http://www.gencre.net/hahaoya.html

宜しければ、皆様でホームページをご覧頂ければ幸いです。
(February 6, 2012 10:26:06 PM)

はじめまして  
拓海 さん
はじめまして。
今年4月から某学院の管楽器リペア科に通う18歳の者です。

卒業後フランスで楽器修理、製造を学びたいと思い立って
検索してたどり着き色々と読ませていただきました。

次回で終わりというギリギリのタイミングで
ここにたどり着けて良かったです。

たくさん興味深いお話が書かれていて
フランスで学びたいという気持ちがより強くなりました。

そこでなんですが、何らかの形で渡仏や楽器に関して
アドバイスを頂けないでしょうか?

とりあえず一時的な連絡先を載せておきますので
よろしければご連絡ください。
sigmu0623♪gmail.com(音符を@にしてメールを
もしくは
Twitterのアカウント
sig_mu に連絡頂ければ嬉しいです。

では、失礼致します。
(February 6, 2012 10:27:15 PM)

長くお待たせすることになりますよ。  


 お返事が遅くなり申し訳ありません。
 今回の記事に書いたとおり、私の前途は障害だらけです。それらを終えてようやく自分の夢に着手することになります。そして私が生み出す最初のトロンボーンは、私に夢をくれたひとりのトロンボーン奏者へのお礼でもあります。どうか長い目でお付き合い願いたします。それまでは、ご自身の「初代の」トロンボーンを大切になさってください。そして、もしよろしければ私の人生の物語第二章にもお立ち寄りください。Naoya
(February 7, 2012 06:08:39 AM)

間に合ってます。  
>genさんへ。

 似顔絵の描き手なら私は最高の画家を友人に持っていますので間に合っております。
(February 7, 2012 06:10:44 AM)

協力しかねます。  
>拓海さんへ。

 はじめまして。
 留学の情報に関しては10年前より様変わりしておりますので、各情報誌、もしくは日本にある各国の大使館の情報をご参照ください。
 あと、楽器修理に関しては日本が最高の修業の場であると思います。海外にあこがれるようでしたら、まずは御自分の目的をはっきりさせるようになさらないと、人生を危うくします。無目的のままつぶれていった人たちがこの国にも何人もいます。

 まずはご自分で情報をお調べください。私も今までそれ相応に時間と労力とお金を費やしましたし、私が辿った道は誰一人として教えてくれませんでした。

 最後に、誰のつてもなくドイツに渡りマイスターの称号を獲得した某学院の私の後輩がいたことをお伝えいたします。

Naoya
(February 7, 2012 06:11:55 AM)

Re:長くお待たせすることになりますよ。(02/05)  
坂本 登 さん
もう急ぐ年でもないので、
そのトロンボーン奏者は、私もlyon時代お会いしてるかも?
1996~2000 学生として滞在してました。 (February 10, 2012 12:08:55 AM)

リヨンに在住されていたのですね。  
>坂本登さんへ。
 2000年から2001年の一年間私はリヨンに在住しておりました。もっぱらフランス語の習得のためですが。私たちはその時すれ違い、そして奇遇にも出会いました。インターネットという技術に感謝しております。
 私はもっと急がねばなりません。「速く行け」という私をせかす声が聞こえますから。Naoya
(February 10, 2012 05:52:48 AM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: